2009年12月31日木曜日

証券詐欺の古典的手法


今年も今日で終わりです。
何か気の効いた事でもと思いましたが、最近考えている事をきままに。

証券詐欺の最も古典的な手法にダイレクト・メールによる次のようなものがあります。大概の詐欺の本には出てくるものです。

今であればインターネットメールがありますので昔よりずっと安く簡単に出来るようになっていますし、皆さんも多分たまに似たようなメールを見かけるのでは無いでしょうか。これは詐欺と言えるのかどうかもわかりません。

先ずゴルフ会員権でも、何かの学会の名簿でも、同窓会名簿でも何でも構いません、裕福な層の名簿である必要はありません。

ここでは取り敢えず1万人分としましょう。

次に特定の銘柄に目をつけます。
あまり馬鹿げた銘柄は適さないでしょう。
屁理屈のつけやすい銘柄。派手に上昇して新値更新しているような銘柄。
例えばアップル(AAPL)としましょうか。
PEは33倍ありますが、新型タブレットの発売も予想され、材料は豊富です。

もちろんファースト・リテイリングでも構いません。

1万人に対しアップルの1ヶ月後の株価見通しを2種類、上がるか、下がるかで5000人ずつメールします。細かい目標値段は書かずに軽いファンダメンタルス分析+もっともらしいチャート分析が良いでしょう。

1ヶ月後には見通しの的中した5000人に対してまた、上がるか、下がるかで2500人ずつメールします。もっともらしい分析をつけて。

次は1250人ずつ。この時にはメールを受け取る人から見れば読んでくれていたとして3ヶ月連続で的中している事になります。

さらに625人ずつ。 4回的中。

半端ですが312人、 5回、

このあたりから番号があれば、電話を掛けて有料会員制投資情報の勧誘を始めます。

156人 6回的中。

78人 7回連続的中。 神がかりですよね。

毎月これを繰り返して同様のスキームを6セットほど動かしておけば毎月70~80人程の新規会員から1人5万円。1人当たり沢山取ると訴えられたりしますので金額は少額にしておきます。

騙したのはキャッチの部分だけで後は真面目に分析します。金商法の問題もあるので投資顧問をせずにニュースレターの発行だけに押さえておきましょう。

一度キャッチすれば後は東洋経済やダイヤモンド、ZAI、ブログなどから適当な銘柄、記事を貼りあわせてレポートは綺麗にしておけば良いでしょう。
たまには優良なブログを真似て政治、政策にもの申しても良いでしょう。

平均6ヶ月購読として80人 x 5万円 = 24百万 / 月。

まともな投資顧問会社とそれほど情報の質は変わらなかったりするわけです。なにしろ真似する訳ですから。

ありがちな企画ですね。
良い子はマネをしてはいけませんし、実は一番重要なところは省いておきました。
どうしても知りたければ会員になって下さい。 笑。


実はこの事は別の事実も示唆しています。
1万人もいれば皆が適当に(あるいは真剣に)やっていてもパーフォーマンスの良い人は必ず出てくると言う事でもあります。


様々な学説や分析手法に完全なものはありません。複雑な市場を少しでも解明していこうと言う事で仮説を立て分析して行くのです。

個別の銘柄で当てはまらないものがある。 当然です。 だからこそ塊にして分析していきます。


効率的市場仮説(EMH)では今ある価格には総ての情報が織り込まれている。 従って超過収益を得られるような特別な情報は存在しない。
EMHはおかしい。そんなのは当たり前です。バッフェトさんが運だけで目立っているとは考えられません。

しかし一方で有用な実務的指針も提供してくれています。

株式市場が存在し、パッシブとアクティブがあるとすれば、両者が市場を形成している訳で、パッシブはインデックス投資をしているとして、それが抜けても残りはインデックスだからです。 アクティブの平均はインデックス。

こうなるとアクティブもインデックスからコストを差し引いた分が成果と言う事になりますから、一般に運用コストの安いパッシブが有利と言う理屈です。

手数料の差が1%あれば長期投資では大きな差になってしまいます。 手数料の差は無リスクの金利と同じように複利で確実に影響を及ぼします。

2%の手数料で株式市場が全く動かなかったと仮定して10年では、(1-0.02)^10 =0.817 小さくはありません。 100万円の投資をしたら10年で約20万円も運用会社や販売会社に支払う事になります。

少し話がそれてしまいました。EMHに戻しましょう。

今ある資産構成が一番理にかなってる(効率的)として、インデックス投資は選択されています。

ではアセット・アロケーションはどうでしょうか?

このブログでは日米の個人金融資産を何度か紹介してきましたが、市場が効率的であるはずなら個人金融資産の各アセットの配分も効率的であるはずです。

預金が多い。 確かにデフレ下では理にかなっているのかもしれません。 高齢者が多い。 などなど反対理由も沢山ありそうです。

来年はそんなあたりも少し考えてみたいと思います。


今年このブログを通じて買って頂いた本です。多くてもせいぜい3冊程ですが、
上位は、

ブラック・スワン ニコラス・タレブ
21世紀の歴史 ジャック・アタリ
ジェシー・リバモア 両著とも
アメリカ後の世界

原書ではToo Big To Failも一冊お買い上げ頂きました。

今年は色々な方に紹介して頂き読者が増えました。ありがとうございました。
来年も宜しくお願いします。



良いお年を。



追記:これは詐欺ではないじゃないかとメールを頂戴しました。

最後の信頼を得たところで騙す行為がありませんから、異常に熱心なセールスとあまりかわりませんよね。


関連エントリー


2009年12月29日火曜日

シミュレーション GPIF 国民年金基金 (訂)


ツールが揃ってきましたので、ここで使ってみましょう。
但し、未だ間違いがあるかもしれない事を前提において下さい。

実際にスプレッド・シート上の計算ミスがありましたので訂正しておきます。2月21日

ミスの内容は末尾にあります。 またシミュレーションの手法(対数収益率の計算方法)が以前のエントリーと変わっていますのでその点もお断りしておきます。

年金積立金管理運用独立行政法人、通称GPIFは平成20年度の業務概要書において資産マトリックスを公表してくれています。

そこには以下のように、期待収益率、標準偏差(リスク)、相関係数が提示されていますので、全体ポートフォリオの期待収益率、標準偏差(リスク)は計算する事ができます。

計算の仕方は単純ですが項目が多い為間違いやすいので、表にしておきました。
発表されているのが相関係数ですから共分散のデータに変換します。

期待収益率はそれぞれの期待収益率にウェイトをかけたものです。
標準偏差はポートフォリオ計算のお馴染みの式で、シートの下の式を足しあわせたものの平方根になります。 クリックすると大きくなります。


ここでは期待収益3.47%、標準偏差5.86%となり、シャープレシオは3.47%÷5.86%=0.59となります。

ここでも注意が必要なのは、GPIFの期待収益率にはインフレ率が1%乗っている事ですが、今回はこれを考慮に入れずに単純に月次20年間のシミュレーターにかけてみます。


複利計算では100スタートの20年後は3.47% x 20年で (1+0.0347)^20=198が中央値、平均値は204になってます。

また一番出現頻度の高い最頻値は185。std-1の153からstd1の255の間に収まる確率は68.26%、運がよければ329以上も2%程度の目があります。


次にGPIFのデータを借用して国民年金基金の資産配分を適用して見てみましょう。 国民年金基金では外債をヘッジあり、なしで分けていますが、相関係数等のデータが無いので両者を一つの外債として計算してあります。 また国民年金基金は独自で期待収益率を持っていると思いますので、これはあくまで参考データと言う事です。  同じように計算すると、期待収益率は4.12%、リスクは9.862%でシャープレシオは0.417とGPIFに比較して低くなっています。


GPIFと比較してそれほど大きく変る訳でもありませんが、比較すると上値の可能性を秘めています。 中央値が224、平均値は245です。グラフを見比べて下さい。


この2つの20年後の比較が以下のシミュレーションです。

これは1万回のモンテカルロ・シミュレーションです。
国民年金基金は期待リターンを上げた分、リスクが高くなり上値を狙いに行っています。

これら両者は単純に比較して優劣を決めるものではありません。 キャシュの引き出しのタイミングや元本確保の重要性等も考慮に入れる必要がありますので、それに応じたアロケーションになっているはずです。 20年後の元本割れの確率はGPIFが0.4%、国民年金基金が2.7%になっています。


間違いの部分ですが、下の図のように外国債券のリスクの2乗とウェイトの2乗の積算が和算になり、数字が大きき出ていました。 したがって随分とリスクが大きくなっていた事になります。  訂正しておきます。




