2009年12月8日火曜日

オプティマイゼーション ②


昨日のエントリーは中途半端になってしまいましたが、昨晩はNHKで旧海軍軍令部OB達による「反省会」の番組がありました。

これは8月に放送されて非常に大きな反響を呼んだ番組、NHKスペシャル 日本海軍400時間の証言をもとに制作された「日米開戦を語る」がありました。 400時間の証言はNHKオンデマンドでもまたブログ等で非常に多く取り扱われているので興味のある方は是非一度ご覧下さい。

組織の為に、本来の存在理由を忘れてあらぬ方向に進んでしまう旧海軍の姿が現在の官僚組織や政治家達の姿とダブルところが大きな反響を呼んでいるのだと思います。
誰も責任を取らない体質もこうした官僚組織の特質なのかもしれません。 今の国家予算、年金問題などまた取り返しのつかない事になる可能性は日々高まっていると言えるでしょう。

昨日サラッと書いてしまいましたが、2004年度計画値に対する不足分は約40兆円。 これは国家の年間歳入額に相当します。



話は本来のテーマに戻って。実は逆オプティマイゼーションの話です。

運用ポートフォリオの資産配分最適化(オプティマイゼーション:つまり各資産をどのくらいの比率で組み合わせれば許せるリスクで目標とするリターンを享受できる確率が一番高いか?)の際には、以下のデータが必要となります。

各資産の期待収益 (今後どれ程儲かりそうか)
各資産のリスク (標準偏差:ボラティリティ)
各資産間の共分散 (株価が変化した時に債券はどう動くのか?、同じように変化するのか、あるいは反対に動くのか?)
ポートフォリオ全体のリスク許容度

これはよく考えると、現在の資産構成が分かれば、リスクと共分散は過去のデータを使えますから、逆算によって期待収益が計算できると言う事です。
つまり今の個人金融資産の構成比率や日本版401Kの資産構成から市場参加者(個人)が市場をどのように見ているのかが逆算できる訳です。 簡単に言うと日本人は今後株式でいくら儲かると考えているのか?

これはもちろん私のアイデアでは無く、ウィリアムシャープ博士がRreverse optimization と呼んで1974年に発表した考えです。 実務的に米国の個人向けポートフォリオアドバイス会社であるFinancial Engines社で採用している手法でもあります。

ここでは細かいアセットクラスのデータ取得ができる確定拠出(401K)の企業型(会社員版)で見てみましょう。個人型では金額が少なすぎて投信の型まではデータ収集ができません。

2009年3月のデータです。 単位:百万円 全体で4兆円程残がありますが相変わらず預金が大好きです。


でこの内、信託、生保の運用商品を期待リターン1.5程度のスペックから全部国債に範疇させても良いのですが、GPIFのポートと同じと仮定して各資産に振り分けます。さらにバランス型の投信は401K内の投信タイプのアロケーションに準じるとして割り振りますと以下のようなアロケーションになります。



ここで、資産配分は計算できましたので、各資産のリスク値、共分散はGPIFのデータを使用して計算します。

EffPrt StdDev c:cash c:bond c:stock c:fbond c:fstock
cash  0.41    3.63 1    0.39 0.05 -0.03 -0.07
bonds 0.23 5.42    0.39 1    0.22 -0.05 -0.01
stock 0.17    22.27 0.05 0.22 1    -0.29 0.25
fbond 0.10 14.05 -0.03 -0.05 -0.29  1    0.55
fstock 0.09 20.45 -0.07 -0.01  0.25 0.55 1

こんなファィルができます。

これをウィリアム・シャープ先生のHPにあるReverse Optimization WorksheetのInputコラムに挿入すると、
アウトプットは以下のようになります。 http://bit.ly/7wFZTn

ExpRet
cash 0.300
bonds 1.300
stock 13.133
fbond 1.762
fstock 9.726

Risk tolerance 13.405063

何と株式の期待収益は13.11%でした。


凄いな。では無く実はこれには落ちがありまして、入力の際に2つの資産の期待収益率を挿入する必要があります。
この場合ですと預金に0.3%、国債に1.3%を入れてありますので、リスク(StdDev)に応じて期待リターンが割り振られるようになっております。

GPIFのデータに基づいて短期資産を2%、株式を4.8%とおきますと、結果は、
ExpRet
cash 2.000
bonds 2.218
stock 4.800
fbond 2.319
fstock 4.057

Risk tolerance 61.44

となります。

この考えでは、効率的市場仮説を前提に考えますので、証券価格は総ての情報を織り込んでいる。
従っていま現存する実際の資産配分は一番効率的である。との考えが前提となっています。

リスクの高いものは期待リターンが高い。これもそう。

最初はもっと面白い結果を期待していたのですが、思ったよりも単純でありました。
シャープ先生のHPはツールが用意されているのでいろいろと遊べると思います。

まとめると日本株式のリスク・リターン・プロファィルの歪さが浮き出た結果と言えば良いのでしょうか?

尚、Financial Engines社の計算では米国での株式に対する期待リターンは安定的に7%(インフレ調整済)程度で、これは一般に認識されている15%と比較すると低いと感じるだろうと言う事です。


0 件のコメント: