2009年4月24日金曜日

裸で何もそんなに悪くない


僕は学生時代体育会の寮で4年間を過ごした。 そこは色々な運動部が混ざって住んでいた。学校には5年行ったのだけれど、寮には4年間しか住めないので、留年の余分の一年間はアパートを借りた。

体育会の練習もきつかったが、寮での生活も軍隊式で下級生の頃には雑用やしごきで練習よりもきつかったと思う。 練習は自分が強くなる為だから良いが寮でのしごきは単なるしごきだ。 そのうち2年生にもなると下級生が出来、要領も何となく覚えるので随分楽になったものだった。 それでも今となっては良い思い出で、4年も一緒に寝起きすると寮仲間って言うものは卒業しても実際の兄弟よりも絆は強いぐらいだ。 Band of Brothersだね。

寮は木造2階建てで築50年、もちろん戦前の建築だが、消防法の関係で、そろそろ取り壊しが学校側の計画に登り始めていた頃だ。

風呂場は寮から20m程離れた別棟で、更衣室がついており、もちろん更衣室で着替える事になる。

先輩の中の1人で寮の自室で着ているものを全部脱ぎ、全裸で大声を上げながら風呂場に走っていく奇人がいた、「ストリーキング」って奴だ。

寮は当時学内にあり、近くには同好会やサークルの部室もあったし、学食もあったので、夕方でも人通りは結構賑やかだった。 女子学生も大勢歩いていたのだが、先輩はタオル一枚で一応局部の前を、洗面器でお尻を隠し奇声を発しながら一気に風呂場に向かって駆け抜けたものだ。 僕としては前が洗面器で後ろがタオルの方が良いのではないかと思ったけれど、とてもじゃないが怖くて言えなかった。 僕らは同じ寮に住む変態一家として一般学生から認識され随分と恥ずかしい思いをしたものだった。

寮には50名程の寮生が住んでいたが、イチローみたいに栄養の管理などする訳でも無く、バンカラを気取っていたので毎晩そこらじゅうの部屋で酒盛りがあった。 寮に入っていない体育会の学生や応援団員もよく来て飲んだし、他の大学の選手もよく来てたものだ。眠くなれば泊まればいいやと言う感覚だから困ったものだ。

これは急性アルコール中毒で死亡する例もあるので今となっては非常に危険な行為だが、1年生なんかに無理やり酒を大量に飲ませると、毎年必ず全裸になる奴がいた。 僕らの理解では酔って苦しくなって圧迫感があるのと、脱水症状もあり暑く感じるので服を脱いでしまうのだろうと考えていた。 1学年10名程度で毎年1人いたから10%の確率でそう言う奴はいる。 決してブラック・スワンじゃないんだ。大体普段はおとなしい奴だ。 全裸芸は自虐的なネタだから目がすわって見境無く喧嘩を売る奴よりは笑いを提供してくれる分よほどマシな訳だ。

僕と同学年で背の高い選手の多いスポーツの奴(プライバシーを尊重)は寮の近くの料理屋で開いた正式な宴会で酒を飲み過ぎ、自発的に全裸になり、女子寮にストーム(夜酔っ払って気勢をあげ自己紹介したり、ヘタな歌を無理やり聞かせたりする行為、今やったら犯罪だ。)をかけた。 今となっては不思議だが、玄関先で「ストームだあ」と叫ぶと深夜でもない限り、割りと素直に応対に出てくれたものだった。 ぞろぞろと手の空いた女子寮生が玄関先に出張ってくれる。

この男、身長は190cm、鍛え抜かれた身体が自慢で、朴訥な外見に普段は大人しい性格なんだけどなにしろその巨大な身体自体に威圧感がある。 全裸で下手な歌を大声で歌い応対に出た女子学生達の顰蹙(ひんしゅく)を買った。 彼女達は目をそらすでも無く、見つめるでも無く、それはまるで裸の王様でもあしらうかのような文句のつけようも無い、完璧な応対だった。

僕も酔ってはいたのだけれど、何故かその時の光景だけは今でも鮮明に憶えている。歌っている間、局部は下級生が後ろにしゃがんで股の下から手で隠していたが(今となってはもっと他にやり方があったと思うが)、何しろ歌にあわせて上下に激しく動くので完全に隠し通すと言うのは土台無理な相談だった。

翌日から「身体が大きい割りにたいした事無い」との噂が学内を駆け巡ったのは言うまでも無い。
女子寮生恐るべし!

0 件のコメント: