2010年2月27日土曜日

なんば花月の思い出



チャンバラトリオの南方英二さんが26日午後8時33分、大阪府内の病院で肝硬変のため亡くなったことが27日、所属事務所より発表された。77歳だった。通夜、告別式については親族の希望により家族葬で行われる。


プラザ合意の前やったから随分と昔の話しになります。

大阪で時間に余裕のある時には、新幹線で真っ直ぐ東京に戻ったりせずに、千日前の自由軒で「インディアンカレー」か「ちゃんぽん」を食べて、なんば花月でお笑いを見て、難波から近鉄特急で名古屋に出ると言うルートを多用していました。 実は私、「夫婦善哉」の織田作之助を愛読しているものですから、自由軒に貼ってある、「虎は死んで皮を残し、織田作は死んでカレーを残した」と言う張り紙が見たくて通っているような次第です。  最近東京に出てきている自由軒とは別の店です。

近頃の吉本には全く行かないのでどうなっているのかはサッパリわかりませんが、当時は漫才、コント、浪曲、アクロバットなんかも演目に入っており、最後に45分程度の新喜劇をやっていたと思います。当時の吉本新喜劇の座長は岡八や花紀京から間寛平、木村進、阿吾十郎なんかが座長をやっておりました。 難波の花月では午後と夕方の2部制で、私が観ていたのは午後の部の方で、料金は確か映画と同じ値段やったと思います。

平日の午後の部はガラガラでたまに観光バスの団体さんが入ってきていきなり満員になったりしてましたが、私が行く時には決まっていつもガラガラでした。
その当時は既にさんま、三枝、仁鶴さんなんかが全国区で売れていたのですが本家の劇場はそんな状態だったと思います。

その日もお昼を食べてから途中で入場したのですが、やっぱりガラガラで、入って席に着こうとしたら舞台から「どうもいらっしゃいませ」と声がかかりました。
それがチャンバラ・トリオでした。 見渡すとどうもお客さんは5人とはおらんような状態で「帰る時には一声掛けてくれ」とか色々とネタにされた記憶があります。

いつものとおりモナカを売る人が近寄ってきて「モナカいりませんか?」と言うのでいつものとおりにアイスモナカを食べながら漫才やらコントやら、正直あんまり面白くないところがエエんですが観さしてもらいました。 その時のお目当ては確か「オール阪神巨人」やったように憶えてます。

チャンバラ・トリオは大阪名物ハリセンの考案者です。「特許とってたら家が建っとるわ」と言ってたようですが真偽の方は定かではありません。

何や大阪の大事な物がまたひとつ消えて行くようで寂しい気持ちになりました。 

合掌。





織田作はちくま日本文学全集と新潮社から文庫が出てますが、読むのでしたら「六白金星」の載っている夫婦善哉 (新潮文庫)がお奨めです。 また青空文庫でも読めます。


PS: もうひとつの自由軒は新橋に支店を出してますが、ここも美味しいです。
関西は兄弟喧嘩が多い。

法人税下げ目指す




内閣府の古川元久副大臣は26日、都内で講演し、法人税率について「できるだけ下げられるのであれば、下げられる方向を目指していきたい」と引き下げを目指す考えを示した。同時に「日本の法人税制は租税特別措置なども多く複雑だ」と語り、租特の見直しにも意欲を示した。古川氏は鳩山政権で中長期の経済政策を立案する国家戦略室長を兼ねている。
 古川氏は現在の経済状況を踏まえて「日本の法人税率は高いという指摘がある」と指摘した。そのうえで「日本の成長を考えるときには現在ある企業はもっと強くなり、起業家にとっても好ましい税制に変えないといけない」と語った。
 民主党は昨年8月の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)で、中小企業の法人税率を18%から11%に下げることを明記した。ただ大企業などに適用する法人税率(30%)には言及していなかった。(26日 22:08)

これまで内部留保に課税しようではないか等、「大企業悪し」と言う民主党の政策に不安を感じてきた投資家も多かったと思いますが、民主党の中のマトモな部分がここのところ目立ってきている事には注目しておきたいですよね。

政権発足当初は郵政の処理や、俄に登場した「株式市場主義との決別」のような意見表明に少々不安と驚きがありましたが、この方向性が維持され「日本の法人税は高」くて、「競争力を低下させ成長力を損なっている」と言う認識が政策に実現されれば日本の株式にも目が出てくると思います。 

こう言う政策は長期収益率には影響が大きいと思います。



2010年2月24日水曜日

日本株は上がるのか?⑧ リスク・プレミアム


日本株は上がるのか?⑥の期待収益率でも触れておきましたが、
今回はリスク・プレミアムについて考えてみます。

リスク・プレミアムとは一般に金融取引において資金の受け手のリスクに応じて、資金の出し手が要求する利回りの事です。

ここでプレミアムの対象となるリスクは、
インフレ率、期間、信用リスク、株式リスクです。

ここで、インフレ率に関してはどの金融資産にも共通して織り込まれるべきリスクですからここでは除外して考えましょう。

下の図では左からリスクの少ない順番に並べいます。
ここでは国の信用が一番であるとと言う前提で国の破綻リスク等は考慮していません。細かい議論をすれば海外エクスポジャーの多い会社の外貨建て社債や株式等のリスクが国債よりも高いのか?と言う議論もできますがここでは無視します。




長期国債にしろ、社債にしろ確定利付商品では、事前に満期保有の場合の予定利率がわかりますので比較し易いのですが、株式だけは利回りでは表示できません。

株式の期待収益=キャピタル・ゲイン+配当収入になり、どちらも満期と言う概念が無いのです。
株価益利回りや配当利回りは有りますが、すべて過去データであって、将来を約束する数値がありません。したがって確定利付証券に比較して将来収入が不安定な株式収益に対して投資家はそれらよりも余分に株式プレミアムを求めるのです。

ここで先にすすむ前にひとつ整理しておきましょう。以前質問された事がありますので私なりの解釈で、

個人投資家にとって現実の金融商品選択では金融機関の預金と言うものが入ってきます。
日銀のHPに行けば預金種類別店頭表示金利の平均利率等についてと言うデータがあります。

クリックすると大きくなります。


また2月24日の市場では10年国債は1.31%の利回りとあります。

1000万円以下の預金は銀行破綻時にも政府が保証してくれますが、ここでは信用の一番高い国債の利回りが1.31%もあるのに、ペイオフの上限を超えた1000万円以上の定期預金利回りは10年でも0.491%しかありません。

本来であれば国債利回りに金融機関の信用プレミアムが期待収益率に加算されるはずですが、預金の場合には途中解約をしても元本が戻ってくる点が異なるのです。

したがって元本保証のプット・オプションが内蔵されていてその支払うべきプット・オプション・プレミアム分だけ、差し引かれて低い利率になっていると考えれば良いでしょう。

個人向け国債も同様に考えれば納得がいくと思います。

余談になりますが今ではCDS市場において銀行別の信用プレミアム価格は取引されています。
2月24日の市場では5年物で、三菱東京UFJ 93.07bps、三井住友 87.00bps、みずほコーポレート 126.20bpsですがこれらが預金金利に反映されているとは言い難いでしょう。裁定の機会が無いため放置されていると考えています。


話を株式リスク・プレミアムに戻しますと、株式リスク・プレミアムが何%であるか?との疑問には確たる結論は出ていないのです。

しかし企業の価値評価をする場合、資金調達の為に発行した社債は金利が明示されますので資本コストが明確にわかりますが、株式で投資した場合の株主資本コストの推計には前提として債券よりも高いリスク・プレミアムを要求しているはずであると考えなければ成立しません。

従って尤も納得の行きやすい方法としては、過去に現実に起こったヒストリカル・データを使用して推計した株式リスク・プレミアムを使用する事になります。

前回の期待収益率でヒストリカルな株式の収益率を計算し、それは1969年からの計算では約6%でした。大雑把に長期のリスク・フリーである10年債利回りを引けば4%前後と言う事になります。

したがって資本コストの計算等に4%前後のリスク・プレミアムを使用したり、長期の資産運用におけるアロケーションの計算にもこうした数値を入れて計算すれば?って事になるのですが、投資家としては「何故?」って事がつきまといます。  何故なら前回も示したようにリスクプレミアムはヒストリカルでは毎年低下している事と、ここ最近はリスクプレミアムに見合ったリターンを株式が提供してくれていないからです。

最近と言っても4、5年の低迷でしたなら、未だ長期のトレンドは違うよと説得力があるのですが、90年のピークから20年近く低迷していると、本当にリスク・プレミアムを4%と考えてアロケーションしても良いの?と考えるのは自然な事です。日本株のまともなデータは1950年頃からですから60年のうち20年も低迷していると言うのは長い期間のアヤでは納得し難いものがあります。

では、どのくらい見積もれば良いのか?