以上

2009年12月28日月曜日

2010年の相場


整理の意味も込めて来年の予想を考える時期になりました。
各社各様にレポートが出てきてますが、自分なりにまとめておこうかと思います。

閉塞感に満ちた日本経済の対比として世界経済、とりわけ米国経済が株式指数の上昇に伴ないあたかも力強く回復するかのような気分もありますが、私は今でも疑問が残っています。 各社の来年度見通ではGDP成長率で2.3%、経済対策効果のピークが年前半で、遅行指標である失業統計もピークを打つが、家計のバランスシート調整から個人消費は緩慢で回復力は強く無い。 と言ってしまえばそう言う事なんだろうと思います。 米国は景気対策もさる事ながら、予算執行の前に景気は自律的に回復基調に戻っていました。 これはドル安政策によって競争力を上げた事が大きな要因だと思います。 反面日本ではただでさえデフレで苦しんでいるところに円高が打撃を与える形になりましたから、彼我の株式市場の差は歴然としてしまいました。

個人の住宅ローンを中心とする借金を政府が肩代わり、財政赤字の拡大が問題化する中で、今般の景気回復、多分に株式市場の回復から既に出口政策が視野に入り始め、金利上昇からドルの買戻へと動いているところだと思うのです。まさにその御陰で日本株が円安から急激に戻す事となりました。

さて私の疑問と言うか、少し楽観視しすぎではないか、あるいは今後の不安要因は、米国金融システムだと考えています。 ウォール街の高額ボーナスや政府からの資本注入の返済等々景気の良い話が続いてはいますが、イメージとうらはらに、例えば商業用不動産。


これに関連して言うならば、証券化商品は実質上時価評価をせずに処理がすすんでいましたが、商業用不動産に関しても担保債権の評価にあたって無視しても良いと言う方針が10月末に出ているのだそうです。(これは証券レビユー49-12での武藤さんの発言です。10月末近辺を対象にニュース検索をかけましたがリリースそのものは見つかりませんでした。 この時期はソロスやロスが警告を発する記事ばかりが目立ます。) ニュースが見つからない以上100%確信している訳ではありませんがキナ臭いと感じている訳です。

これを前提に日本でのケースも含めて考えると不良債権に圧迫された金融セクターから資金が循環する訳はないと思います。従って回復には限度がある。また一方で財政規律の問題があるとすれば2番底に落ちそうな懸念のある時は対策が講じられるにしても、回復してもそこそこであり、現状の株式は回復部分を少々先取りしているのかなと考えています。

日本株は極端な円高からの回復が見込め、これまで繰り返されてきた輸出企業の予想収益上昇期待から、円高の戻りがゆっくりである分しばらくはしっかりとした展開にななると思います。設備投資やその他経済指標に見るべきものはありませんから、米国景気回復に影響を受けながら2003年からの相場のミニチュア版であって、本格的なものであるとは思えませんが。 円建てで見ればドル高下で不良債権問題を抱える米国株よりはリターンは高くなると考えています。

中国は様々な問題を抱えていますが、来年も8%前後の成長が見込まれています。 私は上海万博と言うよりも、2012年の共産党大会、指導者層の入れ替わりがひとつの節目と考えています。ポピュリズムと同じ事で地方で候補者たちが政策競争を展開していますので、そこまではむしろブレーキをかける方が先行気味になると考えています。 米国の出口戦略の思惑に金利高、ドル高にシフトするならば、円キャリーの復活とともに余剰資金は相変わらず世界を駆け巡る事になると思いますので、2012年頃迄は紆余曲折を経ながらも暫くは強い展開となるのではないでしょうか。 それ以降には、高齢化問題や長く続く大卒氷河期問題など、支払われるべきツケは溜まっていると考えます。


以前に情報カスケードと言う考え方を紹介しましたが、世界的に知識層にベスト・セラーになった書籍は金融市場のコンセンサス形成に影響を与えます。その中でジャック・アタリの21世紀の歴史で指摘のあった超国家と言う概念は個別株選定に大きく応用できるのではないかと思います。サッカーのFIFAは国家の規制は受けません。FIFAの言う事をきかない国家はワールドカップに出なくて結構と言ってしまえば、たとえそれがアメリカであっても相手にする必要は無いでしょう。

今回の金融恐慌の最中にもグーグルやアップルなど国家と言う単位を超えた企業は収益を伸ばし続けています。 トヨタもそうではないか?と言う人もいるかもしれませんが、トヨタでなくとも車は走りますと言う点が代替可能なのでしょう。ちょっと妄想めいていますが、そうした可能性を持つ会社として来年のどこかで任天堂あたりが何かやらかしてくれないかな?と漠然と考えております。

まとまりがありませんが思ったままに。

追記:10年ぶりぐらいにファィナンスの本を漁りました。 シャープのファィナンスでは第1章が連続複利による先物価格計算だったと思いますが、久保田敬一「よくわかるファィナンス」やツボィ・ボディの「証券投資」などではむしろオーソドックスなアプローチだなと感じました。資産価格理論の本を一冊。 多分読まないような気がしますが辞書替わりに購入しました。 また機会があれば紹介します。


ボラティリティの話 4 は訂正しておきました。 また月次シミュレーターも作り替えておきましたので興味のある方はご参照下さい。

2009年12月24日木曜日

汎用シミュレーター


クリスマス・イブの夜に何ですが、今日は少しマニアックな話です。

ボラティリティ・シリーズを何気なく書いてしまい、気軽にシートでシミュレーションしておりましたが、やはり勘違いとか知識不足とかが多い事に気がつきました。
吊られたおとこさん、ありがとうございました。

連続複利収益とか当たりまえに知っていると自己認識していましたが、さすがにシミュレータを作るとなるとごまかしが効きません。
特に「ボラティリティ-は√T で増加する」とかの刷り込みは、連続複利の世界である事と混同しシミュレーターの数字が出る度にろくに確認せずに数字の間違いだなどど断じて棄ててしまう有様で随分無駄な事をしてしまいました。

でもまあ汎用的なものができましたので、少し見ておきます。

価格生成にはBox-Muller型も両方とも実験しましたが、同じ乱数から少しの手直しでNORMINV関数と一致しましたので、コラムを消費するBOx-Mullerは使用する必要がなくなりました。

またそのプライス・チェックの過程で、理論値とのチェック機能も付加しておきましたので、間違いを発見しやすくなっております。

では先ず、5年間、収益率0%、ボラティリティ30%と15%の場合の比較、
5年後の価格分布、1万本のシミュレーションです。
クリックすると大きくなります。


ボラティリティの高さによって元本割れ確率が大きく変わります。

価格はいくらでも入力可能ですが、投信を意識してグラフエリアを0円~3万円にしてあります。
左上の太字が入力エリア、左下コラムは実測値、右は理論値と実測値を比較できるようにしてあります。

多分大事なのは元本割れ確率と中央値、最頻値だと思いますが最頻値の実測値は価格を100円刻にしてありますので、正確には出ません。 またグラフを見てもわかるように試行回数1万回では足りないようです。

次に10年間で収益率は0%、ボラティリティ20%、証券1は手数料50bps, 証券2はアップフロントで3%とられて、毎年200bps取られる場合です。
ちなみに証券2の元本とは9,700円の意味です。


次は上記と同じ条件でアップフロントの無いケース。



ここでも元本割れ確率や各種数字に大きく影響が出ます。

まあ手数料に関してはまた別の機会に書こうかと思っていますのでこのくらいで。


実はこのシートをダウンロードできるようにしてチェックしてもらおうかと思いましたが、Bloggerはその機能がありませんでした。
FC2でできますが、500KBリミットで無理でした。
どなたか良い方法を教えてもらえれば。

落ち着いたので質問歓迎します。
Porco


ベルヌーイの警告


暮れもおしせまり、もうすぐお正月です。

友達とこたつに入ってTV三昧。
最近は同じタレントばかりですから、番組間の違いもわかりませんが、こんな会話。

一郎:「おい、暇だから賭けしない?1万円ぐらい持ってるだろう。」

由紀夫:「良いけどどんな賭け?(本当はもっともってるけど)」

一郎:「バナナマンかナイツかどっちが先に映るか。 勝ったら5000円相手から貰う。どうだ?」

由紀夫:「うーん、一郎ちゃんは賭けしたいんだ? 僕はそれほどやりたくはないなあ。何故やりたくないか説明するよ。」

由紀夫「ベルヌーイって知ってる?」

一郎:「ベルヌーイの定理なら聞いた事はあるけど、中身は知らないよ。何の関係があるんだよ。」

由紀夫:「うん。 エネルギー保存の法則で有名なんだけど、実はリスクに関しても著書があるんだ。

そこでは現代風に言うとこう説明している、

お金の価値は金額では無く、どれだけ大事(効用)かで決まる。
例えば1万円しか無い僕たちとビル・ゲイツみたいな金持ちにとっての1万円の価値は違う。

既に5億円持ってる人が宝くじで3億円当たるのと、5000万円貯金がある人が3億円当たるのでは金額は同じでもその人にとっての有難みが違う。

グラフにするとこうなる。」

一郎:「なるほど、さすが理科系だね。」

由紀夫:「このグラフは対数の形だよね。










対数で計算すると、
有難みの大きさは、エクセル式で表すと、

5000万円の人が 1.94591=LN((50+300)/50) 百万円単位

5億円の人が    0.47000=LN((500+300)/500)

因みに10万しかないと、8.517393=LN((0.1+300)/0.1)

こんな感じだ。」

一郎:「じゃ、もしオレが宝くじに当たって、同時に金持ちも当たってて、そいつが嬉しいなんて言ってたら、オレはお前の20倍ぐらい嬉しいよと言えるワケだ。」

由紀夫:「そうとも言える。」



一郎:「しかし、一体何の話をしてらっしゃるんですか。賭けの話だったろ。違いますか? ちゅうの。」


由紀夫:「そうそうごめん怒らないでね。賭けの話でした。 

1万円があって勝てば5000円もらえて、負ければ5000円なくなる。 15000円と5000円どちらも50%の確率だから、

期待値は1万円だ。 今2人とも1万円ずつ持ってるので、賭けをしても損得は無い。 本当かな?
ちょっとどれくらいハッピーかで見てみよう。

さっきのグラフを思い出して、対数で計算すると、
1万5千円 = LN(15000) = 9.62
1万円 = LN(10000) = 9.21
5千円 = LN(5000) = 8.52

勝つと 9.62-9.21 = 0.41 儲かる。 
負けると 9.21 -8.52 = 0.69 損する。

ほら、やっぱり賭けなんかするとお互いに何か損するんだよ。 やめとこうよ。」

一郎:「何かしっくりこないが、やめておくか、損するんじゃな。」

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ベルヌーイはこれを「博打を避ける自然の警告」として説明しています。

この博打の価値を確実性等価で計算すると、

LN(確実なペイオフ)=LN(勝った時の金額) x 勝ちの確率+LN(負けた時の金額) x 負けた時の確率

確実なペイオフ= exp(LN(勝った時の金額) x 勝ちの確率+LN(負けた時の金額) x 負けた時の確率)

8,660円 = exp(LN(15000) x 0.5 + LN(5000) x 0.5)

と言う事でした。大切な1万円と取り替えたりできないですよね。

しかし、どこかで見た数字ですね。

The Portable Financial Analyst より、今もう一度勉強中。

ではまた




2009年12月21日月曜日

EGRP Expected Growth Rate of the Portfolio


昨日のボラティリティの話 6 の続きです。
ボラティリティの話 と併せて読むと良いと思います。

Expected Growth Rateに関してあまりにも軽く書きすぎたかなと、昨日のエントリーの後反省しましたのでもう少ししっかりと書いておきます。

結論から言うとこのツールは簡単でとても有用です。 投信だけでなく高ボラティリティの株をトレードする人も知っておくと便利だと思いますよ。

長期投資は儲かるのか?

有価証券の期待収益率(つまり年率どれくらい儲かるか?)を提示された時、あるいは自分で計算した時にリスクや時間を考慮しないでそのままの数字を真に受けて良いのでしょうか?

例えばセールスマンなりFPがよく長期投資のアドバンテージおよび複利効果みたいな話をします。 それはそれで長期投資はとても有利ではあるのですが、実際にお話ほど儲かるのでしょうか?

「このファンドは7%で成長します。 長期投資さえしてくれれば10年間では、 10,000 x (1+0.07)の10乗 で19,671円と約2倍になるのです。」 などと説明を受けた方も多いかと思います。 簡便法では利回り x 年数が70%になると約2倍になります。 これが複利効果ですよね。
しかし実際には普通の人は16,467円にしかならないのです。


ボラティリティの話 3 では日経平均を収益率で計測してあります。 細かい数値はありませんが収益率が正規分布する時、証券価格は対数正規分布になる事だけ把握してもらえればと思います。 (正確には対数収益率で計算する必要がありますがわかりにくくなるので単純な収益率を使用しています。)

これは何を意味しているかと言うと、期待した収益率に対して実現する収益率(中央値)は確率的に低い事を意味します。証券価格の山のピークが左に移動しているからです。

簡単に言えば一番ありそうな収益率。ちょうど運不運が普通だった時の収益率(中心値)はリスクの量や経過年数によって影響を受けてしまい考えていたよりも低く出ると言う事です。

上記の7%、10年の例で言えばなかなか簡単には2倍にはならないよと言う話です。(後ほど実験してあります。) もちろん満期保有の確定利付証券で為替や破綻のリスクが無ければこの影響は受けません。

具体的には?

具体的にリスクや時間経過から受ける低下分を計算するには正規分布上の収益率を対数正規分布上の収益率(連続複利収益率)に換算し分布の中心値を求める必要があります。

連続複利収益率=(収益率の自然対数-((リスク÷収益率)の2乗+1)の自然対数の2分の1) x 時間(年数)になります。

見ての通り、通常の収益率とは異なりリスクが分子に入った項がマイナスなので、リスクが上昇すれば収益率は低下します。 しかし簡単に計算できる訳ではありません。

Expected Growth Rate

そこでこの計算の簡便法がExpected Growth Rate なのです。 期待成長率と翻訳しても良いのですが、他にもこの用語は使用されますので、正確に言えばExpected Growth Rate of the Portfolio である事からここでは頭文字をとってEGRPとしておきます。

計算法は簡単です。
期待収益率0で、20%ボラティリティの証券が、最初の年に20%上昇し、翌年-20%下落したとしたら、

10,000 x 1.2 x 0.8 = 9600円になります。 2年で4%の減少です。

さらに4年では、

10,000 x 1.2 x 0.8 x 1.2 x 0.8 = 9216円 これは9600円に96%を掛けたものなのです。

つまり2年で x .96 倍ですから10年では5回かければ良い事になります。

10,000 x .96 x .96 x .96 x 96 x .96 = 8153.7円 

これが分布された収益率の中心値に近くなります。(一致はしません。)

つまり一般に期待収益率が予想されない時、リスク(標準偏差)20%の証券を保有していると10年で20%近く損をする人が普通の人と言う事です。

期待収益率がある時には、リスクに足してやります。
期待収益率7%、リスク20%なら、1年目は+27%、2年目は(-20%+7%)=-13%を交互にかけます。
10,000 x 1.27 x 0.87=11,049 ですから 2年で10.49%。 1.0149 を5回かければOKです。
10,000 x (1+ 0.1049)の5乗=16,467円になります。 やはり10年たっても2倍にはならないのですね。


実験

すこし実験をしてみました。
先ずは期待収益率を固定してリスクを増やしていき4年後の期待収益と中央値(分布の真ん中の値)を比較します。
証券価格は投信と感覚をあわせる為当初1万円としておきます。

EGRPは上記の簡便法、中央値は証券価格の対数正規分布から導かれる分散の中央値(つまり運不運の真ん中の状態)、期待値は期待収益率、Compound rate は連続複利収益率です。ここでEGRPと中央値が近似していればこの簡便法は使えると言う事になります。
クリックすると大きくなります。

実験1 期待収益率0%の場合(4年後)

実験2 期待収益率5%の場合(4年後)

実験3 期待収益率10%の場合(4年後)

次に期待収益率とリスクを固定して経過年数毎の動きを見ます。
EGRPは±を交互にかけますのでギザギザになりますが低い方が計算上の中央値と一致します。

実験4 期待収益率0% リスク20% 

実験5 期待収益率7% リスク20% 上記の例

実験6 期待収益率0% リスク40%

実験7 期待収益率40% リスク40%


結論

EGRPは使えると思います。
長期投資で複利の話が出たら思い出しましょう。

リスクを見たら+で掛けてマイナスで割ってやる。

非常に便利なツールです。

ではまた。

注)1.収益がlognormalityの仮定に基づいてます。
2.中心値について詳しく知りたい方はイーノさんのファンドの海に詳しくやさしく書かれています。
  3. ここでのExpected Growth Rateは、The Intelligent Portfolio: Christopher L. Jones 2008を 基にしています。

2009年12月20日日曜日

ボラティリティの話 5


今日は1日じゅうエクセルに向かってしまいました。

先ず12月10日のエントリー「ボラティリティの話」ですが、これは昨年発刊された、The Intelligent Portfolio by Christopher L. Jones の本に出てくる話なのです。(p136 Expected Growth Rates) ジョーンズはウィリアム・シャープ博士の愛弟子で、ビジネス上のパートナーでもあります。 未だ日本語版は出ていませんし多分出ないと思いますが、米国では結構売れてるようです。

何故ここで初年度が+20%で翌年は+20%の収益率の正規分布を使用するのか?

実はここから得られる数値はExpected Growth Ratesと言う用語で呼んでいます。 日本語では未だ見かけませんが期待成長率とでも言えば良いでしょうか。

つまりセールスマンやFPの方が期待成長率は7.5%であると仮に言ったとします。

しかしこれは本当に7.5%もあるのであろうか?
この期待成長率は実際に投資してみて7.5%が出るのだろうか? と言う疑問に対する簡便な答えの出し方です。

予想収益(期待収益では無く)はご存知のようにリスクによって変化します。
実際にはある一つの値では無く、確率的に分布された状態を予測する事になります。

高いリスクでは期待収益を実現する可能性は低くなるのです。

したがってその商品の期待収益が0(つまり上がるか下がるかわからない)状況で標準偏差が20%であれば、+20%、-20%を順番はどうでも結構ですから掛けてしまうのです。つまり1.2と0.8を交互に年数分かけます。

すると10年で81.5、これが実は期待成長率にあたり、この値は確率分布の中央値に近似します。
つまりちょうど真ん中の位置に近いと言う事です。

ちょっと計算しておきましょう。 連続複利の期待収益率への計算は、
=LN(1)-LN((0.2/1)^2+1)/2 ですから、-0.01961になります。
ここで 中央値は (1-0.01961)^10 ですから答えは0.820327
十分近いと言えます。 他の数字でも計算してみて下さい。

ですからここでは話を簡単にする為の数字であるわけです。

何を間違えたか? がわからなくて探していましたが大体予想はついてきました。
25年の月次シュミレーションを200本と言うサンプル不足の状態で作ってしまったのが問題を起こしているようですが、腑に落ちないのはやはり期待リターンの数字なのです。  もう少し頑張ってみます。

今日は取り敢えず便利な数値、期待成長率の紹介にしておきます。 前回エントリーでは後々説明するつもりでしたが反応に少々驚きました。

2009年12月19日土曜日

ボラティリティの話 4


前回は少し横道に入ってしまいましたが、私が言いたかった事はボラティリティが高いと儲けにくくなると言う話です。但し、非常に高い値段になる可能性も存在します。

宝くじのように大儲けする人も出てきますが、普通の人は儲かりませんと言う話でした。

下の図は株価10、000円、期待収益率0、15%と30%のボラティリティの株の10年後の株価の確率分布、1万回シミュレーションの結果です。
見ての通り15%ボラの証券1の中央値(1万回の丁度真ん中の位置)が8,926円、30%ボラの証券2の中央値が6,376円になります。
期待収益率が0。 実はオプション計算の時などは0で確率計算します。



次にボラティリティの話 2のエントリーで使用した月次シミュレーションの手法に間違いがありましたので、修正しておきます。

通常の証券理論のテキストでは混乱を防ぐ為に、証券の収益率は正規分布すると言う前提で話を進めていきますが、期間が短い間やボラティリティが低い時などは近似値が出て問題が無いのですが、少し長いシミュレーションになると誤差が大きくなります。 私は誤差を甘く見てわかりやすいように収益率は正規分布すると考えていましたが、25年分のシュミレーションには全く不適切でした。 ここにお詫びして訂正しておきます。

これが新しい月次のシミュレーターです。
そもそもいくつか実験をするうちにわかった事ですが、1万回は300ヶ月のシミュレーションには回数が足りないし、何を表現したいのか?と言う目的に対して適切ではありませんでした。 そこで、シミュレーションの回数は50回程度とし、個別の動きが何とか見えて最終の価格分布がビジュアルに見えた方が良いと言う意味で20年に絞ってヒストグラムをつけてみました。 統計上の計算値は表の左下につけておきました。

先ず20年月次、期待リターン7%、リスク20%の場合を見ておきます。
std2標準偏差2の値は1440円になりますので、グラフの県外に出ていますが、右の分布図を見てもらえれば頻度の高く無い事がわかるかと思います。
中央値は274円、最頻値は138円になります。



次にリスクを10%に落とすと最頻値も298円に迄上昇する一方上値も制限されます。 分布図から見るとばらつきが落ち着いている事がわかると思います。
長期投資の計画にはボラティリティをいかに抑えるかが重要であることを示唆しています。


私も参考書(古いのばかりですが)を漁りましたが、15年程前にマーク・クリッツマンが書き、故青山護さんが翻訳された「数量分析入門」日経、ぐらいしか手元にありませんでした。 ここでは対数正規性について1章割いていますが、普通では分からないだろうなと思います。非常に不親切です。でもこの本はベスト・セラーで米国ではアナリストは皆持ってたものでしたが、どうやって使ってたのか?と今更ながら思いました。


将来の期待収益について話をする時に使用する数字ですが、これは連続複利収益率では無く、通常の平均収益率を使用するとクリッツマン氏も書いております。

ではまた。



追記
過去データを用いて、将来の期待収益率を推定するにはどの平均収益率を使えばよいのだろうか。過去の値がランダムに分布している場合の将来の収益予測値の最良の推定方法は、算術平均を利用する事である。統計的には、算術平均は任意の年の所有期間収益の最良推定値を与える。過去の経験に基づき、今後何年間かの投資の予想値を推定したい場合にも、算術平均を使うべきである。逆に最終価値の確率分布を推定したい場合には、幾何平均を使うべきである。

The Portable Financial Analyst: Mark Kritzman


このエントリーは12月28日に訂正しました。
訂正前のエントリーはココに格納してあります。  参考まで。

2009年12月15日火曜日

竹中平蔵さんへの評価?


未だに成長戦略が見えない民主党が経済成長戦略を策定するため、菅直人副総理兼国家戦略担当相の下に設置した検討チームの初会合に竹中平蔵さんを意見聴取として呼ぶようです。

市場関係者の間では竹中さんへの評価は悪くないじゃないかと思います。なにより金融機関の不良債権問題を解決しましたし、円安効果と言う声もありましたが、その後成長も相場もありましたし、雇用情勢も改善しました。 自殺率や非正規雇用者問題などもそれ以前からの構造問題との認識で規制緩和を基本とする竹中さんのやり方は続けられるべきであったと思います。 どちらかと言えば自民党守旧派の手によって排除されたような印象すらもっております。

そうは言っても意見は人様々でしょうから、一体皆さんはどう考えてらっしゃるのか?知りたいと思いますので簡単なアンケートに協力して頂ければと思います。

投票すれば結果は見れます。
投票終了しました。
結果は以下の通りです。

考えさせられますね。

竹中平蔵の経済政策は成功したと思うか?




 政府は15日午後、鳩山政権の経済成長戦略を策定するため、菅直人副総理兼国家戦略担当相の下に設置した検討チームの初会合を開いた。16~18日に有識者や各省庁から意見を聴き、24~25日に成長戦略の骨格をまとめる方向で作業を急ぐ。16日午前の意見聴取には竹中平蔵元経済財政担当相を招き、報道陣に公開して行う予定だ。
 民主党は、竹中氏が小泉純一郎元首相と進めた経済政策を批判しており、経財相を兼ねる菅副総理ら新政権との間で論戦もありそうだ。
 成長戦略は、2020年までを対象とし、民主党の政権担当期間を念頭に向こう4年間の具体的な行動計画も示す。新政権発足後に経済産業省や国土交通省、総務省などが省内で進めていた検討の成果を土台に、政治主導で政府全体としての戦略をまとめるという。
 「民主党には成長戦略がない」との批判も踏まえ、骨格は年内に打ち出すが、最終的な取りまとめは来年5~6月となる見通しだ。(2009/12/15-20:04)

P.S.アンケート機能を試したい気持ちもあります。

2009年12月14日月曜日

ボラティリティの話 3


コメントで質問を頂戴しましたので、今日はそれについて考えてみましょう。

スクで+20%と-20%をおなじ確率とするのはおかしくないでしょうか?
リスク資産の分布は、ただの正規分布ではなく、対数正規分布かと思います。

これは論より証拠で、実際の相場を計測してみましょう。
日経平均の日次データを1984年1月から直近12月11日まで採ってそれらの日次収益率をヒストグラムにしてみます。

