2009年11月30日月曜日

確定給付年金  年金⑨



昨日11月29日付け日経朝刊1面「市場激震:揺れる企業」では年金の積立不測が取り上げられています。 ここのところGMやJALで随分と馴染みが深くなりましたが、バブル崩壊以降この問題は連綿として続いており、今回の市場激震で俄かに登場した問題と言う訳でも無く、むしろ2003年以降の好調だった株式市場が何と無く問題点をボカしていたと言ったほうが正しいのではないかと思います。 記事では上場企業は運用成績が想定を下回るとその分を一定期間内に費用計上しますが、大和ハウス工業は毎期一括計上するとあります。 2009年3月期が315億円の費用計上、今期は9月末まで運用がプラスだったが、云々、つまり多分これは主に内外の株式市場次第と言う事でしょう。

上場企業の09年3月期末時点での年金積立不足は14兆円、今期の予想経常利益(12兆円)を上回るとあります。

この積立不足問題は受給資格者の財産権の問題などがあって軽々しく発言するのは勿論問題だとは思います。 しかし一方で現実の現象面から見て、企業活動の上で経営の限界を超え始めているとも言えるのでは無いでしょうか? あるいは相場が悪いだけとも言えますが、相場が良くなる保証などありませんし、これまで行なわれたそうした先延ばしが問題を大きくしてしまった事は否めないと思えます。 本業が家を売る会社であるはずか、ベンチマークとなる資産クラスのリターンが悪い中、運用益を追求しなさいと言う命題も背負わされてしまっている。 コンサルタントや専門家の意見を聞いて例えベストなアセットミックスで行動を取っても不足は発生し、本業で稼いだ利益が持っていかれてしまう。 約束してしまった予定利率。 昔みんなが5%と言うし、5%ぐらいなら大丈夫そうだと決めた予定利率。 あるいは4%だったり3.2%だったりしますが、 幻を追いかけてもしょうがないと思います。 企業側に労働者から搾取しようなどと言う意図は全くありません。

実はこうした問題に対処する為に2001年に確定拠出年金、2002年4月に確定給付年金が「確定給付企業年金法」の施行によって、減額の要件が緩和された制度が導入されています。

このグラフは信託協会が発表している年金信託受注残高なので、実際の統計に出てくる年金資産残高とは一致しませんが傾向が見てとれると思います。

年金信託受注状況

退職給付債務で企業を苦しめているのは、適格年金(2011年廃止)と厚生年金基金(厚生年金では無い。)なのです。

このグラフには確定拠出が入っていませんが、集計自体が同じ表には組み込まれていません。 年金の世界は非常にデータの取り難い世界となっております。

ここでは確定給付が増えていること、つまり厚生年金基金や適格年金から移行してきている様子を掴めればと思います。

さて実はここでまた話がややこしくなります。

厚生年金基金や適格年金って確定給付では? 

そうです。 本日11月30日の日経朝刊 平田論説委員長のコラム 「核心」は「企業年金の軟着陸いかに」「減額は受給者の意向尊重を」と提言していますが、ここでは「確定給付年金」と言う用語の使用を完全に混乱しています。 厚生年金基金や適格年金は機能としては確定給付年金ですが、「確定給付企業年金法」における確定給付年金では無いのです。  ややこしい話ですが、説得力が大きく減退してしまいます。

年金用語の定義付けが人間の感性にマッチしていないのです。 マックのパソコンやiPhoneのインターフェースの正反対だと思えば理解しやすいでしょうか。

公的年金の世代間不公平や、若者の非正規社員比率など世代間格差が問題になる中、この年金問題は比較的恵まれた大企業に勤める若者達に課せられた世代間不公平の問題でもあります。 財産権の問題と、現実にはありえない想定リターンの問題。 いつまでも悪い相場は続かないと先送りするかどうかの問題でもあるのです。

常識から判断すれば早めの処置が被害を小さくする、あるいはダメージをコントロールできると言う事だけです。

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