2009年1月5日月曜日

世代間保障の設計


今朝の日経経済教室はスタンフォードの青木昌彦教授で”「多様性の利益」で課題解決”と言うテーマだ。内容は下図(日経、27面)のように世界は国別に多様化・多極化したアジェンダ(課題)に直面しており、相互依存の重要性は一段と高まる。 人間的要素重要視され、競争は量から質の時代に入ると言うもの。 詳しくは読まれれば良い。

ここで日本のアジェンダ(課題)は「世代間保障の設計」とある。 年金問題等で混迷を極めている日本としては当然とアジェンダとして軽くは受け流せない。本文にも「人口、経済社会構造の変化に応じた世代間の関係を、コミュニティーとして再構築しえていないことから生じる「不安」の解決だろう。」そしてこの課題は政治的にアジェンダにすら取り上げられていない事を指摘している。

マスコミではあまり話題にならないが経済ブログではよく取り上げられる、世代会計と言うツールにもう一度注目する必要があるだろう。  簡単に言えば世代別に政府に対していくら支払い、いくら受け取るか(生涯純受益)と言う損得の話である。 ネット以上には調べていないが、これらの単語を検索すると2003年当時の政府試算のデータばかりが目立ち、それ以降の物は何故か目立たない。

2001年の受益水準をベースに試算されたデータ(財務省)によると1942年以前に生まれた世代は+5647万円で、1983年以降に生まれた世代は-3952万円と1億円近い差額が生じている。 少子化問題も経済的な側面からも考察しなければ、生まれながらに住宅ローン並のマイナスを背負った子供を産む事になってしまう。 今は財政タカ派(老人が多い)が消費税の増税によってその場凌ぎで塗糊しようとしているが、問題の核心はそこには無い。そもそもデータの開示が足りない。

また世代間問題はこれだけに留まらない。 この正月「この国を作り変えよう」松本大・富山和彦共著を読んだが、ここでは「若者の所得を収奪するのは団塊世代である」と厳しく指摘がある。
既得権益者の多くが高年齢者であり、選挙もここをターゲットに成される。 損得+のこの世代は投票率が高いが、損得-の若い世代は投票率が低く、都市、地方間の一票の格差も相まって、いつまでたっても現行の選挙制度では解決のめどは立たない。 直近の非正規労働者の問題も正規労働者の既得権益とトレードオフだ。 この本ではかなり過激に発言があるが、当然の事を言っているだけだ。

少なくとも最近のデータを提示し、せめて国民のアジェンダとして取り上げる政治家の集団は現れないものだろうか。 日本の潜在成長率ひいては株式市場のパーフォーマンス、今後の日本の国力全てに大きく影響してくる。

2009年1月4日日曜日

2009年 展望雑感


明日から2009年の東京市場が始まる。
正月休みの間にも、原油価格が安くなると何故か?いつも発生する中東でのイザコザが、お約束通りの展開で、原油価格は跳ね上がっている。 Light sweet crude NY 46.51  +1.91  (12月安値35.13)

1ヶ月チャート

今は原油価格の上昇はポジティブだ。

住宅価格指数ケース・シラー(CR)は未だ底打ち感は無いし、景況指数その他にも改善は見られない。1月中旬以降の米国企業収益も期待は持てない。

しかしながら年末から株価は上昇し、CBOEのボラティリティ指数VIXは10、11月の80近辺から40近辺にまで急低下してきている。 オバマ新大統領期待でしばらく上昇するだろうか?

しばらく上昇してくれれば、1月の最初の5日間が高いとその年は86%の確率で上昇するそうだし、1月が高いと74.1%の確率でその年は高いそうだ。 また2009年のように末尾9の年は過去12回中9回高いそうだから景色も少しは変わるかもしれない。

しかし、基本は米国個人消費を支えていた米国経常赤字と資本流入、結果積み上げられた信用の解消であるデレバレッジは簡単には収まらない。 いろいろな物が限界(臨界点)に近づいているのかもしれない。

企業収益で見れば、
  • レバレッジによる割安な資金調達の終わり
  • 米国法人税率低下トレンドの終焉 グラフはPIMCO HPより

下値はFRBが支えており、上値は企業収益によって抑えられる相場展開だろう。
その間にインフラの改善、省エネ化による資源価格の影響の軽微化、教育医療部門の効率性改善などで、競争力の再構築を図っている。 米国の国家戦略だ。

日本は国家戦略は描けておらず、ドル安懸念下における財政出動によって円高が定着する可能性もある。世界中でみると投資プライオリティは低いままだろう。 それでも米国市場につられて、外人投資家のリスク許容度の赴くままの相場展開が続くだろうから、結局米国の長期国家戦略待ちなのだろうか?

2009年1月3日土曜日

The Mega-bear Quartet

dshort.com によると
1.大恐慌
2.バブル崩壊後00年迄の日経225
3.ITバブル後のナスダック
4.そして今回
の4つがメガ・ベアー・マーケットだそうだ。



しかし根本的に間違っているのは日経平均は00年後さらに悪化していると言う事だ。 日本をなめてもらっては困る。

もし日本に国家戦略があるとすれば間違い無く間違っていたし、体制の変化しない今も間違っていると言う事だけは確かなようだ。


2009年1月2日金曜日

おせち料理


みのもんたの番組か何かだと思うが、簡単おせちと言うのをTVでやっていた。
その中で、4分間でできる栗きんとん と言うのがあって一生懸命見ていたわけでは無いのだが、何故か頭の片隅に残っていた。

大晦日、犬の散歩をしているとショップ99と言うローソン系の100円ショップがあって、焼き芋を99円で売っていた。 一応ヒーターの上に石を敷き詰めた石焼芋だ。

そう言えば焼き芋で栗きんとん作っていたなと思い暇も手伝って焼き芋を買った。 栗きんとんへの創作意欲が俄然盛り上がった訳だ。 しかし栗のシロップ漬けは100円では無理だろうから、近くのスーパーにでも寄って買っていくかと思いながらも一応店員に「ある?」と聞いてみたら、あるではないか。 もちろん中国産ではあるけれど。一応瓶詰めの栗のシロップ漬けだ。

栗きんとんは毎年兄嫁が丹精込めて作ってくる習わしなので、200円の栗きんとんは底意地の悪さも手伝って興味のある作品だ。

作り方はいたって簡単、
  1. 焼き芋を包丁で2つに割り、スプーンで中身の綺麗なところだけそぎ取り、ボールに入れる。
  2. ポテトサラダを作るときの要領で潰す。
  3. フライパンに潰した芋とシロップ漬けを単に混ぜ合わせながら加熱。
  4. グラニュー糖を適量、芋1つなら小さじ2杯程度入れる。
  5. 木べら(しゃもじでも可)でそれらしくこねくりまわす。
  6. 温まれば完成。
結構美味しいが、差別化(何と?)の為、マロングラッセ風にブランデーを少々。

