2010年2月6日土曜日

日本株は上がるのか? ③ 実効税率



上場企業の時系列データを一括して取得する事は難しいし、データの開始時期が90年頃になりがちです。
一方で財務省の発表している法人企業統計は1960年から概ねデータが揃っているし、エクセルにダウンロードするのも難しくはないので重宝します。。
問題は金融のデータが除かれている事ですが、これはQuick Amsusなど市販のデータでも別扱いにされるので大差は無いでしょう。 また上場企業に限定されないので、株式市場のデータとは連携されていませんが、それでもここからは多くの事がわかります。


下のグラフは法人企業統計から資本金10億円以上の企業の売上高と経常利益の合計の推移です。
日本は90年以降2003年までは売上は横ばいで、利益の総額が下落していたのだから株式が下落するのは当たり前でしょう。もちろん90年めがけてバブルで膨らみきっていましたから株式は大きな下落になって今に至っています。

法人企業統計は一株当たりのデータでは無いので、新株発行によるダイリューション等は加味されていません。あくまで資本金10億円以上の非金融業の塊のデータです。


ROEは一株当たりが無くても計算できます。 ここでのEquityは純資産額を使用しました。
ROE自体は1970年代に入ると既に下降を始め2001年にマイナスにまで落ち最近は回復傾向にあったのですね、世界不況でまた下がりましたが、傾向としては悪くないものもあります。


70年代に大きく変更のあったものに法人税があります。
法人企業統計では法人税、住民税及び事業税を税引前純利益で割ると実効税率が計算できます。
これは税制で何%ですよと言うのでは無く、実際に支払った金額を元に計算してありますので、実際の税率である実効税率になります。


日本では企業は長い間実に60%近い税を支払い続けていたのでした。
さすがに政府としても平成元年から法人税率を引き下げに入り、平成11年には国際水準並への引き下げを行います。
財務省HPより

その結果の国際比較が以下の図です。

財務省HPより

実は日本はまだ法人税率が高いのです。
それにこれは実効税率とありますが、標準税率です。つまり計算上の税率です。
実際に支払った税率は実際のデータから計算する必要があります。

米国でも国際競争力の観点から2007年にはTreasury Conference on Business Taxation and Global CompetitivenessをテーマにBusiness Taxation and Global Competitiveness Background Paperと言う資料が発表されています。
この資料とその周辺の話題をまとめた日本語のブログがあります。

専門家のためのアメリカ・タックス(米国税務) 米国法人税率は高いか、低いか?

すこし引用させて頂くと、
民主党の上院議員であるByron Dorgan氏は、「Fortune 500企業の実効税率をチェックしてみると税法上の標準税率でタックス費用を認識していているような企業はほとんどない」とし、2001年ベースではFortune 500の代表275社の実効税率はナント21.4%、それが2003年には更に17.2%にまで低下していると指摘している。さらに会計検査院(GAO)の統計によると米国企業の63%に上る企業が法人税を全く支払っていないとされる。そのような統計を基にDorgan氏は「米国企業が不当に高い税率に基づいて課税されているかどうかを論じるのは筋違いであり、むしろどのように最低限フェアな税金を負担してもらうかにフォーカスして議論するべき」としている。

LLCなどパススルー事業主体や各種減税処置のおかげで、標準税率を支払っている企業は無いようなのです。
2006年のウォルマートは33.5%、Googleは23%とあります。

ROEのR:Reternは税引き後の収益ですから、税率によって大きく影響を受けます。
仮に税率が60%と30%では、 

(1-0.6)/100=4% として30%では、 (1-0.3)/100=7%にもなります。

投資家に手渡す収益率が年3%、約倍も異なると複利効果で20年もあると出来上がりには大きな違いが出てしまいますよね。

民主党は4年間消費税を上げないと言っていますが、本来なら国際競争力の観点から下げねばならない法人税を、個人よりも企業からなどど変な事を言い出さないように注意していなければなりません。 公開会社法も世界で日本だけの法律です。人為的に配当性向をいじるような事は避けねば国民の金融資産保持に大きな障害となると思います。


続く。

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