2010年5月8日土曜日

オーケストラ Le Concert


帝政ロシア時代からユダヤ人に対する迫害はポグロム‐集団組織的大虐殺と言う形となり酷いものがありました。

歴代皇帝はユダヤ人を領内から追放しようと策をめぐらせるのですが、皮肉にもその領土欲からポーランドを分割領有することよって、結果としてポーランド領内に居住するユダヤ人を取り込んでしまい追放を無意味にしていました。 そこでエカテリーナ2世はユダヤ人の拡散を防ぐため、定住地域であるゲットーを黒海からリトアニアに渡る一帯に定めるる事によってユダヤ人の居住地域を制限しました。 「屋根の上のバイオリン弾き」の舞台です。

この当時はロシアに限らず欧州のいたるところでユダヤ人の居住空間を都市内の一画にゲットーとして制限していました。土地の制限が在るために建物は上に高くのびる事になったそうです。 

以前のエントリーで紹介したヤコブ・シフもフランクフルトのゲットーで生を受けます。産まれた家はロスチャイルドと同じ建物を縦に2分して、建物の片方にはロスチャイルドの赤い盾(roter Schild)が描かれ、シフの家の側には船(Schiff)が描かれていたそうで、後にドイツ・ロスチャイルドがシフの家の部分も購入したそうです。

ソビエト社会主義革命にはユダヤ人が開放を求めて多く参加し、実際に革命成就後しばらくはうまく行っていたのですが、スターリンによる大粛清はユダヤ人におよびソビエト連邦となっても迫害は続きます。



この映画はユダヤ人を迫害するブレジネフ政権の最後の頃、ボリショイ劇場管弦楽団のメンバーがユダヤ人であると言う理由やそれを助けたと言う理由で解雇されてしまい、指揮者は清掃人に、他の楽団員は救急車の運転手であったり、AVの効果音係であったりとすっかり落ちぶれてしまったと言う設定から始まります。

ところがちょっとしたきっかけで楽団員が再び結集しボリショイとしてパリでコンサートを開催すると言う話です。 そしてリユニオンには意味がありました。演奏曲はチャイコのバイオリンコンチェルトでなければならなかったのです。 

話しの大枠は真面目ですが、中身はほとんどロシアをパロッたり荒唐無稽に近い喜劇となっていますので、見ている方も「そんな理由は無いでしょう」と言うリアクションになってしまいます。 
ところがコンサートが始まるとすべてが変わります。
悲しくも無いのに、涙が止まらない、計算された音楽と映像のせいです。
ストーリーなど、どうでも良くなってしまうのです。 
この効果を出すために、ヒロインは圧倒的に美しくなければなりません。
タランティーノ+ブラピのイングロリアス・バスタースに出演していたメラニー・ロラン

マイケルのThis is it に感動した人は必見とだけ言っておきましょう。
バイオリンの練習を嫌がる子供には是非見せておきたい逸品です。


PS 5月9日に銀座シネスィッチに再度観に行ってきました。相変わらずの混雑ぶりでした。 前回観た時から妙に気になっていた既視感の原因は映画「砂の器」だとわかりました。
そう言えば最初に「砂の器」を観たのは体育会の学生寮に暮らした時代、生協でかなり古いけれど格安の大型中古テレビを皆で担いで持ち帰ったその夜です。 TVで放映していたのです。
7~8名で観ていたと思います。お酒も混じっていたでしょう。 皆涙がとまらずに往生しました。
翌日朝の天気予報の時間に、そのテレビは長くも短い(私達にとっては)生涯を、突然かつおごそかに終えられました。 まるで私達に「砂の器」を観せるのが最後の使命であったかのように。

その後再び亡骸を担いで生協に行ったのは言うまでもありません。
しかもかなり怒って。
(5月10日記)


0 件のコメント: