2009年12月15日火曜日

竹中平蔵さんへの評価?


未だに成長戦略が見えない民主党が経済成長戦略を策定するため、菅直人副総理兼国家戦略担当相の下に設置した検討チームの初会合に竹中平蔵さんを意見聴取として呼ぶようです。

市場関係者の間では竹中さんへの評価は悪くないじゃないかと思います。なにより金融機関の不良債権問題を解決しましたし、円安効果と言う声もありましたが、その後成長も相場もありましたし、雇用情勢も改善しました。 自殺率や非正規雇用者問題などもそれ以前からの構造問題との認識で規制緩和を基本とする竹中さんのやり方は続けられるべきであったと思います。 どちらかと言えば自民党守旧派の手によって排除されたような印象すらもっております。

そうは言っても意見は人様々でしょうから、一体皆さんはどう考えてらっしゃるのか?知りたいと思いますので簡単なアンケートに協力して頂ければと思います。

投票すれば結果は見れます。







 政府は15日午後、鳩山政権の経済成長戦略を策定するため、菅直人副総理兼国家戦略担当相の下に設置した検討チームの初会合を開いた。16~18日に有識者や各省庁から意見を聴き、24~25日に成長戦略の骨格をまとめる方向で作業を急ぐ。16日午前の意見聴取には竹中平蔵元経済財政担当相を招き、報道陣に公開して行う予定だ。
 民主党は、竹中氏が小泉純一郎元首相と進めた経済政策を批判しており、経財相を兼ねる菅副総理ら新政権との間で論戦もありそうだ。
 成長戦略は、2020年までを対象とし、民主党の政権担当期間を念頭に向こう4年間の具体的な行動計画も示す。新政権発足後に経済産業省や国土交通省、総務省などが省内で進めていた検討の成果を土台に、政治主導で政府全体としての戦略をまとめるという。
 「民主党には成長戦略がない」との批判も踏まえ、骨格は年内に打ち出すが、最終的な取りまとめは来年5~6月となる見通しだ。(2009/12/15-20:04)

P.S.アンケート機能を試したい気持ちもあります。

2009年12月14日月曜日

ボラティリティの話 3


コメントで質問を頂戴しましたので、今日はそれについて考えてみましょう。

スクで+20%と-20%をおなじ確率とするのはおかしくないでしょうか?
リスク資産の分布は、ただの正規分布ではなく、対数正規分布かと思います。

これは論より証拠で、実際の相場を計測してみましょう。
日経平均の日次データを1984年1月から直近12月11日まで採ってそれらの日次収益率をヒストグラムにしてみます。

データは米国ヤフー・ファィナンス(^N225)で簡単にエクセルにダウンロードできます。
データ個数はn=6,382。 日次収益率(変化率)から計算された年率ボラティリティは23.2%、リターンは偶然ですが0です。 25年かけて全然上がっておりません。と言うより90年に上がって下がってきてしまいました。

分布図です。背が高くなっていますが、これは目盛りの取り方で変わるので、気にしないで下さい。
クリックすると大きくなります。

真ん中の黄色い線が収益で0%です。紺色が最頻値。 オレンジが標準偏差1、で黄色が2の水準です。
1σは年率23.2%ですが、ここでは日次収益率の0.015が84日あった事を示ています。
厳格に言うともちろん正規分布とは言えませんが、未知のものを予測しようとする時にこの形は正規分布として考えても問題はありません。
左右対称と言う前提でも構わないと思います。したがって20%と-20%の発生確率が同じと言う仮定には問題ありません。

最近良く言われるブラックスワンですが、ここでも何羽も見ることができます。 -10σなどは宇宙のビッグバンからでも一回も起こらないような確率です。
しかし25年間に結構な発生頻度を持っています。

さてここで勘違いしやすいのですが、-10σが出るなんて使い物にならないのでは?
これは日次ですが、さらに時間を縮めて時間足、分足など細分すると、もっと異常値は沢山発生します。ギャップオープン分を分足で処理するとどうなるかは想像できると思います。時間を細かく切ると起こるだけで、これで驚く必要はありません。ですからポート運用などでは月次収益で十分なのです。

収益率は上のグラフは見てのとおり正規分布であって、対数正規分布ではありません。



さて、ここで資産価格、日経平均の株価データをヒストグラムにしてみます。
だいぶ乱れてはいますが、何となく対数正規分布の形をしていますよね。
横軸をLOGにして対数化すると、少し目を荒くしたものが下のグラフです。

