2010年1月14日木曜日

長期運用でリスクは増大しない


長期運用でリスクは増大しない。

Shinobyさんのブログでこう言うエントリーがありました。



「N年後の標準偏差は年率標準偏差に√年数をかける為にリスクが増大するのではないか?」 と考えてしまいがちですが、これは投資と言う観点からは間違っています。

実は中心極限定理からN年後の通期リターンの標準偏差は√年数で割るのが正解なのです。

こう言ってしまうと身も蓋も無いですが順序立てて考えてみましょう。

収益率が2%でリスクが10%の証券があり、10年間投資するとしましょう。
ここでは複利ベースで考えますが、わかりにくければ誤差覚悟で普通に考えてもかまいません。

複利計算では 累積収益は収益率の足し算になるので、10年では、( 1+2% x 10yr) -1= 20% となります。

一方でリスクの方は 10年経過しても 10% x sqrt(10) = 31.6% にしかなりません。

この 31.6% は1標準偏差分です。到達金額の確率計算などに使用するときには標準偏差1とか2の値も確率分布では無く収益率と同じように一本の線で表現されます。(グラフ参照)

だとすれば、ここは複利計算の世界ですから標準偏差1を年率に直すには年数で割ってやれば良いと言う事になります。

31.5% ÷ 10年 = 3.16% これは 年率リスク 10% ÷ √10 = 3.16%

但しこれは毎年のリスクが減ると言う意味でもありません。毎年のリスクは独立してやはり年率で10%あるのです。 合成されてこうなると考えるべきです。

ともあれ長期運用でリスクは増大しない。通期での年率リスクは減少するので長期運用が正しい。

グラフで見てみましょう。
収益率が2%、リスクが10%の場合です。
クリックすると大きくなります。

10年後は累積収益率20%を中心として、Std1(標準偏差1)は51.6%, マイナス標準偏差1は-11.6%です。
-11.6%を10年で割ると -1.16%、これに収益率2%を引くと -3.16% になります。
しつこいですが、年率リスクを√10年で割ると 3.16%なのです。

ご存知のように標準正規確率表から標準偏差プラスマイナス1の間に入る確率は68.26%、標準偏差マイナス1より下の確率は14.6%となります。
つまりマイナス11.6%を下回る確率は14.6%と言う事です。 もちろん下方へのちらばりも大きいですが、これで長期投資が危険だと言えるでしょうか?

収益率を少し大袈裟に上げてみましょう。



std-2の線は9年後にはプラスに転じます。
std-2は標準正規確率表によると上方向に95.44%の面積を残しています。つまり95.44%の確率で元本割れがなくなってくるといえます。

すくなくとも長期投資でリスクが増大すると言う時のリスクは年率標準偏差の事ではありません。
タレブのファンなら別ですが。


2 件のコメント:

吊られた男 さんのコメント...

お久しぶりです。


私はこのあたりは定義次第だと思います。

リスクとはあくまで「期待される結果からのブレ」というのが基本定義かと思います。
それを標準偏差として測定することもリスクの測定手法の一つです。また、それを測定期間をある単位期間(例えば年)にした標準偏差であらわすのかも方法の違いではないでしょうか。

Porco さんのコメント...

お久しぶりです。

%か金額か?と言う意味ですね。