この質問は今回の当ブログのテーマ、日本株は上がるのか? と同じ疑問だと思います。

続く、

2010年2月23日火曜日

市場は何を織り込むべきか?


内部留保に課税編


鳩山由紀夫首相は17日午後、共産党の志位和夫委員長と国会内で会談し、経済政策などについて意見交換した。同党によると、志位氏が「大企業の内部留保が日本経済の成長力を損なっている」と指摘したのに対し、首相は「内部留保に適正な課税を行うことも検討してみたい」との考えを示した。


[東京 18日 ロイター] 平野博文官房長官は18日午前の会見で、鳩山由紀夫首相が大企業の内部留保への課税見直しなどについて今後の税制改正で検討する意向を表明したとの報道について「総理は検討すると言い切ったとは思っていない」と述べ否定的な見方を示した。


考えてみれば民主党の支持母体、日教組、自治労、連合ですから、大企業組合の立場から考えれば内部留保に課税などと言うものは考えられないのでしょう。
内部留保からの課税と言うトンチンカンな部分を差し引ても元々ありえない話しだったようですね。


郵貯預入限度拡大編



郵貯の預金限度額を1000万円から3000万円に拡大すると言う亀井郵政担当大臣を通じての郵貯から依頼でしたが、こうなるとペイオフ:預金の政府保証の金額が3000万円になってしまいます。 そこで22日に亀井大臣は信金信組業界から意見聴取しました。 一律にメガや地銀も保証額を引き上げられると信金・信組などから預金流出が考えられますので、大臣に懸念を表明したようです。 そこで上限額引き上げ表明3日であっさり撤回。 これは郵貯の3000万円預入限度拡大にも黄色の信号が灯ったと言えるでしょう。

しかし預金流出を懸念する信金も、


90年代初頭に70数%つけて以降毎年着実に低下。 08年だけ前年度比微増だったのですね。

企業に回らないお金を郵貯が吸収し、国債を買うのではないか?と言う疑心暗鬼もありますが、郵貯も国債ばなれを検討していますから、世間一般で言われる国債への資金誘導とは考えられません。

郵政民営化編

昨年12月に郵政株売り出し凍結法案が可決され一時ペンディングとなっている民営化ですが、


原口一博総務相は21日、日本郵政が福岡市で開いた郵政民営化見直しに関する公聴会終了後の記者会見で、郵政再編後の日本郵政について「政府が(株式を)100%持つ選択肢はないだろう」と述べ、同社株式の一定割合を売却する考えをあらためて示した。一方で、株式上場後の政府の具体的な出資比率については明言を避けた。
 原口総務相は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社についても「将来的に(株式)公開を原則としている」と述べた。敵対的な買収防衛策や外資規制については「検討中」とした。

成程、ともかく上場はする訳だな。 と思ったら、


亀井静香郵政・金融担当相は23日の閣議後記者会見で、日本郵政グループの将来の株式公開について「まだ決めていない」と述べた。原口一博総務相が21日に「公開を原則とする」と明言したが、郵政相は慎重な姿勢をみせた格好だ。郵政見直しを巡っては郵政相と総務相の見解が微妙に食い違うケースが目立ち、調整の難しさを浮き彫りにしている。 (2/23 13:17)

方針を決めてから話してくれないと混乱するばかりですよね。市場は一体何を織り込めば良いのか?も分からなくなっている。


公開会社法編

これは民主党はこんな事を考えていたのかと、市場関係者を驚かせた話しですが、ふじすえ議員の論です。 株式至上主義との決別。 「日本は株主を向いていない」と言うのが外人投資家も含めての市場参加者の共通認識でしたし、議員の根拠である配当性向のグラフの読み方等があまりに稚拙であった為に本当にこんな事を考えて、さらに立法化する気なのか? と言う疑念が起こりました。
これも上記の例に漏れず、「どこまで本気か?」度が非常にわかりにくいので、市場として織り込むべきなのかどうか?がさっぱりわかりません。 新聞記事にもなりませんから、議員のTwitterやブログを見て情報収集して、どこまで心配して良いのか疑問が残ってしまいます。

唯一参考になるのは、山口利昭さんのブログ、ビジネス法務の部屋

(一部抜粋)
今朝(2月18日)の日経新聞のベタ記事で見つけましたが、2月24日に開かれる法制審議会に会社法制の見直しが諮問されるようであります。企業統治のあり方や親子会社に関するルールなどが検討課題となるそうでありますが、これって民主党が制定に意欲を持っておられる「公開会社法(仮称)」に関する諮問ということなんでしょうね。でも、周囲のいろんな方々とお話していても、新法が制定される現実味がないですよね。結局この記事にありますように会社法の一部改正、金商法と会社法の交通整理、あたりで十分有意義な審議ができそうですし、とくに公開会社法なる新しい法律の制定が審議の対象にはならないものと思われます。(あくまでも個人的な推測でありますが)  以下本文参照。

安心していても良いのでしょうかね?

と言う訳で、政府からのメッセージが市場にまともに届かない状況が続いております。
早く整理してくれる日を待つしかないのでしょう。

番外
日銀編

インフレ目標を設定してお札を刷ってばらまけとか新発国債を引き受けろとか何かと言われ放しのような日銀ですが、私から見ると白川総裁が一番説得力を持っています。
”ばらまけ”は金融政策では無く財政政策ですよね。



東京 23日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は、23日午前に首相官邸で開かれた月例経済報告に関する関係閣僚会議で、日本経済について「将来の成長に対する期待が、このところ必ずしも十分ではない」と述べた。
 白川総裁は「政府の成長戦略などを通じて需要創出シナリオを示し、国民・企業が信頼していくプロセスが必要」との認識を示した。
 その上で日銀として「マネーの側面から緩和的な金融環境を当面続けて支えていきたい」と語った。会議終了後に津村啓介内閣府政務官が明らかにした。
 白川総裁は会議で、デフレの背景を問われ、足元の要因として、リーマンショック後の世界の主要国における需給ギャップの発生を指摘。中長期的な要因では、企業が賃金を引き下げて雇用を維持していることや、将来の成長に対する期待の低迷を挙げた。また、設備投資について白川総裁は「持ち直しているが、水準は依然として低い」とし、設備投資に対する資金需要も「企業は、その程度の設備投資であれば手元資金で賄っているケースが多い」と説明した。
 これに関連して「日銀の努力が企業の資金需要の増加につながっていない」との指摘に対しては「日銀として潤沢な資金供給を行っており、金融機関が資金調達に苦慮している状態にはない」と語った。

つまり規制緩和や構造改革が成長にはさらに必要と言う話しですよね。 ばらまいても90年以降繰り返した不採算なものに再び投資するのであれば意味がありません。
預貸率が低いのは先出の信金・信組だけではありません。 この際どうでしょう、地方自治体にすべて任せて公共事業をしてもらう。その際の資金は地方金融機関が貸し付ける。 あくまで貸付です。 政府はこれに対して80%程度(何%でもOKですが)の保証をつける。 国は国債を発行する替りに保証料が必要ですが実際に支払いは起きません。 各地方金融機関はデューデリをしっかりやる。 国民から見れば国債発行と同じ借金ですが、責任が多少明確になりますよね。つまり使う人なり団体は借金している意識を持ってもらおうと言う趣旨で単なる私の思いつきです。 


2010年2月22日月曜日

公定歩合


「公定歩合」の整理

18日(木)米国引け後の連銀による公定歩合を0.5%から0.75%に引き上げると言うニュースで、米国株式市場も夜のアフターマーケットで売られ、その影響を受けた19日(金)の日経平均は大幅安となりました。 ところがその夜のNY市場は堅調に推移、日本は梯子を外された状態で本日、月曜日は朝から大きくギャップ・オープンし大幅高となっています。

マスコミの記事の書き方もあるかと思いますが、「公定歩合上昇」と言うセンセーショナルなイメージが一人歩きしてしまい過剰反応を起こしたと見るべきなのでしょうか?

「公定歩合」をちょっと整理しておきます。

我々が教科書で習った中央銀行による金融政策手段は公定歩合、公開市場オペ、預金準備率の3つで特に公定歩合による貸出つまり、日銀貸出が中心的な手段でした。 以前公定歩合は市場金利よりも低い金利で設定され日本銀行による貸出は割安で実質的な補助金の効果を持っており確かに公定歩合利率の変更が大きなインパクトを持っていた時期もありました。  

しかし近年は公定歩合は市場金利を上回る水準に設定されるようになっており、日銀貸出は、民間銀行から見てコスト的に不利なものになっている。換言すると、現在の公定歩合による日銀貸出は、市場の混乱等で資金の利用可能性に制約が発生した場合の「補完的貸付制度」と言う位置づけのものになっている。 

現代の金融入門 」池尾和人著より引用、先生はTwitterで「僕の本を読めばこんな間違いはしないのに」とぼやきながらも宣伝されておりました。新書ですから読んで今までの知識を整理し直す事をお奨めします。

さて米国ではどうでしょうか?

実は私のいつも使用しているセントルイス連銀のデータベースではDiscout Rate (公定歩合)と言う項目は2003年12月までしかありません。 それを引き継いでいるDiscount WindowのファシリティーはPrimary Credit Rateになります。もちろんSecondaryもありますが一般に公定歩合と言った場合プライマリー・クレジット・レートを指すようです。

下のグラフは公定歩合(2003年末終了)、プライマリーレート(未だ0.25%上昇が反映していない)、FFレートの3つのグラフです。
2003年まではFFレート>公定歩合、それ以降は入れ替わり Primary Rate>FFレートになっています。


Federal Reserve Bank fo St. Louisより

日本と同様に公定歩合(Primary rate)は市場混乱時の補完的貸付制度の意味合いに変化していますから。「公定歩合上昇」と言うかつてのインパクトを伴なうニュースでは無くなってきていると解釈するのが妥当なようです。 つまり市場正常化へのステップ。 もちろん「出口戦略」へのファースト・ステップである事は間違いありません。

The Federal Reserve Board
The Discout Rate (以下部分訳)

The discount rate is the interest rate charged to commercial banks and other depository institutions on loans they receive from their regional Federal Reserve Bank's lending facility--the discount window. The Federal Reserve Banks offer three discount window programs to depository institutions: primary credit, secondary credit, and seasonal credit, each with its own interest rate.

公定歩合は商業銀行やその他の貯蓄機関が地域連銀の貸出ファシリティー(ディスカウント ウインドウ)から借り入れる際の金利である。 連銀は貯蓄機関に対して3つの公定歩合プログラムを用意してある、すなわちプライマリー、セカンダリー、シーズナリーでそれぞれに利率が設定されている。

The discount rate charged for primary credit (the primary credit rate) is set above the usual level of short-term market interest rates. (Because primary credit is the Federal Reserve's main discount window program, the Federal Reserve at times uses the term "discount rate" to mean the primary credit rate.)

プライマリー・クレジットに付利される公定歩合は通常の短期金利よりも高く設定されている。(プライマリー・クレジットは連銀による主要なプログラムであるから、連銀が「公定歩合」と言う用語を使用する場合にはプライマリー・クレジット・レートを意味する。)

以上



2010年2月21日日曜日

週末雑感 102021

先週の私のTL-Twitterの話題は以下、

1)内部留保に課税を検討。 鳩山総理。

これは共産党の志位さんとの会談の後に検討するように投げたと言うニュースで、最初は驚きもあったけれど、それ程積極的でも無いような話しであったのですが、業界は苦言を訂するし、なんだか盛り上がってきて真剣に検討するような話しになってしまった感があります。 私も法人税の負担が高すぎた事が日本の低成長(低ROE,ROA)の一つの直接的な原因であると考えているので、もし内部留保に課税(そもそも間違っているのだが、現預金に課税とかって意味でしょうけど、)して実行税率が上がってしまうような事になれば現状の40%でも国際比較で高いのに、当分は日本株は目が無いと思います。 冗談ですめば良いのですが、郵貯の預金限度3000万円に引き上げ案などを見ていると、あながち冗談とも思えませんし、一方で消費税を4年間凍結と言ってますので、いきおい法人税にまわってくる事は無いとは言えないでしょう。

確かに中学校で習う、政府、民間(企業)、家計の3つの経済主体の内、通常資金の取り手であるはずの企業が黒字化し、家計に回していないのが問題であるとする考え方は先日紹介した脇田さんの話しですが、企業の競争力を削ぐような条件設定をすると国際的に競争している会社は日本から出て行くと言うのは脅しでも何でも無いでしょう。

2)トヨタ 7203
結局米国公聴会に社長が出ることになったが、これも「最初から出た方が良いに決まっているのに」と言う意見が至極まともな訳で、落ち着くところに落ち着いたのですがトヨタはこうなる事が予見出きないと言う事実に皆失望しているような感じですね。  トヨタは技術的に最先端を走っているのだから今回のような問題は仕方が無いと言う考えに私は同調します。 それでも週末の週刊誌、新聞を見るとホンダの存在感が少し際立ってくるようにも思えます。 途上国でオートバイを売ってきたチャンネルとブランド力はあなどれないでしょう。 安い車は作れないと揶揄される日本のメーカーですが現実に2輪を売ってきた訳で、今回のトヨタと比較して社内の勢いは強いのだろうと想像できます。 トヨタのリバウンドよりは素直にホンダでしょうね。

3)米国の住宅ローン
30年固定が5%を切ってしまっているそうです。 それでもローン申請件数は盛り上がらない。30年スワップレートが4,54%なので、金融機関に鞘が無いのかなとTwittしていたら、GSE(ファニーなど)の買取保証付きだそうで、銀行はUnderwritingとServicingで稼ぐような仕組みになっているそうです。
何か米国もデフレの前兆のような気もしますね。

4)加ト吉 @KATOKICHIcoltd
宣伝部長が自らTwitterをやってオヤジ・ダジャレ連発で安価なマーケティングを試みています。やる気になれば本当にコストかけずに出来ますよね。
例えば他社製品食べている人がいれば、「麺類皆兄弟」みたいに返答するなど。 今週の日経ビジネスで取りあげられています。

とりとめ無いですが、それでは、


とりとめもありませんが、

2010年2月18日木曜日

ナビゲート! 日本経済


最近ボリュームのある本で読みたい物があまり無いので、本屋で新書を見繕う事が多くなりました。この本もそういう一冊。 軽い気持ちで読み始めたのですが内容は簡単では無く、実質的なボリュームは結構ある新書でありました。

ナビゲート!日本経済 (ちくま新書)
脇田 茂 著






結論から言うと著者が日本経済に必要としているものは以下の3点になります。

1。短期的には外需(タネ火)と内需(着火)に代表されるサイクルのプロセスを認識し、景気に2段階ある事の認識が必要。

2。中期的には家計に所得を返し、家計が望む需要が実現される事。

3。長期的には少子化対策に全力をあげる。

1。の外需・内需はサイクル的な動きを株価で、トレンド的な動きを不動産価格で示し2つの区別を提示し、90年以降外需が一旦盛り上がっても個人消費である内需が盛り上がらず小さな景気循環に終始してしまっていると言う意味です。

2。の「家計に所得を返し」と言う点は、最近話題の大企業の内部留保に課税しようかと言う動きと混同されがちですが、こう言う表現も出来るのではないでしょうか。

1)企業は支払利息よりも受取利息の方が多い状況下で、労働者と表現するよりも家計に分配を増やし消費にあてるべきだ。

2)内部留保された資金は外部から資金調達すること無く投資に向けられるが、量の拡大を求めるあまり低い利益水準の投資を繰り返し無駄にしている。総合電機等を見ればさもありなんとも言える。 であればこれを家計に戻し小規模な景気循環に毎回終始している事態に対処する為消費に向けるべきだ。

つまり90年以降の景気循環において、
輸出⇒売上増大⇒利益増大⇒投資・賃金上昇⇒消費拡大 のプロセスの中で賃金上昇以降が断ちきれて継続的な景気拡大に入れない状態いる点に注目しています。

3。の少子化対策については現状の「子ども手当と言う政策」に異論はあっても基本的には反対する人は少数ではないでしょうか。

私としては本書からはこうした結論よりもむしろ、経済学におけるレジーム変化VAR(Vector aoutoregression)などの分析手法の紹介のやいくつかの基本的な知見に価値を感じました。

例えば、
・失業給付は現在失業者の2割しか受け取っておらず、雇用保険は6兆円の埋蔵金を持っている。

・日本では生産などのショックを企業内労働保蔵による雇用へのバッファーが緩和するが、米国では雇用のショックを家庭内貯蓄のバファーが吸収すると言ったリスク吸収プロセスの違い。 これは米国市場では雇用統計に市場が敏感に反応する事に比較して日本ではさほどでも無い事への説明になっています。

・レジーム分析ではマネー・サプライ・データが90年以降、市場(産出量)との相関関係を失ったか等々が分かりやすく解説されています。

と言う訳で価格分充分に堪能させて頂きました。

2010年2月17日水曜日

京成白鬚線


線路に沿うて売貸地の札を立てた広い草原が鉄橋のかかった土手際に達している。 去年まで京成電車の往復していた線路の跡で、崩れかかった石段の上には取払われた玉の井停車場の跡が雑草に蔽われて、此方から見ると城跡のような趣をなしている。

これは永井荷風の「濹東綺譚」ぼくとう綺譚 (岩波文庫)の一説です。ここでの線路とは東武伊勢崎線、東武博物館のある東向島駅(旧:玉の井)を少し北に行ったところ、そしてここに出てくる京成電車は白鬚線です。 白鬚線は京成「八広駅」と「曳舟駅」の間に以前存在した「向島駅」と現在隅田川に架かる白鬚橋の名前の由来となった白鬚神社を結ぶ路線であったそうです。1928年開業で1936年の廃線。 荷風がここを訪れたのは1937年昭和12年と言う事になります。 しかし何故旧玉の井の地に8年間だけ限定でこのような路線があったのでしょうか?

09 Photo-RailさんのHPに当時の京成路線図があります。


実は先々週建設中の東京タワー2代目、東京スカイツリーを見に行った折、その場所こそが、東武鉄道の旧浅草駅であり、それに接して京成電鉄のターミナル駅押上駅であった事を知りました。

昭和31年の押上付近の地図



マンハッタンでも、電化のできたペンシルバニア鉄道以外はハドソン川を超えられず、ニュージャージー側に古い鉄道のターミナル駅跡が幾つか残っておりますが、東京においても鉄道黎明期には既に都心の市街化が進んでいた事もあり、隅田川が障害となって鉄道は都心に入れずにいたのでした。

ハドソン川越に関してはこの日本語サイトが秀逸


東武鉄道が隅田川を越えて浅草に進出したのが昭和7年(1932年)、それまでは今の業平橋が浅草駅で、東武の本社は今もここにあります。また京成電鉄の本社もこの直ぐ近く旧京成始発駅の押上に所在地があるのです。 ついでに言っておきますと、現在の総武本線が両国から隅田川を越えお茶の水まで延伸したのも昭和7年、それまでは当時の円タクや東京市電で上野や東京駅に乗り継ぐしかなかったのです。 開通には関東大震災による市街地の廃墟化が大きく影響している事は言うまでも無い事です。

話しがそれましたが、京成電鉄は押上から浅草に進出したいと考えておりましたがなかなか許可が降りないので、上記の白鬚線(青線)を直進させ隅田川を渡河、王子電鉄(黄線:現在の都電荒川線)に繋ごうと言う野心からこの路線を敷設したのでした。 そうこうしているうちに日暮里-筑波間に鉄道敷設免許を有していた筑波高速度電気鉄道を1930年に買収。目出度く1933年には現在の京成本線のルートで上野駅に進出することが出来た次第。

それで御用の無くなった白鬚線は荷風が玉の井を訪ねた1937年には廃線となっていた訳です。 これでスカイライナーに乗ると何故京成電車は大回りするのか?が私は納得がいきました。 今では押上は都営浅草線に、東武鉄道は半蔵門線に繋がってそれぞれに都心へ進出していると言う事です。

東武亀戸線も東武鉄道の隅田川越えの野心からの延伸に他なりません。今はきっぱりと切断されていますが当時は総武鉄道(JR)と接続し両国まで行けたようです。


効率的市場仮説


「効率的市場仮説の説明をはしょるとは随分ズボラなブログだなー」と言われてしまいました。 ちょうど本日届いた本に用語解説がついていたのでその翻訳でご勘弁を。

Efficient-market hypothesis

Based on the notion that the future movement of the market is random, the EMH claims that all information is immediately priced into the market, making it "efficient". As a result, the hypothesis states, it's not possible for investors to beat the market on a consistent basis. The chief proponent of the theory is University of Chicago finance professor Eugene Fama, who taught Cliff Asness and an army of quants who, irronically , went to Wall Street to try to beat the market in the 1990s and 2000s. Many quants used similar Fama-derived strategies that blew up in August 2007.

効率的市場仮説

将来の市場の動きはランダムであると言う概念を基に、EMHはあらゆる情報は即座に市場価格に織り込まれるとし、これを ”効率的”であるとする。
その結果仮説は投資家が市場を継続的に打ち負かすのは可能では無いと述べている。 この理論の主唱者の筆頭であるシカゴ大学のユージン・ファマ教授、彼はクリフ・アスネスとクォンツ軍団を教えたのだが、皮肉にも、教え子達は90年代、2000年代と市場を打ち負かす為にウォール街へ向かった。
多くのクォンツはよく似通ったファマ由来の投資戦略を採用し2007年8月には壊滅してしまった。


ここで登場するクリフ・アフネス(Cliff Asness)は元GSAM。その後設立した彼のAQRファンドは今も順調にビジネスをしている。

彼の逸話はposotive gammaさんのブログで取り上げているのでご参考まで。面白いですよ。

政府の徴税権は徴税強化権とか徴税調整権とかの概念も含むようですね。日米問わず。


2010年2月16日火曜日

日本株は上がるのか? ⑦ 効率的市場仮説とアロケーション


効率的市場仮説(EMH)に関してはちょっとググれば沢山出てきますし、どんな入門書にも出ていますから、ここで細かい解説はしないでおきます。
ただ、「資産価格はすべての情報を瞬時に織り込んで」とか言う表現には抵抗のある人もいるでしょうし、それは日々市場を見ていれば織り込んでないのも尤もな話しでもあります。

市場は効率的であるから、インデックス・ファンドを選択するのが賢明である。
これもちょっと調べた事のある人ならば、少々の異論はあっても納得の行くものです。

しかし効率的市場仮説が成立するのは何も株式市場に限定される訳ではありません。
債券も為替もそうであるし商品もそうでしょう。 大凡充分に流動性が確保されていれば効率的な市場として取り扱っても問題はないはずです。

さらに資産ミックスに関しても同じ事が言えます。

他の人に負けない投資とは、市場参加者達と同じもの、現状ありのままの尤も効率的と思われるアセット・ミックスを選択すれば良いはずです。国民金融資産の内訳もその一つです。
国民金融資産のミックスを見ると貯蓄ばかりですが、これも効率的市場仮説からいけば、様々な情報が織り込まれた結果と言えるでしょう。

実際に最近米国で頭角を著し始めた個人向けネット・資産運用アドバイサー会社であるFinancial Engine社では、特にどうこうしようと意志の無いパッシブな投資家には現状の全体アセット・ミックスをそのままにしたマネージド・アカウント(投信みたいなもの)を推奨しており、この商品こそが同社の成長の原動力となっております。当然ですがリバランス・コストも無いし、選択の対象となる投信に対しては厳しくコスト・コンシャスなスタンスです。  既存の証券会社や運用会社はさぞかし迷惑している事でしょう。

こうしたパッシブな動きにおいてはアロケーションのリバランスも発生しません。 そもそも株式や債券部分をインデックスにした上で、株式を30%債券に40%なんてものはスタンスが中途半端なのかもしれません。  勿論長い投資期間を得られる若い層にはリスクは高いがリターンの大きい株式の比率を高くすると言うのは正しいし、80歳の年金生活者は今回のような大暴落に会ってしまうと計画が大きく狂ってしまいますから、確定利付中心が良いのでしょう。 しかし以前のように定年時に退職一時金として全額預金にシフトする必要もありませんから、一時退職金も運用対象として考えて問題は無い訳で、そこからでも10年や15年は充分に視野に入れておく必要があります。 運用可能期間は長くなっているとも言えるでしょう。60歳でキャッシュと言う訳でもありません。

このリバランスはしないと言う考え方は、80年、90年代のグレート・モデレーションを経験し、株式資産が増え続けてきた米国においては納得のできる考え方でしょう。 

PORCO調べ

90年以降ボックス相場の日本ではGPIFがアロケーションの縛りから安値を買い、高値を売って相場がうまいなどと言う人もいますが、それは結果オーライでしかありません。パッシブであれば本来リバランスは必要がありません。尤も年金資産として株式占率の制御がリスクの制御にはなりますけれども。

生活資金を預金で確保して投資すると言うのはこうしたやり方と似ているかもしれませんね。

しかし日本の国民金融資産はお年寄りに偏在していますから、30代の人のパッシブなアセット・ミックスがこのままで良いか?と言う問題は残ります。
また、政府の国債の広告でも長期投資は国債が安心とか言うように、資産選択の際にバイアスがかけられてしまっている可能性もあります。 Financial Engine社では、米国国民金融資産がデフォルトでは無く、同社のデータを基準としているようです。  日本では401Kの資産構成が参考になるかもしれませんが、これも以前エントリーしたように選択時にバイアスがかかっている可能性があります。 細かい事言ってると何もできなくなっちゃいますよね。


年金情報よりPORCO調べ

続く、

エロルイ・ディムソン


2月15日付けのFTで中国は絶好の投資先か?(高成長国への投資が好成績を上げるとは限らない)と言う記事がのっており、JB Pressで日本語に翻訳されています。

2010.02.15 Financial Times

たまたま昨日のエントリーで紹介した本「証券市場の真実」 Triumph of the Optimists の著者達が本文中に登場しています。
記事の内容は高成長国への投資は必ずしも儲からないと言う内容で是非読めば参考になるかと思いますよ。

その一方で本文中にCSFBの発行するイヤーブックについて書いてありましたので、ロンドンスクール オブ ビジネスにアクセスしてイヤーブックを紹介したペーパーを意訳しておきました。 色々な数字が出ているので参考になるかと思います。
彼らの一貫した主張は配当収入です。 彼らだけでなく長期分析した人は同じ結論に至るでしょうけれども。

以下


ロンドン・スクール オブ ビジネス Elroy Dimson, Paul Marsh and Mike Staunton

株式市場が底を打った2008年11月 MSCIインデックスは55%下落した。--世界で21兆ドルが失われ先進国では1人当たり21,000ドルに相当する。



執筆者の3名は過去10年を「失われた10年であるとしている。」2000年以降、主要市場の年率リターンがマイナス4%から6%のネガティブで推移する一方、MSCIワールドインデックスはインフレ調整済で約3分の1を失った。

この事実にも関わらず株式投資家は株式に忠誠をつくし、長期リターンの実績に魅力を感じている。 1900年以降株式の実質リターンは17カ国総てにおいてポジティブであり、+3~6%で推移している。株式は総ての国において一番良いアセットクラスなのだ。

CSFBのイヤーブックのリサーチは以下の事を示している。 歴史的にグローバル投資家はキャシュに比較して株式から4.2%のリスクプレミアムを享受している。 著者は将来予測として長期的に株式はキャシュを3%から3.5%アウトパーフォームすると考えている。株式投資家は来る10年間でキャシュに比較して40%の超過収益を、20年では2倍のリターンを得るだろう。

しかしながら、80年代や90年代に比較すれば”スロー・アキュムレーション”の過程に入るだろう。
投資家は長期的な視点を持ち、不可避で周期的な調整を覚悟しなくてはならない。

ここ数年は株式市場から随分と乱暴な警告を受けた。 投資家は将来において株式リスクを取った代償を享受できるだろうがこの道程は非常に不確かでもある。 NYダウは2007年10月9日に14,164ポイントの高値を取ったが、今後13年以内にこの値を取り戻せるかどうかはは50%の可能性でしかない。
そうした一方で投資家は配当を享受できるであろう。が、しかし市場は容易には目的地に到達しない、ゆるやかに推移するのでは無く、リターンは簡単にだいなしになったりするだろう。 株式に投資すると同様、株式を排除するにもリスクは残るだろう。 過去の17カ国の調査を基にすると実質パーフォーマンスは配当収入の貢献するところが大きい。

「2008年の弱気市場に関して、我々は株式の長期収益率を修正した。 過去109年間、英国市場からの実質収益率は5.1%、この内キャピタルゲインからは0.4%で配当収入が残りである総ての投資家は再投資も含むトータル・リターンに焦点をあわせるべきである。」 Dr. Staunton.

以上


2010年2月15日月曜日

日本株は上がるのか? ⑥ 期待収益率


期待収益率と言うと、期待される収益率、将来の投資期間に渡ってこれくらいの収益は期待して良いのでは無いかなあ?と言うような意味で捉える事が多いと思います。予想収益率が予想される収益率であるのに対して、「期待」と言う言葉には確率的な意味が含まれるでしょう。

確率で言う「期待値」は例えばサイコロを振って、偶数がでるか奇数がでるかは各々50%である、と言うのは期待値になる訳で、あなたが偶数になれば良いなあと考えるのとは違いますますよね。 ここでは将来の確率的な収益率の分布だと考えるべきでしょう。

余談になりますが、サイコロの丁半博打では、2つのサイコロの組み合わせの種類が偶数の方が多い為、つまり組み合わせの一番小さい数字が2で一番大きいものが12ですから、江戸時代に庶民の間では長い間偶数である「丁」が有利であると考えられていたようです。

ランダム・ウォーク理論は、熱力学おけるブラウン運動の株価への適用で、ここではマルチンゲールと言う数学的な特性を備えているとされています。
マルチンゲールとは以前紹介した小島さんの本から引用させていただくと、「その確率現象が過去にたどってきた足取りをどんな風に利用して推測しても、未来に生起する数値の平均値はいま現在の数値そのものである。」もっと簡単に言うと、「過去のデータをどんな風に利用しても、未来の自分の結果を有利にする事はできない。」

何も予測を入れないと言う投資方法はそれはそれである訳ですがそれはこのシリーズの別の機会で紹介したいと思います。

何も分からないから何もしないと言う訳には行きません、ここでは明日上がるか下がるかは予測できないにしても過去の統計的な分散などのデータは仮のデータとして利用が可能ですし、過去のトレンドは分析する事ができます。 従って今現在分かっているベストの範囲で様々な条件を仮置きをして行く事になります。


さて株式の期待収益率を考える上でリスク・プレミアムとは切っても切れない仲です。
リスク・プレミアムは、不確実な将来の収益、つまりリスクに対して投資家はプレミアムを求めると言う考え方です。

国債の利回りが1.5%の時に株を買えば同様に1.5%の収益が期待できる。とすれば投資家は確定利付証券である国債を選ぶでしょう。

では何%の収益の上乗せが見込まれれば株式を選ぶのか?と言う何%がリスクプレミアムに当たります。収益がブレる分どれだけ余分に受け取れる可能性があるのか?と言う可能性の部分でもあります。

株式の期待収益率=リスクフリー金利+リスク・プレミアム

株式リスクプレミアムは個別企業価値評価における資本コストの計算にも欠かせませんから、言わばファィナンスにおける諸問題の中核である訳ですが、残念ながらこれだと言う結論は出せないでいます。従ってベストを尽くすと言う事で過去のデータを遡及する事になりますから、

リスク・プレミアム=過去の株式のリターン - リスクフリー金利

と言う上記の式と鶏と卵みたいな関係になります。

さて変な事を言っていないで、世間一般の常識で考えましょう。

リスク・プレミアムの推定方法として業界のテキストであるマッキンゼーの「企業価値評価 第4版 【上】:The Valuation」では以下の3種類を上げています。

1。過去の超過リターン(リスクフリー金利に対する)の測定を基に将来のリスク・プレミアムを推定する。
2。市場全体の配当利回りと言った現在の市場の変数を回帰分析し、期待マーケット・リスクプレミアムを予測する。
3。投資収益率、および成長率の予測値をDCF法に当てはめて、市場の資本コストを逆算する。

よく評論家や学者が私は4%ぐらいだと思っている、とか5%だとか言っていますが、アカデミックな世界ではこの辺りの話しには暫定的な結論めいたものが出ています。  この辺りの議論に一人でああでも無いとかこうでも無いとか悩んでも仕方がありません。

但しリスク・プレミアムを何の用途に使うのか?は大事なポイントです。企業価値の算定において、「投資家は収益のリスクにはプレミアムを要求する」と言う前提をひっくり返してユニークな計算をするのは問題ありですし、かと言って最近の株式市場は国債以上のリターンを上げている訳でもありません。

イボットソン社がビジネスとしてリスク・プレミアムのデータの提供をしていますし、それを参考にするプロフェッショナルがマジョリティーでしょう。
またイボットソン・ジャパンの山口勝業氏が、「日本経済のリスク・プレミアム」と言う本を書いていますし、その一部である、過去データを使用した「サプライ・サイドからの株式期待リターンの推計」と言うレポートをHPで公開してくれています。

またグローバルではオタク(彼らは仕事)的な本として、「証券市場の真実」があります。ここでは世界中の株式市場の過去のデータが100年以上に渡って纏められています。


さて、当ブログでは一番単純で多用されていて家庭でもできる、過去データの株式リターンを計算しておきましょう。

一般の無料サイトから取得できる最長の株式のトータル・リターンデータはMSCIになります。
ここではCore指数(Large+Medium Size)を使用していますので大型株にティルトされています。他にもバリュエーションがありますのでそれは皆さんで試して下さい。

下の図はバリューとグロースの両方のデータがスタートする1974年12月末=1としたグラフです。
バリューは16.797倍、市場指数であるコアは5.817倍、グロースは1.866倍になっています。
過去の幾何年率収益率ではそれぞれ、8.37%、5.17%、1.79%になります。

1974年からヒストリカルに計算された日本株の期待収益率はコア指数の年率5.17%と言う事になります





しかし一目みれば90年以降市場は上昇していない訳で、ここで言う平均値は90年までに稼いだ収益率をそれ以降の年で薄めているのに過ぎません。

5.17%が期待収益率であるなどと言ってそれを真に受けて予想収益率と期待収益率を混同しては何をしているのか分からなくなってしまいます。

下はCore指数について1969年12月=100とした指数の動きと、算術平均(Average)と幾何収益率(Geo Average)の時系列変化をグラフ化したものです。


つまり90年までは15%あった収益率がその後だんだんと低下している事がわかります。まあ長期チャートを見れば最近は全然収益率が上がって無いと言う事ですよね。上のグラフではCore指数の幾何平均収益率は5.17%でしたがここでは6%あります。 日本株の良かった時期が4年分余計に平均値に加算されているからです。

世間で言われる期待収益率を鵜呑みにしてどんなに正確なアセット・アロケーションを実行してもあまり意味のある行動とは言えない。 それは自分で考える部分が欠落しているからでしょう。

さり気なく書いてしまいましたがバリュー株の優位性(過去の)は非常に大きなものがあります。但し短い期間では非常に大きな損失をもたらす事もあります。 またここではMSCI Coreと言うユニバースに限定されている事も注意が必要です。

続く、

2010年2月13日土曜日

日本株は上がるのか? ⑤ 幾何平均収益率


「日本株は上がるのか」シリーズに入れるかどうか迷いましたが、今後幾何平均収益率が重要になりますので念のためエントリーしておきます。
幾何収益率に対応する収益率の単純な平均は算術平均収益率となります。

先ずは、自然対数から、
百万円に仮に年利100%の利子が付くと、1年後には2百万貰える事になります。
1,000,000 x (1+100%)=2,000,000.

