2009年1月11日日曜日

自爆する若者たち-ユース・バルジ


週末に「自爆する若者たち」グナル・ハインゾーンを読んだ。 ユース・バルジが気になったから参考図書を探したところ、この本がよさそうさったからだ。以下、


西暦1450年の欧州の人口はほぼ5,000万人だった、その百年前の1348年には8,000万人いたがペストで3,000万人が命を落とした為だ。これを世界史では「14世紀の危機」とよぶ。気候変動によって地球的な気温低下が見られたからだ。

この後1490年頃から爆発的に人口増加が起こり、第一次世界大戦の1914年には4億8,000万人に迄膨らんだ。その人口増加の間に何が起こったかと言うと大航海時代を迎えた欧州による地球規模の植民地化と世界制覇であり、これは地球上の90%までを版図とするものだった。 もちろん、この欧州自体の人口増加とは別に、彼らの進出先のアメリカ大陸、オセアニアなどでも欧州人の人口は増加している。

危機以前は女性1人が生涯に出産する子供は2から3人であったが、増加期は一人6から7名を出産するようになり、これらの子供達は家督を相続することが出来ず、一旗あげねばならない次男、三男、四男を大量に発生させた。そして彼らを植民地に向かわせたのである。 ところが1900年以降の100年間の欧州の人口を見ると1億8,000万人ほどしか増加せず、多の地域と比較すると増加幅はきわめて少なくなったと言えるだろう。

一方イスラム圏ではこの100年間で人口は1億5,000万人から12億人へと8倍にも膨れあがった。そして2020年にはムスリム(イスラム教徒)が世界人口の4分の1にも達すると言われている。先進国の少子化を尻目に彼らは人口爆発を起こしているのだ。

今現在紛争を起こしているガザ地区は紛争にもかかわらず1950年の24万人から150万人にまで人口が増加、さらに平均年齢は15歳と極めて若い。テレビで見る爆撃の被害者がいつも子供なのはこの為でもある。 著者は人口100人につき15歳から29歳までの年齢区分が30人以上となった時、「ユース・バルジ」と言う軍備人口が出現する。と仮説を立てている。 今のガザは行き場の無い若者で溢れかえっている、成長しても就くべきポストや職が無いが、一方では英雄となる道を自爆と言う形で簡単に選択できてしまうのだ。ハマスが消滅しても替わりの野心的な集団は現れるし、ハマスも人材には困らない。 これは人口爆発が止まるまで終わりの無い戦いだ。

同じくイスラム圏のアフガニスタンでは1978年の共産主義クーデター以来内戦の止む事なく、200万人が殺され、500万人が難民となったが、実は人口が減っているわけではななく1950年の800万人から2007年には3100万人に増加している。そしてそのうち15歳未満人口は680万人もおり出生率は7.2人も達するのだ。 欧米人の1人息子達がアフガニスタンの三男坊、四男坊と殺し合いをするのは割に合わない無理な事なのだ。アフガン問題は簡単には終わらないだろう。


イスラム圏の中ではブッシュ御指名の悪の枢軸である「イラン」は出生率が既に低下し、脅威は遠のいているが、中東、アフガニスタン、核保有国のパキスタンなどでは、行き場の無い男子が溢れかえっているのである。 この手の紛争には人口問題が必ず絡んでおり、社会的ポストにありつけない若者が、国内で戦うか、外において戦うか?の選択を迫られているのだ。 

欧州や日本では高齢化に伴う年金問題等で、移民の受け入れを行い人口対策が必要とされているが、どこもうまくは行っていない。 中国やロシアも人口動態的には暴れると言う意味ではすでに脅威でなく、ロシアなどは深刻な人口減に苛まれている。

この本には軍事オタクは勿論の事、世界の動向を占う上で欠かせない情報が沢山入っている。

今の若い人が資産運用で株式という資産を選択する場合に、もしそのリターンは国別の長期成長率に収斂するであろうと考えるのならば、人口増加を見込む米国は相変わらず長期での成長を維持しリーダーシップを取るであろう。しかしそれ以外の国で、国家別という考え方で配分するならば、どうしてもAsia ex-Japanにならざるを得ない事になってしまいそうだ。もちろん株式会社のグローバル化がいつまでも国境を意識していればの話だが。 

図はWHOのHPから、2006年のデータ 出生率は2.05未満になるとその国の人口は減少に向かう。

また15歳未満人口が30%を超えると危険な国になる可能性がある。イランは決して危なくはないのだ。


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