「姉さんこれ200円ですよ。凄いでしょ」
「ブランデーは?」
「ポールジローの35年」
「いくら?」
「1000円ぐらい入れた。」
「高っ!」
「??」

スーパー・サイクル オシレーター


BIG pictureにスーパーサイクルと題したチャートが出ていた。
何か明るい気分になるこのチャートも、コメント欄にはインデックスの出所が不明とか批判も出ているが、よく見ると2015年頃まで低迷しそうな話だ。




GM 0%金利ローン



GMが政府から8%で融資を受けて0%でローン販売をしている。
大型SUV等の在庫整理をしなければならない事は理解できる。
Big picture等でも話題になているがその中で、FICO score 660以下がサブプライム層と定義されるのだが、GMのマーケティングのヘッド、マーク・レベネ氏がオートモーティブ誌に語った処では、640でもサブプライムの範疇には入らず、充分与信に足るバイヤーだそうだ。

これが本当ならば住宅と同じ事を時期をずらしてしているだけかも知れない。
GMACを銀行化し、資金を投入すると言う事はこう言う事なのだろう。言い換えれば、保護主義は具体的な特別な法律では無く、こう言う形で次元するのかも知れず、結局先進国間で同じ事が起これば(おこりつつある)外需依存の日本には厳しい状況が待ち受けているのだろう。

2008年12月31日水曜日

年末ご挨拶 2008


このブログを始めたのが9月の終わりなので、3ヶ月が過ぎました。
いつもご覧になって下さる方、お礼を申し上げます。

不馴れな事と、雑多な事、ブログに出来ないような事が多く、記事内容もバラつきが目立ち本当に読みにくかったと思います。

私はアップルⅡの頃からPCに馴染み、プログラム・トレードや各種DBの活用、市場分析に回帰分析を使用するなど、自分自身では先端を行っている意識(自信)を持っておりましたが、ブログの存在や効用については、実はさっぱりで、頭が老人化していたのだと思います。キャッチ・アップに苦労している毎日です。

現在このブログの読者は多い日で200名、休日になると減りますので、会社のPCからのアクセスが多いと考えられます。 推測するに、紅豚を名乗っておりますが、私の事をご存知の方が大多数だと思います。

私は3年前に投資顧問会社を設立し、昨年春からファンド設定をしましたが、運用不振と預かり資産の減少から、今年の7月末にファンドを閉鎖してしまいました。 もし続けていたらの仮定でも、運用方針に大幅な変更が無ければ、相対的なものは別としてパーフォーマンスはさらに悪化していたと思います。 
今は力を蓄えて次の機会を伺っております。

投資家の皆様には今でもこのブログを読んで頂いているようで。ご迷惑をおかけした事をあらためて詫びいたします。

投資方針は、長年のクォンツ周辺の経験とジェレミー・シーゲルの"Stock for the Long Run"や"The Future for Investors"が合致したからに他ありません。 

しかしながら"Stock for the Long Run"のピーター・バーンスタインによるForewordに「投資の世界では必ず新しい枠組みへと絶えず変化していくと言う事、過去は、そこから学ぶ事が多くても、しょせんは過去でしかない。」と記述がありました。 今はまさに色々なものが変化し始めております。

来年はもっと勉強して行きたいと決めております。
宜しくお願いします。

Porco

2008年12月30日火曜日

Toyota Manheim Case shiller


下のグラフはGMとトヨタの2003年からの株価だ。

GMは2003年をピークに下落し始め、その理由はレガシーコストの圧迫による財務体質の弱体化、原油価格上昇に伴う燃費の悪い大型車の売上不振と、分かり易い原因が列挙でき、市場コンセンサスでもいつかは整理が必要との認識はあった。

サブプライム問題後の2007年以降は水準の違いこそあれトヨタも自動車セクターとして同調して下落し始め現在に至っている。 勿論後講釈であるが、今後の市場の立ち直り等を細くする為に少し比較しておきたい。

本年11月以降の米国における極端な自動車の販売不振は景気先行きに対する不安感からの購買意欲減退もあるが、以下のプロセスがワークしている。

1.信用逼迫からローンの非承認による販売台数の低下、住宅のネガティブ・エクィティ
2.3年リースの車返却によるリース会社(メーカー)の中古車処分
3.処分による中古車価格下落。
4.中古車価格下落による、アップサイドダウン現象(払ったローンでは、中古車売却時にマイナスが出る。)

以のグラフはトヨタと米国中古車価格指標マンハイム・インデックスの比較である。

これはGMにも言える事だが、10月以降の自動車販売、中古車価格の急落は想定外であったに違い無い。 リーマン後の株価下落が全体に影響を及ぼした事になる。

円高による収益の圧迫+米国自動車販売の低迷は念頭にあったにせよ、此れほど急激とは、トヨタ自身も11月になるまで考え無かったであろうし、12月に11月のデータを見てさらに危機感をつのらせた事は疑いが無い。

そもそも、住宅価格低下による米国個人消費の購買力低下が発端であるから、ケースシラー住宅価格指数とマンハイム指数も比較して見た。



さらにNew Home Sales(米国住宅販売)ケースシラー指数の関係は以下である。ケースシラーはデータ・・リリースが2ヶ月のラグがある。



終わってみると納得の行くデータばかりだ。

これらの一連のプロセスから考えられるのは、株式市場の切り返しは相当大変と言う事だ。
今、反発云々の議論はあくまで反発だ。 少々高めとなってしまった(不況下では当然だが、)PEを横にすぐ逃げられるように後ろを向いたままのスタンスにならざるを得ないだろう。

これらの指標はチェックリストに入れておく必要がある。

2008年12月29日月曜日

ジョーカー・ゲーム


書評で無く、本屋で目についたから買った本だ。 作者は「柳 広司」
大戦前の帝国陸軍、スパイ養成学校「D機関」が設定されている。
小説はテンポよく、ゴールデンタイムTVドラマの面白い番組を見ている感じだ。

巻末に「秘録陸軍中野学校」(新潮文庫)を参考にしてあります。と書いてある通り、陸軍中野学校の話だ。

私は大映映画、市川雷蔵主演の「陸軍中野学校シリーズ」で中野学校周辺の知識を固めてしまっているので、どうしても小説は映画との比較になりがちだが、カブル話もあり、抵抗感無く読めた。 とっても良い本だ。

しかしこうなると俄然映画の「陸軍中野学校」はお奨めの映画と言う事になる。 この小説を読んだのなら是非見て欲しい。 

ポイントは、
1.市川雷蔵のシュールな演技
2.帝国陸軍暗号解読班の実情
3.当時の大卒の若者達の考え方
4.日本にスパイ学校が実在した事実
5.何か問題があると、「今夜は飲め」で解決しようとする、今では到底受け入れられないが何故か懐かしい問題解決手法。

何故こんな事を書くかと言うと、ウェブ上で見つけた書評は全くのフィクションだと言う扱いをしているのが目立ったから。 勿論フィクションだが、中野学校も存在したと言う事。

2008年12月28日日曜日

CIA Viagra Taliban


朝、読売新聞を読んでいたら、ワシントン・ポスト発でこんな記事があった。

タリバン情報の見返りはバイアグラ、CIAが高齢部族長に

【ワシントン=黒瀬悦成】26日付の米ワシントン・ポスト紙は、米中央情報局(CIA)がアフガニスタンの部族長など地元有力者らに対し、イスラム原理主義勢力タリバンの動向に関する情報提供の見返りとして性機能不全治療薬の「バイアグラ」などを渡していると報じた。 以下。。。

もちろんワシントンポストにも、Little Blue Pills Among the Ways CIA Wins Friends in Afghanistan

英文中身読むと、アフガニスタンの首都カブールでも2003年頃から路上でバイアグラなんぞは販売されていて、たまに高齢の部族長にこんなものも使うと言う記事だ。 日本語の記事は尻切れとんぼで、まるで週刊ポストだが、実際の記事は全然別物だ。  

情報提供している部族長が特定化されて殺されるのでは?と余計な心配をしてしまった。  考えてみれば頼みもしないのに迷惑メールでバイアグラ要りませんか?とさんざん海外から来ている、グルメの地図を携帯に送ると一発で増えるねこういうの。 タリバンはgmailかYahooメールを使っているのか分からないが、彼らにもこのメールは届いているから入手に困る訳もないな。

日曜日の朝から余計な心配をしてしまった。

2008年12月27日土曜日

忘年会 0812


年末らしく忘年会があった。

先ず時間調整で銀座のショット・バーに寄ると、何と大手銀行からお金を借りてくれと提案されているとの事。 この世界的信用危機にも関わらずだ。 経営状態が大変に良いので元来運転資金も含めて不必要なのだが、要らないところには金が来る。 勿論保証付き銀行ノーリスクのやつだが。 

この手のお店では高級クラブの所謂「同伴」、「アフター」等のニーズが目立って落ちてはいるが低単価で客層を若目に設定してあった事から甚大な被害にはなっていないようだ。 一部高級売りのショット・バーは苦戦しているところもあるらしい。 元来ショット・バーはそんなにお金を落とすところでは無い。


忘年会は六本木であった、元大手証券大部署のOB,OGの会なのだが、参加者は14名程度、母集団70名くらいから所ジョージのダーツの旅よろしく、実に適当に選んだメンバーだ。 従って故障者続出のWBCチームみたいな感じだが、何か懐かしさと共に新鮮さを感じたのだ。

この部署は株式周辺で、クォンツにも熱心であった為、マジョリティーはもちろん「営業」だけれど、卒業生は「インデックス投資」、「アセット・アロケーション」等の仕事に就いている人間も多い。 

ファンドのパフォーマンス説明等々の苦労話も多かったが、比較するとリテール周辺は絶望的と言う印象ではなかった、勿論ソブリンファンド系等、株式投資家と別の層に問題があるのかもしれないが。 それよりは、むしろ見切りをつける若い人等、人材の業界離れの話が多く、投資銀行ビジネス・モデルの崩壊と言う現実が実態以上のイメージとなって将来設計に大きく影響を与えているのかと思う。 

でもレバレッジの掛け方が変わるだけで証券化も金融工学も何も変わらない。 それとリストラの速度でわかると思うけれど、業界の戻りは意外に早い。投資家が戻らなくとも、規模も直ぐにそれなりの大きさになっているから。

2008年12月25日木曜日

ウィスキーと樽


確かハイランド・パークだったと思うが、以前バーマンとこんな議論があった。

「バーボン樽で熟成と書いてある。 と言う事はウィスキーよりバーボンのほうが古いと言う事? つまりウィスキーの起源は勿論古いのだろうが、樽で熟成させると言う技はバーボンが先なのかなあ。」

「でも1920年から1933年までアメリカは禁酒法時代だからバーボン樽が堂々と使われてたとは思えないなあ。」

ウィスキー通から見れば笑ってしまう他愛の無い話だが、サントリーやニッカのHPを見ても自社の樽については記述があっても、スコッチ全般と樽の関係についての詳しい資料はあまり無い。

樽で熟成させると言う工程が無ければ、ウィスキーの深い味わいは得られないし、酒飲みがワインやウィスキーを飲むためのひとつのエクスキューズ、「ポリフェノール」も得られない。

俗説では重税を課せられたハイランドでは密造酒が広く行われるようになり、税吏から逃れる為に樽に詰め洞窟に隠しておいたウィスキーが偶然に熟成され、とても美味しくなる事に気づいたと言うもの。

また、ワインが樽によって美味しくなる事を知っていた貴族が、試してみたとの話もある。 

いずれにせよ当時産業革命の中心地であり、ロイヤル・ネービーの拠点、英国スコットランド、スペイサイド川沿いでは、スペイン産のシェリー酒は広く飲まれており、シェリー酒の空樽によるウィスキー熟成の可能性はおおいにあったと言う事は大事な要素だろう。

シェリー酒の産地、スペイン、アンダルシア地方では、英国海賊で後の提督ドレークが海賊行為を繰り返し、当時の獲物はシェリー酒であったそうで、ダダをこねる子供に、「わがままを言ってるとドレークが来るよ」と言うのが当地での脅し文句だったそうだ。 英国にシェリー樽は馴染み深いものであったろう。

ではスコットランドの国の木はオークで、これは正に樽の材料でもあるが、造船(帆船)等で乱伐がたたり今では産業としては成り立たなくなっている。 皮肉にもスコッチの熟成に現地のオークが使われる事はなかったようだ。ウィスキーの製造工程に樽による熟成が加わったのは、実は19世紀後半で、その頃にはスコットランドのオークは枯渇していたからだ。

スコッチの樽熟成が法的に義務付けられたのが1915年、第一次大戦で禁酒法機運が盛り上がり、蒸留酒の酒税を2倍にする法案の代替案として業者が2年貯蔵義務を負うと提案し承認された。 1916年には3年に延長される。禁酒法への対抗案であり、商品の品質保持が目的では無かった。

樽熟成は最初、身近にあったワインやシェリーの空き樽で、それらの樽が不足するようになると、20世紀前半(米国の禁酒法が解禁されるのは1933年)からバーボンの空き樽で熟成させるようになったとの事だ。

特に1964年に米国でバーボン法が施行され、バーボンは新樽で貯蔵する事が義務付けられ、不要な中古樽が大量に出た事が普及に拍車を掛け、現在では8割程度がバーボン樽と使っている。つまり戦前に飲んでいたモルトの集合体であるブレンデッド・ウィスキーは現行のものと相当に味が違っていたと言う事だ。

バーボンは焼きを入れた新樽しか使わない、バーボン独特の風味は新樽から溶出する成分の影響が大きい、スコッチメーカーが輸入する以前には使用済みの樽は全て廃棄されていたようだ。 スコッチには新樽はきつ過ぎるので、ちょうどニーズがマッチした訳だ。 また今でも米国にはオーク材資源は豊富にあり新樽の供給には困らない。