データは米国ヤフー・ファィナンス(^N225)で簡単にエクセルにダウンロードできます。
データ個数はn=6,382。 日次収益率(変化率)から計算された年率ボラティリティは23.2%、リターンは偶然ですが0です。 25年かけて全然上がっておりません。と言うより90年に上がって下がってきてしまいました。

分布図です。背が高くなっていますが、これは目盛りの取り方で変わるので、気にしないで下さい。
クリックすると大きくなります。

真ん中の黄色い線が収益で0%です。紺色が最頻値。 オレンジが標準偏差1、で黄色が2の水準です。
1σは年率23.2%ですが、ここでは日次収益率の0.015が84日あった事を示ています。
厳格に言うともちろん正規分布とは言えませんが、未知のものを予測しようとする時にこの形は正規分布として考えても問題はありません。
左右対称と言う前提でも構わないと思います。したがって20%と-20%の発生確率が同じと言う仮定には問題ありません。

最近良く言われるブラックスワンですが、ここでも何羽も見ることができます。 -10σなどは宇宙のビッグバンからでも一回も起こらないような確率です。
しかし25年間に結構な発生頻度を持っています。

さてここで勘違いしやすいのですが、-10σが出るなんて使い物にならないのでは?
これは日次ですが、さらに時間を縮めて時間足、分足など細分すると、もっと異常値は沢山発生します。ギャップオープン分を分足で処理するとどうなるかは想像できると思います。時間を細かく切ると起こるだけで、これで驚く必要はありません。ですからポート運用などでは月次収益で十分なのです。

収益率は上のグラフは見てのとおり正規分布であって、対数正規分布ではありません。



さて、ここで資産価格、日経平均の株価データをヒストグラムにしてみます。
だいぶ乱れてはいますが、何となく対数正規分布の形をしていますよね。
横軸をLOGにして対数化すると、少し目を荒くしたものが下のグラフです。

かなり崩れてはいますがまだ正規分布の仮定で考えても問題ありません。
つまり資産価格は対数正規分布であった訳です。

ボラティリティ23.2%で、収益0%のリスクプロファィルを持つ無数のものの1つがこれなのです。
シュミレーションで回数をこなす事によって同じリスクプロファィルのセットをいくつも用意し、発生しうるリスクに対する認識を持っておくと言う実験がモンテカルロ・シュミレーションになります。

事後的に収益率は0%でしたが、ボラが同じであればこれは高い期待収益でも十分に起こる範囲の出来事です。


エクィティの期待リターンが仮に8%とすると「毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定して」の方法だと、紙くずになる確率(-100%)と2.08倍になる確率が同じということになります。これは実感としておかしく感じます。資産価かくが2倍強になることはよくありますが、0になることはそうありません。
市場インデックスでも新興国エクィティがある期間で2倍強になることはあっても、0になることはそうはありません。
「毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定して」という方法はマイナスを過大評価しているかと思いますが・・・

期待リターンが8%で、ボラティリティが20%とすると、20%から-20%と言うのが発生頻度の高い標準偏差±1の両端ですから、仮定として不自然ではありません。

少し計算してみましょう。

毎年20%上昇した場合。
計算は 100 x (1+(8%+20%))^年数乗 ですから3年で209.7152になります。

逆に毎年20%下落した場合は、
計算は 100 x (1+(-8%+20%))^年数乗 3年で、68.1472です。

仰る通りになかなか0にはなりません。


以下ついでに日経平均25年間の月次のグラフも載せておきます。
これであれば左端の異常値は166年に一度発生する程度のものです。
正確に正規分布なんてありませんから、計算に拘泥すると間違ってしまいます。

月次収益率

資産価格 x軸は通常

資産価格 x軸は対数

以上です。
御質問ありがとうございました。



2009年12月13日日曜日

財政支出では無く減税


12日のニューヨーク・タイムズのEconomic Viewにグレッグ・マンキュー教授が下記タイトルで寄稿しています。 今後の政策の転機となる可能性の高い記事なので、筋トレ的な意味も兼ねて意訳しておきました。 誤訳等の責任は負いかねますが、それでもよければ参考にして下さい。

By N. GREGORY MANKIW
Published: December 12, 2009



財政支出で成せなかった事を減税ならばできるだろう

あなたは医者で、原因不明の病気に苛まれている患者があなたの診療所を訪ねて来たと想像してみよう。
いくつかの症状はよく診るものだが、それ以外は分からない。これまでにこういった問題点の組み合わせを持った患者は扱った事が無い。

これまでの知見を基にパーフェクトとは思わないが処方薬は考えついた。
患者は処方箋を手に帰り、あなたは処方が効くように願いそして祈った。

しかしながら1週間程して患者は再診に訪れ色々な意味で症状は悪化していると言う。

さてどうしましょうか?
あなたには3つの選択肢があります。

1. 継続。 多分患者はあなたが思うより、重症だったので、薬が効き始めるまでもう少し時間が必要だ。

2. 投薬量を増量する。多分処方は正しかったのだが、量を間違えた。患者はもっと投薬量が必要だった。

3. 処方を再考する。 きっと処方が正しく無かったのだ。多分他の組み合わせが上手くいくのかもしれない。

これらのもっともらしい3つの対処方からの選択は容易では無い。色々な意味で現在のオバマ政権は類似した立場にある。

オバマ大統領が選出された時、経済は病んでいたし、さらに悪化しそうであった。 1月に執務室に入る以前から彼の経済担当チームは問題点をレポートしていた。

レポートによると、もし何もしないのであれば、失業率は上昇し続け2010年初頭には9%に達するだろう。しかしもし国が政府支出を増大する形で7750億ドルの財政刺激策を遂行するならば失業率は8%以下にとどまるだろうと予測されていた。

そして現実にこの大型財政刺激策は議会を通過した。 しかし事態はホワイト・ハウスが考えていたよりも悪化してしまった。 失業率は現在10%であり、政権のエコノミスト達が何もしない場合に到達すると予測した失業率より丸々1%高い水準だ。

確かにいくつか良い兆候もある、信用スプレッドの縮小、GDP成長や失業者数の減少などだ。しかし景気回復は大統領とその経済チームが当初期待していた程には未だに力強くは無い。

それではどうすれば良いのだろうか? 大統領は火曜日のスピーチで投入量の増大に興味のある事を示しはしたが、政権は現状維持を意図している。しかしながら、ここでは多分処方を考え直す方が良い選択だろう。

今回の財政支出案を考え付いた時、オバマ政権はケインズのアイデアの一部をベースとした伝統的な経済モデルを拠り所としていた。 ケインズ理論では失速した景気に活を入れるには税務政策(減税)よりも政府支出の方が有効であるとする。

1月のレポートではこの結論を数値化、 1ドルの政府支出はGDPを1,57ドル引き上げ、一方で1ドルの減税は99セントの効果でしか無いとしている。 

減税よりさらに支出した方が良いと言う事は、成長と雇用促進の為に財政赤字を増加させることも意味する。

しかし最新の様々な研究はこの伝統的な見識は後退気味であると示唆している

ひとつの論拠は大統領経済諮問委員会副議長のクリスティーナ・ローマーから発されている。彼女の夫ディビット・ローマーとの共同研究の下、彼女が現職に就く一月前にUCバークレーにおいて書かれた論文で税務政策は経済活動に強力な影響力を持つ事を結論付けている。

ローマーによると1ドルの減税は歴史的にGDPを約3ドル押し上げる、つまり前出の政権によるレポートにあった数字の3倍であり、これは政府支出効果よりもはるかに大きい。

その他の最新の研究もローマーの研究成果を支持している。ロンドン大学のアンドリュー・マウントホールドとシカゴ大学のハロルド・ユーリックの2008年12月のワーキング・ぺーパーでは、最新の統計解析ツールを米国のデータに適用し、財政赤字による支出、財政赤字による減税、増税による支出、の3つを比較している。彼らはこの3つのシナリオの中でGDP改善には財政赤字による減税がもっとも効果的であると報告している。

私のハーバードでの仲間であるAlberto AlesinaとSilvia Ardagnaはこの件に関して総合的解析を実施した。 10月の研究では彼らはOECD21カ国の財政政策の大きな変化に注目した。 先ず彼らは1970年からの景気刺激政策に関する91の事例を抽出し、政策介入の中から成功したもの、つまり実際に力強い成長を伴ったものと失敗したものを比較した。

結果は衝撃的であった。 成功した刺激策の殆どすべては法人税と所得税の減税であり、
失敗した政策は政府支出の増大に依存したものであったのだ。

これらの研究成果の意味するところは伝統的なモデルはどこか欠陥があると言う事だ。
それは何であるか?と言う手がかりはIMFチーフ・エコノミストのブランチャード氏とミラノ大学のペロッティ氏の2002年の研究成果に伺える。彼らは「増税と政府支出の双方とも民間投資支出に強力なマイナスの効果を持ち、この効果がケインズ理論と相容れ合う事は困難である。」と報告している。

