2009年2月14日土曜日

アメリカ後の世界


昨年6月頃からNewsWeek等で特集記事が組まれるなど話題になっていたアメリカ後の世界を読んだ。

著者ファリード・ザカリアは1980年代にインド工科大学を卒業、当時の卒業生の75%がそうするように、米国に移住し、ハーバードで博士号を取得し、ジャーナリストとなり、現在はニューズウィーク誌の国際版の編集長。

国際政治の専門家が正統的な視点から分かり易く解きほぐした米国の国際社会における現状認識と歴史的過程の本で、米国でベストセラーとなった事は容易に理解できる。 本の内容はタイトルが良く整理されているので、そのままだ。



1.「アメリカ以外のすべての国」の台頭
2.地球規模の権力シフトが始まった
3.「非西洋」と「西洋」が混じり合う新しい世界
4.中国は”非対称的な超大国”の道をゆく
5.民主主義という宿命を背負うインド
6.アメリカはこのまま没落するのか
7.アメリカは自らをグローバル化できるか

インド移民の成功者としてのバイアスは通常の物よりコンテンツをインド、英国に割く分量が多い事に感じられるが、読者にとってはインドの現状がコンパクトに纏められこの本の付加価値が高まっていると思える。 またアイ・ポイントが我々日本人にも近い印象を持てるのもこの本の理解を容易にしている。

中でも移民問題では、米国の白人層の出生率は欧州並みに低いが移民が成長を維持できる出生率を担っている事だけでは無く、イノベーションにおけるアメリカの優位性もその産物であると説明する。 米国で勤務する科学研究者の50%は外国人もしくは移民、2006年には科学博士と工学博士の40%、コンピューター科学博士の65%が外国人もしくは移民だったそうだ。さらに2010年にはすべての分野の博士課程で外国人学生が50%を超え、科学の分野では75%に近づくと予想されている。

日本では「環境関連技術に強いから、これからは日本の時代」と言うような意見もあるが、米国のナノテクノロジー、バイオテクノロジーでの優位性や優秀な外国人への開放性等どちらがイノベーションを起こし安い環境にあるかは歴然だろう。 米国の今後はブシュ・ジュニア時代に後退した正統性(正義が感じられるかどうか)の回復とオープンな環境の維持と言う点で今後も繁栄を続けるだろう。 そう言う意味で、米国覇権の終焉では無く、アメリカ以外の国の台頭なのだ。

この本は至る所に少し調べてみたい事項等が頻繁に登場するので、ネットにアクセスできる環境で読む事をお勧めする。御蔭でアマゾンで別の本を3冊程購入する事になってしまったが、そちらはまた紹介します。


0 件のコメント: