2009年12月28日月曜日

2010年の相場


整理の意味も込めて来年の予想を考える時期になりました。
各社各様にレポートが出てきてますが、自分なりにまとめておこうかと思います。

閉塞感に満ちた日本経済の対比として世界経済、とりわけ米国経済が株式指数の上昇に伴ないあたかも力強く回復するかのような気分もありますが、私は今でも疑問が残っています。 各社の来年度見通ではGDP成長率で2.3%、経済対策効果のピークが年前半で、遅行指標である失業統計もピークを打つが、家計のバランスシート調整から個人消費は緩慢で回復力は強く無い。 と言ってしまえばそう言う事なんだろうと思います。 米国は景気対策もさる事ながら、予算執行の前に景気は自律的に回復基調に戻っていました。 これはドル安政策によって競争力を上げた事が大きな要因だと思います。 反面日本ではただでさえデフレで苦しんでいるところに円高が打撃を与える形になりましたから、彼我の株式市場の差は歴然としてしまいました。

個人の住宅ローンを中心とする借金を政府が肩代わり、財政赤字の拡大が問題化する中で、今般の景気回復、多分に株式市場の回復から既に出口政策が視野に入り始め、金利上昇からドルの買戻へと動いているところだと思うのです。まさにその御陰で日本株が円安から急激に戻す事となりました。

さて私の疑問と言うか、少し楽観視しすぎではないか、あるいは今後の不安要因は、米国金融システムだと考えています。 ウォール街の高額ボーナスや政府からの資本注入の返済等々景気の良い話が続いてはいますが、イメージとうらはらに、例えば商業用不動産。


これに関連して言うならば、証券化商品は実質上時価評価をせずに処理がすすんでいましたが、商業用不動産に関しても担保債権の評価にあたって無視しても良いと言う方針が10月末に出ているのだそうです。(これは証券レビユー49-12での武藤さんの発言です。10月末近辺を対象にニュース検索をかけましたがリリースそのものは見つかりませんでした。 この時期はソロスやロスが警告を発する記事ばかりが目立ます。) ニュースが見つからない以上100%確信している訳ではありませんがキナ臭いと感じている訳です。

これを前提に日本でのケースも含めて考えると不良債権に圧迫された金融セクターから資金が循環する訳はないと思います。従って回復には限度がある。また一方で財政規律の問題があるとすれば2番底に落ちそうな懸念のある時は対策が講じられるにしても、回復してもそこそこであり、現状の株式は回復部分を少々先取りしているのかなと考えています。

日本株は極端な円高からの回復が見込め、これまで繰り返されてきた輸出企業の予想収益上昇期待から、円高の戻りがゆっくりである分しばらくはしっかりとした展開にななると思います。設備投資やその他経済指標に見るべきものはありませんから、米国景気回復に影響を受けながら2003年からの相場のミニチュア版であって、本格的なものであるとは思えませんが。 円建てで見ればドル高下で不良債権問題を抱える米国株よりはリターンは高くなると考えています。

中国は様々な問題を抱えていますが、来年も8%前後の成長が見込まれています。 私は上海万博と言うよりも、2012年の共産党大会、指導者層の入れ替わりがひとつの節目と考えています。ポピュリズムと同じ事で地方で候補者たちが政策競争を展開していますので、そこまではむしろブレーキをかける方が先行気味になると考えています。 米国の出口戦略の思惑に金利高、ドル高にシフトするならば、円キャリーの復活とともに余剰資金は相変わらず世界を駆け巡る事になると思いますので、2012年頃迄は紆余曲折を経ながらも暫くは強い展開となるのではないでしょうか。 それ以降には、高齢化問題や長く続く大卒氷河期問題など、支払われるべきツケは溜まっていると考えます。


以前に情報カスケードと言う考え方を紹介しましたが、世界的に知識層にベスト・セラーになった書籍は金融市場のコンセンサス形成に影響を与えます。その中でジャック・アタリの21世紀の歴史で指摘のあった超国家と言う概念は個別株選定に大きく応用できるのではないかと思います。サッカーのFIFAは国家の規制は受けません。FIFAの言う事をきかない国家はワールドカップに出なくて結構と言ってしまえば、たとえそれがアメリカであっても相手にする必要は無いでしょう。

今回の金融恐慌の最中にもグーグルやアップルなど国家と言う単位を超えた企業は収益を伸ばし続けています。 トヨタもそうではないか?と言う人もいるかもしれませんが、トヨタでなくとも車は走りますと言う点が代替可能なのでしょう。ちょっと妄想めいていますが、そうした可能性を持つ会社として来年のどこかで任天堂あたりが何かやらかしてくれないかな?と漠然と考えております。

まとまりがありませんが思ったままに。

追記:10年ぶりぐらいにファィナンスの本を漁りました。 シャープのファィナンスでは第1章が連続複利による先物価格計算だったと思いますが、久保田敬一「よくわかるファィナンス」やツボィ・ボディの「証券投資」などではむしろオーソドックスなアプローチだなと感じました。資産価格理論の本を一冊。 多分読まないような気がしますが辞書替わりに購入しました。 また機会があれば紹介します。


ボラティリティの話 4 は訂正しておきました。 また月次シミュレーターも作り替えておきましたので興味のある方はご参照下さい。

3 件のコメント:

Trinity @ NYC さんのコメント...

Porcoさん、こんにちわ。今年はいろいろ教えていただきました。来年も引き続きよろしくお願いします。(ご承知とは思いますが)わたしも米国金融機関の財務内容は非常に脆弱と常々感じており、2010年に借り換え時期が集中することが今からわかっている商業不動産融資の劣化を米銀各社がどう乗り切るか、大きな焦点になると考えております。

ところで、Porcoさんがおっしゃっている10月末の商業不動産の担保評価のお話ですが、もしかして、それは、10月30日に米銀監督当局から出されたポリシー・ステートメント「商業不動産融資ワークアウトのExamination指針」の話ではないでしょうか。そうだとすると、こちらです。http://www.federalreserve.gov/boarddocs/srletters/2009/sr0907a1.pdf
ここの5ページに『C. Assessing Collateral Values』という箇所がありますので、この話を指しておられるのかな、とふと思いました。ご参考まで。(間違ってたら、すみません。)

ただし、Bank Exam Policyの場合、検査官には担保評価の是非について相当ジクジクといじめられますので、担保価値を実態から乖離して過大評価し続けることは、文章で読めるほどにそう楽チンではない、というのは自己の経験から申し上げます。

Trinity @ NYC さんのコメント...

何度も失礼します。くっつけたURLが長すぎるようなので、縮めてきました。
http://bit.ly/6uPhXy

Porco さんのコメント...

MHJさん、こちらこそ今年は色々とご教示頂きありがとうございます。

武藤さんの言ってたのは多分この事ですね。
彼は担当官当時色々と米国から言われたので、「それ、お前も同じじゃないの?」と言う気分が強いのかもしれませんが彼の見識は素晴らしいと思っています。日銀総裁にしておけば良いのに。

多分これの事だと思います。 後でゆっくり見てみます。

来年も宜しくお願いします。
Porco