2009年11月30日月曜日

確定給付年金  年金⑨



昨日11月29日付け日経朝刊1面「市場激震:揺れる企業」では年金の積立不測が取り上げられています。 ここのところGMやJALで随分と馴染みが深くなりましたが、バブル崩壊以降この問題は連綿として続いており、今回の市場激震で俄かに登場した問題と言う訳でも無く、むしろ2003年以降の好調だった株式市場が何と無く問題点をボカしていたと言ったほうが正しいのではないかと思います。 記事では上場企業は運用成績が想定を下回るとその分を一定期間内に費用計上しますが、大和ハウス工業は毎期一括計上するとあります。 2009年3月期が315億円の費用計上、今期は9月末まで運用がプラスだったが、云々、つまり多分これは主に内外の株式市場次第と言う事でしょう。

上場企業の09年3月期末時点での年金積立不足は14兆円、今期の予想経常利益(12兆円)を上回るとあります。

この積立不足問題は受給資格者の財産権の問題などがあって軽々しく発言するのは勿論問題だとは思います。 しかし一方で現実の現象面から見て、企業活動の上で経営の限界を超え始めているとも言えるのでは無いでしょうか? あるいは相場が悪いだけとも言えますが、相場が良くなる保証などありませんし、これまで行なわれたそうした先延ばしが問題を大きくしてしまった事は否めないと思えます。 本業が家を売る会社であるはずか、ベンチマークとなる資産クラスのリターンが悪い中、運用益を追求しなさいと言う命題も背負わされてしまっている。 コンサルタントや専門家の意見を聞いて例えベストなアセットミックスで行動を取っても不足は発生し、本業で稼いだ利益が持っていかれてしまう。 約束してしまった予定利率。 昔みんなが5%と言うし、5%ぐらいなら大丈夫そうだと決めた予定利率。 あるいは4%だったり3.2%だったりしますが、 幻を追いかけてもしょうがないと思います。 企業側に労働者から搾取しようなどと言う意図は全くありません。

実はこうした問題に対処する為に2001年に確定拠出年金、2002年4月に確定給付年金が「確定給付企業年金法」の施行によって、減額の要件が緩和された制度が導入されています。

このグラフは信託協会が発表している年金信託受注残高なので、実際の統計に出てくる年金資産残高とは一致しませんが傾向が見てとれると思います。

年金信託受注状況

退職給付債務で企業を苦しめているのは、適格年金(2011年廃止)と厚生年金基金(厚生年金では無い。)なのです。

このグラフには確定拠出が入っていませんが、集計自体が同じ表には組み込まれていません。 年金の世界は非常にデータの取り難い世界となっております。

ここでは確定給付が増えていること、つまり厚生年金基金や適格年金から移行してきている様子を掴めればと思います。

さて実はここでまた話がややこしくなります。

厚生年金基金や適格年金って確定給付では? 

そうです。 本日11月30日の日経朝刊 平田論説委員長のコラム 「核心」は「企業年金の軟着陸いかに」「減額は受給者の意向尊重を」と提言していますが、ここでは「確定給付年金」と言う用語の使用を完全に混乱しています。 厚生年金基金や適格年金は機能としては確定給付年金ですが、「確定給付企業年金法」における確定給付年金では無いのです。  ややこしい話ですが、説得力が大きく減退してしまいます。

年金用語の定義付けが人間の感性にマッチしていないのです。 マックのパソコンやiPhoneのインターフェースの正反対だと思えば理解しやすいでしょうか。

公的年金の世代間不公平や、若者の非正規社員比率など世代間格差が問題になる中、この年金問題は比較的恵まれた大企業に勤める若者達に課せられた世代間不公平の問題でもあります。 財産権の問題と、現実にはありえない想定リターンの問題。 いつまでも悪い相場は続かないと先送りするかどうかの問題でもあるのです。

常識から判断すれば早めの処置が被害を小さくする、あるいはダメージをコントロールできると言う事だけです。

2009年11月27日金曜日

旭硝子のファィナンス


年金の話はあたりさわりの無いように焦点をボカシ気味に書いてありますので、今ひとつ読みにくいかと思います。筆者も書きながら焦れているところなのですが、実は物凄く深刻な話をしています。

そのうち一般のサラリーマンのポートの例も書くつもりなのでしばしお待ち下さい。

今日は以前勤めていた会社の先輩から質問のメールがありましたので、それについて考えてみたいと思います。

5201 旭硝子はCBによるファィナンスを発表し26日には大きく売られ、27日には市場が大幅下落する中で安値707円をつけて買い戻され725円で引けました。

5201 旭硝子 日足

UPDATE1: 旭硝子<5201.t>、2012年・2014年満期のユーロ円建てCB発行を決議=上限1000億円

[東京 25日 ロイター] 旭硝子(5201.T: 株価, ニュース, レポート)は25日、取締役会で2012年・2014年満期ユーロ円建て転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行を決議した。発行総額は上限1000億円。
 発行額は各450億円(グリーンシュー・オプション分各50億円)。利息は付さない。転換価額は未定。払い込みは12月14日。野村インターナショナルを単独ブックランナー兼共同主幹事引受会社とし、JPモルガンを共同主幹事引受会社とする幹事引受会社の総額買取引受で、欧州を中心とする海外市場(ただし、米国を除く)で募集する。
 本資金調達による発行手取金(グリーンシュー・オプション分を含む)については、さらなる成長が期待できる既存事業の強化・拡充を目的とした設備投資など、将来の成長案件の開発・投資や有利子負債の返済資金に充当する予定。

質問です。
昨日決定した旭硝子のユーロ円建てCB3年、5年
もので、クーポンゼロ、しかも転換価格は1122円、1098円
で、時価(802円26日引け値)に対して40%弱の
プレミアムがついているとのこと。
しかも償還3か月前から発行体の判断で強制転換できるという
条件がついているとのこと。
野村500億、JPM500億それぞれ引き受けています。
海外機関投資家がなぜこういう投資家不利のものを
買うのか理解できません。
おそらく、オプションを利用した商品をあらたに組成してもうかる
スキームにしていると思いますが、よくわかりません。
御教示くだされ!!
よろしく!

確かにロイターのニュースでは詳細が書かれていません。
今回の旭硝子CBでは「ソフト・マンダトリー条項」と言うスキームになっています。

詳しくは25日会社リリースの 

ここを読むと親切に解説が書かれています、
下の図を見てみましょう。


上が2012年満期です。株価さえ上昇すれば投資家はいつでも新株予約権を行使する事ができます。
そして株価がもしも上がらない時には満期3ヶ月前以降の会社の決めた通知日から5取引日に始る20取引日のVWAPを持って先ず株式を投資家に、そして足りない金額を現金としてくれます。 もしVWAPが1000円として、CBを500万円購入していたとしたら、転換価格1122円ですから、4456株(500万÷1122) x 1000円=4、456、000円これに現金544000円を貰える事になります。

MSCBでは交換株数が増えてダイリューションが増す事になりますから引き受けた業者と空売り投資家以外皆不幸のスパイラルに引き落とされましたが、今回は発行株数が制限されているのでそう言う事はおきません。  下の図。

そして2014年に関しては2012年が片付くまでの間は行使価格を120%上回らなければ交換できない制限がついており急なダイリューションを制御する形になっています。

つまりこのCBは一見付利されていませんが、倒産しない限り100%戻ってきますし、そしてさらにオマケとしては2012年債の場合なら期限2.97年物:行使価格1122円のコール・オプションがついてきます。
この部分を利回りと考えて良いでしょう。

旭硝子の90日間ボラは38%ですが、控え目に25%ボラ、リスク・フリー金利1%でオプション価格をざっと計算すると、55.7円になります。(ちなみに38%だと124円になります。)

 債券部分を購入する為のファィナンス負担、1%程度x3年=3%に倒産対策のCDS3年物が40bpsですから(誰も3年以内に倒産するとは思っていない数字です。)3.4%程度、55.2円/802円=6.88%あるいは124円/802円=15.46%(多分この間)と比較して得かどうかと言う事になります。ダイリューションは11.6%で決まっています。

オプションの裁定を別として、私個人としては3年後の旭硝子は行使価格よりももっと高いのじゃないかと思っておりますから100円ならこのCBは買いです。2014年はファィナンスコストが高くなりますので行使価格を落としてあります、私としては2014年の方が良いと思います。

5201 旭硝子 月足

いずれにせよこの件は株価には折込んだと思います。 もちろん地力で株価が下がればもっと安く買える訳ですし、私は相場自体は暫く良いとは思っていませんが。

チャート日足は700円切れのお尻の寒い位置ですが、それでも2.8%の配当等を考慮すると原株もよろしいのではないかと思いますが、この件に関してはご自身のリスクでご判断下さい。

シンガポールで取引が出来て、CDSの商いが建っていますからアービトラージは入り始めています。これは極端なリスク・アーブではなくオプション価格と現物の合成オプション間のスプレッドに関するアーブだと思います。

以上、 私も年金から解放されて気持ちがスッキリしましたがオプションから離れて久しいので間違いがあるかと思います。是非ご指摘下さい。

補足:

1.この債券部分は倒産しない限りほぼ元本は保証されている。
  つまり無利息の債券。
2.そこに予約権の価値が利息の替わりについている。
3.予約権の価格は現時点では多分60円~120円
4.仮に90円とすると90円÷802円=11.2% これを3年で割ると年3.7%
5.3.7%の利付き債券と考えても良い。(但し原株価と期間、ボラ、金利で変化する)
6.予約権の評価(ボラティリティの評価)はトレーダーによって様々。


2009年11月26日木曜日

国民年金基金か確定拠出年金(個人)か? 年金 ⑧


こんなブログを書いていますと言葉がいかめしくてイヤになりそうですから、多分読んでいる方も相当嫌気がさすのかもしれません。
何度も同じ事を繰り返したりしますが、制度がややこしいので仕方が無いと思って下さい。

年金問題は別に日本特有の問題と言う訳では無く高齢化の進む先進国ではどこでも存在する問題です。 また社会制度の違いなどによって国際比較は困難になっています。 一応OECDがまとめており、日本語の本も出版されております。 図表でみる世界の年金

それでシツコイですが、個人のお金持ちの場合について整理しておきましょう。

自営業の貧しい人はご存知のように1階部分の国民年金(基金では無い)すら未払いとなっていますから、実は2階、3階部分が課税対象所得金額を大きく税控除されるのは格差拡大と言う問題もありますが、ここではそれはおいておきましょう。

年金用に国民年金とは別に月に138,000円払える人の場合です。 起業、起業と言ってますから起業に成功した人や、親から儲かる店を相続してうまく行ってるような人の場合ですね。

国民年金は国民皆保険ですし、これをちゃんと支払っていないと他の制度に入れません。 月7万円の小規模企業共済は年金制度とは少し違いますから番外になります。 そして本来の2階、あるいは2・3階部分とも言いますが国民年金基金と確定拠出年金の選択と言う事になります。 こちらは両者合計して月68,000円が限度となっています。で、全部で月138,000円。


実は国民年金基金には付加保険と言うとっても有利な保険制度がありますので、詳しい人は皆コレに入ります。このブログの趣旨では無いのでここをご参照下さい。

付加保険は月々400円迄なのでここでは無視して、国民年金基金と確定拠出に月々68,000円まで払える件です。

以前もお話したように、国民年金基金は財務内容はひどく悪い状態ですが、予定利率は1.75%あります。
経緯を見てみますと、制度発足時には予定利率は5.5%ありました。その後生保と簡保は平成5年から5.5%→4.75%、平成6年3.75%、平成8年2.75%、平成11年2%、平成13年1.5%と足並みを揃えて予定利率を低下させて行きます。  ここで基金では平成13年12月に常務理事懇談会が開催され、予定利率を3%としています。参考

ここで言う予定利率とは新規加入者の事ですから以前の高い利率で加入した人にとっては宝物のような金融資産になります。
従って国民年金基金に関しては国債だけのポートフォリオでは問題解決が不可能なので、基金自体が結構リスキーなポートを持つ事となります。

ここで加入者がドンドン増えれば高い利回りの契約分が薄い水割りのように薄まっていきますからうまく廻るのですが、新規加入者が減ってきており問題は複雑です。ここで予定利率を落として新規加入者が減る事態になると悪循環に陥るからです。

さて現在予定利率は1.75%で政府保証付ですから悪くない話です。 まさかJALのように減額と言う事は無いでしょうから。

一方で民間の確定拠出の商品を見てみましょう、SBIのDCプランで見ると、

スルガ銀行の1年物定期預金が0.15%
住生の積立年金5年が0.3%
第一生命の同5年が0.325%

と言ったところです。

元本確保にこだわるなら国民年金基金が圧倒的にお得です。
しかし小規模企業共済と言い、国民年金基金と言い、税控除になって、しかも税金をバックにこんな商品があるようでは日本の金融産業が育たないのは当たり前ですね。

公的金融のオーバープレゼンスと言うやつです。

郵政も国有化ですし、海外で活躍する日の丸金融産業を期待するのは無理でしょう。


しかし繰り返しますが、確定拠出はキャピタルゲイン税がかからない事は銘記すべきで、大化けしそうなファンドがもし対象商品にあるあらば確定拠出で投資すべきです。

それでは。

2009年11月25日水曜日

小規模企業共済制度と個人AA 年金 ⑦


この制度は独立行政法人、中小企業基盤整備機構が行なっている従業員20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社の役員向けの制度であって年金ではありませんが、使う側から見ると1%の予定利率でしかも納付金の範囲内で低利融資を受けたりできますので、途中で解約できない国民年金基金と比較すると断然有利な制度と言えます。 月7万円まで課税対象所得金額から控除されます。 そしてここは旧通産省の天下り団体ですから、厚労省天下り団体の国民年金基金との併用が出来ます。

国民年金基金が月68000円+小規模企業共済制度が7万円=138、000円  x12ヶ月 =1,656,000円が税額控除となります。
サラリーマンから見ると結構な数字です。 使える人は使うべき制度達です。

小規模共済も政府肝入りですから暗黙の元本保証付となりますが、国民年金基金よりは財務状態もマシで開示もしっかりしています。平成20年度末責任準備金8兆5660億円に対して7兆5820億円ほど持っていますので回復は可能です。  ここでも予定利率を1%に落として日本国債を80%程組み入れその差で欠損を段々と生めて行くという戦略です。 なんだかんだで皆、国債を買うはずなのです。

さて整理すると、

先ず予定利率を持つ小規模企業共済制度と国民年金基金は確定給付です。

小規模共済 7万円 + 国民年金基金 もしくは 確定拠出年金 (併せて68,000円) = 138,000円と言う事です。

そしてここから確定拠出のメリットですが、払う時に所得控除になるばかりでは無く、キャピタルゲイン税も無いとい言う事なのです。 

この年間165万ほどを全部国債みたいなものに投入するよりは将来儲かりそうな資産、たとえば外国株ファンドなんかがあればそう言ったキャピタルゲインの多く出そうなものを確定拠出にあてておくべきなのです。


では現実の確定拠出年金個人型の資産構成はどうなっているでしょうか。 年金情報より平均データ。

401K個人型の資産構成
そもそも株だ外国株だの以前に預金に44.2%保険に21.1%つまり国債みたいなものに65%も行ってしまっています。 キャピタルゲイン税がかからないにも関らずです。

そして投信を分解して国債みたいなものを整理して小規模企業共済制度と併用した場合のアロケーションを見てみますと、

先ず小規模共済のアセット・アロケーションが以下、



そして小規模共済 + 確定拠出年金の合算想定ポートフォリオは以下のようになります。



このグラフの約半分を占めるキャピタル・ゲイン税免除部分は勿体無い事です。
月々138千円も支払える人は多分上記以外で株式投資をしていたりするでしょうから、実はキャピタルゲイン税免除部分が無駄になっているとも言えます。

とにかく言いたい事は国債だらけと言う事です。


参考ブログ Investment BAKA

2009年11月24日火曜日

国民年金基金 年金 ⑥


今日はサラリーマンじゃない人が自分で年金や退職金を用意する場合を考えてみましょう。

また年金(退職金)を纏めた図を見てみます。


前回アップした時よりいくつか増えていますが、それでも日本には農業者年金基金(農民年金)を始めとしてまだ他にも色々な種類のものがあります。
理事長ポストだけでも物凄い数ではないでしょうか?

一般にサラリーマンは厚生年金が国民年金の上に載っている形、つまり2階部分がありますし、会社によっては(大企業なら殆ど)3階部分があります。
それに対して「自営業の人には」と言う意味で国民年金基金と言う制度があります。 馴れない人には国民年金と紛らわしいですが全く別のものです。

国民年金基金は加入者65万人、責任準備金は3兆円ですが資産は実は2兆円しかありません。 約38%不足しています。ですから上の図でもごく小さな四角形となってしまいます。

平成20年度時点では給付費が685億円、掛け金収入が1371億円なので、まだまだ長期的な視点で運用すれば大丈夫であるとHPではおっしゃっており、かなり積極的なポートフォリオをお持ちです。

実はこの制度は平成3年と比較的若い制度なので、お年寄りが少なく給付が低いと言う傾向があります。
しかし加入者が50代に集中しているせいもあり、これから大変になるでしょう。 38%のやられは戻すのに60%ほどのリターンが要求されますし、新規の加入者がとても少ない状況では早晩何かが起こるでしょう。 JALで減額された人たちはその時には暴れる権利があるのかもしれませんね。 税金で尻拭いするのに責任の所在が無かったりすると単なる民業圧迫の事業と言う事になってしまいます。 この手は民間で競争させるべき事業でしょう。


こうした基金はJALと同じで予定利回りを高めに設定した為に運用と整合性がとれずに、仕方なく予定利回りを1%程度に落として回復をゆっくり待つと言う戦略に出ています。リーマンショックで20%程やられていますので、それがなければと言うところですが普通に見て状況は厳しいでしょう。

実は予定利回りを1%程度に落として回復を待つと言うシナリオでは国債が一番有りがたいアセット・クラスになります。国債バブルの一旦を担っていると思います。  そしてバブルはいつまでも続きはしません。

財務状況が相当悪いにも関らず、この基金に加入する人はこの組織が独立行政法人なので国の保証がついているとの暗黙の了解があるかと思いますが、それよりも何よりも所得税控除が最大の魅力なのです。  但しこの年金は途中でお金を引き出す事ができません。


あとこの基金は書く都道府県別に基金が設立されていたり、職種別に12の基金が設立されていたりで、理事長ポストいくつあるの?とツッコミどころ満載ですが今回は私自身も詳しくはよく分からないので触れません。


さてここが個人向けの確定拠出年金の個人型を管理しています。(引用)

これまでの公的年金や確定給付年金は、国や企業などの責任においてその資金を運用してきましたが、確定拠出年金は、自分の持分(年金資産)が明確で自己の責任において運用商品を選び運用する年金制度です。
確定拠出年金は、国民年金基金や既存の企業年金に加え、新たな選択肢として公的年金に上乗せされる制度です。
国民年金基金等の確定給付年金と組み合わせることにより老後の所得保障の一層の充実が可能になります。

自分達が減額になると言う想像力は全くないようですね。


確定拠出と国民年金を合わせた拠出限度額が月合計68、000円までとされています。
ここで国民年金基金から拠出年金に資金が流出すると大変な事になります。
だからかどうかは判りませんが、個人型の確定拠出年金は加入者1号(自営業)で3万人ほどでしかありません。

でも実際には国民年金基金とこれを組み合わせる人はあまりいないようです。
それは。。。

続く、

資料等はhttp://www.npfa.or.jp/index.html 国民年金基金のHPより。

P.S.
国民年金基金の予定利回りは1.75%あります。
これは予定利回りを下げると、加入者が減り、制度の維持に問題が出るからであって簡保や生保商品が予低利回りを1.5%に下げた平成13年12月の常務理事懇談会で意図的に少し高めに設定しています。 経営判断からくる準備金不足と言えそうです。

2009年11月21日土曜日

PV関数とFV関数 年金 ⑤


何かどこかのFPのブログみたいになってしまいそうですが、今回は複利効果についてちょっとグラフを作成してみました。
JALの年金問題が注目を浴びてますがどう言う事なんでしょう。

退職給付債務 -8001億
年金資産 4084億
実質退職給付債務 -3926億
B/S 債務 -610億
簿外債務 -3315億円

簿外なんですね。 BPSでは要注意ですね。 他にもこんな会社ありますから注意が必要ですね。

さて簿外債務内訳
会計基準変更差異 -756億
数理計算差異 -2561億円

この数理計算差異が予定利回りと実際の利回りの差からくる計算上の損失と言う事です。

JALのこの差異の計算は前提等々よくわかりませんし、わかったとしても多分私には計算できないと思われますので、単純な例で考えて納得する事としましょう。

これから毎月25万円を25年間支払うとします。其の為にはいくら用意しておけば良いでしょうか?
下のグラフが金利(予定利率)毎にいくら必要かを示しています。 4.5%であれば4500万円あれば足りますが、1%しか金利の無い状態では6633万円が必要となります。 PV関数で簡単に計算できます。まあこんな話かなと。

で、JALのOBはおかしいとか仰っている人達も自分達の会社の年金制度が変更になっているのを気が付かない人も多いかと思います。
かつてあった適格年金や厚生年金基金など予定利回りが高めの年金が確定給付や確定拠出に変わってきていますがこれは約束していた利回りの低下を意味してます。
確定給付ではキャシュバランス・プラン(国債利回り連動)が多いですし、確定拠出でも中身を見ると元本確保の預金物が多く見られます。
このディスインフレ下では実質金利的に貯蓄は決して悪くは無いと思いますが、増えないと言う事も覚えておかなければなりません。

下のグラフは月々3万円を35年間積み立てる時に金利によって結果はどう変わるかを示しています。 FV関数で計算できます。

で、そんな事は承知と言う方も。99年頃ガン特約の付加とかなんとかで頻繁に生保のセールスがよってきて保険の変更を勧めませんでしたでしょうか?
生保の逆ザヤが問題になっていた頃です。

良くわからないうちに予定利率が下がっている人も多いのではないかと思いますよ。
93年以前に加入して変更していなければ予定利回りは変わっていません。
こちらは月々の支払いですからわかり難いと思います。

では、また。


2009年11月19日木曜日

日本の個人金融資産 年金 ④


仮に日本国債が信認を無くし金利上昇と円安になったとしたら、取りうる対策は国の歳入を増加させて借金の返済が可能な事を示せば良い訳で、例えば消費税を上げるとか、資産に課税するとか、それこそ極端な例では以前紹介した怪文書ネバダ・レポートのようにすれば良い訳で国が潰れてしまうと言う事ではありません。これまでの消費税増税が成長に大きく悪影響を及ぼしてはいませんが、上昇率も半端では無いでしょうから実体経済がどうなるかは定かではありません。

ここで最近新しいデータを取りましたので日米の金融資産を比較してみましょう。
図はクリックすると大きくなります。
データはFRBのFlow of Fund's L100と日銀の資金循環表から取ってあります。以下の図も同様です。

これは円建てですので、見ての通り日本の金融資産は暫減にある一方で、米国の資産は大きくブレています。 最近株価を悩ます円高もこうした比較では日本の相対的地位を高めている事が良くわかります。 何も円高が悪いわけでも無いのですね。 資源に乏しく人口減少で工業製品出荷が今後落ち込みそうな日本では購買力が強いと言う事は悪い話ではありません。

上のグラフは日米の金融資産の中身を比較しています。
良くわかっていても改めて驚いてしまうのは日本の株式比率の低さです。
預金が多く生保、年金が多いと言うのは正に我々の資産は国債が多くを占めているからでしょう。

日本政府のバランスシートは世界でも例外的に大きく担保として国有不動産が沢山あると言う話ですが日本人だけが評価し、それを評価しない外人と言う構造はバブル時と同じではありませんか?

これでは米国のように個人金融資産が増える訳はありません。政治家は事ある毎に日本の個人金融資産1400兆円とか念仏のように唱えますが、増えていない事に対する危機感の喪失は救い難いものがあります。

成熟し人口減少の見込まれる国であるならば、資産は国内の国債に向かうのでは無く成長する国に出資する事によってその成長を取り込んで行かなければなりません。

個人金融資産を国債で埋め尽くす事はそうした将来の収益の可能性を潰していることでもあるのです。
証券税制も考慮して外国株式投資を優遇する事ぐらいしても良いと思っています。

このグラフは資産の内容を時系列で取ってみました。
これでは少しわかり難いので興味のある資産だけで占率をプロットしたのが下のグラフです。

年金資産は積み上げですから順調にシェアを伸ばしていますが、この日本株離れはどう言う事でしょうか。 米国は401K導入以降株式に潤沢にお金が流れる仕組みが出来ています。それがバブルの破裂を招いたとの批判もありますが、結局今回株価の戻っていない国は日本市場だけです。

株式は経済の血液とも言われますがまるで脳梗塞でも起こしたようなこの日本の状況はどうでしょう?
次回以降この辺りを探って生きたいと思います。


2009年11月18日水曜日

日々雑感


これが今日私がTwitterでつぶやき(思いつくまま)に発信したものです。


ここのところ日本の年金を調べています。

もちろんそれ程簡単なものでは無いので、とんでもない量の資料を読む事になってしまってます。
401Kで先行している米国の事も調べざるを得ないのですが、似たような言葉を違う意味で使ったりとか結構後になって気付く事も多いものです。

80年代後半の日本の土地バブルの時、皇居とカルフォルニア州が同じ値段だとか交換不可能なたとえ話のような事も多かったと思います。
日本の国債は日本人が95%ファィナンスしているから大丈夫なのでは無く、外人が5%しか投資していない意味を考えるべきでしょう。

バブルの時も収益還元法を使う外国人は日本の説明できない不動産は買わないと言われ結局日本人だけでファィナンスし合って架空の値段を付けてしまいました。確かに日本人が購入し続けている間は結構でしょうが、一旦売りに出た場合。 ちょっと先の将来、例えば資産に課税するような話になって個人の小金持ちが大挙して預金を下ろしたような場合にはどうなるでしょうか? 買い手に外国人しか期待できない状況下では価格ギャップは大変大きなものになるでしょうし不動産と違って急激な変化を伴うでしょう。 この反動は円が売られる形できてどこかで輸出企業の採算があったりするようなポイント近辺で均衡するのかもしれません。  本来なら30%とかいくらでも良いですが国債の価格チェックの為にも外人に一定比率を持ってもらうような事も必要なのかもしれませんね。 なんて事を「どこかバブルの不動産と似てるな」なんて思った次第です。「デフレだから実質金利は高い」とか「資金ニーズが無いから金利が低い」とか説明はよく判ります。 でも政府部門の資金ニーズだけは強烈に強い国、しかもこれまでの借金のせいでニーズが出ている国が改善の方向性すら打ちだせないまま無事で済む訳はありません。 国債発行はタイムラグを持つ増税と同じです。楽市楽座が栄えた事など中学校の歴史で勉強します。とりとめもありませんが、どうも厭な予感のする毎日です。

2009年11月15日日曜日

年金制度の体系2 年金 ③


前回に作成した図があんまり評判が良くなかったので、少し作り変えてみました。
日本語にしたのと、それぞれの基金の資産量を加味してみました。
クリックすると大きくなります。



どう言う事かと言うと、それぞれの四角形の横の長さは年金の加入者数。
縦の長さが資産の額になっています。
一番大きな厚生年金で資産量は127兆円。加入者は3,457万人になります。

これをどう見るかと言えば縦横比が肝心です。縦に細長い方が加入者1人当たりの資金が多いと言う事になります。 公務員の共済と確定給付年金が立てに長い形をしていますね。
公務員と一部の大企業従業員だけが手厚く守られている事がわかると思います。

一方で国民皆が入る国民年金の資産量は8兆3000億円しかありません。
20代の納付率が50%台にあるなど、税方式にせよ何にせよこの部分の改革は必然となっています。

以下
国民年金基金 2兆1000億
厚生年金 127兆円 金額は多いのですが縦横比では正方形に近いのです。
厚生年金基金 25兆円
適格年金 8兆1000億円
確定給付年金 32兆円
確定拠出年金 4兆円


国民年金が少ないと感じます。これは創設当初は完全積立方式、つまり積み立てた中から給付していくやり方、あなたの払ったお金は積み立てられて返ってくると言うやり方だったのですが、1966、1969、1973年と法改正によって給付額を大幅に引き上げてきた為に、今では賦課方式になっているためです。

賦課方式とは世代間扶養つまり若い人の支払ったお金でお年寄りに支払うと言うやり方でこれだと資産量が8兆円しかなくても構わないわけです。 入金された年金を右から左にお年寄りに払うと言うやり方です。 

詳しくは社会保険庁のこのレポートを見てください。

また運用報告は厚生年金と一緒にしてなされています。

厚生年金の左側に小さく国民年金基金とあります。これは国民年金と間違いやすいのですが、自営業者の為に、サラリーマンの厚生年金に替わるものとして作られています。 付加年金はその中の一種ですが掛け金の小さいものです。 国民年金基金は社会保険庁では無く国民年金基金連合会によって12の業種、全都道府県毎に設立されている国民年金基金が統括されています。 天下り先かな?とも思いますが確認はしていません。

ここでは確定拠出年金のおおよその大きさと位置付けがわかって貰えればと思います。
この4兆円の市場に各社DC用の投資信託を投入していますので、中々競争の激しいマーケットだろうなと感じますね。

2009年11月12日木曜日

年金制度の体系  年金②


今確定拠出年金の事を調べております。

年金を専門とする人以外で年金について関った事のある方はご存知かもしれませんが非常に込入っております。 

かく言う私も年金から株式発注を頂戴した事はありますが中身には詳しくありません。間違い等があれば是非ご指摘下さい。

実は馴れるとそうでも無いし、日本は酷いなどと思ってアメリカなんかを見るとあちらも相当複雑にできております。一旦何かで制度を始めてしまうと受給権を持つ人が出てきてしまうし、税金面でどこかを優遇するとバランスの関係で他の部分もいじらなければならないなどなど簡単にスクラップ&ビルドとは行かないようです。

一般に日本のシステムを説明するのに使われる図は以下のようなものです。
これは企業年金連合会の図で私が見つけた中では尤も分かり易い図のひとつです。
(クリックすると大きくなります。)

よく3階建てとか言いますが、国民年金が1階、厚生年金、共済年金、国民年金基金が2階に相当します。その他が3階ですが4階部分なんてのもあります。
ここで判り難いのが、

国民年金(1階)と国民年金基金(2階)
厚生年金(2階)と厚生年金基金(3階)

同じような名前で基金がつくと1階あがります。実は英語にすると分かり易い。

公務員の共済年金は明治8年の太政官達 陸海軍軍人恩給制度以来のものです。
厚生年金は前回紹介した「退職積み立て金及び退職手当法」が1944年に戦時中の国庫収入を増やす目的で組み替えられたものが現在まで続いています。
国民年金は1959年と後からできたのですが、その後に厚生年金や共済年金の基礎部分を国民年金として取り込む事で全体をカバーして1階部分となっております。



上の図は判りやすくするために抽象化しているので、実際のバランスは異なります。
加入者数で幅(あくまで幅)を取ると以下のようになります。(英語にしてみました。)milは単位で100万人

全くイメージが違ってしまいますよね。
役所や会社に勤めていないと年金はとても手薄です。 自営が農家や商家ばかりの時代は結構ですが、非正規雇用者が増加している今日この状態を放置しておくと結局国民負担となって返って来る事は簡単に想像できます。

実は他にも農業年金や細かい部分(例えば重なり合う部分)とかがあり、これでも不正確な図なのであります。

ここで赤い点線で囲ってあるのが確定拠出年金:Defined Contribution Fund で省略してDCと呼ばれます。

DCはご存知のように、個人型と企業型の2つがあります。


これは加入資格がある人のうちどのくらいの人が加入しているか?の比率で本年3月末の数字です。
個人型(左)は約2000万人のユニバースから9万人だけ、企業型(右)は3500万人のうち270万人が加入していますが、企業型はどんどん増えている最中です、

適格年金は廃止が決まっていますので、企業は制度変更をしなければばらない逼迫した状態なのですがその話は次回にしたいと思います。

今回は確定拠出の加入者はまだまだ少ないよ。と言う事で。

注:例えば個人型のユニバースを2000万人としましたが、実際には未納者や免除者、さらには国民年金基金と合算した金額制限があるのですが、ざっくりとした話にしてあります。


2009年11月10日火曜日

プレゼンテーションZEN


プレゼンテーション Zenを読みました。

私はマッキントッシュのパワーポイントが発売された87年頃からマックを使っていました。何も自慢しているのでは無くいかにこれまで無策無能であったかを告白している訳ですが。

当時インターネットなどは無く金融関係のデータはWINが殆ど(全部)なのでいちいちテキストに変換して移して使っていましたが、文字化け等が多くて苦労したものでした。

WINにパワーポイントが販売されて以降もしばらくは、多分92年頃迄は日本語フォントが綺麗だと言うのと、米国では大学で安くMACを販売していた関係で、統計パッケージ(StatViewだったかな?)が豊富だと言うのが理由でした。

また当時はPCからプロジェクターで大画面に投影すると言う事が無く、ひたすら紙で印刷して配布すると言うのがパワーポイント活用の主流だったからだと思います。

ところがプロジェクターを使用するのが当たり前の最近(って10年以上経ってるけど)においても私も含めてパワーポイントの使用法は旧態依然としています。 つまり見せるでは無く読ませるになっています。海外のファンドのプレゼン等を見ましても本来のプレゼンテーションの目的を追求せず習慣で箇条書きを多様したり、コンプライアンス体制等を細かいチャートで図示したりする例が圧倒的に多いと感じます。 

