2010年3月11日木曜日

ユーロで起こっている事


ギリシャ問題に代表されるPIIGSの問題をどうとらえれば良いだろうか。

昨日はポルガル国債の入札が順調に推移した事から、ギリシャ債務危機の波及に対する投資家の懸念後退が示唆されユーロは一時的に安定しています。
一方でユーロ加盟国がユーロ参加条件を順守できずに、例えば今回のギリシャのように財政規律を保てないような場合にどう対処すべきか?と言うような根本的な問題は解決への緒すら未だ見つかっていないと言うのが現状でしょう。

ドイツでは放漫財政によって勝手に苦境に陥っている国を何故ドイツ国民が尻拭いせねばならないのかと言う論調が高まっていますし、それに応じてユーロのプライドとして参加国がIMFの支援を受けて欲しくないとの考えから欧州通貨基金(EMF)の設立等の案が出されています。しかしこれにも独仏の対立が絡み一筋縄ではいかないようで、根本の問題は金融政策は共通であるのに再分配機能である財政政策が個別に採られている点にあるようです。

もしもユーロと言うユーロ圏単一の通貨では無く、ユーロがドイツの通貨であり、その他の国はこのユーロにペッグしているだけと仮定してみましょう。
ギリシャは旧通貨ドラクマ。 財政赤字が拡大しドラクマの信用が維持できなくなると通貨の切り下げをしなくてはなりません。 従って例えば公務員の給与が一定であれば、ユーロ建てである物価は上昇する事になり購買力は下がる事になります。 しかし通貨側が一定であれば、逆に給料を下げてつじつまをあわせる事になります。
今回のギリシャの財政赤字削減策の中に公務員給与の削減、ボーナス・カット等で、都合30%の削減となるようですが、民間にも波及して全体の購買力の調整と言う形になるでしょう。 要するに形を変えたインフレが起こりギリシャ国民は倹約生活を強いられる事になります。

もしこれが財政政策も共にする一国の中で起こっているのであれば、再分配機能が働き、ギリシャの赤字を埋めて上げられるのでしょうが、事はそうは簡単に行かない訳です。 特にドイツ国民から見れば節度のある財政、見の丈に合わせた消費活動を行って行っているのに、放漫な怠け者の連中の面倒を何故俺たちが見なければならないんだ、と言う雰囲気が充満し救済に関して国内のコンセンサスを得るのは簡単では無いようです。 倹約を強いられるギリシャはWW2時のドイツのやった事を持ち出し賠償を仄めかしたり庶民レベルではハーケンクロイツを持ち出したりもしているようです。

同じ問題は経済の弱い順に発生して行く訳で、日本で見る映画そのまま、いい加減な(規律に対して順応しにくい)順に問題が発生していくと言う話しになっています。従ってこの問題は簡単に終わる事のできない問題ですから中長期においていずれにせよユーロは対ドルで弱含んでいくと考えられるでしょう。



しかしこの問題も今回の危機の原因となった民間と家計の過大な債務を政府部門が肩代わりした事がきっかけで露呈した問題ですから本質は、世界中共有の政府債務解消の問題と同一です。 日本がどの順番に入るのかは定かではありませんが、英国、米国も決してよそ事では無いと思います。

今は政府部門が肩代わりした流動性によって株式部門も堅調ですし、上方修正される企業収益予想、昨日の日本の機械受注と目先はお天気が続きそうですから何も腰を引かなくても良いと思いますが、根底にくすぶる問題は着実に肥大化するのでは無いでしょうか。 チャートのトレンド・ラインの切れる頃には注意ではないかと思います。



映画でドイツとギリシャと言えばケファロニア島虐殺事件を取り扱った「コレリ大尉のマンドリン」でしょうか。

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