2009年12月31日木曜日

証券詐欺の古典的手法


今年も今日で終わりです。
何か気の効いた事でもと思いましたが、最近考えている事をきままに。

証券詐欺の最も古典的な手法にダイレクト・メールによる次のようなものがあります。大概の詐欺の本には出てくるものです。

今であればインターネットメールがありますので昔よりずっと安く簡単に出来るようになっていますし、皆さんも多分たまに似たようなメールを見かけるのでは無いでしょうか。これは詐欺と言えるのかどうかもわかりません。

先ずゴルフ会員権でも、何かの学会の名簿でも、同窓会名簿でも何でも構いません、裕福な層の名簿である必要はありません。

ここでは取り敢えず1万人分としましょう。

次に特定の銘柄に目をつけます。
あまり馬鹿げた銘柄は適さないでしょう。
屁理屈のつけやすい銘柄。派手に上昇して新値更新しているような銘柄。
例えばアップル(AAPL)としましょうか。
PEは33倍ありますが、新型タブレットの発売も予想され、材料は豊富です。

もちろんファースト・リテイリングでも構いません。

1万人に対しアップルの1ヶ月後の株価見通しを2種類、上がるか、下がるかで5000人ずつメールします。細かい目標値段は書かずに軽いファンダメンタルス分析+もっともらしいチャート分析が良いでしょう。

1ヶ月後には見通しの的中した5000人に対してまた、上がるか、下がるかで2500人ずつメールします。もっともらしい分析をつけて。

次は1250人ずつ。この時にはメールを受け取る人から見れば読んでくれていたとして3ヶ月連続で的中している事になります。

さらに625人ずつ。 4回的中。

半端ですが312人、 5回、

このあたりから番号があれば、電話を掛けて有料会員制投資情報の勧誘を始めます。

156人 6回的中。

78人 7回連続的中。 神がかりですよね。

毎月これを繰り返して同様のスキームを6セットほど動かしておけば毎月70~80人程の新規会員から1人5万円。1人当たり沢山取ると訴えられたりしますので金額は少額にしておきます。

騙したのはキャッチの部分だけで後は真面目に分析します。金商法の問題もあるので投資顧問をせずにニュースレターの発行だけに押さえておきましょう。

一度キャッチすれば後は東洋経済やダイヤモンド、ZAI、ブログなどから適当な銘柄、記事を貼りあわせてレポートは綺麗にしておけば良いでしょう。
たまには優良なブログを真似て政治、政策にもの申しても良いでしょう。

平均6ヶ月購読として80人 x 5万円 = 24百万 / 月。

まともな投資顧問会社とそれほど情報の質は変わらなかったりするわけです。なにしろ真似する訳ですから。

ありがちな企画ですね。
良い子はマネをしてはいけませんし、実は一番重要なところは省いておきました。
どうしても知りたければ会員になって下さい。 笑。


実はこの事は別の事実も示唆しています。
1万人もいれば皆が適当に(あるいは真剣に)やっていてもパーフォーマンスの良い人は必ず出てくると言う事でもあります。


様々な学説や分析手法に完全なものはありません。複雑な市場を少しでも解明していこうと言う事で仮説を立て分析して行くのです。

個別の銘柄で当てはまらないものがある。 当然です。 だからこそ塊にして分析していきます。


効率的市場仮説(EMH)では今ある価格には総ての情報が織り込まれている。 従って超過収益を得られるような特別な情報は存在しない。
EMHはおかしい。そんなのは当たり前です。バッフェトさんが運だけで目立っているとは考えられません。

しかし一方で有用な実務的指針も提供してくれています。

株式市場が存在し、パッシブとアクティブがあるとすれば、両者が市場を形成している訳で、パッシブはインデックス投資をしているとして、それが抜けても残りはインデックスだからです。 アクティブの平均はインデックス。

こうなるとアクティブもインデックスからコストを差し引いた分が成果と言う事になりますから、一般に運用コストの安いパッシブが有利と言う理屈です。

手数料の差が1%あれば長期投資では大きな差になってしまいます。 手数料の差は無リスクの金利と同じように複利で確実に影響を及ぼします。

2%の手数料で株式市場が全く動かなかったと仮定して10年では、(1-0.02)^10 =0.817 小さくはありません。 100万円の投資をしたら10年で約20万円も運用会社や販売会社に支払う事になります。

少し話がそれてしまいました。EMHに戻しましょう。

今ある資産構成が一番理にかなってる(効率的)として、インデックス投資は選択されています。

ではアセット・アロケーションはどうでしょうか?

このブログでは日米の個人金融資産を何度か紹介してきましたが、市場が効率的であるはずなら個人金融資産の各アセットの配分も効率的であるはずです。

預金が多い。 確かにデフレ下では理にかなっているのかもしれません。 高齢者が多い。 などなど反対理由も沢山ありそうです。

来年はそんなあたりも少し考えてみたいと思います。


今年このブログを通じて買って頂いた本です。多くてもせいぜい3冊程ですが、
上位は、

ブラック・スワン ニコラス・タレブ
21世紀の歴史 ジャック・アタリ
ジェシー・リバモア 両著とも
アメリカ後の世界

原書ではToo Big To Failも一冊お買い上げ頂きました。

今年は色々な方に紹介して頂き読者が増えました。ありがとうございました。
来年も宜しくお願いします。



良いお年を。



追記:これは詐欺ではないじゃないかとメールを頂戴しました。

最後の信頼を得たところで騙す行為がありませんから、異常に熱心なセールスとあまりかわりませんよね。


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