かなり崩れてはいますがまだ正規分布の仮定で考えても問題ありません。
つまり資産価格は対数正規分布であった訳です。

ボラティリティ23.2%で、収益0%のリスクプロファィルを持つ無数のものの1つがこれなのです。
シュミレーションで回数をこなす事によって同じリスクプロファィルのセットをいくつも用意し、発生しうるリスクに対する認識を持っておくと言う実験がモンテカルロ・シュミレーションになります。

事後的に収益率は0%でしたが、ボラが同じであればこれは高い期待収益でも十分に起こる範囲の出来事です。


エクィティの期待リターンが仮に8%とすると「毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定して」の方法だと、紙くずになる確率(-100%)と2.08倍になる確率が同じということになります。これは実感としておかしく感じます。資産価かくが2倍強になることはよくありますが、0になることはそうありません。
市場インデックスでも新興国エクィティがある期間で2倍強になることはあっても、0になることはそうはありません。
「毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定して」という方法はマイナスを過大評価しているかと思いますが・・・

期待リターンが8%で、ボラティリティが20%とすると、20%から-20%と言うのが発生頻度の高い標準偏差±1の両端ですから、仮定として不自然ではありません。

少し計算してみましょう。

毎年20%上昇した場合。
計算は 100 x (1+(8%+20%))^年数乗 ですから3年で209.7152になります。

逆に毎年20%下落した場合は、
計算は 100 x (1+(-8%+20%))^年数乗 3年で、68.1472です。

仰る通りになかなか0にはなりません。


以下ついでに日経平均25年間の月次のグラフも載せておきます。
これであれば左端の異常値は166年に一度発生する程度のものです。
正確に正規分布なんてありませんから、計算に拘泥すると間違ってしまいます。

月次収益率

資産価格 x軸は通常

資産価格 x軸は対数

以上です。
御質問ありがとうございました。



2009年12月13日日曜日

財政支出では無く減税


12日のニューヨーク・タイムズのEconomic Viewにグレッグ・マンキュー教授が下記タイトルで寄稿しています。 今後の政策の転機となる可能性の高い記事なので、筋トレ的な意味も兼ねて意訳しておきました。 誤訳等の責任は負いかねますが、それでもよければ参考にして下さい。

By N. GREGORY MANKIW
Published: December 12, 2009



財政支出で成せなかった事を減税ならばできるだろう

あなたは医者で、原因不明の病気に苛まれている患者があなたの診療所を訪ねて来たと想像してみよう。
いくつかの症状はよく診るものだが、それ以外は分からない。これまでにこういった問題点の組み合わせを持った患者は扱った事が無い。

これまでの知見を基にパーフェクトとは思わないが処方薬は考えついた。
患者は処方箋を手に帰り、あなたは処方が効くように願いそして祈った。

しかしながら1週間程して患者は再診に訪れ色々な意味で症状は悪化していると言う。

さてどうしましょうか?
あなたには3つの選択肢があります。

1. 継続。 多分患者はあなたが思うより、重症だったので、薬が効き始めるまでもう少し時間が必要だ。

2. 投薬量を増量する。多分処方は正しかったのだが、量を間違えた。患者はもっと投薬量が必要だった。

3. 処方を再考する。 きっと処方が正しく無かったのだ。多分他の組み合わせが上手くいくのかもしれない。

これらのもっともらしい3つの対処方からの選択は容易では無い。色々な意味で現在のオバマ政権は類似した立場にある。

オバマ大統領が選出された時、経済は病んでいたし、さらに悪化しそうであった。 1月に執務室に入る以前から彼の経済担当チームは問題点をレポートしていた。

レポートによると、もし何もしないのであれば、失業率は上昇し続け2010年初頭には9%に達するだろう。しかしもし国が政府支出を増大する形で7750億ドルの財政刺激策を遂行するならば失業率は8%以下にとどまるだろうと予測されていた。

そして現実にこの大型財政刺激策は議会を通過した。 しかし事態はホワイト・ハウスが考えていたよりも悪化してしまった。 失業率は現在10%であり、政権のエコノミスト達が何もしない場合に到達すると予測した失業率より丸々1%高い水準だ。

確かにいくつか良い兆候もある、信用スプレッドの縮小、GDP成長や失業者数の減少などだ。しかし景気回復は大統領とその経済チームが当初期待していた程には未だに力強くは無い。

それではどうすれば良いのだろうか? 大統領は火曜日のスピーチで投入量の増大に興味のある事を示しはしたが、政権は現状維持を意図している。しかしながら、ここでは多分処方を考え直す方が良い選択だろう。

