2010年2月24日水曜日

日本株は上がるのか?⑧ リスク・プレミアム


日本株は上がるのか?⑥の期待収益率でも触れておきましたが、
今回はリスク・プレミアムについて考えてみます。

リスク・プレミアムとは一般に金融取引において資金の受け手のリスクに応じて、資金の出し手が要求する利回りの事です。

ここでプレミアムの対象となるリスクは、
インフレ率、期間、信用リスク、株式リスクです。

ここで、インフレ率に関してはどの金融資産にも共通して織り込まれるべきリスクですからここでは除外して考えましょう。

下の図では左からリスクの少ない順番に並べいます。
ここでは国の信用が一番であるとと言う前提で国の破綻リスク等は考慮していません。細かい議論をすれば海外エクスポジャーの多い会社の外貨建て社債や株式等のリスクが国債よりも高いのか?と言う議論もできますがここでは無視します。




長期国債にしろ、社債にしろ確定利付商品では、事前に満期保有の場合の予定利率がわかりますので比較し易いのですが、株式だけは利回りでは表示できません。

株式の期待収益=キャピタル・ゲイン+配当収入になり、どちらも満期と言う概念が無いのです。
株価益利回りや配当利回りは有りますが、すべて過去データであって、将来を約束する数値がありません。したがって確定利付証券に比較して将来収入が不安定な株式収益に対して投資家はそれらよりも余分に株式プレミアムを求めるのです。

ここで先にすすむ前にひとつ整理しておきましょう。以前質問された事がありますので私なりの解釈で、

個人投資家にとって現実の金融商品選択では金融機関の預金と言うものが入ってきます。
日銀のHPに行けば預金種類別店頭表示金利の平均利率等についてと言うデータがあります。

クリックすると大きくなります。


また2月24日の市場では10年国債は1.31%の利回りとあります。

1000万円以下の預金は銀行破綻時にも政府が保証してくれますが、ここでは信用の一番高い国債の利回りが1.31%もあるのに、ペイオフの上限を超えた1000万円以上の定期預金利回りは10年でも0.491%しかありません。

本来であれば国債利回りに金融機関の信用プレミアムが期待収益率に加算されるはずですが、預金の場合には途中解約をしても元本が戻ってくる点が異なるのです。

したがって元本保証のプット・オプションが内蔵されていてその支払うべきプット・オプション・プレミアム分だけ、差し引かれて低い利率になっていると考えれば良いでしょう。

個人向け国債も同様に考えれば納得がいくと思います。

余談になりますが今ではCDS市場において銀行別の信用プレミアム価格は取引されています。
2月24日の市場では5年物で、三菱東京UFJ 93.07bps、三井住友 87.00bps、みずほコーポレート 126.20bpsですがこれらが預金金利に反映されているとは言い難いでしょう。裁定の機会が無いため放置されていると考えています。


話を株式リスク・プレミアムに戻しますと、株式リスク・プレミアムが何%であるか?との疑問には確たる結論は出ていないのです。

しかし企業の価値評価をする場合、資金調達の為に発行した社債は金利が明示されますので資本コストが明確にわかりますが、株式で投資した場合の株主資本コストの推計には前提として債券よりも高いリスク・プレミアムを要求しているはずであると考えなければ成立しません。

従って尤も納得の行きやすい方法としては、過去に現実に起こったヒストリカル・データを使用して推計した株式リスク・プレミアムを使用する事になります。

前回の期待収益率でヒストリカルな株式の収益率を計算し、それは1969年からの計算では約6%でした。大雑把に長期のリスク・フリーである10年債利回りを引けば4%前後と言う事になります。

したがって資本コストの計算等に4%前後のリスク・プレミアムを使用したり、長期の資産運用におけるアロケーションの計算にもこうした数値を入れて計算すれば?って事になるのですが、投資家としては「何故?」って事がつきまといます。  何故なら前回も示したようにリスクプレミアムはヒストリカルでは毎年低下している事と、ここ最近はリスクプレミアムに見合ったリターンを株式が提供してくれていないからです。

最近と言っても4、5年の低迷でしたなら、未だ長期のトレンドは違うよと説得力があるのですが、90年のピークから20年近く低迷していると、本当にリスク・プレミアムを4%と考えてアロケーションしても良いの?と考えるのは自然な事です。日本株のまともなデータは1950年頃からですから60年のうち20年も低迷していると言うのは長い期間のアヤでは納得し難いものがあります。

では、どのくらい見積もれば良いのか?

この質問は今回の当ブログのテーマ、日本株は上がるのか? と同じ疑問だと思います。

続く、

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