2009年10月21日水曜日

ピコラエヴィッチ紙幣



城山三郎経済小説大賞の受賞作「ピコラエヴィッチ紙幣―日本人が発行したルーブル札の謎」熊谷敬太郎作を読みました。


日本では決して有名ではありませんが、尼港事件として知られている事件を小説化したものです。
ウラジオストックを浦塩と呼ぶように尼港とは地名でニコラエフスク・ナ・アムール(地図参照)の事です。




第1次世界大戦が終了し、ロシア革命が極東の地に迫り始めた時期の話で、当地は鮭鱒漁や金鉱山で賑わいを見せていました。

当地の物流を支配する島田商会ではハイパーインフレ下、貨幣価値下落の著しいルーブルよりも島田商会の発行する通貨(商品引換券)が広く住民の信頼を勝ち得ていました。

鮭鱒漁の始まる前に漁師達に自身の貨幣で融資し、漁獲物で返済してもらうと言うものです。

当地では物品の販売を島田商会がほぼ独占していましたので、島田の貨幣で必要なものはなんでも揃ったのです。

現地の漁師の為に善かれと思って始めたこの制度。
問題は担保融資では無く、実態は先物買い現物決済であった為に強烈なインフレの下、島田商会は巨利を貪る事になります。

対日本に門戸を開く、閉じられた系での擬似通貨。

様々な出来事が起こり街は運命に向かって。。。。。

非常に面白い小説でした。
著者の熊谷さんは、63歳のデビュー。 
細かいところまでよく調べられていて、テンポの良い作品に仕上がっています。


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