2009年10月12日月曜日

なつかしの飛行塔


阿修羅。
インド民間信仰上の魔族。
外には仁義礼智信を掲げるかに見えるが、
内には猜疑心が強く、
日常争いを好み、
たがいに事実を曲げ、
またいつわって他人の
悪口(あっこう)を言いあう。
怒りの命の象徴。
争いの絶えない
世界とされる。

これは向田邦子原作の映画「阿修羅のごとく」2003年:森田芳光監督の冒頭のナレーションです。加藤治子さんが担当しています。

映画「阿修羅のごとく」は1979年のNHK土曜ドラマのリメークになります。 多くの豪華な主役級ばかりのキャスティングは言うまでもありませんが、演出の細かさには見るたび気付かされる事があるような素晴らしいドラマ映画であります。 因みに出演者は、大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵理、深田恭子、仲代達也、八千草薫、坂東三津五郎、中村獅童、桃井かおり、小林薫、木村佳乃、紺野美沙子、どうでしょう、凄い配役ではありませんか、おまけに長澤まさみまで子役で出演しております。

この映画、森田監督のこだわりで、遊園地の飛行塔を是非シーンに入れたかったのだそうです。場所の設定は杉並区で東京なのですが、飛行塔だけは良いものが見つからず、結局奈良県と大阪府の境、生駒山にある生駒山上遊園地(撮影当時スカイパーク)で撮影されています。

私も祖父母が大阪であったので、小さい頃は信貴山や生駒山にはよく行っておりました。 この映画で見たこの飛行塔は記憶は定かではありませんが、間違い無く何処かで見た風景であったのです。 その後DVDを買ってメーキングの中で生駒山だと知り納得していた訳ですが、どうしてももう一度、訪ねたい場所でありました。もっとも普段からそんな事を考えている訳ではありませんが、出張とかで近鉄奈良線に乗った時(めったにありませんが)には必ず「ああ~」と「行かねばならない」と思っておりました。

それでやっとこの連休関西に行くチャンスがあり念願が叶い行ってくる事ができました。

近鉄難波から奈良線に乗り、生駒駅で降りますと山上遊園まではケーブルカーがあります。途中の宝山寺まで複線の日本最古のケーブルカーで、宝山寺からはさらに別のケーブルカーに乗り継いで山上へ向かいます。


猫の「ミケ」号


前が見にくい。


このケーブルカー、子供へのウケを狙って犬の「ブル」号と猫の「ミケ」号になっており2台がすれ違う時には「ワンワン」と「にゃんにゃん」と言う警笛で挨拶し合います。この顔が結構不気味ではないかなあ?と思う次第であります。 

おまけに前方の窓を円形に狭く区切ってあるのでケーブルカーの命、視界が大変狭くなると言う問題点まで指摘できるのではないでしょうか。 

普通で良いのに少し残念な気が致します。 地元の方気にされたら申し訳ありません。















さて、入り口のケーブルカーからしてお楽しみ満載でありますが、これが、件の飛行塔であります。

製作は昭和4年、1929年、現存する日本最古の大型遊戯具で、天才遊戯機器製作者、土井万蔵の設計製作だそうです。 映画では4機の飛行機は4人の姉妹を表現しています。

今にすれば何と言う事もありませんが、1929年と言えばもちろん飛行機は未だ一般的な乗り物ではありません。 それだけに憧れも強かったとは思われますが 今は無きパンアメリカンの創業が1927年、当時の日本海軍の最新鋭機が三菱一三式艦上攻撃機ですから、この飛行塔の斬新さがわかろうかと言うものです。(Keyのミリタリーなページより


日本では戦前のこの手の遊戯具はほとんど残っておりません。それは戦時中の金属不足の時に不要不急のものは供出させられたからです。 ケーブルカーも多くは戦時中レールを撤去させられ休止に追い込まれ、世間がようやく安定を取り戻した昭和25年頃に再興されたものが殆どです。 信貴山山頂と現在の信貴山西ケーブル高安山駅を結ぶ山の上を走る世界でも珍しい鉄道もあったのですが、やはり戦時中に廃止の憂き目に会っております。

この飛行塔は山の頂上にあり、大阪平野のみならず、京都、奈良まで俯瞰できますので、対空襲用の防空監視所として命を永らえたそうです。 今でも飛行塔に乗りますと大阪平野、奈良盆地が一望の下に望めます。 蛇足ながら言っておきますと高度が凄く高い割りに頼りなくて結構怖い乗り物でもあります。(東京で言えば浅草花やしきのジェット・コースターでしょうか)

山の頂上にあるので見晴らしが良い。 飛行機も複葉機。

まあ、と言う訳で、映画「阿修羅のごとく」を見て以降のモヤモヤとした気持ちが綺麗に晴れた連休でありました。



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