アメリカン・オークは新大陸発見後の貿易で、大陸向けの輸出品を満載した帰りの空船にバラスト(重り)替りに積み込まれた。 またその米国産オークはシェリーの樽材としても最高品質と考えられていたそうだ。  「いた」と言うのは、事ウィスキー熟成用に限ればスペイン産のオークの評価が上がり、近年はスペイン産オークが多用されているようである。

日本ではミズナラ材がサントリーで試用され、若い頃は泥臭かったが、エイジを重ねる毎に独特の風味を増し現在では「響」にブレンドされているそうだ。


ウェブサイトで参考になるのは、バランタインのHP稲富博士(エジンバラ在住)のスコッチ・ノート、All Aboutの達磨信さん、書籍ではTBSブリタニカ、「樽とオークに魅せられて」 加藤定彦さん、その他、サントリーやニッカのHPも参考になる。


2008年12月24日水曜日

11月米国住宅販売

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2008年12月22日月曜日

経済教室 081222 派遣切り


今朝の日経朝刊「経済教室」はリクルート・ワークス研究所所長の大久保幸夫氏が、雇用不安について書いてある。

この中で、新聞、TV、週刊誌等で喧伝されている「内定取り消し問題」について、厚生労働省から11月末として発表された数字302人に関して、

1.就職希望大学生39万人の0.1%にも満たない事、
2.大学就職部へのヒアリングで、内定取り消しが次々に発生して対応に苦慮している実態は無い事、
3.12月16日厚労省発表の内定率が0.7%改善した事、
4.ワークス調査でも「バブル崩壊時のときのように数分の1とか、ゼロ採用と言った極端な減らし方はしない」と言う声が目立った。企業としては「新卒採用は景況に関係無く、一定数を採り続ける」と言う意思を持っている事。

等々から、問題は新卒では無く、中途採用者あるいは、非正規雇用者にあるとしている。

バブル崩壊時に20%だった、雇用者に占める非正規雇用率は34.5%に迄上昇している。組織力さえあればちょっとした政党でもできそうなサイズだ。

連日と言うよりは、今日あたりはほぼ毎時、TVニュースでは「派遣切り」が話題になっている。

ここで何やら割り切れないニュースが「電機、賃上げ4500円要求へ 09年春労使交渉、自動車も改善求める  (12/17) 日経産業新聞」部外者は皆感じている違和感だろう。

同じく朝刊の「領空侵犯」で、厚生年金基金連合会で日本のコーポレート・ガバナンスに先鞭をつけた矢野さんが、「非正規待遇、労組も責任を」と正論を展開していっらしゃる。

麻生首相の支持率は低いが、民主党も好きでは無い、と言う根源が、このあたりの、既得権益者同士の戦いの様相の中、第1次産業、および中小企業にはバラマキは共通、雇用者の約35%を占める層には政策的にほぼ無視を決め込んでいるからだろう。

レッセ・フェールの行き過ぎ→規制強化→大きな政府→肥大した官僚組織と言う、文脈も何故か両政党でジワジワと勢力を増している気がする。  

ここは私の履歴書小宮先生の第1回の一節を記録。「最近、市場原理主義批判や新自由主義批判が目立つが、これは何を批判 しているのか。レッセ・フェール(自由放任主義)の弊害や「市場の失敗」 は、ケインズはもとよりそれ以前のマーシャルやピグーも指摘した。 ミク ロ経済学の常識である。」

35%は同一の仕事をしながら差別されている階層だが、貧しすぎて組織力が無い、「蟹工船」のベストセラーに安穏とせず立ち挙がったらどうなんだろう某政党。 すごく自然だけれど。

PS S&PがMorgan StanleyをAとしたことで三菱東京フィナンシャルグループと並び、ようやく「破綻の危機を救った側」の格付けが「救われた側」よりも低いという逆転現象が解消された。 Dangerously Beautiful より

11月貿易統計(速報)


貿易統計が発表になった、悪いは承知だが、自動車、対中国等は気になるところ。 グラフにしておいた。 calculatedriskでは米国や欧州のせいでは無く対中国の減少を気にしている。
中国の悪化は第4QGDP予想等で伝え聞くところだが、内需と言う意味では期待するしかないと考えるのが普通だろう。リセッションに対する考え方で最後の希望が消えていく確認の意味を持つ。

11月の輸出額26.7%減、過去最大の減少 貿易赤字2234億円  Nikkei Net

財務省が22日発表した11月の貿易統計速報(通関ベース)で、輸出総額は前年同月比26.7%減の5兆3266億円となり、月次の統計が比較可能な1980年以来、過去最大の減少率になった。米欧の金融危機に端を発した世界経済の低迷を背景に、自動車や半導体などの輸出が落ち込んだ。米国向け輸出が過去最大の減少率になったほか、欧州連合(EU)やアジア、中東、ロシア、中東欧向けの輸出も軒並みマイナスとなった。
 輸出額から輸入額を引いた貿易収支(貿易統計ベース)は2234億円の赤字になった。貿易収支は10月も赤字で、2カ月連続の貿易赤字は80年10―11月以来、約28年ぶり。 (11:24)






2008年12月21日日曜日

ニコチン・パッチ Cognitive dissonance


1.私は喫煙する。
2.煙草を吸うと癌になりやすい。

この2つの認知(知識、経験、行動など)が矛盾する事に感じる不協和(不快感)を解決しようとする心理状態を認知的不協和(congnitive dissonance)と呼ぶ。  wikiより。

フェスティンガーによる認知的不協和の仮説(命題)

  • 不協和の存在は、その不協和を低減させるか除去するために、なんらかの圧力を起こす。
つまり、複数(通常は二つ)の要素の間に不協和が存在する場合、一方の要素を変化させることによって不協和な状態を低減または除去することができる。

  • 不協和を低減させる圧力の強弱は、不協和の大きさの関数である。
つまり、認知的不協和の度合いが大きければ、不協和を低減させる圧力はその度合いに応じて大きくなる。


恥ずかしながら私、3回目の禁煙中、ニコチンパッチを貼ると、条件反射で、煙草が気にならない程の禁煙常習者である。

2006年4月からニコチン依存症が病気認定され、治療に健康保険が使えるようになった。私なぞはこの治療のおかげで近所の内科医の先生とすっかり昵懇になってしまったが、失敗すると1年は保険が使えない。

さて、私の場合、不協和の低減には「3.煙草をやめると食べ物が美味しくなり、太ってしまい、禁煙している事以外、他の健康指標が悪化してしまう。」 と言う認知を使い不協和(不快感)を低減する。 これも件の先生(喫煙者)譲りだ。


Natural American Spirit

以下、オーガニック、無添加が売り物ののこの煙草の宣伝コピーだ、

一般のたばこには、これだけの添加物が入っているんです! 
 