これが半年複利であると、
1,000,000 x (1+100%/2)^2 = 2,250,000.
何故なら半年目に受け取った100%の半年分50万円が残り半年100%で付利されるために複利効果がでるからです。

同様に四半期、月、週と細分化していきますと、Day(日)ベース当たりから増加量が減少し、分と秒ではあまりかわらなくなります。

このどんどん細かくしてこれ以上増加しない限界の値は分かっていて、
2,718,281円になります。

そしてこれはこの数字と関係があります。
e = 2.71828 18284 59045 23536 02874 71352 …

ネイピア数とかオイラー数と呼ばれています。円周率みたいなもんだと考えておけば良いでしょうが、実際にはエクセル等で計算するので特に覚える必要はありません。

ベルヌーイは様々なところに登場しますが、このオイラー数を利子の複利計算に初めて使用したのも彼なのです。

このネイピア数の性質を利用して 自然対数と呼ばれる 2.71828...を底とする対数を連続複利収益率の計算に使用します。連続複利収益率はリミットまで細かく刻んだ場合の複利利率による収益率と言う事です。

ここでは
2.71828..=exp(1) 指数関数 エクセルでは =EXP()
ln(2.71828..)=1  自然対数 =LN()

ここではごちゃごちゃと考えるよりも、慣れた方が早いので計算してみましょう。
何に使えるのかがわかると思います。

下の表は実際のSP500の年足です。
収益率=今年の値÷去年の値-1
対数収益率= LN(今年の値÷去年の値)
LN(SP500)=そのままSP500の値をLN()関数に入力したものです。
問題は上段にあるAverageのコラムです。
平均収益率は8.52% これを算術平均収益率と言います。
対数収益率は6.40%になっています。
その上のコラムの6.61%が幾何平均収益率になります。
ここでは幾何平均収益率の計算方法を3通り示しておきました。 コラム番号が分からないのは簡便下さい。


算術平均と幾何平均はどう違うのか?
それは平均収益率を使って19年分の複利計算をすれば明らかになります。
330.22 x ( 1+ 8.52%)^ 19 = 1,560.3 算術平均
330.22 x ( 1+ 6.61%)^ 19 = 1,115.1 幾何平均

また連続複利収益率は収益率を加算できますので、
6.40% x 19年 =1.216
これをexp関数でもとに戻して、
330.22 x exp(1.216)=1,115.10 とも計算できます。

これらを原指数と共にグラフ化したのが下のグラフです。
算術平均(黄線)は幾何平均(赤線)よりも常に高く出てしまうのです。
幾何平均は直近の値と一致しますから、もしかしたら幾何平均の方が高く出そうな高値をつけた1999年も同様に計算しておきましたが、ここでも算術平均は高く出てしまいます。
リスクが高いほど両者の差は大きくなります。

一度ご自分で日経平均などで計算してみると良いと思います。
シュミレーションを作成したりする時には両者の差は大きくなってしまいますし、過去の収益率の表を見る時にも高く見えてしまいますので注意が必要です。

また四半期や月次の率が示されている指標類と株式リターンの比較計算等にも欠かせません。

ではまた、


2010年2月12日金曜日

宝くじは愚者に課された税金?


公営ギャンブルである競馬ですら約75%が払戻金で、所謂テラ銭は25%なのに、宝くじときたら当選金は46%で、印刷手数料等で14%、お上に40%も巻き上げられてしまいます。従ってこうした最初から当選確率が既知であり、どうやっても最初からピンはねされてリスク・リターンの見合わないものにベットするのは合理的では無い、愚か者が何も手にしないのに税金を自ら払いに行っているようなものですよね。

ジャンボ宝くじの1ユニットは100,000番から199,999番までの10万通を1組として01組から100組まで、合計で1,000万通から成ります。1枚300円で、1ユニット30億円。13億5千万円が当選金として支払われる訳です。

もし資産家が1ユニットまるごと購入したとすれば、これは単なる愚か者。
しかし年収400万円、生涯賃金が2億円に満たないと予測される人から見ればどうでしょうか。


行動経済学でもこうした選好は説明されますが、頻度分布が既知で300円で1枚買ったとたんに135円(期待値)になってしまう宝くじも「楽しみ」や「夢」と言う「効用」と言う観点から考えるとあながち合理的では無いとは言い切れないでしょう。 それで現実に起こっている事は宝くじ販売は盛況であると言う事ではないでしょうか。

「宝くじを頻度主義に立てばまるで『正しい選択』では無い。しかし購入者は平均収益が40%に満たない事を気にしていない」と教えてくれるのは、小島寛之さんの「使える!確率的思考」です。

長い間金融の仕事をしてきた私は頻度主義確率の世界におりましたが、関連書籍も歴史的頻度主義(過去データ)ばかりを追いかけてきましたので、この本はとても新鮮でありました。

また同著者の「確率的発想法」では、フランク・ナイトの不確実性やベイズ理論を簡潔に示してくれています。
過去のデータから計算できる「測定可能なリスク」と「本当の不確実性」の違いを「足して1にならない確率」として説明しており、「リスク回避」と「不確実性回避」の違いを「薄商いで小動き」の心理を通して具体例が提示されています。



書籍のネーミングとは裏腹にハウトゥ本とは全く無縁で中身の濃い書籍となっていますが、最近の「使える!経済学の考え方
では「幸福」「公正」「平等」「自由」「正義」をどう考えるか等を数理を使って説明しようとしています。

日常言語は、感情をゆり動かしてしまう。 鳩山総理の所信表明演説では「いのちを守りたい」とおっしゃっていましたが、これは正に感情をゆり動かそうとしているのでしょう。 感情の影で合理的な本来取られるべき政策の選択がゆがめられてしまいかねません。 著者は数理を駆使する事によって冷静な思考を促すことを可能にするとしています。

私はたまたま駅の本屋で「使える!経済学の考え方」を手に取ったのですが、その中に参照されていた他の上記の2冊も結局イッキ読みさせられてしまいました。

市場から少し距離をおいて見る。とか考え方のバリュエーションを広げると言う意味でお奨めなのと、経済学、統計学の系譜が容易に得られると言う意味で(その分ハウトゥー本なのか?)価値のある3冊だと思います。


ちなみに競馬の収益金には一時所得として課税されますが、宝くじには課税されません。 今唐突におバカ・タレントかなんかに抜擢されて3億円稼ぐと50%は税金です、贈与税対策等で使われないように課税替わりに収益率が低いとも考えられますよね。 でも小遣い全部つぎ込んでも当選確率は100万分の1が10万分の1になるような話だし、勢い余って1ユニット全部買ってしまうなら本当の「愚か者」になる訳で、「ホドホド」にって言うのが正解でしょうか?


