2009年10月9日金曜日

ウォール・ストリート 瀕死の体験談 2


昨日のエントリーでソーキンの新刊「Too Big to Fail」の販売促進用のダイジェスト版を一部翻訳していたのですが、掲載されていたバニティフェアー誌に許可を求めたところ断られました。 聞かなきゃ良いのにと思う方もいるかもしれませんが、僕はいつも問い合わせをするようにしています。 これまでも例えばcalculatedriskみたいに全然大丈夫そうなブログでも一応メールでグラフ使用や日本語訳の了承を貰っています。

今回もNYTの方に問い合わせていれば大丈夫だったと思います。 但し英語の本文がWEB上に掲載されていても日本語に直すと著作権の問題が出るのはわかりますが、これではどうしても情報が遅れてしまいますよね。 まあ誤魔化しながらやれば良いのでしょうが。

それでこの本のダイジェスト版の中身ですが、昨年の9月17日から21日日曜日までの米国金融界がリーマンの破綻後、瀕死の重傷を負ってそこを何とかしようとする話が綴られています。

ポールソン、バーナンキ、ガイトナー、GS:ブランクフェィン、モルガン・スタンレー:ジョン・マック、JPモルガン:ダイモン、バッフェットも登場してきます。
この中でポールソンはゴールドマン出身ゆえに出身会社を助ける事ができないジレンマや、当時NY連銀だったガイトナーが善意の思いつきでどれとどれを合併させてと動きまわり混迷の度合いを深める様が実によく表現されています。少しばかり小僧のように取り扱われていますが。

ブランクフェィンやマック、ダイモンとリーダーシップを遺憾なく発揮しており、絶望的な状況下でもどこか小気味良い展開となっています。 これがcalculatedriskをしてThe Vanity Fair excerpt is a page-turner.と言わしめているのでしょう。  page-turnerは読み出したら止まらないと言うかっぱ海老せんみたいな意味ですね。

皆さんもご存知のようにモルガンスタンレーは21日夜の三菱UFJによる果敢な出資によってこの時救われる事になります。このあたりのやりとりでは、

“Come on. You and I know the Japanese. They’re not going to do that. They’ll never move that quickly,” Paulson said, suggesting that Mack focus more on the deal with the Chinese or JPMorgan.
“No, I do know them. And I know I don’t agree with you,” Mack answered angrily. He explained that Mitsubishi had used Morgan Stanley as an adviser during its hostile bid for a part of Union Bank in California earlier in the year. “Japanese rarely do a hostile,” Mack reminded him. “They hired us, they followed through and got it done, so they’ll come through for us.”
Paulson was still skeptical. “They won’t do it,” he said with a sigh.
“You and I disagree,” Mack sputtered.


「お前も俺も日本人ってやつを知ってるだろう。 連中は絶対にやらない。 連中は絶対そんなに機敏には動かない。」ポールソンはそう言って、もっと中国(CIC)やJPモルガンとの話に集中するよう促した。
「私は連中を知っているし、 私はあなたに同意できない事も判っている。」 マックは怒っていた。

モルガンは三菱UFJと Union Bank in California のディールを扱っていて、マックはポールソンよりは確かに三菱UFJを的確に把握していたのかもしれません。

と言う風に興味の尽きない内容が多いのです。 日本語版の出版が楽しみですね。

下のチャートは2008年頭からの、GS、MS、JPM、Citiの株価チャートです。 本当の銀行の危機は10月の後に発生します。 MSとGSはこの危機後身軽になってどんどん上昇しているのがわかります。 当時ガイトナーはMSやGSをワコビアやシティと合併させようと目論でいましたが、MSもGSも腐った資産内容はよく判っていたようです。

2 件のコメント:

Trinity @ NYC さんのコメント...

Porcoさん、こんにちわ。Vanity Fairの記事、読みましたよ!そして、この本に登場した主役級のTitanたちの大勢が、まもなく退場ですね。バンカメのLewisは今年一杯で引退、マックの後釜も決定し、ダイモンの後釜は吟味中、ブランクファインもそろそろ秒読みでしょうかしら。

リーマンショックのあと、大手各社がポールソンの指揮下で公的資金を受け入れるとき、GSは自分たちが受け入れようとしていた額よりはるかに多い額を最終的に注入されたように(当時の文書をみると)見えるんですが、あの裏には、ポールソンとGSとの間にどんな取引があったのか、勝手にあれこれ想像して楽しんでました。(笑)

Porco さんのコメント...

MHJさん、コメント有難う御座います。連休小旅行に行ってましたので返事遅くなりました。結局GSやMSの悩みの種はHFからの預かり金だったのですね。 したがって彼らは本来政府の救うべき銀行ではありませんよね。でもシステミックリスクの中心にいる訳である意味本来負担するべき基金が必要なのにフリーライドしているのかも知れませんね。出版が楽しみです。