今回の財政支出案を考え付いた時、オバマ政権はケインズのアイデアの一部をベースとした伝統的な経済モデルを拠り所としていた。 ケインズ理論では失速した景気に活を入れるには税務政策(減税)よりも政府支出の方が有効であるとする。

1月のレポートではこの結論を数値化、 1ドルの政府支出はGDPを1,57ドル引き上げ、一方で1ドルの減税は99セントの効果でしか無いとしている。 

減税よりさらに支出した方が良いと言う事は、成長と雇用促進の為に財政赤字を増加させることも意味する。

しかし最新の様々な研究はこの伝統的な見識は後退気味であると示唆している

ひとつの論拠は大統領経済諮問委員会副議長のクリスティーナ・ローマーから発されている。彼女の夫ディビット・ローマーとの共同研究の下、彼女が現職に就く一月前にUCバークレーにおいて書かれた論文において税務政策は経済活動に強力な影響力を持つ事を結論付けている。

ローマーによると1ドルの減税は歴史的にGDPを約3ドル押し上げる、つまり前出の政権によるレポートにあった数字の3倍であり、これは政府支出効果よりもはるかに大きい。

その他の最新の研究もローマーの研究成果を支持している。ロンドン大学のアンドリュー・マウントホールドとシカゴ大学のハロルド・ユーリックの2008年12月のワーキング・ぺーパーでは、最新の統計解析ツールを米国のデータに適用し、財政赤字による支出、財政赤字による減税、増税による支出、の3つを比較している。彼らはこの3つのシナリオの中でGDP改善には財政赤字による減税がもっとも効果的であると報告している。

私のハーバードでの仲間であるAlberto AlesinaとSilvia Ardagnaはこの件に関して総合的解析を実施した。 10月の研究では彼らはOECD21カ国の財政政策の大きな変化に注目した。 先ず彼らは1970年からの景気刺激政策に関する91の事例を抽出し、政策介入の中から成功したもの、つまり実際に力強い成長を伴ったものと失敗したものを比較した。

結果は衝撃的であった。 成功した刺激策の殆どすべては法人税と所得税の減税であり、
失敗した政策は政府支出の増大に依存したものであったのだ。

これらの研究成果の意味するところは伝統的なモデルはどこか欠陥があると言う事だ。
それは何であるか?と言う手がかりはIMFチーフ・エコノミストのブランチャード氏とミラノ大学のペロッティ氏の2002年の研究成果に伺える。彼らは「増税と政府支出の双方とも民間投資支出に強力なマイナスの効果を持ち、この効果がケインズ理論と相容れ合う事は困難である。」と報告している。

これらの研究成果は税務政策、特に投資減税のように投資にインセンティブを与えるような税制変更がリセッションとの戦いにもっとも適した財政政策であると指摘している。
2008年春に行った一時払いリベートの送付は、消費と生産に僅かにしか弾みをつけられなかったように効果が疑わしい。

我々の医者が謎の病気に立ち向かうように、病んでいる経済をいかに回復させるかを考える時、エコノミストは謙虚で且つオープンな心を持ち続けなければならない。積み上がる証拠は伝統的なケインズ的処方箋がベストな薬では無い事を示唆している。


2009年12月12日土曜日

ボラティリティの話 2


前回のボラティリティの話は簡単過ぎて少しわかりにくかったと言うメールを貰いましたので、補足と言う意味で考えてみました。

いろいろ語るよりは少し実験してみましょう。
そこでモンテカルロ・シュミレーションの簡易版を作ってみました。

これはエクセルのRAND関数を使って正規分布になる乱数を発生させ株式の月次リターンとして計算して行くやり方です。
時系列のグラフを25年、300ヶ月分書いたりしますので、サンプルは200本しかありません、オプションの計算時には1万回ぐらいはしますが(但しt期の株価だけ)、これはこれで十分に使えるかと思います。


まず前回の例の中から米国で一般に言われている株式の7%期待収益に20%のボラティリティを組み合わせて実験してみましょう。
これではゴチャゴチャしてわかりにくいので、以下のように整理しました。

各時点での200本あるうちの、

1。上から10番目に位置する値を Large10 エクセルの関数そのままです。
2。平均がAverage,
3。中心値がMedian,
4。下から(悪い方から)10番目が Small10

