2010年7月30日金曜日

配当寄与度


ここで言う配当寄与度とはトータル・リターン(配当再投資)のうち配当収入がどれだけ寄与しているのかと言う指標です。

現在手に入るデータ・ベースとしてはMSCIのインデックスが無料で簡単ですからここからデータを取得して見てみましょう。
MSCIには各インデックスにつきPrice,Net,Grossと3種類のバリュエーションが用意されています。
Priceはインデックスの価格変化だけ。
Netはその国の配当課税を考慮した配当再投資インデックス。
Grossは配当課税を考慮してないトータル・リターンです。
通貨はUSドル建てになっています。

MSCI Japan CoreインデックスはBig cap+Mid Capですから中大型株指数と言う事になりますが、このインデックスで上記3種類を時系列で見てみましょう。
ここでの配当寄与度とは、
(Gross Index - Price Index) ÷ Gross Indexと定義しておきます。

このグラフを見て最初に思う事は日本の市場も配当込みだとさほど悪くは無いと言うイメージでしょうか。もちろん80年代バブル崩壊以降は全くどうしようもありませんが、40年間のリターンはアメリカ市場と同じであるようです。これらのグラフのラインは1969年12月末に100ドル投資した時の投資の成果です。
つまり配当込み(Japan Gross)ではバブルのピークには60倍となり、その後は60倍と30倍を行ったりきたりしていると言う事です。
価格だけのJapan Priceでは35倍と20倍の間を行ったりきたりしています。
そして配当寄与度は45.6%、リターンの半分が配当です。

アメリカでも見ておきます。

アメリカの場合、配当寄与率は72.5%
配当を再投資していなければ株式長期投資の魅力は半減(7割減)してしまいますよね。

ここまでくると、では配当利回りの良い銘柄ばかり集めたインデックスの方がトータル・リターンは良くなるのでは?と思いますよね。
MSCI Japan Core IndexではValueとGrowthが用意されていますので、普通のIndexも含めて3種類で比較してみました。
但しValueとGrowthのデータは開始時が1974年末と上記のグラフよりは5年短くなってしまいます。


このグラフでは1974年末に100ドル投資したとしてValueは50倍を超え、普通のインデックスは20倍で、Growthは10倍を切っています。Valueに投資していればバブルのピークさえ超えている事もわかります。配当寄与率は42.2%ですが上記のグラフよりも5年短い事を考慮に入れて下さい。
長期投資では配当がいかに大事かわかります。
言葉で言えば、配当利回りは複利+価格変化で成長します。価格変化がマイナスの時も配当はありますし、総じて利回りは高くなります。
いろいろな雑念を払って長期投資をするならば配当には目をつけておく必要がありそうです。

ロゴフのThis Time is Differentを読んでいてエルロイ・ディムソンのTriumph of the Optimists(証券市場の真実)を思い出したのでチョット自分でも調べてみました。
あらためてディムソンを読むと100年前の株式市場のデータが沢山のっていました。色々と参考になりますね。

2010年7月27日火曜日

帰納の問題 哲学の基礎



哲学の基礎 ナイジェル・ウォーバートン 栗原泉=訳
科学においては、あるいは相場においてはと置き換えても良いかもしれない。科学者はまず、世界のある特定の側面において多くの観察をする事から始める。観察はできる限り客観的に行われなければならない。データの記録に偏見や予断があってはならない。
観察にもとずく膨大なデータが集まると、次に結果のパターンを説明する理論が作られる。もしこの理論が優れた理論であるならば、今起こっている事を説明できると同時に将来起こるであろう事を予測できる。

朝の天気予報は膨大な量の観察をもとに推定されている。気圧の配置、風の向きから帰納的推論が導きだされるが的中率は100%にはならない。しかし雨に打たれれば濡れる。従って「低気圧が近づいているので雨になる」の予報であれば傘を持つ。これも我々の経験に基づく帰納的推論であって実際には生活の役にたっている。

我々は積み上げた経験をもとに判断をする。むしろ我々の生活は帰納的結論によって成り立っていると言ってもかまわないだろう。

しかし帰納的結論には明らかに間違いがある。被毛のある動物についての観察をすべて正しく行い、対象となった動物が総て胎生(卵を産まない)であると言う結論に至ったとしても、そこから導きだされる帰納的結論「被毛動物はすべて胎生である」は正しいようでいてあるいは間違っているかもしれない。 実際にはカモノハシには被毛があるが卵生なのだ。

鶏舎のニワトリは毎朝エサを期待して目をさます。エサを期待しているのは帰納的推論からだ。それでもある朝突然に首を締められフライド・チキンとなってしまう。これらは総て過去にもとずいて将来を予測する事の正当性についての問題だ。

ここまでくれば金融に興味のある方ならば「ブラック・スワン」の話が思い起こされるはずだ。

「帰納は科学的手法の基礎では無い」と考えれば問題は解決されてしまう。
タレブの心酔するカール・ポパーのこうした「反証主義」は科学哲学のひとつだ。

一般論としての「すべてのハクチョウは白い」
この帰納的推論を反証するにはたった一羽の「黒いハクチョウ」を見つければ事は済む。
一般論は証明するよりも反証する方がはるかに簡単なのだ。

しかしポパーはそれほど単純な事を主張している訳では無い。もちろんタレブもそうだ。ニュートンが引力の法則を発表して間もなく行われた月の軌道の観測はニュートンの説を反証する結果だったがニュートンは法則を破棄しなかった。この観測が誤解を招きやすいものだった事はかなり後になってわかったのだ。

科学者(相場師)は常に懐疑的な立場をとり、ミスの原因となるあらゆる可能性を探らなければならないと考えるべきだろう。

2010年7月25日日曜日

インセプション


あなたがこの世に存在しようとしなかろうと、人の知覚とは関係無く物体の世界が存在し、人は五感をとおして直接的に物を知ることができる。

しかしこの場合の五感である人間の感覚とは信頼できるものだろうか?
地平線近くの太陽や月は大きく見えるし、甘いケーキの後でフルーツを食べれば苦いと感じる事もある。

確かに間違いや錯覚はあるが、確かなものもあるはずだ。あなたが今触れている目の前のキーボード、時計、携帯電話などは確かなものだろう。

それでは夢はどうなのか?もしかするとあなたの生きている今は夢の中では無いと言い切れるのだろうか?

あるいは邪悪な科学者によって大きなガラス容器に閉じ込められたあなたの脳が様々な情報をインプットされているだけかもしれない。実際にはあなたは通勤電車にも乗らず会社にも出勤していない。ガラス容器の中で管理されバーチャルな世界の中で人生を全うするだけなのかもしれない。
脳の中だけで課長になり部長になり社長になったのかもしれない。あるいは爆弾を身体にくくりつけて自爆テロを決行したのかもしれない。

そうだと分かっていればもっと大胆な人生を送れたかもしれない、美人すぎる市会議員が夢に現れた時のようにおっぱいを触っておけばよかったかもしれない。どうせガラスの容器の中だけの人生だ。

こうした観念だけに頼ったものの見方、つまり自分の知覚するものが世の中の総てであると言う考え方を持つ事を独我論と言うそうだ。現実の世界は夢の中では無いのに独我論では世の中は自分の観念だけの世界だと考えてしまうので恥と言うものを感じ無くなってしまう。悪いことをしても誰にも咎められる事は無い。実際に世の中の犯罪者にはこういった人間も多いのだろう。しかし自分がガラス容器の中の存在である事が知覚できないのであればそれは今生きていると思っている普通の人生と何ら変わりは無い。わいせつな行為は法によって処罰されてしまうだろう。もちろんそれはガラス容器の中だけの話かもしれないが。

最近の研究では夢を見ている事を意識しながら見続ける夢がある事もわかってきている。「明晰夢」と言うそうだ。

映画「インセプション」は夢の中の映画だ。夢をコントロールできる技術者がいる事が前提となっており、夢を使って人の潜在意識に情報を植えつけるビジネスをする者が主人公となっている。

夢の中では実社会での1時間が五分間で過ぎてしまう。つまり12分の1と言う事だから夢の中でもう一度夢を見ると144倍の時間が使える、さらにそこで夢を見ると1728倍。1秒間の動きの中で約30分間の時間を使う事が可能になる。

但しここでも問題は自分が夢の中なのか現実の世界なのかが分からなくなってしまう事だ。
制作費150億円もかけたこの映画。私は少し疑問を残してしまったのでもう一度見る必要がありそうだ。もちろん観念的なスクリーン上の世界の話であるから全く急ぐ必要は無いのだけれど。

参考文献 :哲学の基礎 Nigel Warburton




2010年7月22日木曜日

米国債を買いまくる日本投資家



 
 欧米では昔からファイナンシャル・プランナーと言う職業がありました。今は亡きベアリング商会は女王陛下の資産アドバイザーであったし、19世紀末にエドワード7世の財政顧問としてロンバート街で活躍したアーネスト・カッセル卿等はとても有名な存在です。
 もちろん日本でもお金持ちには財政顧問的な位置づけの人はいましたがあまり歴史には登場してきません。日本はごく最近を除いて常に産業資本が不足がちであった事と資産家はどちらかと言えば不動産に傾斜して未発達な金融資産だけでで食べる貴族的な人が多くは無かったからでしょう。

本日の日経新聞13版7ページ【国際2】の「米金融規制改革法の衝撃」の記事の中でJPモルガンの推定としてこう言う一文があります。
 「欧米の規制改革でグローバルに展開する金融機関の自己資本利益率(ROE)は5%台に下がると言う。かつての20%超と言う高い収益率は過去のものになる」
なるほど5%台と言う数字はともかく趨勢としては全く反論はありません。

しかしこの記事を見た時に私が思い描いたのは別の要因についてでした。 要因と言うのは何故金融機関のROEが下がるのかと言うクェスチョンに対するものです。

90年代後半から米国ではハイネットワース(富裕層)向けの小型の投資顧問会社によるFPビジネスが都市郊外の住宅地を中心に発達しました。ここで言うハイネットワースは日本円で言えば50億円以上の資産を持っているような大金持ちでは無く、普通に金融機関等に勤めている年収で言えば2000万円から5000万円ぐらいの層が対象です。彼等は一般的に仕事に忙しいので普段ネットで自身の資産を売買する時間的な余裕が無いと考えている人たちでした。ニューヨークで言えば地域的にはホワイトプレーンズやリッジウッド、モンクレアーなどの金融関係の人達が住む高級住宅街の地域です。

2000年の初頭には日本でも証券仲介業と言う新しいテーマがありましたので仲介業の有力潜在顧客でもあるこういった郊外型の小型投資顧問会社を調査目的で何社か訪問して話を聞く機会がありました。

この時に日本でもこうした郊外型の小型投資顧問会社が根付くだろうかと考えると以下の大きな違いがありました。

1)日本でも青色申告があるとは言えサラリーマンの基本は会社天引きであるので家計の事務処理をさして手間だと思っていない。人の手を煩わせる(出費する)事も無いだろう。

2)日本でフィーを支払って国債で運用されると何も残らない。

 こうした投資顧問会社は有価証券売買の委託手数料依存よりはフィーを徴収する事で顧客との利益相反を克服している。つまり投資顧問会社が手数料に依存すると長期投資とって最悪のコストである売買コストを積み上げる誘因が常に存在してしまうから最初から一定のフィーを頂戴して売買は必要以上には極力行わないようにすると言うものでした。
 この手の会社の顧客層は30代後半から50代で知的レベルも高い職業の階層が中心でしたから、大学でファィナンスの単位も取っていますし、効率的市場仮説もアセット・アロケーションについての知識もある程度はあると説明されていました。

さてここで問題となるのは期待収益率なのです。
株式が10%近くの期待収益率を持ち、債券利回りが4%から5%ある世界ではFPに年率1.5%のフィーを支払っても投資家としてはベネフィットが充分にあると考えられますが、株式の期待利回りがほぼ0%で長期債利回りが2%を越えない国で1.5%のフィーは割に合わないと言う事です。つまり払いたいと思う人はあまりいないと言う極めて単純な事実です。

日本の金融機関のROEは低いと長い間指摘されてきましたが、デフレの世界ではフィーは上げられません。ですから手数料に走る事にならざるを得ません。
期待収益率が2%も無い債券型ファンドを3%の手数料で販売するなどと言う事が普通に行われてきたのです。これではビジネスが伸びる訳はありません。

昨日のバーナンキの議会証言では否定していましたが、どう贔屓目に見てもアメリカはデフレの影が忍び寄っています。

10年債利回りとGDPプライスインデックス

data:FRED

期待インフレ率 10年債利回りマイナスTIPS


逆に言えば2000年代に入りそうした傾向が拡大したからこそレバレッジを上げて収益率を稼ぎに行ったとも言えます。

まわりくどくなりましたが、金融規制改革法案とは別にデフレは金融機関のROEを低下させます。それは金融資産のリターンは結局名目値でしかないからと言う身も蓋も無い話だからです。

日本の機関投資家でアメリカがデフレに陥いる可能性が高いと考える人は増えてきているように感じます。


2010年7月18日日曜日

単なるチャート


BDIはバルチック・ドライカーゴ・インデックス
バルク・キャリアー(ばら積み船)の運賃インデックスですね。
バルク・キャリアーと言えばは石炭・鉄鉱石ですから、最近いくら内需を唱えていようと中国との関係は深い訳です。

どちらが先行しているかはわかりませんが上海総合指数とは関係があると見るべきだし、実際にそう見えます。

これにSP500を良く見て混ぜあわせると、
日経が出来上がると言う訳ですね。

BDIはひき続き要ワッチですね。

FREDを使ってみる

Federal Reserve Economic Data

週末にミシガン大学の消費者信頼感指数が出ていましたので、この指数を対象にセントルイス・フェドのEconomic Dataを使って分析してみましょう。


FREDのEconomic Dataのページに入るとCategoriesがあります。
ミシガン大学の消費者信頼感指数はこの中のBusiness/Fiscal→Other Economic Indicatorsの一番下にあります。
IDは UMCSENT。

そこをクリックして出てくるグラフがこれ。


ところがこれには未だ7月の速報値データが入力されていない。
ロイターニュース(7月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値11カ月ぶり低水準)では66.5になっていますから付け足せば良いのですが、 
Download dataをわざわざ使う必要はありません。
赤丸で囲ったView Dataをクリックしてみましょう。


これをエクセルにコピペして7月のデータである66.5を手入力すれば直近のグラフも直ぐにでも出来るでしょう。(Google Docsの見れる人だけです)

しかし折角なのでデータも古いままならばSP500のデータと並べる事もできますからやってみましょう。
グラフの下のEditをクリックします。すると下の方にAdd Data Seriesが出てきますのでS&P500と入力してあげましょう。
これで二つのデータが同時にグラフ化されます。
後はS&P500のScaleをRightに。Observation Data RangeをCopy to All Linesにしてあげれば以下のグラフになります。


色々な経済指標との比較も簡単に出来ますのでISMのPMIと比較してみましょう。昔のNAPMです。

さらにTrade Weighted Exchange Index ドルインデックスですね。これを加えてみましょう。
IDはDTWEXM

プラザ合意以降、消費者信頼感指数が為替のトレンドの影響を結構受けているのが分かり易いでしょう。

このようにFREDは無料にも拘らず機能とデータが満載です。
経済指標を語るのは専門家に任せておいて自分でも色々と調べてみる事をお薦めします。
意外と簡単ですよ。

2010年7月17日土曜日

ヒヨドリ


玄関先の軒下にある木の中程に巣を作っていたヒヨドリが二羽のヒナをかえしました。
今日が巣立ちの日だったようで朝からうるさいので見てみると。

隣の屋根の上まで飛んで休憩中ですね。
親が見守っています。

鳴き声でやりとりしているのがよく分かります。
普通のLUMIXのズームで撮ったのでちょっとボケてます。

少し時間が経った時には日陰の自転車のハンドルで休んでました。
近寄りましたが逃げませんでした。
しかし可愛いですね。



2010年7月12日月曜日

金融から考える民主党の敗けた理由


参議院選挙は民主党の敗北で終わりました。
菅首相もマスコミも「消費税への言及」が誤解を呼んだと敗北の原因を解説していますが、私は少し違う側面からも見ています。

比例代表の7:05、99%開票時点での各党の得票率は、


全国的な趨勢を数字でみると自民党が勝っている訳では無く、あくまで自民党の方が減り方が少しマシと言うレベルであって、既存政党への不満をみんなの党が吸収したと言う形になっているだけです。
都市部も含めた全体では民主党は7ポイント以上勝っています。

