2010年2月18日木曜日

ナビゲート! 日本経済


最近ボリュームのある本で読みたい物があまり無いので、本屋で新書を見繕う事が多くなりました。この本もそういう一冊。 軽い気持ちで読み始めたのですが内容は簡単では無く、実質的なボリュームは結構ある新書でありました。

ナビゲート!日本経済 (ちくま新書)
脇田 茂 著






結論から言うと著者が日本経済に必要としているものは以下の3点になります。

1。短期的には外需(タネ火)と内需(着火)に代表されるサイクルのプロセスを認識し、景気に2段階ある事の認識が必要。

2。中期的には家計に所得を返し、家計が望む需要が実現される事。

3。長期的には少子化対策に全力をあげる。

1。の外需・内需はサイクル的な動きを株価で、トレンド的な動きを不動産価格で示し2つの区別を提示し、90年以降外需が一旦盛り上がっても個人消費である内需が盛り上がらず小さな景気循環に終始してしまっていると言う意味です。

2。の「家計に所得を返し」と言う点は、最近話題の大企業の内部留保に課税しようかと言う動きと混同されがちですが、こう言う表現も出来るのではないでしょうか。

1)企業は支払利息よりも受取利息の方が多い状況下で、労働者と表現するよりも家計に分配を増やし消費にあてるべきだ。

2)内部留保された資金は外部から資金調達すること無く投資に向けられるが、量の拡大を求めるあまり低い利益水準の投資を繰り返し無駄にしている。総合電機等を見ればさもありなんとも言える。 であればこれを家計に戻し小規模な景気循環に毎回終始している事態に対処する為消費に向けるべきだ。

つまり90年以降の景気循環において、
輸出⇒売上増大⇒利益増大⇒投資・賃金上昇⇒消費拡大 のプロセスの中で賃金上昇以降が断ちきれて継続的な景気拡大に入れない状態いる点に注目しています。

3。の少子化対策については現状の「子ども手当と言う政策」に異論はあっても基本的には反対する人は少数ではないでしょうか。

私としては本書からはこうした結論よりもむしろ、経済学におけるレジーム変化VAR(Vector aoutoregression)などの分析手法の紹介のやいくつかの基本的な知見に価値を感じました。

例えば、
・失業給付は現在失業者の2割しか受け取っておらず、雇用保険は6兆円の埋蔵金を持っている。

・日本では生産などのショックを企業内労働保蔵による雇用へのバッファーが緩和するが、米国では雇用のショックを家庭内貯蓄のバファーが吸収すると言ったリスク吸収プロセスの違い。 これは米国市場では雇用統計に市場が敏感に反応する事に比較して日本ではさほどでも無い事への説明になっています。

・レジーム分析ではマネー・サプライ・データが90年以降、市場(産出量)との相関関係を失ったか等々が分かりやすく解説されています。

と言う訳で価格分充分に堪能させて頂きました。

1 件のコメント:

オテモヤン さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。