確かに見ていて眠りそうになるものが多いですよね。 

ここで金融の特殊性であるから仕方無いとか考えてしまうときっと進歩と言うものは有り得ないのでしょう。この本を読んでいてそう思いました。 今からでも見る人の立場と目的意識を明確に持てば保守的な金融プレゼンにおいても少々のチャレンジはすべきだと考えるようになりました。簡単では無いでしょうが。

この本はプレゼンテーション資料の作成では無く、プレゼンテーションはどうすべきか?について書かれています。抽象論では無く具体的な指導書として書かれていますから難解だとかレベルが高いだとかそう言った心配は無用です。

著者は日本在住で私なんかよりも禅の本質や日本文化の持つ簡素の美だとかをしっかりと把握して実務に応用されています。特に彼のHPで紹介されているアップルのスティーブン・ジョブスのシンプルさとWindowsのビル・ゲイツの対比などは実に勉強になります。 Prezentation Zen Gates, Jobs, & the Zen aesthetic



単純であることは究極の洗練である。 レオナルド・ダ・ビンチ

豊富なグラフィックスが例示されいちいち納得してしまう内容です。 マンネリ化していたパワーポイント資料作成も少しばかり楽しみになったのが読後感です。
この本は手元に常備と言う本ではありませんし、値も張りますから予算の制約の有る場合借りれば良い本だと思います。著者には悪いけれど。


P.S.実はこれを読んだとは恥ずかしくてブログに書きたくはありませんでした。 それはブログのデザインを含め再考しなければこの本を読んだ意味が無いからです。
それは暫くご猶予を。 


2009年11月9日月曜日

退職金の140年 年金①



退職金の一四〇年 西成田 豊 一ツ橋大教授

確定拠出年金の事を調べようと思って歴史を遡っているうちにとうとう明治維新にまで遡ってしまいこの本に巡り遭いました。

従来、日本の退職金は江戸時代の商家の「暖簾分け」にあるとか、明治以降の日本国にとっての始めての対外戦争である台湾出兵時の戦死もしくは傷痍軍人に対する補償が起源であるとかのトリビア的な話は耳学問で聞き及んではいたのですが、制度史的な観点から適当な本は無いかと探していたのでした。

著者は退職金制度は日本の「後発工業化」によって産み出されたとしています。 これは例えば新橋・横浜間の官営鉄道の場合、当初は外人お雇い機関手や技師によって運営されました。 鉄道関係では1974年(明治7年)の段階でお雇い外国人は115名おりましたが、77年64人、80年37人、82年17人と急減していきます。 これは日本人技師や機関手が育成され来た為です。 そうして育った日本人技術者は貴重な技術をもっている訳で、当時勃興しつつあった、民鉄側からみれば是非スカウトしたい存在であった訳です。

そうなると現代のプロ野球と同じで待遇を良くして残ってもらおうと言う動きになります。 こうした中で制度的、年功的な職階や退職金が確立されて行きました。 勿論これは鉄道に限らず造船や炭鉱、繊維と言った当時勃興し始めた産業全般に言える事です。 ここで言う「後発工業化」は発展段階をゆっくりと踏みしめるのでは無く、西洋にあったものを輸入する訳ですから急激な発展過程を伴い常に熟練労働者不足に悩まされると言う事態になります。 ここに労働者を引き留める意味でも世界でも稀な日本独自の退職金制度が始まると言う訳なのです。

因みに英国では1911年に世界に先駆けて失業保険が成立しますが世界大恐慌を経て1934年仕切りなおしで失業扶助制度。米国でも1935年にニューディール政策の一環として社会保障法が制定され各州毎の失業保険が制定されています。たまたま土曜日の夜にオバマ大統領が公約としていたヘルスケア法案が下院を通過しましたが、これは1935年、1965年に次ぐ大きな出来事なのです。

これらから見ると日本の制度は「後発工業化」と言う条件下にあったとは言え、日本しては珍しく随分と気前の良い制度でありますが、こうした「経営家族主義」を昨今特に目につく日本の古い伝統に根ざす道徳心だとか美徳であるとか単純に捉える訳には行かないでしょう。 物事には原因と結果があります。つまり終身雇用に近い形態で年功的な報酬体系を設定する事は熟練工確保の観点から経営サイドから見ても理にかなった行動なのでした。

その後富国強兵策のもと勤労者の厚生は国家の発展(軍事的な)にも適うとの考えから「経営家族主義」から「家族国家観」、つまり主従関係の主が天皇であるとの考え方に沿って日露戦争後工場法の制定(1911年)をみます。 勿論これは労働者の待遇の制度化による底上げを狙ったものですから「経営家族主義」的な動きも景気の良い大企業には併行して残る事になります。

いつの時代もこうした制度は景気の良し悪しによって左右されるもので、昭和恐慌の大量失業者の時代には「経営家族主義」は影を潜め国家観が重きを成すようになります。こうした時代では企業対労働者と言うよりも企業対国家(官僚)の鬩ぎあいになります。 1936年の「退職積み立て金及び退職手当法」の成立では、2.26事件が渋る企業経営者怯えさせ柔軟にさせると言う効果もあったそうです。

従来「渡り職人」が多く年功序列や退職金制度などは戦後の産物だと言う乱暴な議論もありましたが、そんな事はありません。 但し日本独自の美徳だとか道徳だとかそんな話でもありません。歴史的な必然性に沿って制度は変革を遂げて来たのでした。 そしてこれからもそうした必然に逆らって歴史が刻まれて行く訳では無いのでしょう。


あとがきで筆者は5つほど主張してらっしゃいますが、そのひとつ。

労働の規制緩和と言う新自由主義的な恩恵に与った経営者が、新自由主義が説く「小さな政府」では到底成しえないセーフティー・ネットの強化を主張するのは首尾一貫していないばかりでは無く、確たる経営理念があるのかと疑問を呈さざるをえない、経営者としては、セーフティー・ネットを説く前に、労働者内部の格差を無くし、人材を大切にし、最後の最後まで雇用を守り抜くと言う強くて優しい姿勢が求められる。

これが歴史を研究してきた西成田先生からのメッセージでした。

今さら郵政民営化



私のブログは政治的な事をあまり語るつもりはありません。
ここで文句を垂れ流したところで、読者は限定されていますし、そんな事は期待されていないだろうし、私自身も書きたいと言う欲求が無いからでした。

週末に資料をあさっていましたら国会図書館の調査と情報ーIssue Briefに2009年11月5日付けで「郵政民営化の現状」と言うレポートがありました。

調査と情報は立法調査資料であって、国立国会図書館は別に民主党を攻撃する団体ではありません。 さらにこのレポートは国土交通課中里孝氏の署名が入っております。

自民党も郵政民営化については腰砕けになっていた訳で彼は自民党の回し者と言う訳でもなく、全く公平な観点で国会審議に役立つべく淡々とこれまでの経緯を記しただけであると思います。

ところがこの淡々と真実を連ねただけの文章が誠に辛らつな文章となってしまっている事は皮肉と言う他はありません。 内容は是非読んでおいて頂きたいのですが、かいつまんでいくつか挙げておきます。

先ず表紙から、太字が引用です。

郵政民営化の主な目的は、資金の流れを「官から民へ」変えることによる我が国の経済の効率化と、先細りが懸念される郵政三事業の収益力向上による「将来の国民負担の回避」であるが、これらは、すぐに成果が現れるものでも、実感しやすいものでもないため、そのメリットは一般には理解されにくい。一方、民営化後に簡易郵便局の一時閉鎖局が増加したことや、分社化によって利便性が低下したことなどが、民営化のデメリットとして指摘されている。

民営化のメリットは一般に理解されにくい。これは公営である事に大きなデメリットが存在したけれど解りにくかったからです。

平成17 年9 月11 日のいわゆる郵政選挙1から時が経つにつれ、何のために郵政民営化が行われたのか、という改革本来の目的が忘れ去られようとしている。

郵便貯金は国民金融資産1400兆円の4分の1を占め、以前は財政投融資として官の天下り団体によるずさんな経営やムダ使いを助長するとして批難されてきました。財投は段階的に削減されてきていますが中身は国債に替わっているだけです。

郵政事業は独立採算ではあったものの、預託金への金利上乗せや、法人税、事業税、預金保険料の免除などの「隠れた補助金」や「見えない国民負担」によって成り立っているとの批判があり、こうした「官業ゆえの特典」ともいわれる、民間に比べて有利な競争条件が市場をゆがめることとなり、公的金融の肥大化を招いたとも指摘されていた。(かくれた補助金は1 兆1000 億円程度から1 兆2000 億円程度であることが、平成16 年7 月27 日の経済財政諮問会議で紹介されている)

そもそも日本の金融業発展の阻害要因として挙げられるのは、1)護送船団方式によって弱い金融機関も守られてきた為オーバー・バンキングにある。2)政府系金融機関の金融市場への関与が大きすぎるオーバープレゼンスにあると考えられています。上記に加え政府による「暗黙の保証」の問題もあります。この問題は郵貯民営化の時点でも説明されておりました。こう言った問題は忘れられ、銀行に人情が無いとか曖昧な基準のみが横行している懸念があります。

いまさら官に戻した場合の国民負担は考慮されなければなりません。

小泉改革
小泉純一郎総理大臣(当時)は衆議院を解散し、郵政民営化の是非について国民の信を問うとした。当時は、郵政OB のファミリー企業への天下りや、職員による度重なる不祥事、特定郵便局の問題や、郵貯・簡保施設の巨額の赤字など、様々な問題も報じられていた。

民営化によってこれらのものは排除されるはずでしたが、郵政人事や特定郵便局長会などの勢いを見ると逆行するのでしょうか?是非前原さんにお伺いしたい。

民営化の評価
日本郵政が、平成20 年5 月と平成21 年2 月に顧客に対して行った「日本郵政グループ顧客満足度調査」の「民営化前後の全体評価」によると、民営化によって「悪くなった(約7%)」という評価よりも「良くなった(約40%)」という評価のほうが多くなっている。一方、全国郵便局長会(全特)が、平成20 年2 月から3 月に全郵便局長を対象として行ったアンケート20では、「お客さまが民営化後の郵便局のサービスをどのようにとらえていると思いますか。」との問いに対して、「悪くなった」との回答73.8%を占めており、利用者の評価と郵便局長の認識が大きく異なっている

民営化が「悪い悪い」と言う事をどうも実感できていませんでしたが、どうも特定郵便局長以外はそうなんですね。しかし自分の支店に自分の会社のサービスが良くなったかどうか聞く経営者がいるでしょうか?とりあえずユーザーに聞くのはあまりにも当たり前。

この民営化からの逆行は誰が得をするかは余りにも露骨です。

国民が自民党に愛想をつかしたのは、安倍総理が郵政民営化造反派を簡単に許して復党させ、その後官のムダ排除や天下り問題に関して生ぬるい対応を続けたからだと考えています。 ですからその対立軸にあった民主党の「天下り絶滅」は説得力があったのです。

でも今の惨状はどうでしょうか。 郵政の官への逆行は明らかに国民負担を増加させます。金融業の発展も遅らせるでしょう。 資金ニーズが慢性的に無いのも土建などのぶら下がり産業が多いからかも知れません。 対抗軸であるべき自民党はこの件では全く説得力を持てません。みんなの党が大きくなるのを待つか既存政党の分裂をまつしか無いのかもしれませんね。 丁度よい資産分散の投資信託が無いようなものです。

この資料は天下り問題でいきり立つ前に是非一度読んで脳みそとHDにしまっておきましょう。
どこかで頭にきた時に、自分はどうして頭にきているのか整理の一助になるかと思います。
それとこの書き手ちょっと心配です。 注意して見守ってあげましょう。でもどうすれば良いのだろう。


2009年11月5日木曜日

EMHは終わったか? Capital Ideas Evolving



原著者のピーター・バーンスタイン氏は本年6月5日に90歳でご逝去されました。
この本は今回の暴落劇の直前である2007年に著された本です。

タレブの「まぐれ」や「ブラック・スワン」がベストセラーとなった事で、効率的市場理論に欠陥があるとか、正規分布に基づく分析は間違っているとか何かと喧しい状況にありますが、現場で働く人間にとってはそんな事は当たり前の事なのです。 

市場参加者全員がバーベル戦略で待てる市場は存在しません。

バーンスタイン氏の前作「証券投資の思想革命:Capital Idea」が出版翻訳された1992年頃の日本の証券投資の現場では、投資理論を振りかざす者はまだ際物でありました。インデックスを少数銘柄でトラックする為に、バーラ・モデルを購入した折には決裁してくれた役員から「その機械で一番の推薦銘柄は何だ?」と質問されたものでした。 正規分布ですら認識されていない世界だったのです。

米国の金融工学の1線級の学者達は現実のフィールドで活躍しており、日々現実の出来事と格闘しています。 1987年のブラックマンデーの時にポートフォリオ・インシュアランスが流動性の問題に敗れ、ソロモン・ブラザースから独立したメリウェザーがショールズたちと立ち上げたLTCMも結局流動性の問題の前に崩壊しました。しかしそれでCapital Ideaは敗れ去った訳でもなんでもありません。 

それらから得られた教訓を付加しCapital Ideaに纏わる世界は益々隆盛していると言うのが真実でしょう。 マイロン・ショールズは現在「流動性とリスクの移転サービス」と称してαでもβでもないΩ:オメガを源泉にヘッジファンド、プラチナ・アセット・マネジメントを経営して成功しています。 この本はそう言った姿を17人のCapital Ideaの伝承者達へのインタビューを通じて語ってくれています。

自らヘッジ・ファンドを運営し29歳の若さでMITの終身教授となったアンドリュー・ローは本書の中で、経済学は科学では無いとして歴史的な視点を重要視しています。行動ファィナンスの現実への応用にも懐疑的で、投資家はその人が経験した相場によって、起こりうる結果についての主観的な確率分布は異なってしまうと言っています。

また効率的フロンティアで有名なマーコビッツは現在JLMSimと言う非同時的・不連続イベント・シュミレーターを使って箱庭的な世界の中で精緻な実験を繰り返しています。 例えば総ての投資家が平均=分散分析を行なうとして、過去のリターンから期待リターンを形成すと言う仮定(現実によくある仮定)でシュミレーションを行なうと爆発的な(とんでもなく暴騰してしまう)結果になると言う具合です。 まさに効率的市場仮説はそれを母体として進化を続けているのです。

バークレーズ・グローバルの記述ではフレデリック・グラワーやパトリック・ダンが登場し、懐かしさが込上げてきました。 この本はもう一度投資に対する考え方を原点に戻してくれる力を持っています。

普段、お客様にアセット・アロケーションのアドバイスをする仕事についているような方にとっては読むべき本であると思います。故バーンスタイン氏の「証券投資の思想革命」、
リスク (日経ビジネス人文庫)」も併せて強くお勧めします。

EMH=Efficient Market Hypothesis:効率的市場仮説

2009年11月1日日曜日

週足 日本株 091030


日本株の方は円高の影響で既に峠を越しています。
9000円近辺がターゲットでしょう。

日経平均

米国金曜日引けが反映されていませんが、一目均衡表の雲の下限はサポートになりそうもありません。

日経平均一目均衡表 日足

為替、円ドルは日本(世界中だけれども)の財政赤字問題が国際的にクローズ・アップされたので円崩壊シナリオが囁かれ、その少し前にあった1ドル=50円の話は一旦中止となってしまいました。
それでも併行してドル崩壊のシナリオもあるのでどっちつかずの状態になっています。

危機感が強まればまたドル回帰もあるでしょうがドルインデックスの下降トレンドが変わった訳ではありません。

ドルと言う通貨を一体何と比較すれば良いのか?
と言う事でドルの相場として金が注目されています。
テクニカルには上にブレークしています。
今週の日経ビジネスは1ドル50円がテーマ。
¥のマークも中国ユアン(元)にいつか取って替わられるかもしれないとあります。

80円レベルまでは気長に待ちましょうか。

金価格



週足 米国株 091030


先週はテクニカルにターニングポイントを迎えました。
これまで日足ベースではきわどい局面もありましたが週足はしっかりと保たれてきていましたが先週金曜日さえしっかりしていれば相場は継続したのでしょうが金曜日の下げが効いています。

SP500

金融株では日足ベースで三尊天井をつけた。
尤も今年の三尊天井ネックライン割れはダマシも多かった。

金融株指数

米国主要金融株
GSの決算もトレーディングが源。
株も債券も収益の上げ易い環境が続いてきましたが、今後はそうも行かないでしょう。

Aaa格、Bbb格のスプレッドもここまで順調に縮小。これ以上は?


ヘッジ・ファンドも今年は稼げて余裕があります。
リーマンショックの頃は07年からジリジリとパーフォーマンスが圧迫を受けもう我慢の限界まで来ていましたのでビジネス上の限界での投げも多くなったと考えています。

昨日もたまたまクォンツ系のFMと立ち話をしましたが今年は投げは無いねと言う同じような見解でした。
皆が同じで、ここでは結構弱気。 一致は気になりますが無理をするインセンティブは高く無いでしょう。

任天堂DS ill


チャートも見ての通り随分と安くなってきました。
23,000 -1,180 -4.88%

任天堂<7974.os>:Wiiの不振で今期営業利益予想を下方修正

[東京 30日 ロイター] 任天堂(7974.OS: 株価, ニュース, レポート)は29日、2010年3月期の連結営業利益予想を前年比33.4%減の3700億円に下方修正すると発表した。従来予想の4900億円に比べ、24.4%の下方修正となる。据置型ゲーム機「Wii」の値下げと販売数量の下方修正が響く。トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト19人の予測平均値4291億円を13.7%下回った。

 同社は10年3月期のゲーム機販売台数計画で、「Wii」の販売台数を当初計画の2600万台から2000万台に下方修正した。一方、携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」は3000万台の当初計画を据え置いた。11月21日に「DSiLL」を小売希望価格2万円で発売する。為替の前提を1ドル=100円から90円に変更したことも業績の下ぶれ要因となった。

 売上高は従来予想を16.7%下回る1兆5000億円に、経常利益は同26.0%マイナスの5000億円に、当期利益は同23.3%マイナスの2300億円に下方修正した。2009年4―9月の連結営業利益は前年同期比58.6%減の1043億円になった。通期予想に対する進ちょく率は28.2%。前年同期の通期実績に対する割合は45.4%だった。


しかし新製品DS illの発表は成長期待を煽る夢の部分がもの足りない。

今回のDS ill は名前のillも不評なようですが、画面大型化に伴う価格上昇とWiiと同額の価格設定、200gから300gへの重量増加がどうもしっくりきません。

マーケッティングの結果、老眼の潜在ユーザーをターゲットに。漢字ソフトなど教養系のソフトで教材用ニーズに対応するような感じも受けますが、夢見る投資家には中途半端に映ってしまう事でしょう。  つまり期待が大きかった部分少しがっかりが本音ではないでしょうか。

株価は安く、業績が極端に悪いと言う訳でも無く配当性向も決まってますから下値不安は確かにあまり無いと思います。

では夢見る投資家は何を期待しているのでしょうか?
素人考えですから滅茶苦茶書きます。

iPhoneがゲームも取り込み始めました。はっきり言って ill も電話機能がついていれば300gでも許せる、また価格面でももう少しパーツを奢って5万円でもいけたのではないでしょうか?

液晶が2枚入っているせいで重量の問題は理解できますが、やはり鞄にDSとiPhone2台はきつい人も多いのでは無いでしょうか?

ありきたりで申し訳ないですがドコモと組んで電話機能を付加、ツィッター的なミニブログサービスも増えてきそうですからいけるのではと普通誰でも思うのではないでしょうか?

液晶2枚は組み合わせてキンドル的に使えば文庫本サイズなら行けそうです。 まあ多分それくらいの事は考えているとは思いますが。

株を買うのはそのタイミングでギャップ・アップで初動を取り逃がしても構わないやと言う考えに落ち着きそうです。

PS 今はやりのコナミのラブプラスのユーザーは大きい画面は大歓迎のようです。