2009年5月25日月曜日

自殺率 と 竹中平蔵



加藤紘一氏も小泉政権批判となるとTVに担ぎ出される傾向があるが、その中で「日本の社会が悪くなった。」と言う文明批判論的な主張の傍証として自殺率の高まりを挙げておられた。 加藤氏は4月に著書「劇場政治の誤算」を出版されているので、番組登場となったのかもしれない。 僕はこの本を読んでもいないし、多分読まないと思うが、思想的なものをどうこう言いたいとは思わない。

中谷巌氏の「資本主義は何故自壊したのか」以降市場原理主義を批判するとマスコミ受けは良いわけだが、日本がダメになったと言う根拠に自殺率の推移を使用するのは正しいのだろうか?  昨日のTVではグラフを見て違和感を感じたのは僕だけでは無いだろう。

以下は日本の自殺率の推移である。 データは昭和53年以降は平成21年5月の警視庁資料。 以前は社会実情データ図録に拠る。




第2次世界大戦時には国家総動員法の下で、個人が自殺に悩むような余裕がなかったのか、あるいは従軍時の自殺等は統計が取れなかったのか定かでは無いが、自殺率が非常に低い。 その後1955年からの数年間ほど自殺率が高まるが、これは高齢者が中心で、戦後のパラダイム転換への苦悩、社会保障の未整備等が原因とされている。

高度成長期には一貫して低下が続くが、79年の第2次世石油ショック以降の80年から83年にいたる景気後退時に一度自殺率は高まりを見せている。その後はバブルと共に1991年までは低下を続けるのはイメージ的に分かり易い。

問題はその後で、1997年と1998年の間に大きなGAPがある。  1997年はご存知のように、11月に三洋証、北海道拓殖銀行、山一證券が破綻している。 終身雇用制度の象徴的な崩壊。 長期雇用契約制度の崩壊、安心の崩壊。つまり小泉改革と加藤氏の主張する「自殺率に示されるように社会が悪くなった。」はどこから見ても関係が薄いし、本当の問題点を糊塗してしまう可能性が高い。

竹中氏が反論していた加藤氏の責任。 加藤氏は91年内閣官房長官、94年政務調査会長、95年党幹事長。  自殺率のグラフを持ちだすならば、小泉政権の竹中氏ではなくむしろ加藤氏に説明責任があるのではないかと思う。

失業率と並べると。


因みに2009年3月の失業率は5.1%:(季調なし)です。

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