2008年12月9日火曜日

もうひとつの石油危機


原油価格下落、ガソリン価格下落の米国経済に与える恩恵は個人消費を通じても大きなものがあるが、産油国でない中国やインドにも当然恩恵をもたらすだろう。 

一方で、原油価格の高騰とそれがしばらく続くと言う前提で、石油販売収入に頼り過大な(今となっては)支出計画を立て梯子を外された国のダメージは大きい。

culculatedriskではルービニ教授のRGE monitorを引用し3月にも警告的なブログを投稿していたが、今回再度アップしている。

下図はGCC(Gulf Cooperation Council:湾岸協力会議)諸国の政府支出を維持する為に必要なオイル価格の推定だ。


原油は限りある資源なので、埋蔵量のある国にとって「産出しない」と言うのもひとつの投資の形態だ。あまりに高い価格がつけば、この方法も魅力的だ。

突然の原油価格高騰があった場合3つの選択肢がある。
  1. 国内で投資する。
  2. 海外に投資する。
  3. 産出量を減らす。

通常であれば価格が上昇すればサプライ曲線は生産量が増加し右肩上がりになるところだが、原油価格上昇の過程で産出量を減らし、その為にさらに価格が上昇する、やがて一部増産があり、PHの均衡点に至る。
下図(クルーグマン教授の3月時点でアップされていた図)のように需要供給のラインは複数の均衡点を持つと考えられる。

しかし産出制限と言う形態の投資では無く、一旦国内、海外投資を設定してしまうと、それが控え目であれ($140/バレルの時にどのくらいが控え目だろうか)財政支出を賄う為に増産が必要になってくる。

GCCが集まって会議をしても、ましてやロシアやベネズエラを含めても産出量を減らす事は困難になってくる。 かくして低い原油価格での均衡点PLをオーバーシュートを交えて模索しに行く事になる。 
今は低い価格での均衡点を模索している段階で、原油価格上昇はしばらく再現しない事になる。メリル・リンチの25ドル予想もこのベースだろう。

ここで問題は高い価格設定をベースに支出計画をしていた国々だろう。

下図ではバレル$90を前提とした各国の経常黒字額の推計値だ。(estimated by Rachel Ziemba RGE in March 2008)


当然高い推定値を用いているだろうし、まさか40ドルになるとは計算していなかったと思う。上のグラフの数字から90-40=50ドルをマイナスして見れば良い。

世界的なデレバレッジの中に、産油国マネーの減退は当然考慮する必要はあるし、SWFの資産購買能力が外向きに発揮される事は石油消費国の中国も含めて期待薄だろう。  頭の片隅に。

12月10日朝追記
米エネルギー省: 同省が9日発表した月間短期エネルギー見通しによると、08年の石油消費量は平均で日量8575万バレルと、 前年を5万バレル下回る見込み。11月時点の予想から14万バレル下方修正された。09年については8530万バレルと、 08年見通しを0.5%下回ると予想した。石油輸出国機構(OPEC)は17日の総会で追加減産について協議する。

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