・燃焼性促進剤
・砂糖
・グリセリン
・プロピレン・グリコール
・再生スクラップタバコ
・加工処理されたタバコの茎
・香り付けの合成化学物質
etc
たばこの葉は、ナチュラル葉のみに厳選され上記のような添加物は一切使用して
おりません。たばこの葉がぎっしり詰まっ
ていて重量感を感じます。火がつきにくかったり、消えてしまうこともありますが、これは燃焼促進剤が入っていないためです。

「無添加」=「健康」ではありません。くれぐれも吸いすぎには注意しましょう。 ・・・引用終わり。

アメリカン・インディアンの逆襲か? 喫煙家にとって敵か味方かはっきりしない会社だ。


さてお蔭様で新しい認知を得ました。
4.煙草には添加物が入っている。
5.でもこの煙草には入っておらずしかもオーガニックだ。

4.を棄却して、5.で1.を強化する。と言うのは説得力がある。  か?

最近の経済本でのコンセンサスは、

1.バブル以降、無駄な予算配分で、本来成長に貢献できないような業種を温存してしまい、産業構造が古いままになっている。
2.2003年以降の景気回復も円安バブルのたまもので、グローバル企業と非効率な内国産業の間で2極化してしまった。
3.日本は今後の成長を考えるに、構造改革は必至である。

と言った処だろうか。


では何故政治の世界はそう動かないのか?

1.日本は現状の財政状態と考え併せても道路への予算配分が多すぎる。構造改革が進展しない。つまり成長できない。
2.道路予算を地元に持って帰らないと選挙にならん。

3.病院へ行く為の道路が悪く時間が掛かりすぎる。
と2.の認知の後ろめたさを低減するのだろう。

かくして憂国の政治家は出でず、議員報酬と利権が目的のサラリーマン化が進展する。
尤も、選挙民が過去と比べて、サラリーマン化している訳で、議会がそれを表象しているに過ぎないと言う見方もできない事もない。

2008年12月19日金曜日

週末雑感


年末を控えて各国対策が出揃って来た、読売新聞によると日本でも「生活防衛のための金融対策」で銀行等保有株式機構に20兆円枠の政府保証をつける事が決まった。 少しde ja vuだが、麻生内閣発足後の総額は64兆円になった。 

これに福田内閣時の「安心実現の為の緊急総合対策」11.5兆円と併せて75兆円だそうだ。 対策の目的部分が曖昧なのは横においても、日銀も利下げ、CP購入と、とにかく出揃った訳だ。

各社ストラテジストも今が買い場とは言えないから、09年中に買い場、09年は"年足が陽線"と言うストラテジーとなる。 米国に関しては例えベア・マーケット・ラリーであれ、一度はのってみる機会かもしれない。
と言う事は日本株も影響を受けるだろう。

日経平均 週足                

原油価格が下落し米国個人消費ベースで年率で2,500億ドル程度の節約となってきた、また対策が出揃い、オバマ新政権は来年を待たず期待を振りまいている。 何より出来ることは何でもやると宣言しているのだから、あまりにも大雑把で申し訳ないが、米国政府のファイナンスが困難になるまで、あるいは市場が失敗と判断するまでは少なくとも下値は堅いと考えるのが自然だろう。 

また9月、10月はリーマン・ショックから信用逼迫が生じ、ヘッジファンドの解約もさる事ながら、プライム・ブローカーによる、レバレッジの収縮がフォース・セリング(強制売却)を促し、それらが同時多発的に発生したから起こった暴落だ。 現状の金融システムに対する各国中央銀行の手厚い資金供給から、同じ事は起こりにくいと思う。

一方で、Big3の状況を見ての通り、デレバレッジはゆっくり進行中なので、値頃感から急激に上昇する事もないし、もしあるなら絶好のショート・セリングのエントリーになってしまうだろう。

来週は経済指標が結構多いが、"想像していたより悪いか?"と言う問題で、大幅に売り込むにはリスクが大きいと思う。 なにしろマドフが5兆円飛ばしてもあまり反応せず、新聞の社会面へ移ってしまった程度だから。

また現在日本は円高で悩んでいるが、USD Indexは暴落の過程にある。
ベアースターンズ崩壊後の小康状態ではドル安を反映して意外にSPの企業収益は悪くなかったのだ。



自動車の極端な販売不振も勿論不況に身構えて車を買わないと言う事もあるだろうが、オート・ローンが証券化出来ず、購入希望者が与信を貰えないケースが増加している影響が多いと聞く。

極端な低下はその後を暗示するサインであっても、極端からのゆり戻しがベアー・マーケット・ラリーを形成するだろう。

尤もベアー・マーケットと呼んでいる自体、その後の反落を予想している訳だが。
結局09年中に底を打つと言っているのと同じか。

2008年12月18日木曜日

米国ガソリン価格 と ドバイ



Opecは日量220万バレルの減産を決めた。現在の目標生産量は2730万バレルなので8%、非OPECを入れても5%の減産だが、NY原油は前日比8%安の40ドルで答えた。 米国のガソリン価格はガロン$1.656、1ガロ=3.878451178リットルなので、リッター37円程だ。


上のチャートはGASBuddy.comのガソリン価格のチャートだが、$4つまり日本並みのリッター100円越えから下落してきた。日本でこれが起こればとイメージすると面白い。

何よりの景気刺激になりそうだ。

昨日は古館伊知郎の報道ステーションで、ドバイの(崩壊)特集をやっていた。 正義の味方らしく、インド人出稼ぎ労働者の悲惨さを描写していたのはご愛嬌だが、本当にあんな都市が成立するのだろうか?  行った人に聞くと皆凄いとしか言わないので良く分からないが、世界1高い塔ができるとバブルが崩壊する、正に絵に描いたような話だ。

低いガソリン価格は米国個人消費には朗報だが、産油国経由の資金フローに重大な影響を及ぼす。もともと生活防衛の為のガソリン節約が安いガソリン価格を実現したのだろうけれど。 逆に高い支出計画をしていたロシア始めOPEC等には大打撃。 しばらくはキャシュの必要から約束した減産が守られない可能性が高いと考える。  もう一つの石油危機だ。

2008年12月17日水曜日

量的緩和政策  Quantitative easing policy


2008年5月23日  ロイター  過去のニュース

白川方明日銀総裁は23日、ロイターなどとのインタビューに応じ、日本経済には物価上昇と交易条件悪化の両方のリスクがあるため、金融政策の方向性はあらかじめ決め打ちできないとの認識を示した。景気悪化に対応してかつて採用したゼロ金利政策や量的緩和政策をとる可能性については、金融システムが不安定な時には効果があるものの、安定した後まで継続すればかえって副作用が出るとした上で、最近のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の背景にも世界的な長期金融緩和があったことを考える必要があると指摘した。

