2009年9月6日日曜日

穀物法論争


穀物法

穀物法は国内産穀物の保護貿易を目的としたイギリスの法律である。1689年と言う昔から存在したが、この法律を巡って論争に発展したのは、ナポレオン戦争が終わった1815年以降で、1815年から1846年の間に施行されていた法律である。当時終戦に伴い欧州大陸からの安価な穀物の流入が地主階級の権益を脅かすと考えられたからで、既得権益擁護の法律なのである。今は勿論ありません。

この時に法律擁護のマルサスと反対派のリカードの2人の経済学者の間で論争がなされたのだが、これを穀物法論争と言う。

衰えたりと言えども世界GDP2位(3位)の東洋にある経済大国では輸出に頼らざるを得ないのが自明であるのに、未だに農業保護で論争がなされている。大昔の穀物法論争も少しは参考になるかもしれない。


マルサス「穀物供給の外国への依存は、戦争や不作で輸入が途絶えるリスクが高い。 『もしも』の時に困ることになるだろう。また、需要の変動が大きい工業人口比率を増やすと経済・社会が不安定になるので、農業は其の国の経済の中で一定の比率は必要なのだ。」

リカード「ナポレオンの大陸封鎖令(イギリスを兵糧攻めにする)でさえ、英国の穀物輸入を阻止できなかった。不作の時はそれを当て込んだ国が穀物生産を増やし供給してくるだろう。 輸入が出来なくなるなんてことは無い。」

マルサス「穀物を高めに維持し、地主にお金を廻せば有効需要の源泉になる。(お金を使って消費を刺激する)」

リカード「穀物価格が下がれば労働者の生活費を引き下げ、賃金下落と利潤の増大をもたらし、それが資本蓄積を促し、成長の原動力となる。」(当時は賃金は労働者がギリギリ生きていける水準で決まると考えられていた。)



どこかで聞いたような話が2世紀も前に議論されていたなんて。
「まさか」の時、防衛上なんて言うストーリーは確かに説得力がありそうだが、保護貿易を頑なに守って孤立するより、もう少し落としどころがあるんだろう。

歴史的に検証されている話なのに、なかなか認知されない。

イギリスは1846年にこの法律を廃止、自由化により危機感を持った地主達が高度集約農業を導入、1870年代まで農業の繁栄は続き、この時期は特にイギリス農業の黄金時代とされている。(Wiki)

グローバリズムの否定は日本の自滅への道。

追記:でも公平にいうならば、第1次世界大戦において英国海軍はドイツおよびオーストリアを完全に経済封鎖し降伏に持ち込んだ。(2014・01・28記)

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