2009年10月29日木曜日

日本の財政赤字 2 ネバダ・レポート


今から6、7年前のある日、私は以前に在籍していた証券会社の後輩と一杯やっておりました。
彼は富裕層営業の部門に在籍しており、私は当時の会社から富裕層セールス部門をどうするか考えておいてくれと頼まれていたので情報収集をしていたのです。

その時彼はこう言いました。

「お金持ちは資産を海外にドンドン持ち出していますよ。」

昔から表に出せないお金はマネロンの為、相続の近い人は子供が留学中に外で相続、積極的な投資家は各種の税金を嫌って海外に資金を持ち出すと言う事はよく行なわれている事でした。 ただこの2001年以降のこの時期、IT長者が誕生し、IPOによる資産家が数多く誕生していましたから、欧州系銀行を中心に日本国内における富裕層営業部門の強化はある種のブームになっておりました。 香港やシンガポールの事務所で働き日本にはグレー(ブラック)の状態で営業するセールスマンの話もポツポツと聞いておりました。

彼は続けます。
「このまま財政赤字が拡大すると政府はどこかで課税強化しなくてはいけません。 それで多分それは財産税の形で行なわれると富裕層は考えているんですよ。」

その時私は知りませんでしたが、後でネバダ・レポートがあると言う事を知りました。 彼はその話を伝聞で聞いて私に少し大袈裟(証券セールスの常)に話してくれたのだと思います。 今では当時金融に関わっていた人であればこのレポートの事はご存知かと思います。

これは出所不明の言わば怪文書の類ではありますが、IMFのスタッフと財務省の官僚が共同で作成したと当時は信じられておりました。財政を健全化すべく啓蒙活動に熱心であった財務省ならばさもありなんと思われました。

内容は日本が財政破綻に陥り、IMFの管理下に入った時のアクション・プログラム的なものになっており、2002年2月14日に開催された第154回国会の予算委員会で、民主党の五十嵐文彦議員(当時)がこのレポートについて質問しており広く知られる事となりました。 2002年の歳入・歳出の状況は下のグラフを参照して下さい。 質問自体は「収支均衡の重要さを理解していますか? 柳沢さん、竹中さん」と言う趣旨でありましたがレポートの内容は以下のようにショッキングなものでした。

1.公務員の総数の30%カット、及び給料30%のカット、ボーナス全てカット
2.公務員の退職金は100%すべてカット
3.年金は一律30%カット、
4.国債の利払いは、5~10年間停止
5.消費税を20%に引き上げ
6.所得税の課税最低限を年収100万円まで引き下げ
7.資産税を導入して不動産には公示価格の5%を課税、債権・社債については5~15%の課税、株式は取得金額の1%を 課税。
8.預金は一律1000万以上のペイオフを実施し、第2段階として預金額を30%~40%財産税として没収する。

不動産に課税する場合、既に引退して家賃収入だけで暮らしているような人からどうやって課税するのか?など突っ込みどころ満載であります。
しかしながら国民の誰かが払わなければならない場合はどうするのでしょうか?

今般もう一度日本に資産をおいておいて大丈夫か? みたいな話が盛り上がっているのは当然の事です。



下のグラフは財務省のHPからです。 英語になっているのは外人投資家向けの資料であるからです。
赤い線はTotal Expenditures 支出、青い線が税収です、棒グラフが債券発行額です。
本年6月の海外IR用資料から

バブル以降両者の乖離がどんどん広がり財政赤字が問題化。 小泉首相以下危機感の中「郵政選挙」が行なわれた事情とその効果(外需による景気回復はありましたが)が見てとれます。 
 
思えば安倍首相の時に郵政造反組を自民党に戻したのが総ての過ちのような気がする今日この頃です。  それは多分読者の皆様も同じように、与党民主党。 特に郵政問題への取り組み方への不安が増しているからなのでしょう。


「ネバダレポート」とは
IMF(国際通貨基金)調査官と日本の閣僚らの合作とされ、2001年9月に一部政府関係者や政治家に渡った丸秘レポートで日本の財政赤字がいかに深刻であるのかを指摘し、当時の柳沢金融再生担当大臣が、国会でIMFによる日本の金融セクター審査受け入れを明言したことを説明した上で、 IMFが、日本経済再生に乗り出す場合、とる施策の可能性を列挙している。 


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