と4つの指標を取り出してみました。


7%の期待収益で25年経過すると 25年後の期待される株価は = 100 x (1+0.07)^25:(25乗) になります。
ここでは542.7になります。 200本走らせたシュミレーションの結果、平均は510.4となっていますね。
これはサンプルの本数が足りないせいです。 年次期待リターンの月次換算はNominal関数で修正してあります。 念の為。

これでみると上のグラフからまぐれ当たりで40倍なんてのもあります。
上から10番目の結構運のよい人Large10で18.3倍。
事前の計算から期待された平均は542.7でしたが、事後の平均は510.4です。勿論シュミレーションを行う毎に違う結果が出ます。200本では少なすぎるのです。しかし平均値は非常に高いサンプルによって高く出てしまう傾向があります。

あなたが普通の運勢をお持ちであれば。 中心に近い値。 342.3になってしまうと言う訳です。
さらに結構運が悪いと、つまり下から10番目だと67.0になってしまいます。
どこかの国の株式みたいですね。 因みに最下位は21.1でなんと五分の1になってしまいました。

これはインフレも、配当(トータル・リターンとしての期待収益で考える)も考慮されていない非常に雑なモデルであることをお断りしておきます。

ではボラティリティを少し下げて10%としてみましょう。束が綺麗ですね。
また見やすくしてみます。
ここで特徴的なのは平均と中央値が近づいてきた事です。
極端に良い値が出にくくなる為です。 また結構運が悪くても184.3貰えますから約2倍。
長期投資が効いてきます。ボラが低いって良いですね。

次は反対にリスキーにしてボラティリティを30%にしてみましょう。
さすがに上がる時はあがりますね。途中で90倍もあります。

まぐれあたりだと80倍にもなりますが、Largeで22倍、平均で5.6倍、中央値だと2倍、少し運が悪いと16にまでなってしまいます。
因みに最悪は4.4でした。 平均値は事前の計算に近いですが、何度も言いますが極端に良いデータが平均値を上げているだけです。
ですから実際にやってみて自分は普通だったなと思えば、2倍程度なのです。

ではここで期待収益率7%で、各ボラティリティ(リスク)別に普通に運が良くもなく悪くもなかった場合(中心値)を比較してみましょう。
因みに平均値はどれもほぼ同じです。


5%のボラだと平均値に近づきますね。
このグラフは冗談じゃないか?って。
違います。 これは常識です。

期待収益が7%あっても高いボラだと普通の人はマイナスにしかなりません。

ボラティリティの高い物に長期投資するとはこう言う事です。  
バフェットさん見てるとわかるでしょ。

ではまた、次回から少しこれで遊んでみましょう。

2009年12月10日木曜日

ボラティリティの話



風呂上りで、もう本を読む気にもならないので、与太話をしましょう。 最近読んでる本にも似た話が出てきましたので。

ボラティリティの高い(50%)株を買って、50%下がってしまった。 元に戻すには100%のリターンが必要。 実は50%では足りません。 収益率はテールがどうしたとか問題がありますが、ほぼ正規分布ですから左右対称に近いと言えます。従って統計的に戻すのは大変なんです。これは皆知っているかあるいは経験した事ですよね。

ボラティリティの高い株は魅力的だが、なかなか上手く行かないし、長期で持つとほとんど上手く行きません。割りきってトレーディングとしたいところ。

ここで仮にボラティリティ20%で、期待収益が0%から8%までの金融商品を並べて、25年間投資したと仮定してみましょう。 もちろん極端な例だけどありがちです。

毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定してますが、実は掛け算なので順番は関係ありません、50%の確率で標準偏差1か-1が発生すると言う仮定です。


期待収益が0%だと揺すぶられただけで、25年後には61.3になってしまいます。


今度は期待収益7.5%でボラティリティ別に見てみましょう。

勿論これは25年と長い期間ですが、ボラティリティが高いって怖いですよね。
自社株を大量に持っている方は気をつけて下さい。

実は分散投資の重要性と言うエントリーを他のサイトで見たので思いつきました。
ひとつのカゴに卵を全部盛らない。

もちろんこれも大事ですが、分散投資によるリスク(ボラティリティ)の低下の効果がよくわかるかと思います。

では。


国の歳入


ここのところ年金話ばかりで少々ウンざりしてきましたので、国債の話について。大阪の喫茶店で亀田兄弟と同じレベルで話されているような話を。

相変わらず天下りの話が尽きませんが、罰則がある訳でも無いので、当事者から「私天下ってました。すみません。」と言うような話は無い訳で、これからも次々と出てくる話だと思います。 昨日指揮者の小沢征爾さんが民主党の小沢幹事長を訪ねて、音楽家に対する支援を減らさぬように懇願しましたが、財団や国立劇場に音楽を知らない役人が天下っており、支援のお金も人件費に消えて末端まで行くと小さくなってしまうと話をしておりました。

