2010年1月3日日曜日

過去の平均収益率は期待収益率として使えるか?


新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

さて昨年シュミレータを作りましたが、予想収益率や標準偏差(リスク)が既知のものとして、予想される確率分布を計算しただけのものです。確定利付でリスクが0(仮にあれば)のものであれば着地点は確定しますが、リスクがあると結果はちrばります。そのための分布でした。

株式インデックスと言うアセット・クラスに限定してもう少し計算してみましょう。

ここにSP500を遡及して作成した1870年からのデータがエール大学シラー先生のHPにあります。
ロバート・シラー先生は「アニマル・スピリット」や「根拠なき熱狂」の著者であり、ケース・シラー住宅指数の発明者でもあります。

ここでは以下の実験をしました。

1)過去60ヶ月の標準偏差を計算
2)過去60ヶ月の平均収益率を計算
3)平均収益率を期待収益率として60ヶ月後の収益率の確率分布を計算
4)この60か月前に予想された分布は、現実のSP500の収益率の結果と、どのような関係にあるか?  尚、配当は考慮しない

つまり過去60ヶ月の収益率は60ヶ月後の現実の収益率に対してPredictableか?(予想していると言えるか?)と言う実験です。予想しているわけないじゃないと思うかもしれませんが、実はアセットアロケーションとかは、これを前提に計算しているのですよ。

結果は以下のようになりました。
縦軸は対数です。 



どうも誤差がかなり目立ちます。もっと言えば逆シグナルかもしれませんね。
5年リターン・リバーサルをすれば結構儲かるのかもしれません。皮肉ですが。

90年代初め日本にアロケーション・モデルが持ち込まれた時。予想収益に関しては過去5年の平均を使用するとかよく質問されたものでした。確かに70年代から90年代迄の相場付きであればそれも良いかもしれませんが、実際には通用しません。現実にはモデルの前に、どんな予想収益を入力するのか? リスクはどうするのか? が大切になります。

予想収益率は過去に頼らずにシナリオを考えて自分で計算して立てて行くとして、標準偏差、つまりリスクの方はどのくらいの期間をとれば安定するのでしょう。

もちろん確率分布を予測する期間にもよるのですが、

上記の場合の過去60ヶ月標準偏差による標準偏差(リスク)の予想と実際の結果の違いを見てみましょう。


成程。裏目裏目と言う感じですね。

これを長期化によって安定させるとすれば、以下のグラフのようになります。
過去20年程採取すれば安定的になりますね。 SP500の場合、大体10から15%の間にはいるようです。 vol60mは過去60ヶ月リスク、以下120ヶ月(10年)、240ヶ月(20年)
次に過去5年の平均収益率と上記のように平準化された過去20年の標準偏差を利用して5年後の収益予想分布図を作成しました。
分布の状況は安定してきますが、当然暴落など急な変化では大きく外してしまう事になります。


予想中央値とSP500


紋切り型の、過去の平均が最も予想に適していると言うのはそうなのかもしれませんが、実際にはこれくらいの誤差を持っていると言う事と、確定利付証券との組み合わせによる資産の分散は重要である事は確かなようです。 また予想収益率に関しては普段から色々と考えておく必要がありそうですね。

マーコビッツの実験で、過去の平均リターンから期待リターンを形成し、平均=分散分析を行う前提で16種類100ドルの仮想銘柄によるシュミレーションでは、数年の内にいくつかの銘柄は2000万ドルにまで到達してしまうそうです。 (アルファを求める男たち p167:ポジティブ・フィードバックの説明で。)

確率分布によるシュミレーションは自分が考えている収益予想はどう言うものであるか?を示してくれるものであって。高リスクな証券の場合には明確な収益予想を提供してくれるわけではありません。


それにしてもわずか百数十年ですが株式のリターンには凄いものがあります。 今話題の金価格も19世紀後半南北戦争時を除けば20ドルちょっと。おまけに株式は配当収入があります。株式リターンの3分の1が配当からと言われますからグラフの1.5倍くらいになってるでしょう。 長期投資向き。 もしかしたら”だった”のかもしれませんが。

米国も日本製品に苦しめられた70年代はさっぱりでしたが、その後は大相場を演じています。 日本だってやり方次第でどうなるか、悲観ばかりしていても仕方無いのかもしれませんね。 取りあえず今のところ兆候は見えませんが。


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