2009年10月18日日曜日

ショッッキングか予想通りか?


Twitterではもう紹介してしまいましたが、面白いビデオがあったのでブログのほうでも紹介しておきます。

これはEconomics Oneと言って米国連銀のFFレートの適正値を算出するテイラールールを提唱したスタンフォード大学経済学者のジョン・B・テーラー教授のブログで紹介されていたものです。 テーラー教授のブログはいつも分量が控え目で内容も分かり易いので、クルーグマンやマンキューをフォローしている人はリーダーに入れておいても良いかもしれません。

このビデオはゲーム理論に関るものです。
ゲーム理論で有名な「囚人のジレンマ」は、次のような話です。

プレーヤーは2人の未決囚で、ある犯罪の共犯者として別々に収監されている。
それぞれが(協力して)黙秘すれば、双方とも軽い罪で起訴され、1年の刑期ですむ。

もし片方が自白し、相手に不利な証言をする事に同意すれば(つまり、相手を裏切れば)、自白した方は起訴されずに自由な身になれるが、相手は10年の刑を受ける。

もし双方とも自白したりすれば5年の刑期となる。

別々に取調べを受けている囚人はどの戦略を採るでしょうか?


経済学の前提とする合理性と自己利益追求の仮定から言えば、このようなゲームのプレーヤーは相手を裏切る事が想定されます。
もう一人のプレーヤーがどうなろうと気にしないし、「正しいこと」をし損なってもなんら良心の呵責を感じない。と想定されるからです。そして2人とも1年で解放されると言う最適な選択が存在するにも拘らず、そうはできないジレンマを説明する時に使われます。

しかし現実の世の中ではどうでしょうか?
人は「正しいこと」をしたいと考えているし、世間体だって気にします。 ヤクザの間でも裏切った奴として生きていくのは大変かもしれません。

つまり人間は合理性だけでは行動しませんよ。 と言う話にも応用されて使われます。

以下は教授のブログの意訳です。

ゲーム理論では2社(SteveとSarah)が独占(複占)するある商品の市場において、2社は値上げか値下げの選択ができるとします。

報酬のペイオフは左図のようになります。
もし、スティーブとサラが協調して値上げをすれば(Split)双方とも値上げによる利益を享受できます。
しかし、もしサラが裏切って値上げをしなければサラがスティーブの顧客を奪ってしまい(steal)、スティーブは市場を失います。
サラが100でスティーブは0です。

同じようにスティーブが裏切り(Steal)、サラだけ協調(Split)すれば逆の結果になります。

また両方が裏切ると商品価格は低下し、両方とも利益は無くなってしまいます。

もちろん消費者は双方が協調などせず裏切って競争してくれれば価格が下がりますので恩恵がある訳です。これは重要な経済学の命題です。

さてビデオです。これは英国のTVショー、ゴールデンボールと言う番組です。
ここではSteveとSarahの2人が登場します。

賞金は10万0150ポンド

もしも2人が2分割する事に同意すれば(split)、5万ポンドづつお持ち帰りができます。
もしも2人とも全部欲しいといえば(steal)、両方とも1ポンドも持ち帰れません。
一人が2分割に同意、もう一人が裏切って全部欲しいと言えば、裏切った方が全部10万ポンド持ち帰りができると言う状況です。
さて、どうなりますか?








2 件のコメント:

Y102 さんのコメント...

ビデオ、興味深く拝見しましたが、途中の2人の話し合いは何を話していたのですか?情けない事に英語がわからないもので・・。わかる単語から推測すると男は「分け合おう。オレを信じて。」みたいな感じ?

ゲーム理論はあまり知らないのですが、「自分が全体で最も利益が少ない」状況を避ける事が「単純に利益を得る」事より優先されるって事?

最も避けたいパターン:
「他・自分」→他との利益の差
「10・0」→10

これを確実に避けるには「Steal」のみ。
こんなカンジ?

Porco さんのコメント...

コメント有難う御座います。 ビデオでは彼女が普通は分け合うものよ。と言ったのに答えて仰るとおり彼は信じてくれと訴えます。
単純な囚人のジレンマでは、Steal(10,0)、Split(5,0)ですからStealを選択する事が合理的になります。
これは1回限りのゲームですが、繰り返しゲームになると学習効果が現れて仕返ししあったりしながら、結局協力しあう事が一番理にかなう事になるとされています。このケースではTVで放映されていますから彼女のコミュニテーでのレピュテーション(心理的コスト)は気になるところです。
例えば話し合いの時に一筆誓約書でも書いていればどうでしょうか。 彼女の行為は詐欺ですよね。 でもここには法律はありません。
色々な事を考えさせられるビデオです。 強欲資本主義のイメージとあいまって話題になっていると思います。