2009年9月12日土曜日

週末雑感 090912


ここの処忙しくて、市場周りについての考えを残せなかったので、備忘録として纏めておく。

先ず市場を取り巻く環境の全体像を整理しておこう。

中長期では株式市場は儲からない
米国のレバレッジ経済による過剰消費の修正が入り、それらは簡単にはあるいは短時間には元には戻らないと考えている。 元に戻ったとしても、以前の水準(例えば持ち家比率など)には戻らない、これは消費構造としてスケールダウンしたニューノーマルと言われる新しい基準値に戻ると言う事だ。

これはPIMCO全体の相場観にもなっておりそれは一貫している。 エラリアンやザガリアの考えのように、米国主導の世界の修正であり、米国後の世界に移行する過程であり、新興国が先進国に追いつく過程である。 そこでは先進国の株式の収益率は限度のあるものであろうし、以前に見られたトレンドが市場参加者のメンタルによってさらに強化された市場の「行き過ぎ」は発生しにくくなるだろう。

行き過ぎた市場至上主義の修正は具体的な形で確認する事ができる。 米国で民主党政権であるオバマ政権が社会保険制度を含め社会主義的な政策を採ったり、日本においても同様な民主党政権が誕生したのは歴史的な必然だとも言える。 ここでは財産権の制約が多少あるかもしれないし、少なくとも金融機関のレバレッジを効かせた与信行動には制約が掛けられる。

9月初旬に開催されたG20では、一時の大恐慌へ向けての危機は取り敢えず回避できたものの、未だに不安定な状況が続き、財政刺激策、金融緩和処置ともに継続の必要性があるとの共通認識が発表された。 今しばらく投機マネーの潤沢な状況は継続すると言う事だ。

G20のもう一つのテーマである金融機関の規制問題では、規制強化で一致を見たものの、欧州と金融産業を基幹産業とする米国の間には温度差があった。 それでも大量の公的資金投入の見返りとして、納税者に対する政治的な意味でのケジメ。(ポピュリズム) 懸案であったレバレッジの歯止めとしての資本規制。等から特に株式資本を重視する姿勢が打ち出され優先株主体の本邦の金融機関には資本調達の必要性が宿題として残される事となった。東京市場全体には逆風となる。

米国の過剰消費をファィナンスしていた中国。本来であれば最も重要な課題である筈の人民元の過小評価については、中国が対米最大の債権国になった事や、現状中国の内需拡大策が世界景気回復のエンジンとなっている事、等から触れられ無い課題として残ってしまい、以降にひずみを残す事になった。 アノマリーの源泉として市場に大きく影響を及ぼし始めたと考える。 人民元過小評価は投資テーマとして大きいと思う。  

しばらくはドル安、ドルにペッグしたような動きになってる人民元もドル以外の他通貨に対してさらに割安になって行く。

ドル安の間、米国と途上国市場は強い。
以上の事を所与として世界の金融市場を概観すると、現象面ではドル安が今後の株式市場動向を左右する要因であると思う。

過去の長期に渡って金利が低下して行くグレート・モデレーションの時代。 米国としてはリセッション後は金融緩和・ドル安を通じて競争力を回復するパターンは過去と同じで、(80年代にはプラザ合意でドル安に圧力をかけた。) 今回もドル資金し対してポジティブな資金需要が少ない中、低金利化が継続している事もあり、ドル安の基調が続いている。



USD Index

10年債利回りとドルインデックス 1980年から

これの行き着く先は、輸入物価押し上げによるインフレか、ドルの信認への不安であり、際限無く進むものでは無い。 どこかで流れが変わる。

このドル安に対する市場参加者の期待が、SP500種の多国籍企業の期待収益を押し上げ、戻しのトレンドを強化し、米国市場を予想外に強く見せている。特にNASDAQが強いのはドル安期待の要因が大きいと考える。 (勿論、株式市場の回復期には小型から動くと言う言い伝えはあるが、多分同じ事を言っているのかもしれない。)

同時に、原油価格や金価格も潤沢な投機資金もあり、ドル建てで非常に強い動きを見せている。 そしてこれらが、景気回復のイメージから市場参加者による株式のトレンドの強化にも一役買っている。  従って現在の米国株式市場のドライバーは金融緩和であり、ドル安だと捉えておきたい。


ドル修正 金と原油 USD Indexで指数化 1980=100

重たい日本株式
日本株式にとっては2005年以降の上昇相場が為替の影響が大きかったと総括されている以上、ドル安を起点とし、人民元安に支えられた米国株、中国株中心の相場では高いパーフォーマンスは上げ辛いだろう。 さらに民主党新政権による財政支出一時凍結(8兆円)は外人投資家から見れば世界的な戻りの過程における当面の日本経済回復に対する大きなリスク要因となるだろう。 東京市場ではひき続き中国関連等限定で小型株主体の展開が予想される。 また円ベースの投資家にとっては、米国株の魅力は新興国に比較して劣ると考えられる。 いずれにしてもここからは急激な下落もなければ、大きくのびると言う事もないだろう。  日本株式のアロケーションを大きく採る必要は無い。

日経

上海


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