  11月26日の講演でも同じ趣旨の事をおしゃってます。


ソース:日銀よりPorco

FRBは今や世界語となった「量的緩和政策」に踏み込む為に2ヶ月前から準備していたそうだ。市中に流れているかどうかは別として大量の通貨供給を続ける米ドル。 対して上のグラフの円。  為替に油断は禁物だ。


FFレート 資源関連投資


Calculatedriskに見ておいた方が良いグラフが2つあったので、紹介しておく。

FFの実効金利は先週末から殆ど0であった。
下のグラフはFF実効レート1955年からのもの。  拡大



歴史的な低さに注目と言いたいところだが、0だから当たり前だ。
日本としては「ようこそ0金利の世界へ、そしてデフレ」。



もうひとつは原油価格と資源関連投資額   拡大



赤線が原油価格だが、4半期データなので、実際には$40近辺である事。
資源開発関係の落ち込みは通常の想像を上回る事を考慮すべきだ。
アナリストにはどうしても通常のバイアスがかかり易い。


2008年12月16日火曜日

便意とネット生保


ネット生保の岩瀬さんのブログを見ていたらR25の便意のブログについて書いてあった。

本屋に行くと便意を催すと言うのは昔からある。 地下鉄東西線の快速に乗った時に限って便意を催す人もいる。 各駅停車だと催さないのに、何故かトイレへのアクセスが極端に悪くなる快速では催すのだ。

こう言った輩は心得たもので、各駅のトイレの位置等々は勿論把握してあるのだが、「西船橋を出て浦安まで停車しない」と言う事実がプレッシャーになるらしい。

新入社員の頃同僚と西船橋から東西線快速に乗り、茅場町にまで出勤の時、
A「おい、行きたいやろ! 止まらへんでこの電車」
B「先生(当時の私のあだ名)こそ行きたいちゃうんか?」
A「浦安まで止まらへんで、おまえつり革持ってる手が震えてるで。」
B「先生もなんや顔色悪いで。」
てな具合で、浦安に停車してドアが開くやいなや2人が飛び出したのは言うまでも無い。

作家の故遠藤周作さんは、よく便意を催す方であったようだが、一番困ったのは好きな女性の前にでると便意を催してしまう事だったようだ。

兵庫県の甲陽中学(現甲陽高校)の時、甲南女子にいた同じく作家の佐藤愛子さんの事が好きで告白しようと思うのだが便意がかなり邪魔していたと言う話を読んだ事がある。 彼にしてみれば便意は最高の愛情表現なのだが、女性はなかなか理解してくれない。とこぼしていらっしゃった。

因みに当時佐藤愛子さんが憧れていたのは同じく甲陽中学の野球部で後「プロ野球の貴公子」と呼ばれる別当薫さんだ。


非正規社員の増加等雇用問題等から最近は若い人が車を欲しがらない、生保に入らないと言われているが、実際20代の加入率は60%弱で、全体の87.5%から比較すると格段に低い。(2006年生命保険文化センター)。

既存店舗(生保の店舗?)や営業レディイさんのご訪問で、一日24万PVと言うのは脅威だろう。勿論TV広告と言う手もあるが、またまた保険加入者のコストを押し上げる事になる。 正にネット生保だ。 原価が広く知れてしまうと長期の商品だけに既存の購入者の損失部分は膨大だ。 先の大手生保による未払い問題等も含めて業態の変貌は不可避なんだろう。

おまけにネット生保のHPで便意を催しても大概自宅だから問題は無い。TV広告のような美人の生保レディに訪問されると催してしまうかも。 そう言えばここ数年訪問なぞ受けた事は無いな。

マドフ事件  Bernard Leon Madoff


詐欺容疑でFBIに逮捕されたバーナード・マドフ元ナスダック会長の事件は未だ捜査段階であるが、投資家に説明の必要な金融機関、一般に販売されているFOFなどから自主的な被害額等の発表がなされている。 金額で500億ドル、被害は世界中に広がり、当初マドフ自身が25人と言っていた潜在的被害者数も調査とともに増加し、数千人にも及ぶとも報道されている。 

開示義務の限定されたFOFやファミリーオフィス等でも今後色々な形で被害が浮かび上がる事だろう。

SECはバーナード・マドフ証券の調査を実施。SECに登録している証券・投資顧問業務以外に、マドフ容疑者が未登録の資金運用業務に携わっていたことを突き止めた。 登録された投資顧問事業では171億ドルの資産運用をしていたようだ。 

 AP

詳細は未だ分からないが、一方でマドフ元会長の投資によるリターンが現実的なものかどうか、運用するヘッジファンドの機密性や大物監査役が不在であることなどに対する疑問をもつ投資家も多くいたと言う。

一般にヘッジ・ファンドでは、
1.オフショアに資産管理会社を設立 (バーミューダ等)
2.貸し株やファイナンス(レバレッジ)の為にプライム・ブローカーと契約(パリバなど投資銀行等)
3.資産委託の為に信託銀行と契約(HSBCやフォルティス等)
4.ファンド設定
5.投資顧問契約(マドフ氏)

となるが、資産管理会社やファンドにはオフショアの弁護士事務所、会計事務所と契約、ファンドの規模によって異なるが、厳格に行われるNAV(Net asset value:純資産価値)の計算毎に数百万円の監査料がチャージされる。 時価会計凍結なんて事は無い。どう処理したのか?

またファンドのコミュニティーは広いものでは無く、どちらかと言えばどこの誰とわかるような狭い社会だ。 もっとも最近はビジネスが急拡大していたので広がりも奥深くなっていたとは思うが。 長期間よく保てたものだ。

さらにAIMA(Alternative Investment Management Association)と言う協会があり、ディユーデリジェンスの定められたフォーマットもある。一般にFOFやファミリーオフィスではこれらの資料と面談等をもって投資の意思決定をしていく。

このマドフ氏のファンド(未登録)の形態は不明だが、名だたる投資家の目をいかに掻い潜ったかは、誰がいくら損したか以上に問題であると思う。

只でさえ資金流出の続く業界に与えるダメージは想像以上に大きいだろう。  捜査の進展が待たれる。

2008年12月14日日曜日

Whisky と Whiskey


先日、お店をやっている知人から質問を受けたので調べてみた。 スペリングの"e"の有る無しは良く話題にはなるが何故かはっきりしない、アイリッシュとスコッチの言語の差かもしれない。 取りあえずわかっている分だけ。

Whiskyと言う言葉は12世紀のヘンリー2世王によるアイルランド遠征の際にウスケボー(uisce beatha:命の水)の発音が難しく、"Whishkeyba"となり現在のウィスキーに至っていると言うのが定説だ。 一時期スペルはアメリカ、カナダ、アイルランド、スコットランドでWhiskyと"e"無しで統一されていた。 

1831年にアイルランドの収税吏イーニアス・コフィが今で言う連続式蒸留を発明、一般にモルト蒸留で使用されるポット・スチル(文末に写真)に対してコフィ・スチルあるいは彼がパテントを取った為に、パテント・スチルと呼ばれるようになる。

焼酎やスピリッツあるいはブレンデッド・ウィスキーを作る際にモルトと混ぜるグレーン・ウィスキーもこれで作られる。

因みにポット・スチルは単式蒸留だが、コフィは蒸留になる。 文字通り器では無く機械なので、工業製品の様に安定した品質で、大量に製造が可能だ。

Coffey still 連続式蒸留機


1870年頃、原料に対する課税の関係でローランドの業者が連続蒸留器を使用し、グレーン・ウィスキーを大量に作れるようになるが、スコッチ全体の品質に対して悪評が立った。これを見て米国やアイルランドの業者が旨みの無い安物のスコッチと区別する為に、敢えて"e"を付け加えて"Whiskey"としたと言われている。

今では一般にWhiskyはスコットランド、ウェールズ、カナダ、日本で使用され、アイルランドとアメリカではWhiskeyを使用している。アメリカではアイルランド出身の製造者が多い為"whiskey"が多用されており、スコットランド系製造者の、メーカーズ・マーク、アーリー・タイムズ、ジョージ・ディッケル等は本国に倣い"Whisky"を使用している。 薀蓄好きのおじさんが「バーボンには"e"が入っているよ。」と来たら、メーカーズ・マークかアーリーを見せてやろう。

日本ではサントリー(寿屋)初代工場長で後ニッカの創始者となる竹鶴さんが、ウィスキー造りを勉強する為グラスゴー大学に留学したので、スコットランド表記なのであろうと想像する。 実は米国でも1968年に法的には"Whisky"に統一されているが、そのまま"e"を付ける表記は許されている。

Japanese Whiskyピュア・モルト竹鶴は12年でもとても美味しい。

左からグレンモレンジ、グレンチンキー、下がラガブーリンのポット・スチル
この形の違いが風味を変える。

BIG3


上院での救済廃案はUAWの賃金カットの問題で合意が得られなかったからだ。上院としてはUAWに属さない外国自動車メーカーの工場並に賃金を落とす事であったが、組合はカットには応じたが、その時期について現行の契約の切れる2011年からにスティックした。結果廃案となり、TARPにすがる事態に陥っている。

ここから得られる物は抜本的なものには成り得ず、繋ぎ資金的な事になるのではないかろうか。 BIG3の好待遇は国民の支持を得難いと考える。 いずれにせよ倒産によるショックは出来るだけ和らげたいと考えるのが普通だろう。

2008年12月12日金曜日

週末雑感


今週は悪材料織り込みから始まった相場だったので、各種経済指標はかなり悪かったが、あまり市場に影響を与えなかった。 週末にBIG3絡みで上院合意に至らず、金融安定化法のイメージがダブりパニック売りを誘った。 これまで同調していた円とドルもここが分かれ目で、目先ターゲットの90円割れを見せ、尚且つ週末とくれば一旦の手仕舞いが当然と言ったところか。 まして日経平均は一目均衡表の転換線を越えられず下落した為、テクニシャンの見方もネガティブに成らざるを得ない。

Big3の問題は継続して話し合いが持たれ予定倒産的な処理をされると言うのが一番フェアーだろうし、このまま見境無く失業者を増やし、債務不履行を垂れ流すのはリーマン危機で懲りているはずだ。 私はこの話し合いは終わっていないと考える。


来週はGS、モルガン等、銀行転換組の決算発表、CPI、鉱工業生産指数、日本では短観がある。

日本でも23兆円の生活防衛対策の発表があったが、たばこ増税みたいな象徴的なイッシューを簡単にはずしていては、信頼度は落ち、過剰気味(適正値は分からないが、国際比較で)の公共部門の債務問題が気に掛かってくる始末だろう。 米国ですら日に日に財政赤字への問題意識は高まりを見せている。 

日本のように債務が多くても、国内でのファィナンスが主であれば問題は無いだろうと言う説もあるが、米国の場合、決済用のドルが飽和状態に来た時に他通貨でのリパトリからドルが売られる局面が来るのだろう。 USD Indexからその様子も伺える。 FRBの債権発行はその時の為の吸収手段なのだろうか。


暗殺される前年昭和10年の高橋是清の話。

「昭和7年度以来毎年相当巨額の公債の発行にも拘らず、今日までの所幸いにその運用は理想的に行われ、いまだ公債に伴う実害を発生して居らぬ。かえって金利の低下や景気回復に資せるところが少なくない。世間の一部にはこの効果に着目し、公債は何ほど発行しても差し支えなきものであるかのごとき、漠然たる楽観説を懐いて居る者もあり、また今日政府の採って居る公債政策ごときはいまだ不十分であって、どしどし公債を増発して国家の経費を大いに膨張せしむべしと説く者もあるようである。しかしながら公債の過剰発行による財政、経済の破綻に付いては欧州大戦後多数の国家にその実例の存する所であって、公債は何ほど発行しても差し支えなしと論ずるがごときは、この最近の各国の高価なる経験を無視するものである。」 昭和10年7月27日付東京朝日夕刊からの引用 文京区 :松井孝司さんのHPより。 

相変わらず年末に向けてのデレバレッジの恐怖から出来高がもうひとつだが、ホライズンを長く持った投資でないと参ってしまうだろう。

2008年12月9日火曜日

もうひとつの石油危機


原油価格下落、ガソリン価格下落の米国経済に与える恩恵は個人消費を通じても大きなものがあるが、産油国でない中国やインドにも当然恩恵をもたらすだろう。 

一方で、原油価格の高騰とそれがしばらく続くと言う前提で、石油販売収入に頼り過大な(今となっては)支出計画を立て梯子を外された国のダメージは大きい。

culculatedriskではルービニ教授のRGE monitorを引用し3月にも警告的なブログを投稿していたが、今回再度アップしている。

下図はGCC(Gulf Cooperation Council:湾岸協力会議)諸国の政府支出を維持する為に必要なオイル価格の推定だ。


原油は限りある資源なので、埋蔵量のある国にとって「産出しない」と言うのもひとつの投資の形態だ。あまりに高い価格がつけば、この方法も魅力的だ。

突然の原油価格高騰があった場合3つの選択肢がある。
  1. 国内で投資する。
  2. 海外に投資する。
  3. 産出量を減らす。

通常であれば価格が上昇すればサプライ曲線は生産量が増加し右肩上がりになるところだが、原油価格上昇の過程で産出量を減らし、その為にさらに価格が上昇する、やがて一部増産があり、PHの均衡点に至る。
下図(クルーグマン教授の3月時点でアップされていた図)のように需要供給のラインは複数の均衡点を持つと考えられる。

しかし産出制限と言う形態の投資では無く、一旦国内、海外投資を設定してしまうと、それが控え目であれ($140/バレルの時にどのくらいが控え目だろうか)財政支出を賄う為に増産が必要になってくる。

