2008年10月15日水曜日

Nouriel Roubini

ヌリエル・ルービニはNYU Stern Schoolの教授で、経済のウェブ・サイトではエコノミスト誌から1位に選ばれたりもしている。
そのルービニ教授が昨日もブルーンバーグTVで話しをし、「米国は過去40年来最悪のリセッションに入り、株式もラリーは終わり、景気の実態を見つめなおすだろう。」と話した。 TVに出た時間には株式はまだ高かったようだ、以下
  • リセッションは18から24ヶ月続き、失業率は9%に、住宅価格はさらに15%下がるだろう。
  • 銀行への資本注入は今の2倍必要で配当支払い停止も必要だ。
  • これは銀行の資本再編の第1ステップで政府は与信やマネージメントまで介入すべきだ。

  • 実はルービニ教授は今年の2月にFT紙のコラムで取り上げられて話題になった。当時(それ以前から)彼は、「深刻な景気後退が金融機関の損失を増大させ、その損失が景気後退をさらに増大させる景気の下方スパイラルに入った。」として今日発生している投資銀行モデルの消滅やモノラインの格下げ等を予見し、見事に的中させている。   

    彼ははこの破局を12のステップで説明している。(2月時点)
    以下引用
    《12のステップ》
    ルービニは「金融と経済の破局」catastrophic financial and economic outcomeへの12の段階を次のように想定する(便宜的に1ドル=100円で換算)。

    1. 米国史上最悪の住宅不況
    住宅価格は最大30%下落して家計資産の4〜6兆ドル(4〜600兆円)が消滅する

    2. サブプライム関連債権の損失増大
    現在推定されている2500〜3000億ドル(25〜30兆円)の損失額を大幅に上回る

    3. 消費者金融での損失発生
    クレジットカード、自動車ローン、学資ローン債権でも巨額損失が発生する

    4. 保険業者のトリプルAからの格下げ
    住宅金融の保険業者「モノライン」monoline〈■注〉の格付け引き下げで1500億ドル(15兆円)の損失が発生する

    5. 商業用不動産市場も崩壊する

    6. 大手地銀および国法銀行が倒産する

    7. レバレッジ・バイアウト(買収先の資産担保で買収資金を調達して行うM&A)から発生した巨額な損失が未解決のまま金融機関決算を迎える

    8. 企業倒産の連鎖
    金融派生取引「クレジット・デフォルト・スワップ」credit default swap(企業倒産のリスクを保険料で回避する金融機関間の契約)に企業倒産が与える損失は2500億ドル(25兆円)

    9. 「影の金融システム領域shadow financial systemの崩壊
    中央銀行から直接の借入ができないヘッジファンドや「ストラクチュアード・インベス トメント・ビークル」structured investment vehicle(住宅融資債権などを組み入れたファンド)には問題が多い

    10. 更なる株価の下落

    11. 金融市場における流動性の枯渇
    銀行間取引、マネー市場で個別金融機関の資金繰り懸念が発生する

    12. 損失発生、銀行自己資本の毀損、信用収縮、資産の投げ売りという悪循環が発生する。この結果金融システムの損失合計は1兆ドル(100兆円)を越える。

    《FRBが危機を救えない8つの理由》
    FRB(連邦準備制度理事会)は有効な対策をとれるだろうか。ルービニは否定的である。その理由を次の通り8項目も挙げている。

    1. 金融緩和はドル安とインフレ懸念から制約がある
    2. 金融緩和は一般的な流動性は増加させるが個別金融機関の支払能力の解決にならない
    3. モノライン保険会社格下げの脅威は大きい
    4. 米国全体の損失金額が大きくSWF= Sovereign Wealth Fund(政府系ファンド)の資金投入は 効果薄である
    5. 減税などの政府の介入は焼石に水だ
    6. FED(連邦準備銀行)は「影の経済」領域と直接取引ができない
    7. 行政当局は「損失額の透明化」と「政策的寛容」のいずれも必要とするがバランスのとれた政策はとれない
    8. 「取引指向型金融システム」 transactions-oriented financial system 自体が深刻な危機の原因である

    《大きな制約要因はあるが》
    上記の項目についてルービニは背景説明を加えている。
    人々の期待に比べ政策当局の対応能力には大きな制約があるというのである。破局から脱出口がないわけではないが副作用も大きい。最後の手段は 政府による不良債権の買取  インフレによる解決  両者の併用である。日本は の方法をとったがそれは国際的な債権国だから可能だった。米国は外国からの借金国だから債権者である外国人の同意が要る。 にいう不良債権の買取りに失敗すれば「インフレ政策」が残された解決策となる。金価格が1オンス920ドルという高値をつけているのはその予兆かも知れない。住宅バブルの形成と崩壊とが金融システムの脆弱性と関連したことがグローバルな金融危機をもたらす。救済の成功までの道中はきわめて不愉快なものになるだろう。

    以上がルービニ悲観論の要約である。紹介者のマーティン・ウォルフ(FT紙)は結論としてこの破局シナリオに賛意を示している。
    引用以上、正直2月の時点ではルービニ教授を私は知らなかった。

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