これらの研究成果は税務政策、特に投資減税のように投資にインセンティブを与えるような税制変更がリセッションとの戦いにもっとも適した財政政策であると指摘している。
2008年春に行った一時払いリベートの送付は、消費と生産に僅かにしか弾みをつけられなかったように効果が疑わしい。

我々の医者が謎の病気に立ち向かうように、病んでいる経済をいかに回復させるかを考える時、エコノミストは謙虚で且つオープンな心を持ち続けなければならない。積み上がる証拠は伝統的なケインズ的処方箋がベストな薬では無い事を示唆している。


2009年12月12日土曜日

ボラティリティの話 2


前回のボラティリティの話は簡単過ぎて少しわかりにくかったと言うメールを貰いましたので、補足と言う意味で考えてみました。

いろいろ語るよりは少し実験してみましょう。
そこでモンテカルロ・シュミレーションの簡易版を作ってみました。

これはエクセルのRAND関数を使って正規分布になる乱数を発生させ株式の月次リターンとして計算して行くやり方です。
時系列のグラフを25年、300ヶ月分書いたりしますので、サンプルは200本しかありません、オプションの計算時には1万回ぐらいはしますが(但しt期の株価だけ)、これはこれで十分に使えるかと思います。


まず前回の例の中から米国で一般に言われている株式の7%期待収益に20%のボラティリティを組み合わせて実験してみましょう。
これではゴチャゴチャしてわかりにくいので、以下のように整理しました。

各時点での200本あるうちの、

1。上から10番目に位置する値を Large10 エクセルの関数そのままです。
2。平均がAverage,
3。中心値がMedian,
4。下から(悪い方から)10番目が Small10

と4つの指標を取り出してみました。


7%の期待収益で25年経過すると 25年後の期待される株価は = 100 x (1+0.07)^25:(25乗) になります。
ここでは542.7になります。 200本走らせたシュミレーションの結果、平均は510.4となっていますね。
これはサンプルの本数が足りないせいです。 年次期待リターンの月次換算はNominal関数で修正してあります。 念の為。

これでみると上のグラフからまぐれ当たりで40倍なんてのもあります。
上から10番目の結構運のよい人Large10で18.3倍。
事前の計算から期待された平均は542.7でしたが、事後の平均は510.4です。勿論シュミレーションを行う毎に違う結果が出ます。200本では少なすぎるのです。しかし平均値は非常に高いサンプルによって高く出てしまう傾向があります。

あなたが普通の運勢をお持ちであれば。 中心に近い値。 342.3になってしまうと言う訳です。
さらに結構運が悪いと、つまり下から10番目だと67.0になってしまいます。
どこかの国の株式みたいですね。 因みに最下位は21.1でなんと五分の1になってしまいました。

これはインフレも、配当(トータル・リターンとしての期待収益で考える)も考慮されていない非常に雑なモデルであることをお断りしておきます。

ではボラティリティを少し下げて10%としてみましょう。束が綺麗ですね。
また見やすくしてみます。
ここで特徴的なのは平均と中央値が近づいてきた事です。
極端に良い値が出にくくなる為です。 また結構運が悪くても184.3貰えますから約2倍。
長期投資が効いてきます。ボラが低いって良いですね。

次は反対にリスキーにしてボラティリティを30%にしてみましょう。
さすがに上がる時はあがりますね。途中で90倍もあります。

まぐれあたりだと80倍にもなりますが、Largeで22倍、平均で5.6倍、中央値だと2倍、少し運が悪いと16にまでなってしまいます。
因みに最悪は4.4でした。 平均値は事前の計算に近いですが、何度も言いますが極端に良いデータが平均値を上げているだけです。
ですから実際にやってみて自分は普通だったなと思えば、2倍程度なのです。

ではここで期待収益率7%で、各ボラティリティ(リスク)別に普通に運が良くもなく悪くもなかった場合(中心値)を比較してみましょう。
因みに平均値はどれもほぼ同じです。


5%のボラだと平均値に近づきますね。
このグラフは冗談じゃないか?って。
違います。 これは常識です。

期待収益が7%あっても高いボラだと普通の人はマイナスにしかなりません。

ボラティリティの高い物に長期投資するとはこう言う事です。  
バフェットさん見てるとわかるでしょ。

ではまた、次回から少しこれで遊んでみましょう。

2009年12月10日木曜日

ボラティリティの話



風呂上りで、もう本を読む気にもならないので、与太話をしましょう。 最近読んでる本にも似た話が出てきましたので。

ボラティリティの高い(50%)株を買って、50%下がってしまった。 元に戻すには100%のリターンが必要。 実は50%では足りません。 収益率はテールがどうしたとか問題がありますが、ほぼ正規分布ですから左右対称に近いと言えます。従って統計的に戻すのは大変なんです。これは皆知っているかあるいは経験した事ですよね。

ボラティリティの高い株は魅力的だが、なかなか上手く行かないし、長期で持つとほとんど上手く行きません。割りきってトレーディングとしたいところ。

ここで仮にボラティリティ20%で、期待収益が0%から8%までの金融商品を並べて、25年間投資したと仮定してみましょう。 もちろん極端な例だけどありがちです。

毎年交替で20%上昇したり、下降したりするように仮定してますが、実は掛け算なので順番は関係ありません、50%の確率で標準偏差1か-1が発生すると言う仮定です。


期待収益が0%だと揺すぶられただけで、25年後には61.3になってしまいます。


今度は期待収益7.5%でボラティリティ別に見てみましょう。

勿論これは25年と長い期間ですが、ボラティリティが高いって怖いですよね。
自社株を大量に持っている方は気をつけて下さい。

実は分散投資の重要性と言うエントリーを他のサイトで見たので思いつきました。
ひとつのカゴに卵を全部盛らない。

もちろんこれも大事ですが、分散投資によるリスク(ボラティリティ)の低下の効果がよくわかるかと思います。

では。


国の歳入


ここのところ年金話ばかりで少々ウンざりしてきましたので、国債の話について。大阪の喫茶店で亀田兄弟と同じレベルで話されているような話を。

相変わらず天下りの話が尽きませんが、罰則がある訳でも無いので、当事者から「私天下ってました。すみません。」と言うような話は無い訳で、これからも次々と出てくる話だと思います。 昨日指揮者の小沢征爾さんが民主党の小沢幹事長を訪ねて、音楽家に対する支援を減らさぬように懇願しましたが、財団や国立劇場に音楽を知らない役人が天下っており、支援のお金も人件費に消えて末端まで行くと小さくなってしまうと話をしておりました。

国の歳入、歳出は以下のようになっています。(平成21年度当初+補正段階) 財務省HP クリックで大きくなります。

ご存知の方はご存知でしょうが、歳出の6割が社会保障費、国債費、地方交付税になっており、無駄遣いを指摘されている公共事業や文教および科学振興は突出している訳ではありません。 歳出の102兆円が決まって、税収が予想されて、足りない分を借金して賄うと言う構図です。800兆程借金を貯めてしまいましたが、増加を止めるどころか、直近では戦後始めて債権発行が税収を上回る事態となっております。

消費税がちょうど10兆円ですから5倍の25%にして50兆円の財源とすれば国債の新規発行は無くなり償還によって毎年10兆円ずつ残高を減らしていける勘定ですが、それでもさらに国民年金の方で別途資金が必要になると思います。 もっと早い時期に増税しておけばと言う話ですが、勿論今増税すると景気を冷え込ます恐れありと言ってます。そしてさらなる新規発行。 世代間の不公平感はさらに拡大するでしょう。 得意のモラトリアムでもあれば別ですが。

特別会計を切り離して考えていますので、歳入は税金に頼るしかありません。 永久に借り続けても大丈夫と言う話もありますが、企業や金持ちが国外脱出でもし始めればそうも行かないでしょうから、いずれは税金で返す事になります。政府の持っている不動産を売却して良いですが、今の経済成長では土地のダイリューションを起こしかねません。 国民の金融資産が中心になって買っているのであれば税金の前借りと同じです

本来であるならば、これまで借金を重ねてきた資金で、インフラを整備し、経済活動を活発にし民間の企業収益を上げ法人税を増加、国民の所得を上げて所得税、消費税が増えていなければならなかったのですが、どうにも結果としてはそうはなってません。 無駄に使ってきたと言われても仕方が無いと思います。 またこれらの税収は来年劇的によくなると言う話でもありませんので、来年も40~50兆円の債権発行が必要となるでしょう。

日本国債は95%が国内で調達されているから対外デフォルトは無い。 そうでしょう。 また一般には日本政府は他国に比較して500兆円規模の資産がある事と徴税強化+増税の余地が大きいと見られている為、対GDP比200%と言う数字に比較して比較的余裕を持ってみられています。増税すれば良いのだから国内でのディフォルトも考えにくい。

しかし市場関係者の間では、どこかに臨界点があるはず、つまり国内調達が限界に来て外に頼らなければならなくなるポイントが近いのではないか?と考えています。 その時のレートはわかりません。 バブル期の土地と同じとは言いませんが構造は似ています。 なにしろ同じような機関が皆で国債と言う1つの資産を集中して持っています。 ソブリンですから格付け低下の影響は当初大きくは無いでしょうが、価格低下のインパクトは銀行、生保、年金に及びます。

あと100兆、200兆は無理と言う根拠は持ち合わせていませんが、大丈夫と言う方の根拠、国民金融資産はもっと説得力が無いと思います。

ですが国債の発行をやめろと言える訳でもありません。 上の図をみればわかるように発行するしか仕方が無いのです。 だとすれば増税するなり将来の税収増のグランドデザインを示すなりして欲しいと言う訳なのです。 これまでの支出の仕方では税収が増えなかったのです。成長できなかった。 乗数が1を超えるからOKと言う話ではもう無い段階だと思っています。 個人としては円高の間に成長力のありそうな国を買うのが正しいと思いますがしばらくは動く必要は無いと思います。

そう言えばこの話もウンざりでしたね。


2009年12月8日火曜日

オプティマイゼーション ②


昨日のエントリーは中途半端になってしまいましたが、昨晩はNHKで旧海軍軍令部OB達による「反省会」の番組がありました。

これは8月に放送されて非常に大きな反響を呼んだ番組、NHKスペシャル 日本海軍400時間の証言をもとに制作された「日米開戦を語る」がありました。 400時間の証言はNHKオンデマンドでもまたブログ等で非常に多く取り扱われているので興味のある方は是非一度ご覧下さい。

組織の為に、本来の存在理由を忘れてあらぬ方向に進んでしまう旧海軍の姿が現在の官僚組織や政治家達の姿とダブルところが大きな反響を呼んでいるのだと思います。
誰も責任を取らない体質もこうした官僚組織の特質なのかもしれません。 今の国家予算、年金問題などまた取り返しのつかない事になる可能性は日々高まっていると言えるでしょう。

昨日サラッと書いてしまいましたが、2004年度計画値に対する不足分は約40兆円。 これは国家の年間歳入額に相当します。



話は本来のテーマに戻って。実は逆オプティマイゼーションの話です。

運用ポートフォリオの資産配分最適化(オプティマイゼーション:つまり各資産をどのくらいの比率で組み合わせれば許せるリスクで目標とするリターンを享受できる確率が一番高いか?)の際には、以下のデータが必要となります。

各資産の期待収益 (今後どれ程儲かりそうか)
各資産のリスク (標準偏差:ボラティリティ)
各資産間の共分散 (株価が変化した時に債券はどう動くのか?、同じように変化するのか、あるいは反対に動くのか?)
ポートフォリオ全体のリスク許容度

これはよく考えると、現在の資産構成が分かれば、リスクと共分散は過去のデータを使えますから、逆算によって期待収益が計算できると言う事です。
つまり今の個人金融資産の構成比率や日本版401Kの資産構成から市場参加者(個人)が市場をどのように見ているのかが逆算できる訳です。 簡単に言うと日本人は今後株式でいくら儲かると考えているのか?

これはもちろん私のアイデアでは無く、ウィリアムシャープ博士がRreverse optimization と呼んで1974年に発表した考えです。 実務的に米国の個人向けポートフォリオアドバイス会社であるFinancial Engines社で採用している手法でもあります。

ここでは細かいアセットクラスのデータ取得ができる確定拠出(401K)の企業型(会社員版)で見てみましょう。個人型では金額が少なすぎて投信の型まではデータ収集ができません。

2009年3月のデータです。 単位:百万円 全体で4兆円程残がありますが相変わらず預金が大好きです。


でこの内、信託、生保の運用商品を期待リターン1.5程度のスペックから全部国債に範疇させても良いのですが、GPIFのポートと同じと仮定して各資産に振り分けます。さらにバランス型の投信は401K内の投信タイプのアロケーションに準じるとして割り振りますと以下のようなアロケーションになります。



ここで、資産配分は計算できましたので、各資産のリスク値、共分散はGPIFのデータを使用して計算します。

EffPrt StdDev c:cash c:bond c:stock c:fbond c:fstock
cash  0.41    3.63 1    0.39 0.05 -0.03 -0.07
bonds 0.23 5.42    0.39 1    0.22 -0.05 -0.01
stock 0.17    22.27 0.05 0.22 1    -0.29 0.25
fbond 0.10 14.05 -0.03 -0.05 -0.29  1    0.55
fstock 0.09 20.45 -0.07 -0.01  0.25 0.55 1

こんなファィルができます。

これをウィリアム・シャープ先生のHPにあるReverse Optimization WorksheetのInputコラムに挿入すると、
アウトプットは以下のようになります。 http://bit.ly/7wFZTn

ExpRet
cash 0.300
bonds 1.300
stock 13.133
fbond 1.762
fstock 9.726

Risk tolerance 13.405063

何と株式の期待収益は13.11%でした。


凄いな。では無く実はこれには落ちがありまして、入力の際に2つの資産の期待収益率を挿入する必要があります。
この場合ですと預金に0.3%、国債に1.3%を入れてありますので、リスク(StdDev)に応じて期待リターンが割り振られるようになっております。

GPIFのデータに基づいて短期資産を2%、株式を4.8%とおきますと、結果は、
ExpRet
cash 2.000
bonds 2.218
stock 4.800
fbond 2.319
fstock 4.057

Risk tolerance 61.44

となります。

この考えでは、効率的市場仮説を前提に考えますので、証券価格は総ての情報を織り込んでいる。
従っていま現存する実際の資産配分は一番効率的である。との考えが前提となっています。

リスクの高いものは期待リターンが高い。これもそう。

最初はもっと面白い結果を期待していたのですが、思ったよりも単純でありました。
シャープ先生のHPはツールが用意されているのでいろいろと遊べると思います。

まとめると日本株式のリスク・リターン・プロファィルの歪さが浮き出た結果と言えば良いのでしょうか?

尚、Financial Engines社の計算では米国での株式に対する期待リターンは安定的に7%(インフレ調整済)程度で、これは一般に認識されている15%と比較すると低いと感じるだろうと言う事です。


2009年12月7日月曜日

オプティマイゼーション ①


フィナンシャル・プランナーが、ポートフォリオのアセット・ミックス(資産の組み合わせ)を推奨する時に、期待リターンと言うものを持ち出します。
また我々の厚生年金や共済、国民年金も適正な配分比率による資産の組み合わせと言う考え方で、基本的に現金、債券、株式を混ぜあわせます。
勿論、これに外国証券や不動産も加えたりしますが、ここでは簡単に。

これらはそれぞれに期待リターン、リスク(ボラティリティ)、共分散を入力し、マコービッツの効率的フロンティア上の取りうるリスク値に見合った最適な組み合わせを計算する事になります。オプティマイザーを使います。

成程、少々難しいですが、考え方はわかりますよね。

しかし、どうでしょうか? 現金の期待収益は預金金利で0.3%とか、国債も1.3%とかわかり易いですが、株式の期待リターンって何だ?

今度、セールスなりプレゼンなりの時に質問できる機会があれば聞いてみて下さい。

技術的には、ヒストリカル・データ方式、ビルディングブロック方式、シナリオアプローチ方式などがあり適当に決めている訳ではありません。

例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では平成20年度業務概況書において以下のように推定しています。


ここでの前提は物価上昇分 1% を下駄として(ここから問題があるのかもしれませんが)実質収益率をのせる形になっています。ビルディング・ブロック+ヒストリカル方式でしょうか。

株式は4.8%の期待収益。 国内債券は3%ですか。短期資産も2%となっていますが、??  外国株式は5%でリスクも国内株式よりも低くなっています。


資産配分は結果以下のようになっています。21年度第一四半期



では万事心配ないか?と言うとですね。
2004年に年金改正がありましてそこで再計算がなされています。
当時の計画では平成20年には156兆円があるはずでしたが、実際には116兆円しか無く、いずれ国債の問題に加算されて大きな問題と化すると思います。
ちなみに市場環境が悪かったからだけではありません。  このブログsmartblogを参照して下さい。 

書きたかったことが全然書けませんでしたが、続きは明日にします。

2009年12月3日木曜日

伊勢うどん と ナッジ  年金 ⑪


今日のTwitterでこう言う”つぶやき”がありました。

模擬店メニューで、一日目産地取り寄せ伊勢うどん300円でお勧め生卵トッピング50円としたら、卵が殆んど売れなかったのを、二日目伊勢うどん350円、卵なし-50円としたら、殆んど卵付きになって売上伸びた、という学生の体験談。面白い話だったね。仕事は工夫次第! Kazuma

これはフレーミング理論と言って物事のどこを基準にするかで、物事に対する判断を大きく変えてしまうと言う理論の実例です。

よく例にだされるのは手術を受けた方が良い患者がいたとして、医師がこう言います。

1.この手術では100人中90人が手術に成功します。
2.この手術では100人中10人が亡くなります。

随分印象が変わりますよね。1.だと、「よし、手術を受けよう」と言う気になりますが、2.では「ちょっと考えさせて下さい、家族と相談して」なんてなりかねません。 全く同じ事を言っているのですが。

今回話題になった民主党の「仕分け」でも、最初から全案件一律2割カットで予算の復活折衝にすれば随分とイメージが変わったかもしれないと言う意見も経済学者からありました。

これだと他に困っている人道的な福祉団体でも2割カットしているのに、と言う事でさすがの元宇宙飛行士毛利さんでも悪役になっていたかもしれませんね。

上のうどんの場合はメニューの受け取り方の問題ですが、ここでは「ディフォルト」(基準)の設定が大きく影響しています。

伊勢うどんは有名ではありますが一般的にどのようなものか?知っている人は少ないでしょう。
うどん300円がデフォルトでオプションとして卵がある場合、そうか伊勢うどんは普通卵をいれないんだな。と考えてしまいます。
ところがデフォルトの伊勢うどんが卵入りであって、必要の無い人は卵抜きもできますとなると、伊勢うどんは卵入りが基本だな。となってしまいます。
伊勢うどんと言うものを食べたいのだから、普通の伊勢うどんが良いと言う事になります。

現代ポートフォリオ理論の大御所、ノーベル賞受賞者で効率的フロンティア(分散投資の最適比率)で有名なハリー・マーコビッツ先生も自身の退職口座をどう配分したかと聞かれてこう言ったそうです。「資産クラスの長期共分散を計算し、効率的フロンティアを描いておくべきでした。 私はそうしないで拠出金を債券と株式に50対50に振り分けました。」  1980年半ばの教職員保険年金連合会大学退職株式基金(TIAA-CREF)が提供する確定拠出プランには債権のTIAAと株式のCREFの2つしか選択肢がなかったそうです。 当時、教授の半数以上が、普段は理論を100%理解しているのにもかかわらず50対50で投資比率を決め、ゲーム理論で有名なサンスティーン教授などはその後の配分変更もしていないそうです。  これは面倒くさがりやなのかもしれませんが。 (出所:ナッジ

1.株式ファンド
2.債券ファンド

さて確定拠出年金の加入者が2つの商品を提示されると、多くは分散投資としてそれぞれ50:50の選択をします。

1.株式ファンド
2.バランス・ファンド(株式50:債券50)

これでも多くの人は50:50で加入するそうです。 結果は株式75:債券25になってしまいます。

さてここで日本の個人型確定拠出の商品選択肢を見てみましょう。
日本生命の例です。

元本変動型
DCニッセイ/パトナム・GB(債券重視型)「ゆめ計画30」 ニッセイAM
DCニッセイ/パトナム・GB(標準型)「ゆめ計画50」 ニッセイAM
DCニッセイ/パトナム・GB(株式重視型)「ゆめ計画70)」ニッセイAM
DCニッセイ国内債券インデックス ニッセイAM
DCニッセイ国内債券アクティブ ニッセイAM
ニッセイTOPIXオープン ニッセイAM
ニッセイ日本株ファンド ニッセイAM
DCニッセイ/パトナム・グローバル債券 ニッセイAM
DCニッセイ/パトナム・グローバル・コア株式 ニッセイAM
フィデリティ・日本成長株・ファンド フィデリティ投信
モナリザ ゴールドマン・サックス世界債券ファンド GSAM
ステート・ストリートDC外国株式インデックス・オープン SS投信投顧

元本確保型商品
ニッセイ利率保証年金( 5年保証/日々設定 ) 日本生命保険
ニッセイ利率保証年金( 10年保証/日々設定 ) 日本生命保険
三菱東京UFJ 確定拠出年金専用3年定期預金 三菱東京UFJ銀行
三井住友銀行 確定拠出年金定期預金(3年) 三井住友銀行

選択肢的には先ず元本確保に50%、それ以外で分散と言う事になるのでしょうか?

以前も出しましたがもう一度 日本の個人型401Kの資産構成は以下のとおりです。




2009年12月1日火曜日

国民年金納付率 年金⑩


私は年金の専門家でも何でもありません。
個人金融資産のアセットミックスに関してもう少し合理的な選択は出来ないものだろうか?
とか、そう言った基本的なところを調べようとして勉強し始めたのですが、調べれば調べるほど大変な事がわかってきてしまう。
あるいはわからなくなってきてしまうと言った方が正しいのかもしれません。

企業の退職給付債務に関しては株式市場を通じて問題が顕在化しやすい分野でありますし、我々もロイターや日経を通じてニュースも入りやすいテーマでもあります。
一方で国民年金と言う部分は何となくダメそうだとか、長妻新大臣が官僚組織と格闘し正常化に向かっているとかの漠たるイメージがある訳ですが、実態はどういう事になっているのか?

ここで以前作った日本の年金システムの図をもう一度見てみましょう。
クリックすると大きくなります。

横方向に各年金制度の加入者、縦が年金資産となります。
国民年金自体は70.07milですから7,007万人が加入(加入と言っても国民皆保険が前提ですが)していると言う事です。
ここから厚生年金加入者のサラリーマン3,457万人、公務員共済加入者の451万人、3号保険者と言われるサラリーマン、公務員達の配偶者1,063万人を差し引いた人数が大よその自営業者となります。この部分が2,035万人いると言う事です。もちろん他にも私立学校の私学共済などありますが省略します。

サラリーマンや公務員、さらにその配偶者は給料天引きと言う日本特有の制度で漏れなく保険料は徴収されてしまいますが、サラリーマンでは無い国民年金加入者は毎月保険料を納付しなければなりません。(まとめて支払う方法もあります) 家賃に困るような人が納付できるわけはありませんし、最近では給食費でもわざと納めない人もいる程ですから自発的に納付すると言う制度では当然納付率は低くなります。 ましてや払わないからと言って目先の生活には目に見えて影響はありません。


では、自営業者2,035万人の内どのくらいの人が払ってないか? と言うより、何%の人が保険料を支払っているか?


30歳以下では払わない人が普通なのです。 全体でも正確に言うと45.6%しか納付率はありませんから、加入者2,035.4万人のうち928万人しか払っていない事になります。
このデータは所得が低くて保険料納付支払い免除・猶予者などを分母から差し引いてありませんので実質納付率と言います。 単に納付率と言うと、分母を調整しますので62.1%とか見栄えの良い数字になってしまいます。騙されてはいけません。

「払わない奴は貰えないないんだから良いじゃないか将来知らないぞ」とか「将来は生活保護を貰えるし、年金なんかよりずっと多いはずだから年金なんか払えるか!」とか色々ご意見はあるのですが、その前にこの国民年金の構造は賦課方式と言って現役世代が年金生活世代の面倒を見る方式なのです。
つまり今まで積み立てた資金を配分しているわけでは無い。 今払って貰ったお金を右から左に渡しているシステムなのです。

ここでもう一度年金システムの図を見て下さい。 横の長さが加入者の数、縦が資金の量です。 国民年金は横が長く縦が短い。加入者は多いが、資産は無いのです。
半分以下の人間しか払わないのに一体どうやっているんだ? ご心配無く、全国の労働者サラリーマンの皆さん。 厚生年金や共済も基礎部分と言って部分的に国民年金の一部となっているのです。と言うか一部にしてしまったのです。 

平成19年度で言えば、国民年金は18兆1518億円給付しています。 で、この原資は国民年金、厚生年金や共済から上納金として基礎年金拠出金と言う名前で支払われているのです。 細かくは書きませんが当然お金のあるところは負担が大きくなっています(1人当たりで見て)。 所得税で捕捉され年金でも払わされていると言って間違いないでしょう。

詳細は株式会社日本生活設計(旧:企業年金研究所)のブログがとても役にたつと思います。