2009年7月27日月曜日

兜町コンフィデンシャル  




5月の末に発行された本である。 

週末日本橋丸善で結構平積みされていたので読んでみたらすっかり感心してしまった。 

本書は中江滋樹から始まり、クレイフィシュ、長銀事件の高橋、最後にはBNPパリバのアーバンコーポレーションまで、手形乱発からMSCBに至るまでの言ってみれば最近の証券詐欺事件を非常に精緻にカバーした本である。 

新聞記事でもカバーされてきたが、驚いた事に同じ人物が何度も登場し、推理小説のレベルまでもいかないような稚拙な手法で、同じような詐欺行為を繰り返している。 

一昔前ならこのような著作物を書いた著者は無事ではいられないだろうと思われる地道な取材内容で満たされている。 

あとがきで金融庁の金融審議会「わが国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(座長はアゴラでもお馴染みの池尾和人教授)におけるMSCBを巡る諸問題で以下のように指摘されているとある。

「割当先の正体がわからないと言うのは正常ではない。」
「個人的には企業がMSCBを発行することを禁止してもらいたい。」
「日本の市場は世界から信用されない市場になる。」

全く仰るとおりだが、

1990年代後半に資本不足に悩む日本の大手銀行が選択した資金調達手法がMSCBの前身(同じだけど)下方修正条項付の優先株であった。この当時から金融の世界ではDeath Spiralと呼ばれ禁じ手の調達手段だったのだ。その後の当時の大手銀行の動向は記憶に新しいと思う。

昨年のアーバンの時は、MSCB発行の際のプレスリリースに市場参加者はいぶかったものだ。 まさかスワップをしているとは思わなかった。(していれば当然発表があると考えていた)。 世の中はこのように何処までも疑わなければならなくなってしまったのだ。 この著者も並み居る詐欺師とこのような大手投資銀行の所業を同列に並べている。

取締役会決議だけで新株発行が可能な国は主要国では日本だけだ。

(本文)第3者割り当て増資のように支配権が変わるようなエクィティファイナンスが取締役会決議だけで白昼同道と行なわれるのは、国際的に見て異常なのである。

著者の勇気ある、また精密な仕事を考えると本書の1800円は安すぎる。 また投資家は必ず読むべき書だ。 細かい銘柄まで出ているし、なにしろ今後もまた同じ人物が登場してくる可能性は高いからだ。


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