2010年2月9日火曜日

日本株は上がるのか? ④ 法人税と投資税


1昨日のエントリーでTwitterのDMやメールでいくつか質問を貰いました。

質問1。実効税率とROEに相関関係があるのか?
  この質問は2つ考えられると思います。

1)国別で一定時期の税率とその国のROEとの間に相関関係があるのか?
これは興味がありますが作業量が片手間では難しそうなので、時間が固まってある時に試してみたいと思いますが、その国が成長ステージにあるのかとか、資源価格上昇時の資源国か?とか条件の整理が難しそうですね。   

2)国内の時系列の相関
単純に言えば日本のROEと実効税率の関係ですが、これはサンプル数も少ないので、グラフを見たままで良いかと思います。

質問2。実効税率とトータル・リターンの関係は?
  確かにこれが最大関心事ですよね。 配当やキャピタル・ゲイン課税については投資家代表として業界は非常にうるさく不平を言ってますが、投資家の利益を考えたた時に、法人税とのトレード・オフはどうなっているのか? 異常に低い国民金融資産に占める株式占有率と関係があるのではないか?などなど、
証券業界としては売買代金の減ると思われるキャピタルゲイン税や直接目につく配当課税が気になるところですよね。

今回はもう一度税率とROE、株主の取分である、トータル・リターンについて思いつくまま考えてみましょう。

最近はPBRの時に取り上げたように、インデックスのPBR(株価純資産倍率)はちょうど1倍近辺なので、株価=純資産価格と考えても良い状況です。
つまり今インデックス投資を始めると、純資産で企業の相分を買える状況だと言う事ですね。 プレミアムも何も無いと言う事でもありますけれど。

ここでは実験の為に、インフレが無く、増資も無く、保有資産の評価損益等々の無い無菌状態を考えます。

企業評価の本などを見れば必ず書いてありますが、株主価値はファンダメンタルスに収斂します。
ソロモンのエステップのTモデル等を数式にしないで表現にすると、
株主の取分は、

TR(トータルリターン)=内部留保(純資産増加分)+配当+投資家による評価の変動

ここで簡単にする為に第3項の投資家による評価の変動を無視して考えると、

株主の取分=TR=内部留保+(配当-配当課税)=(税前利益-実効税額-配当支払額)+(配当支払額ー配当課税)
=税前利益-(実効税額-配当課税)
これは企業の収益は国と株主が分け合うと言う事です。

キャピタル・ゲイン税は最後においておきましょう。

ROE(自己資本利益率)=税前利益x(1-実効税率)÷純資産=純利益÷純資産
税前利益=税金(実効税額)+内部留保+配当支払額
税前利益が決まっていればROEは単純に実効税率によって決定されます。配当課税やキャピタルゲイン課税の課せられる前の段階ですね。


TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-配当性向)+税前利益x(1-実効税率)x配当性向x(1-配当課税率)

ここで仮に配当性向を30%に、配当課税率を20%に固定すると、
=税前利益x(1-実効税率)x0.94

これにキャピタルゲイン(CG)税を配当課税率と同率とし、毎年利益を実現して税金を払うと仮定すると、
TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-0.3)x0.8+税前利益x(1-実効税率)x0.3x0.8
=税前利益x(1-実効税率)x(0.56+0.24)=純利益x0.80
純利益から20%税金を払っているだけですね。

純利益=税前利益x(1-実効税率)なので、

TR=税前利益x(1-実効税率)x(1-CG・配当課税率)
何だかすごく簡単になりましたね。考えてみればそりやそうですね。

ここで実効税率60%だと、
TR=税前利益x0.4x0.8=32%、
国7:投資家3ですからとんでも無い重税となります。
バブルでPBR5倍などと言う数字に惑わされる影で株主持分は随分と痛められていた事になります。

現在は標準課税で40%、CG・配当課税が20%、(暫定は10%)
TR=税前利益0.6x0.8=48%
ここでキャピタルゲイン税は実現しなければ、実現するまでの間ROE分成長してくれます。

キャピタルゲインや配当課税に目がいきがちですが、法人の実効税率の国別格差は長期では国の成長に大きな影響を及ぼします。国際競争力の格差は一目瞭然。多国籍化している企業が日本を離れると言うのは現実味があります。

今の課題は複雑な特別控除や特定業界保護的な免除を整理し、一律で実効税率を下げる事です。 成長戦略の中心は余計な補助金では無く税制の単純化、実効税率の低下だと思います。 以前のように実効税率60%で投資課税が20%だと、起業家や投資家の取分は32%しかありません。
財政赤字の多い日本では減税処置もとりずらい戦略ではあるでしょうが、実効税率は下げるべきだと思います。

現状は5公5民と言ったところでしょうか。
新井白石の計算によると江戸時代の農家の実質税率は28%。吉宗の定免法採用で35%がやっとだったそうですから現代は結構公にとられていますよね。
これに個人の給与に税金がかかってきます。さらに国民年金の不足分を厚生年金で補填していますから、サラリーマン(儲けている会社の)は1人2票分ぐらい欲しいところですが、政治力学で反対方向に歪められております。


続く、

1 件のコメント:

americakabu さんのコメント...

Could you possibly send me your e-mail address? I unfortunately lost most of my files a little while ago. Jim at nytky09@gmail.com.