国の歳入、歳出は以下のようになっています。(平成21年度当初+補正段階) 財務省HP クリックで大きくなります。

ご存知の方はご存知でしょうが、歳出の6割が社会保障費、国債費、地方交付税になっており、無駄遣いを指摘されている公共事業や文教および科学振興は突出している訳ではありません。 歳出の102兆円が決まって、税収が予想されて、足りない分を借金して賄うと言う構図です。800兆程借金を貯めてしまいましたが、増加を止めるどころか、直近では戦後始めて債権発行が税収を上回る事態となっております。

消費税がちょうど10兆円ですから5倍の25%にして50兆円の財源とすれば国債の新規発行は無くなり償還によって毎年10兆円ずつ残高を減らしていける勘定ですが、それでもさらに国民年金の方で別途資金が必要になると思います。 もっと早い時期に増税しておけばと言う話ですが、勿論今増税すると景気を冷え込ます恐れありと言ってます。そしてさらなる新規発行。 世代間の不公平感はさらに拡大するでしょう。 得意のモラトリアムでもあれば別ですが。

特別会計を切り離して考えていますので、歳入は税金に頼るしかありません。 永久に借り続けても大丈夫と言う話もありますが、企業や金持ちが国外脱出でもし始めればそうも行かないでしょうから、いずれは税金で返す事になります。政府の持っている不動産を売却して良いですが、今の経済成長では土地のダイリューションを起こしかねません。 国民の金融資産が中心になって買っているのであれば税金の前借りと同じです

本来であるならば、これまで借金を重ねてきた資金で、インフラを整備し、経済活動を活発にし民間の企業収益を上げ法人税を増加、国民の所得を上げて所得税、消費税が増えていなければならなかったのですが、どうにも結果としてはそうはなってません。 無駄に使ってきたと言われても仕方が無いと思います。 またこれらの税収は来年劇的によくなると言う話でもありませんので、来年も40~50兆円の債権発行が必要となるでしょう。

日本国債は95%が国内で調達されているから対外デフォルトは無い。 そうでしょう。 また一般には日本政府は他国に比較して500兆円規模の資産がある事と徴税強化+増税の余地が大きいと見られている為、対GDP比200%と言う数字に比較して比較的余裕を持ってみられています。増税すれば良いのだから国内でのディフォルトも考えにくい。

しかし市場関係者の間では、どこかに臨界点があるはず、つまり国内調達が限界に来て外に頼らなければならなくなるポイントが近いのではないか?と考えています。 その時のレートはわかりません。 バブル期の土地と同じとは言いませんが構造は似ています。 なにしろ同じような機関が皆で国債と言う1つの資産を集中して持っています。 ソブリンですから格付け低下の影響は当初大きくは無いでしょうが、価格低下のインパクトは銀行、生保、年金に及びます。

あと100兆、200兆は無理と言う根拠は持ち合わせていませんが、大丈夫と言う方の根拠、国民金融資産はもっと説得力が無いと思います。

ですが国債の発行をやめろと言える訳でもありません。 上の図をみればわかるように発行するしか仕方が無いのです。 だとすれば増税するなり将来の税収増のグランドデザインを示すなりして欲しいと言う訳なのです。 これまでの支出の仕方では税収が増えなかったのです。成長できなかった。 乗数が1を超えるからOKと言う話ではもう無い段階だと思っています。 個人としては円高の間に成長力のありそうな国を買うのが正しいと思いますがしばらくは動く必要は無いと思います。

そう言えばこの話もウンざりでしたね。


2009年12月8日火曜日

オプティマイゼーション ②


昨日のエントリーは中途半端になってしまいましたが、昨晩はNHKで旧海軍軍令部OB達による「反省会」の番組がありました。

これは8月に放送されて非常に大きな反響を呼んだ番組、NHKスペシャル 日本海軍400時間の証言をもとに制作された「日米開戦を語る」がありました。 400時間の証言はNHKオンデマンドでもまたブログ等で非常に多く取り扱われているので興味のある方は是非一度ご覧下さい。