GCCが集まって会議をしても、ましてやロシアやベネズエラを含めても産出量を減らす事は困難になってくる。 かくして低い原油価格での均衡点PLをオーバーシュートを交えて模索しに行く事になる。 
今は低い価格での均衡点を模索している段階で、原油価格上昇はしばらく再現しない事になる。メリル・リンチの25ドル予想もこのベースだろう。

ここで問題は高い価格設定をベースに支出計画をしていた国々だろう。

下図ではバレル$90を前提とした各国の経常黒字額の推計値だ。(estimated by Rachel Ziemba RGE in March 2008)


当然高い推定値を用いているだろうし、まさか40ドルになるとは計算していなかったと思う。上のグラフの数字から90-40=50ドルをマイナスして見れば良い。

世界的なデレバレッジの中に、産油国マネーの減退は当然考慮する必要はあるし、SWFの資産購買能力が外向きに発揮される事は石油消費国の中国も含めて期待薄だろう。  頭の片隅に。

12月10日朝追記
米エネルギー省: 同省が9日発表した月間短期エネルギー見通しによると、08年の石油消費量は平均で日量8575万バレルと、 前年を5万バレル下回る見込み。11月時点の予想から14万バレル下方修正された。09年については8530万バレルと、 08年見通しを0.5%下回ると予想した。石油輸出国機構(OPEC)は17日の総会で追加減産について協議する。

2008年12月8日月曜日

日経平均コンセンサス


週末の日経新聞、週刊エコノミスト12月16日号等を読んでいると途中プロセスの違いはあれ、日経平均水準コンセンサスのレンジが固まってきた。 米国先週末の悪い失業統計に対するNY市場の反応が「織り込み済み」であった事も強く影響しているが、概ね10月27日の7,162.90を安値とし、それを下回らないと言う判断のようだ。

根拠としてはPBRが歴史的に安い水準にあること、だが、最近の記録的に悪い経済指標を反映して直ぐの回復は困難、高いPER、あるいは、デレバレッジの継続等から反発しても頭は抑えられると言うのもコンセンサスである。 来年後半以降の回復を見ている人が多いのも納得のいく予想にしている。


私はと言うと、オバマ氏の小出しの期待繋ぎから、戻すなら早く戻し、結局実態数字が後から追いかけてくるような気がしている。 金融市場も止血完了ではあるが、状況は上向いたわけでも無い、中途半端な戻しが、その後の市場に重荷になるような気もする。

しかし、11,000円までの戻しは30%近い収益がある、下値6500で、21%のやられ、エントリー・ポイントであるのは確かだ。

米国ガソリン価格


「今後原油価格が多少下振れしたとしても、数年前の1バレル50ドルという時代が戻ってくることはないと断言できる。時代はすっかり変わってしまったのである。」 ダイヤモンド・オンライン 2008年7月7日
IEA(国際エネルギー機関)チーフ・エコのミスト ファティ・ビロル氏

ビロル氏は今後20年間の石油需要拡大の60%は中国とインドが占めると予想、欧州では1000人中680人が車を保有しているが、中国ではたった20人だ。と言うような事を理由としている。 彼がおかしいのでは無い。 一部暴落を警戒する声が上がっていたが、まさか40ドル近辺に迄下がるとは誰も考えていなかった。

原油価格 1年間 from NYT

米国ガソリン価格 1990年から  data from EIA
米国でのガソリン価格は12月に入り2ドルを割れた。日本では想像がつきにくいがガソリン価格は急激に下落している。


米国個人消費支出(PCE)統計の中で7月のピーク時で5000億ドル(saar:年率季調:ざっくり50兆円)のガソリン支出があったので、2ドル割れでは年率で25兆円程度のセーブになる。
上昇する時もそうだが、下落する時の効果は凄い。 2万円配布とは比較にならない。



2008年12月7日日曜日

オバマ次期大統領の景気刺激策


オバマ時期大統領が土曜日のラジオで、250万人の雇用を生み出すと言う、景気刺激策の一部を発表した。(意訳)

A1.公共建築物の省エネ化を図る。暖房施設を効率化し、電球も省エネな物に切り替える。このことで、納税者の負担を減らす事ができる。

A2.1950年代に作られたハイウェイ等インフラに新規投資する。我々は貴重な納税者の資金を新しく懸命な方法で投資する、有効に使うのか、それとも無駄に失うかのシンプルなルールを設定する。今迅速に地域の道路や橋の為に行動しなければその貴重な資金を失う事になる。

A3.私の復興プランでは過去米国では見られなかった学校の近代化、アップグレードを徹底的に行う。壊れた学校を修理し、省エネ化する、そして新しいPCを設置する。それは我々の子供達が21世紀経済システムの中で競争できるべく、21世紀の学校へ送り出してやらねば成らない。

そして図書館や、学校をインターネットで接続する事に加えて、病院同士もコネクトされる必要がある。我々のヘルスケア・システムを近代化する事は、失業者を減らすだけで無く、生命も救うことになる。

全ての医者と病院が最新型のテクノロジーで結ばれ電子カルテを残す、赤いテープ(書類をまとめる赤いテープの事で役所仕事もさす:red tape system は複雑な官僚制度と言う意味)をなくす。医療ミスを減らし、毎年数十億ドルの節約となる。

アメリカはブロードバンド普及率で世界15位と言うのは受け入れられない。インターネットを発明したこの国では全ての子供達がアクセスできるチャンスを持つべきだ。そしてこれがアメリカの世界での競争力を強化する事になる。

これらは私(オバマ)が考えている復興策の一部だ。

どうも株式にポジティブな大統領になりそうですね。



J1.やっぱし皆腰が引けてるからな一人2万円ぐらい配って大いに使ってもらって消費刺激としようと思う。 コストが掛かる? どうせ役所は暇なんだから大丈夫。選挙も近いし。 配ったのは自民党と公明党だよ。 そこのところ勘違いしないように。もともと納税者のお金だけど。

J2.地方にお金を配る。交付金か交付税かなんてどっちでも良いだろうが、どうせ納税者の金なんだし。 使い道? 道路に決まってるでしょ。 オバマも道路じゃないの。 こっちは今まで相当使ってきけど。 地方じゃ病院に行くのも不便だろ、病院に医者はいないけれど。 大体医者は変なやつが多いんだよ。

J3.やっぱり頑張っている中小企業の方に融資保障しなきゃ。 枠作っといたからxx宜しくね。

子供は気が付かなかったなあ、選挙権ないし、オバマは良い事言うね、2,3日したら何か適当に考えとくよ。  選挙なんかしないよ、負けちゃうだろ。 そば屋の子はそば屋、電気屋の子は電気屋、政治屋の子は政治屋、俺はいいけど皆生活かかってんだから。 大体相手だって既得権の労働組合がベースだろ。 どっちが良いかわからんぞ。

な感じだろうか?どこの国だろ?

米国は50州に1特別地区。  そろそろ51番目? ニュージャジーと同じ扱いでは困るから、特別州とか?  冗談じゃないね全く。