2009年4月28日火曜日

「投資の将来」を読んで


これは本では無い、タイトルはPIMCOのHPにおいてもう既に日本語化されている、ビル・グロース氏のInvestment Outlookの表題だ。 
サブタイトルは「進化か革命か」

昔証券会社に勤めていると、昼行灯みたいな役員が時に突然、なるほどと唸らせるような情報や経済に対する考え方をもっていたりして、とても適わないなと思わされた事が度々あった。

 例えば1987年のクラッシュに向かって米国株が上昇を続けている時に、何故株は上がるのか? と言う質問があったとしよう。 長期金利の低下や企業収益の上昇とか色々と御託は並べられるが、バリュエーションの説明まではつきにくいものだ。  そんな時に、「自社株買いが多く発行株式数が減っているからですよ。」 なんてさらっと答える。 今となっては「そんなもの当たり前だよ。」 と言う話もそれはこう言うステップを踏んできたからであって、こうしている現在にも動かしがたい基本みたいなものがあって、株式バリュエーションの制約になっていたりする。 昔はそう言う時の情報元は、ジョンソン・スミック・メドレーであったり、「ヘッジ・ホッグ」のバートン・ビッグスであったりしたものだが、現在で言えばPIMCOの長期展望はかなり高品質な情報源だと思う。 そしてそう言った要因は決して理解するのに難しい事では無かったりするものだ。

PIMCOは世界経済の将来に関して以下のように考えている。

1.デレバレッジ
ここで言うレバレッジは直近の住宅バブルに限定せず50年に及ぶレバレッジの蓄積と捉えおり、金融を基盤とした超過的成長を続けられないのは間違い無い。 としている。

2.ディグローバリゼーション
日本においても家電業界を保護するように、銀行や自動車に対する国内企業に対する政府の支援は国内指向であり、「金融重商主義」も懸念となっている。

3.規制強化
ロバート・ライシュ「資本主義の暴走」に書かれているように(本文には出ていない)、営利企業の自己規制能力に疑問が生じ、これまでの自由主義モデルから大きく離れる事になる。

以上の事からリスク・プレミアムの全面的な拡大とボラティリティの上昇につながり、結果として大半のアセット・クラスにおいて資産価格が下落する。と結論付けている。
(ビルはPIMCOの会議で未だ承認されたものでは無いと断っている。)

これ以上は是非本文を読まれれば良いと思う。

目先、仮に日経平均が11,000円を回復し、ドルは130円になると言うような見方があるとして、これに対して反論する事はそれ程難しい事ではないし、且つそれでも結果として上下どちらが正しいのかは僕には断言できない。 しかしながら上記で挙げられた3つの項目はその進捗の度合いに大小があったとしても、真っ向から反論すると言う事は僕には不可能だ。

また、これまでアセット・アロケーションの根拠としていた株式の期待収益率を15%におくとか、10%にするとか言う前提も今回の暴落でインデックスの水準が20年近くも引き戻された以上、説得力を持つものでは無くなってしまっている。 勿論かつて日本で不動産神話が崩れたように、今回は世界中で神話は崩壊している。 ましてや人口減少が懸念する国ではなおさらだと思う。

したがって大きな資産を運用する機関投資家の立場から、こう言った資産に楽観的な収益率を設定する事は困難であり、言い換えれば「安く見えるから」と言う理由で、株式のアセット・クラスを積み上げると言う行為は考えづらく、現実に日本では(アメリカでも)自己資本の積み上げはすっかり政府の仕事になってしまっているのが現状だ。

日本株の株式投資家としてはベア・マーケット下の上下動を取るか、個別株のαを狙わない限り、全く割りの合わない投資になる可能性が高い。
基本として「不安な時は楽観に与せず逃げる」が正しい選択なのかもしれない。 そもそも現状のバリュエーションは割安でも無いし、目先の成長も期待できる訳でも無い。 ビルのレポートを読んでそう言う考え方が自分の中で少し明確になってきたように思う。

PS
全くもって恥ずかしい話だけれど、数日前にアクセスが急激に増加したので、草なぎ君ネタが受けたのかなあと能天気に勘違いしていた。
踏み上げさんのところでリスト・アップして頂いたおかげだとようやく悟りました。 有難う御座いました。

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