組織の為に、本来の存在理由を忘れてあらぬ方向に進んでしまう旧海軍の姿が現在の官僚組織や政治家達の姿とダブルところが大きな反響を呼んでいるのだと思います。
誰も責任を取らない体質もこうした官僚組織の特質なのかもしれません。 今の国家予算、年金問題などまた取り返しのつかない事になる可能性は日々高まっていると言えるでしょう。

昨日サラッと書いてしまいましたが、2004年度計画値に対する不足分は約40兆円。 これは国家の年間歳入額に相当します。



話は本来のテーマに戻って。実は逆オプティマイゼーションの話です。

運用ポートフォリオの資産配分最適化(オプティマイゼーション:つまり各資産をどのくらいの比率で組み合わせれば許せるリスクで目標とするリターンを享受できる確率が一番高いか?)の際には、以下のデータが必要となります。

各資産の期待収益 (今後どれ程儲かりそうか)
各資産のリスク (標準偏差:ボラティリティ)
各資産間の共分散 (株価が変化した時に債券はどう動くのか?、同じように変化するのか、あるいは反対に動くのか?)
ポートフォリオ全体のリスク許容度

これはよく考えると、現在の資産構成が分かれば、リスクと共分散は過去のデータを使えますから、逆算によって期待収益が計算できると言う事です。
つまり今の個人金融資産の構成比率や日本版401Kの資産構成から市場参加者(個人)が市場をどのように見ているのかが逆算できる訳です。 簡単に言うと日本人は今後株式でいくら儲かると考えているのか?

これはもちろん私のアイデアでは無く、ウィリアムシャープ博士がRreverse optimization と呼んで1974年に発表した考えです。 実務的に米国の個人向けポートフォリオアドバイス会社であるFinancial Engines社で採用している手法でもあります。

ここでは細かいアセットクラスのデータ取得ができる確定拠出(401K)の企業型(会社員版)で見てみましょう。個人型では金額が少なすぎて投信の型まではデータ収集ができません。

2009年3月のデータです。 単位:百万円 全体で4兆円程残がありますが相変わらず預金が大好きです。


でこの内、信託、生保の運用商品を期待リターン1.5程度のスペックから全部国債に範疇させても良いのですが、GPIFのポートと同じと仮定して各資産に振り分けます。さらにバランス型の投信は401K内の投信タイプのアロケーションに準じるとして割り振りますと以下のようなアロケーションになります。



ここで、資産配分は計算できましたので、各資産のリスク値、共分散はGPIFのデータを使用して計算します。

EffPrt StdDev c:cash c:bond c:stock c:fbond c:fstock
cash  0.41    3.63 1    0.39 0.05 -0.03 -0.07
bonds 0.23 5.42    0.39 1    0.22 -0.05 -0.01
stock 0.17    22.27 0.05 0.22 1    -0.29 0.25
fbond 0.10 14.05 -0.03 -0.05 -0.29  1    0.55
fstock 0.09 20.45 -0.07 -0.01  0.25 0.55 1

こんなファィルができます。

これをウィリアム・シャープ先生のHPにあるReverse Optimization WorksheetのInputコラムに挿入すると、
アウトプットは以下のようになります。 http://bit.ly/7wFZTn

ExpRet
cash 0.300
bonds 1.300
stock 13.133
fbond 1.762
fstock 9.726

Risk tolerance 13.405063

何と株式の期待収益は13.11%でした。


凄いな。では無く実はこれには落ちがありまして、入力の際に2つの資産の期待収益率を挿入する必要があります。
この場合ですと預金に0.3%、国債に1.3%を入れてありますので、リスク(StdDev)に応じて期待リターンが割り振られるようになっております。

GPIFのデータに基づいて短期資産を2%、株式を4.8%とおきますと、結果は、
ExpRet
cash 2.000
bonds 2.218
stock 4.800
fbond 2.319
fstock 4.057

Risk tolerance 61.44

となります。

この考えでは、効率的市場仮説を前提に考えますので、証券価格は総ての情報を織り込んでいる。
従っていま現存する実際の資産配分は一番効率的である。との考えが前提となっています。

リスクの高いものは期待リターンが高い。これもそう。

最初はもっと面白い結果を期待していたのですが、思ったよりも単純でありました。
シャープ先生のHPはツールが用意されているのでいろいろと遊べると思います。

まとめると日本株式のリスク・リターン・プロファィルの歪さが浮き出た結果と言えば良いのでしょうか?

尚、Financial Engines社の計算では米国での株式に対する期待リターンは安定的に7%(インフレ調整済)程度で、これは一般に認識されている15%と比較すると低いと感じるだろうと言う事です。