2009年12月12日土曜日

ボラティリティの話 2


前回のボラティリティの話は簡単過ぎて少しわかりにくかったと言うメールを貰いましたので、補足と言う意味で考えてみました。

いろいろ語るよりは少し実験してみましょう。
そこでモンテカルロ・シュミレーションの簡易版を作ってみました。

これはエクセルのRAND関数を使って正規分布になる乱数を発生させ株式の月次リターンとして計算して行くやり方です。
時系列のグラフを25年、300ヶ月分書いたりしますので、サンプルは200本しかありません、オプションの計算時には1万回ぐらいはしますが(但しt期の株価だけ)、これはこれで十分に使えるかと思います。


まず前回の例の中から米国で一般に言われている株式の7%期待収益に20%のボラティリティを組み合わせて実験してみましょう。
これではゴチャゴチャしてわかりにくいので、以下のように整理しました。

各時点での200本あるうちの、

1。上から10番目に位置する値を Large10 エクセルの関数そのままです。
2。平均がAverage,
3。中心値がMedian,
4。下から(悪い方から)10番目が Small10

と4つの指標を取り出してみました。


7%の期待収益で25年経過すると 25年後の期待される株価は = 100 x (1+0.07)^25:(25乗) になります。
ここでは542.7になります。 200本走らせたシュミレーションの結果、平均は510.4となっていますね。
これはサンプルの本数が足りないせいです。 年次期待リターンの月次換算はNominal関数で修正してあります。 念の為。

これでみると上のグラフからまぐれ当たりで40倍なんてのもあります。
上から10番目の結構運のよい人Large10で18.3倍。
事前の計算から期待された平均は542.7でしたが、事後の平均は510.4です。勿論シュミレーションを行う毎に違う結果が出ます。200本では少なすぎるのです。しかし平均値は非常に高いサンプルによって高く出てしまう傾向があります。

あなたが普通の運勢をお持ちであれば。 中心に近い値。 342.3になってしまうと言う訳です。
さらに結構運が悪いと、つまり下から10番目だと67.0になってしまいます。
どこかの国の株式みたいですね。 因みに最下位は21.1でなんと五分の1になってしまいました。

これはインフレも、配当(トータル・リターンとしての期待収益で考える)も考慮されていない非常に雑なモデルであることをお断りしておきます。

ではボラティリティを少し下げて10%としてみましょう。束が綺麗ですね。
また見やすくしてみます。
ここで特徴的なのは平均と中央値が近づいてきた事です。
極端に良い値が出にくくなる為です。 また結構運が悪くても184.3貰えますから約2倍。
長期投資が効いてきます。ボラが低いって良いですね。

次は反対にリスキーにしてボラティリティを30%にしてみましょう。
さすがに上がる時はあがりますね。途中で90倍もあります。

まぐれあたりだと80倍にもなりますが、Largeで22倍、平均で5.6倍、中央値だと2倍、少し運が悪いと16にまでなってしまいます。
因みに最悪は4.4でした。 平均値は事前の計算に近いですが、何度も言いますが極端に良いデータが平均値を上げているだけです。
ですから実際にやってみて自分は普通だったなと思えば、2倍程度なのです。

ではここで期待収益率7%で、各ボラティリティ(リスク)別に普通に運が良くもなく悪くもなかった場合(中心値)を比較してみましょう。
因みに平均値はどれもほぼ同じです。


5%のボラだと平均値に近づきますね。
このグラフは冗談じゃないか?って。
違います。 これは常識です。

期待収益が7%あっても高いボラだと普通の人はマイナスにしかなりません。

ボラティリティの高い物に長期投資するとはこう言う事です。  
バフェットさん見てるとわかるでしょ。

ではまた、次回から少しこれで遊んでみましょう。

6 件のコメント:

Tansney Gohn さんのコメント...

porcoさん
いつも拝見しております。ボラが小さい方がよいとのことですが、以前 現金とUP/DOWNを繰り返すだけのリスクありクラスとのリバランスを取った場合の試算をしてみたのですが、この場合はリスクありクラスのボラが大きい方がリターンが大きくなるという結果になってしまいました。ひょっとしたら計算間違いをしているのかも知れないのですが、このようなケースについてはどう考えたらよいでしょうか?

5000円と20000円を繰り返す場合
http://tansneygohn.blog99.fc2.com/blog-entry-52.html

8000円から12000円を繰り返す場合
http://tansneygohn.blog99.fc2.com/blog-entry-42.html

Porco さんのコメント...

タンスのゴンさん、
コメント有難う御座います。

ご質問。
これはボラティリティの問題では無く、上がった時に利食いをし、下がった時にナンピンを入れるパターンでリターン・リバーサルと呼ばれる効果です。いつも都合よくピーク、ボトムを捉えられますから、価格の変動が大きい方がお得となります。ですから4対1では無く、2万円で全部現金。5000円まで下がったら全額投入の方が儲かります。

イーノ・ジュンイチ さんのコメント...

ファンドの海のイーノと申します。
はじめまして。

実は僕も同じことをシミュレーションしたり計算したりしたことがあって、同様の結果を数式で導いたことがあります。もしよろしければご覧ください。
http://www.fund-no-umi.com/blog/2009/08/27-bc8a.html

ただし、どうしても直感的なものと反している気もして、この直感との違いをどう説明すべきなのか、という点を疑問に思っています。
http://www.fund-no-umi.com/blog/2009/12/1-869a.html

なにかうまい説明やヒントなどあれば、ぜひ教えてください。

それから別件ではありますが、アセットアロケーションに関しても、平均分散モデルによるシミューレションを試せるサイトも作っているので、もしご興味があればお試しください。
http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html

ではまた。

Porco さんのコメント...

イーノ・ジュンイチさん、
コメント有難う御座います。
申し訳ありませんがもう眠いので明日見せていただきます。

Porco さんのコメント...

イーノさん、
HP見せて頂きました。
素晴らしいと思います。ファィナンスのテキストでは一番最初に複利の話から始まるのですが、日本ではあまり見かけませんね。FX物や短期トレードの本は多いですが、高ボラのトレードやめられると怖いからと投資家に理解できないのであまり出版されないのだと思います。

イーノ・ジュンイチ さんのコメント...

Porcoさん、僕のブログをご覧いただいてありがとうございます。
おっしゃるとおり、長期投資で参考にできる理論を解説した本はなかなかないんですよね。Porcoさんのブログ、今後も拝見させていただこうと思います。