2010年2月9日火曜日

日本株は上がるのか? ④ 法人税と投資税


1昨日のエントリーでTwitterのDMやメールでいくつか質問を貰いました。

質問1。実効税率とROEに相関関係があるのか?
  この質問は2つ考えられると思います。

1)国別で一定時期の税率とその国のROEとの間に相関関係があるのか?
これは興味がありますが作業量が片手間では難しそうなので、時間が固まってある時に試してみたいと思いますが、その国が成長ステージにあるのかとか、資源価格上昇時の資源国か?とか条件の整理が難しそうですね。   

2)国内の時系列の相関
単純に言えば日本のROEと実効税率の関係ですが、これはサンプル数も少ないので、グラフを見たままで良いかと思います。

質問2。実効税率とトータル・リターンの関係は?
  確かにこれが最大関心事ですよね。 配当やキャピタル・ゲイン課税については投資家代表として業界は非常にうるさく不平を言ってますが、投資家の利益を考えたた時に、法人税とのトレード・オフはどうなっているのか? 異常に低い国民金融資産に占める株式占有率と関係があるのではないか?などなど、
証券業界としては売買代金の減ると思われるキャピタルゲイン税や直接目につく配当課税が気になるところですよね。

今回はもう一度税率とROE、株主の取分である、トータル・リターンについて思いつくまま考えてみましょう。

最近はPBRの時に取り上げたように、インデックスのPBR(株価純資産倍率)はちょうど1倍近辺なので、株価=純資産価格と考えても良い状況です。
つまり今インデックス投資を始めると、純資産で企業の相分を買える状況だと言う事ですね。 プレミアムも何も無いと言う事でもありますけれど。

ここでは実験の為に、インフレが無く、増資も無く、保有資産の評価損益等々の無い無菌状態を考えます。

企業評価の本などを見れば必ず書いてありますが、株主価値はファンダメンタルスに収斂します。
ソロモンのエステップのTモデル等を数式にしないで表現にすると、
株主の取分は、

TR(トータルリターン)=内部留保(純資産増加分)+配当+投資家による評価の変動

ここで簡単にする為に第3項の投資家による評価の変動を無視して考えると、

株主の取分=TR=内部留保+(配当-配当課税)=(税前利益-実効税額-配当支払額)+(配当支払額ー配当課税)
=税前利益-(実効税額-配当課税)
これは企業の収益は国と株主が分け合うと言う事です。

キャピタル・ゲイン税は最後においておきましょう。

ROE(自己資本利益率)=税前利益x(1-実効税率)÷純資産=純利益÷純資産
税前利益=税金(実効税額)+内部留保+配当支払額
税前利益が決まっていればROEは単純に実効税率によって決定されます。配当課税やキャピタルゲイン課税の課せられる前の段階ですね。


TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-配当性向)+税前利益x(1-実効税率)x配当性向x(1-配当課税率)

ここで仮に配当性向を30%に、配当課税率を20%に固定すると、
=税前利益x(1-実効税率)x0.94

これにキャピタルゲイン(CG)税を配当課税率と同率とし、毎年利益を実現して税金を払うと仮定すると、
TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-0.3)x0.8+税前利益x(1-実効税率)x0.3x0.8
=税前利益x(1-実効税率)x(0.56+0.24)=純利益x0.80
純利益から20%税金を払っているだけですね。

純利益=税前利益x(1-実効税率)なので、

TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-CG・配当課税率)
何だかすごく簡単になりましたね。考えてみればそりやそうですね。

ここで実効税率60%だと、
TR=税前利益x0.4x0.8=32%、
国7:投資家3ですからとんでも無い重税となります。
バブルでPBR5倍などと言う数字に惑わされる影で株主持分は随分と痛められていた事になります。

現在は標準課税で40%、CG・配当課税が20%、(暫定は10%)
TR=税前利益0.6x0.8=48%
ここでキャピタルゲイン税は実現しなければ、実現するまでの間ROE分成長してくれます。

キャピタルゲインや配当課税に目がいきがちですが、法人の実効税率の国別格差は長期では国の成長に大きな影響を及ぼします。国際競争力の格差は一目瞭然。多国籍化している企業が日本を離れると言うのは現実味があります。

今の課題は複雑な特別控除や特定業界保護的な免除を整理し、一律で実効税率を下げる事です。 成長戦略の中心は余計な補助金では無く税制の単純化、実効税率の低下だと思います。 以前のように実効税率60%で投資課税が20%だと、起業家や投資家の取分は32%しかありません。
財政赤字の多い日本では減税処置もとりずらい戦略ではあるでしょうが、実効税率は下げるべきだと思います。

現状は5公5民と言ったところでしょうか。
新井白石の計算によると江戸時代の農家の実質税率は28%。吉宗の定免法採用で35%がやっとだったそうですから現代は結構公にとられていますよね。
これに個人の給与に税金がかかってきます。さらに国民年金の不足分を厚生年金で補填していますから、サラリーマン(儲けている会社の)は1人2票分ぐらい欲しいところですが、政治力学で反対方向に歪められております。


続く、

2010年2月6日土曜日

日本株は上がるのか? ③ 実効税率



上場企業の時系列データを一括して取得する事は難しいし、データの開始時期が90年頃になりがちです。
一方で財務省の発表している法人企業統計は1960年から概ねデータが揃っているし、エクセルにダウンロードするのも難しくはないので重宝します。。
問題は金融のデータが除かれている事ですが、これはQuick Amsusなど市販のデータでも別扱いにされるので大差は無いでしょう。 また上場企業に限定されないので、株式市場のデータとは連携されていませんが、それでもここからは多くの事がわかります。


下のグラフは法人企業統計から資本金10億円以上の企業の売上高と経常利益の合計の推移です。
日本は90年以降2003年までは売上は横ばいで、利益の総額が下落していたのだから株式が下落するのは当たり前でしょう。もちろん90年めがけてバブルで膨らみきっていましたから株式は大きな下落になって今に至っています。

法人企業統計は一株当たりのデータでは無いので、新株発行によるダイリューション等は加味されていません。あくまで資本金10億円以上の非金融業の塊のデータです。


ROEは一株当たりが無くても計算できます。 ここでのEquityは純資産額を使用しました。
ROE自体は1970年代に入ると既に下降を始め2001年にマイナスにまで落ち最近は回復傾向にあったのですね、世界不況でまた下がりましたが、傾向としては悪くないものもあります。


70年代に大きく変更のあったものに法人税があります。
法人企業統計では法人税、住民税及び事業税を税引前純利益で割ると実効税率が計算できます。
これは税制で何%ですよと言うのでは無く、実際に支払った金額を元に計算してありますので、実際の税率である実効税率になります。


日本では企業は長い間実に60%近い税を支払い続けていたのでした。
さすがに政府としても平成元年から法人税率を引き下げに入り、平成11年には国際水準並への引き下げを行います。
財務省HPより

その結果の国際比較が以下の図です。

財務省HPより

実は日本はまだ法人税率が高いのです。
それにこれは実効税率とありますが、標準税率です。つまり計算上の税率です。
実際に支払った税率は実際のデータから計算する必要があります。

米国でも国際競争力の観点から2007年にはTreasury Conference on Business Taxation and Global CompetitivenessをテーマにBusiness Taxation and Global Competitiveness Background Paperと言う資料が発表されています。
この資料とその周辺の話題をまとめた日本語のブログがあります。

専門家のためのアメリカ・タックス(米国税務) 米国法人税率は高いか、低いか?

すこし引用させて頂くと、
民主党の上院議員であるByron Dorgan氏は、「Fortune 500企業の実効税率をチェックしてみると税法上の標準税率でタックス費用を認識していているような企業はほとんどない」とし、2001年ベースではFortune 500の代表275社の実効税率はナント21.4%、それが2003年には更に17.2%にまで低下していると指摘している。さらに会計検査院(GAO)の統計によると米国企業の63%に上る企業が法人税を全く支払っていないとされる。そのような統計を基にDorgan氏は「米国企業が不当に高い税率に基づいて課税されているかどうかを論じるのは筋違いであり、むしろどのように最低限フェアな税金を負担してもらうかにフォーカスして議論するべき」としている。

LLCなどパススルー事業主体や各種減税処置のおかげで、標準税率を支払っている企業は無いようなのです。
2006年のウォルマートは33.5%、Googleは23%とあります。

ROEのR:Reternは税引き後の収益ですから、税率によって大きく影響を受けます。
仮に税率が60%と30%では、 

(1-0.6)/100=4% として30%では、 (1-0.3)/100=7%にもなります。

投資家に手渡す収益率が年3%、約倍も異なると複利効果で20年もあると出来上がりには大きな違いが出てしまいますよね。

民主党は4年間消費税を上げないと言っていますが、本来なら国際競争力の観点から下げねばならない法人税を、個人よりも企業からなどど変な事を言い出さないように注意していなければなりません。 公開会社法も世界で日本だけの法律です。人為的に配当性向をいじるような事は避けねば国民の金融資産保持に大きな障害となると思います。


続く。

2010年2月4日木曜日

トヨタ自動車ブリーフィング②


前回 トヨタ自動車ブリーフィング

前回トヨタの決算発表は注目されると書いてしまったので、決算発表のインプレッションを。


収益に関しては3Qは予想以上で、コスト削減や販売数増加が目立ち、今回の件が無く、且つ株価がこの水準であれば間違い無くお買い得な水準だろうと思います。

注目されるのはアナリストによる質疑応答ですが、アナリストの多く(聞いている人もいました)はブランド毀損と言う意識は未だ薄いように感じられました。

質問するのであれば、具体的にNYTWAPOの記事を提示し、ブレーキ・オーバーライド・システムの是非に対する考え方まで踏み込んでもらえなければフラストレーションが残りそうに感じました。 まあ、この席で聞いたところで、会社側もダメージ認識が未だ薄いのか腫れ物扱いしているのか返答に困りそうですから、プロフェッショナルとして質問を遠慮しているのかもしれませんね。 社長が表に出ない事に対して各アナリストは苦言を呈しておりました。


株価はPBR1倍。 買い場としたいアナリストも多いようです。
米国下院公聴会は2月10日と25日。 それまで株価は大きくジャンプしたりは出来ないでしょうね。
米国世論の形成次第でしょうか。

ご自身でご判断を。

参考サイト


2月9日追加、
USAレポートの冷泉さんが、ハイブリッド車の技術的な側面から記事を書かれています。
パッシング論や今回のトヨタのあまり上手とは言えない対応批判の前に抑えておきたい記事です。

2010年2月2日火曜日

日本株は上がるのか?② EPR 配当利回り


PERの適正値と言うのは難しいものです。

60年代後半から米国市場ではPERエクスパンション(PER拡大)は長期債金利と関係があると言われていました。
1881年からの米国SPコンポジット(SP500)のPER(黒)と10年国債の利回り(赤)の関係です。

なるほど60年代後半から2000年のPERピークにかけては当初金利の上昇に伴ってPERが下落し、82年からは金利の下落に伴ってPERの拡大が続いていますのでこの時期に限ってはPERと金利が逆相関にある事は正しいと言えるようですが、それ以前とそれ以降は何とも言えません。

ここでのCAPEはシクリカル・アジャステッドで、10年移動平均を使用する事により、景気変動の波を除外してPERを計算してあると言う意味です。

PERは100倍やそれ以上になったり、赤字では0になったりしますから扱いにくい指標であることは前回も示しました。

そこで株価収益率と言うPERの逆数を使用した指標もよく使われます。

PER=株価÷EPS
株価収益率=EPS(1株当たり純利益)÷株価
株価収益率=1÷PER

配当利回り=配当÷株価 ですから配当利回りは配当原資となる純利益の一部である配当を利回りとして扱っている訳で、株価収益率も同系列の指標と言う事になります。

但し株価収益率(PERの逆数)との違いは、赤字や減収でもできるだけ安定して配当を続けようとしますので、配当利回りにはデータに連続性があります。

ここでは長期のトレンドを見るので株価収益率にも連続性を出す為、単純に移動平均値を使用してます。 60ヶ月(5年)を使用してみます。

1985年からの10年国債と東証1部単体の株価収益率の比較です。 データ:TSEのHPより。

株価収益率が国債利回りを抜き始めています。但し60ヶ月平均を使用しているので、敏感な指数では無い事を意識しておいて下さい。


これが特殊な状況か? と言うと、
以下は米国の益利回りと10年債利回りの1881年からの推移です。
益利回りが国債利回りより低かったのは直近の強気相場の始まった80年代からの事ですね。
期間的にはそれほど長いものではありません。



次に配当利回りです。
黄色い線が日経平均(右軸)で赤が国債利回り、紺が東証1部時価総額加重平均配当利回りです。
両者が接近すると、株価底打ちのサインとして新聞や雑誌を賑わせますがいつもそうとは限らない。最近では配当利回りの方が高いのが常態化しています。


また米国の長い歴史を見ておくと、

60年代以前は株式の配当利回りが高かった時代が長い間続いていました。
説明としては債券に比べて配当収入は不確実なものであるから高い利回りを要求されるのだと教えられました。
そこにはキャピタル・ゲインの要素は入っていませんでした。

またこのグラフでもう一つ言えるのは、米国の場合ベトナム戦争や石油ショックの影響を受けた高インフレ下の80年代初頭の高金利は異常で、ざっと見渡すと米国長期債は4%程度が居心地が良さそうな水準だと言う事かもしれません。 あくまで見た目の話しですが。

今は色々な指標をみて過去の状況を復習しています。

続く、

トヨタ自動車ブリーフィング


2月2日(ブルームバーグ):トヨタ自動車株が一時、前日比5.8%高の3650円と大幅反発。同社は1日夜、アクセルペダルの不具合をめぐる米国での大規模リコール(無料の回収・修理)の対応策を公表したことで、問題の先行きに対する過度の不透明感が後退した。午前終値は5.5%高の3640円。



昨晩のトヨタの対応策発表でショート・カバーとボックス・レンジでの安値買いを狙う買いによってトヨタは反発したと考えています。

またトヨタは2月4日に第3Q決算発表を控えている為に、取り敢えずポジションをニュートラルにと言う考え方もあるでしょう。アナリスト達も現時点では判断を控えているように思います。

もちろん決算発表で今回の問題に対する説明、および対応策はアナリスト達の評価に晒される事になります。ブランド・イメージ毀損に対する対応策や認識が低ければ厳しい評価が待っているのではないかと思います。

しかしながら私には今回の件で日本でのトヨタ問題に対する報道と、米国での報道の格差が少々引っかかっています。 かなりの情報ギャップがあるように感じているのです。

日本の大手メディアにすれば最大のスポンサーですから逆キャンペーンになるような報道は避けているのは理解できますが、今回の問題は単なるリコール問題の範疇を超えてしまっているのではないかと言う疑問を持っております。

1月31日のNYTタイムスの記事です。

Lexus ES350に乗って走っている車内から、911(警察+消防)に電話が架かってきて、乗っているレクサスが止まらないと言う臨場感があふれる内容になっています。
「今、レクサスだ、、、、125号線を北に向かっている、アクセルが戻らない、、、、、大変な事になっている、、、、、ブレーキが効かない、、、、、インターチェンジに近づいている、、、、、しっかり掴まって、、、、しっかり掴まって、祈って、、、、、祈って、、、、、」 この後クラッシュ音と伴に電話は切れる。
ここで運転していたのは、警官でハイウェイパトロールのドライバーで運転のエキスパートでした。同乗していた奥さんと娘、甥の4名は死亡してしまったとあります。 昨年8月28日の事件でした。

まるで一見不買運動のキャンペーンのような記事の出だしですが、今回のリコール等に関連するトヨタによる説明不足は咎められても仕方の無いところでしょう。



1月29日のワシントン・ポストです、

これも私が見落としているだけかもしれませんが、少なくとも周囲の人間はしりませんでした。日本での報道では見かけないと思います。「トヨタ車はクレームにも関わらずブレーキ・オーバーライド・システムを装備していない。」と言う物です。

ブレーキ・オーバーライド・システムとは、
昔の車はアクセルはワイヤーでエンジンに繋がり、燃料の噴出量を直接的にコントロールしてましたし、ブレーキは油圧システムによって直接ブレーキに接続していました。 アクセルとブレーキを同時に踏んだ場合には両方とも踏まれた分だけ機能すると言う事です。
 しかし最近はTVゲームのコントローラーのように電子的に制御されているそうです。 つまりアクセルやブレーキは電子的なコントローラーでしか無いと言う事です。
例えばアクセルとブレーキを同時に踏んだ場合、どちらを優先させるかと言う問題があります。 ブレーキオーバーライドの場合、両方が踏まれた時にはブレーキを優先してアクセルをキャンセルします。 トヨタ車にはこのシステムが無かったと言われています。  

ではこのシステムが無かった事が欠陥であるか? と言うとそういう訳では無く、ホンダ車にもこのシステムは採用されてないそうです。 

左足でブレーキを踏みながら、右足でエンジンの回転を維持すると言うようなスポーツ・ドライブをするユーザーにはこのシステムは余分なシステムであるとも言えるのです。 しかしながら上記のNYTの記事のような事故では、あるいはトヨタが主張してきたフロアマットが挟まってアクセルが戻らなかったと言うような事故においても、もしこのシステムさえあれば助かったのではないか?と言うのがポイントなのです。

GM,フォルクス・ワーゲンやアウディ、BMW、メルセデス、はスポーツ・ドライブよりも安全性を重視してブレーキ・オーバードライブ・システムを採用していたのだそうです。(Speed Net アクセルペダルについて

トヨタ車からの乗り換えには特別割引をつけるなど、まるでかつての常勝巨人軍に対峙するかのように、アンチ・トヨタ・キャンペーンが繰り広げられているような気がします。

長い年月をかけて品質で築きあげたトヨタのブランド・イメージが危機に瀕している状態ではないでしょうか。 工場再開時期や目先の業績予想云々よりもブランド・イメージ毀損に対する危機管理が今トヨタに求められているものと思います。  そう言った意味で長期投資の観点からも、今回の決算発表は注目されます。 日本語の情報に依存している場合、今回の件はあまり軽く考え無い方が良いかもしれません。



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