何と言っても選挙結果を大きく左右した理由は29ある1人区で自民党が21勝8敗で勝ち越した事でしょう。前回の1人区は自民党6勝23敗でした。

1人区と言うのは地方です。私は今回の1人区には郵政改革法案が大きく影響したと考えています。 もちろんこれだけが要因ではないでしょうが全国区である比例区の得票率と地方とのギャップを説明するとすればこれは非常に大事です。そもそも郵政改革は地方を守れと言うのが掛け声だったのですから。

これまでは別に郵政が民営化しようが国有化しようがどちらでも良い層が結構あったとは思いますが、今回の改革法案には預入限度額2000万円への引き上げと言う具体的な利害に触れる項目が盛り込まれていました。 私もつきあいのある地方金融機関の人と何人かメールのやりとりをしましたが、地銀や信金にとってこの法案は絶対に譲れない項目、絶対に通してはいけないものだったのです。それは2000万円までの郵便貯金が国から保証されてしまうと地銀や信金あるいは系統などからの資金流出が懸念されるからに他ありません。 特に信用不安時にはこの資金移動は加速すると想定されます。

従って今回の地方での選挙では郵便貯金対地方金融機関と言う非常に具体的且つ差し迫った対立軸を産んでしまったのではないかと思います。民主党としては不必要にと言っても良いでしょう。

もちろん全特やJP労組と違って地方金融機関が積極的に選挙の応援をしたと言う話は聞きませんが、日々地廻りし地域経済に浸透している地方金融の力は過小評価されがちです。何故ならこれは郵便貯金対銀行預金と言う構図では無いからです。地方金融機関は融資と言う機能を持っていますから地域経済全体を通して利害の絡む人口はかなり多いと想像できます。さらに親戚や友人に1人くらいは地銀や信金、農協に勤めている人はいるでしょう。

少しユニークな見方だと思われるかもしれませんがマスコミでは全く取り上げていなかったので書いておきました。
ゆうパックの事故を受けて枝野さんが全特に法案成立を保証する文書を配布しましたがこれは意外と大きな影響があったと思っています。
なぜならその時点では郵政改革法案はもう無理だと言うコンセンサスが醸成されつつあったからです。これさえなければ別に民主党でも自民党でも大差は無かったのでは無いでしょうか。

考えすぎですかね?


2010年7月9日金曜日

広島 前田健太


オール・スターも近いし、たまには野球も。

これは昨日のゲーム終了時点での両リーグ規定投球回数以上のピッチャーで投球回数順に並べてあります。
結果はともかく働いた順番と言っても良いでしょう。セ・パで色分けしてあります。

セ・リーグは1週間遅れて開幕していますから1位の広島・前田健は別格の投手です。

ERAは防御率ですから自責点を9回相当で割ります。1試合あたりの自責点です。
ダルビッシュが1位ですが右のほうの「本/試」を見てもらうと何とダルは1試合あたり0.2本しかホームランを打たれていません。
開幕から2本しか本塁打を打たれていない投手です。

回/試=1試合当たり何イニング投げているか。
つまり途中交替なしで平均して何イニングまで投げているかです。
前田健はこれも1位。張本に散々言われた岩隈も7.79であって、投球回数も124回ですから評論家にがたがた言われる筋合いはありません。

プロと草野球では違いますが、守っていて四死球ばかり出す投手は困ったものである事は同じでしょう。1試合あたり四死球ではロッテの成瀬、楽天岩隈が圧倒的に四死球を出さない投手である事が分かります。 成瀬の問題は被本塁打です。1試合当たり2本打たれていますね。

ERAが防御率で自責点ならば失点も見てみましょう。
前田健は自責点と失点が同数。ダルビッシュが少し可哀想です。

巨人の投手は早い回で交替している事がよく分かりますね。

こうやって見るとパ・リーグの投手がやはり優秀ですが前田健はもっと凄い事が良く分かります。

クリックすると大きくなります。
グーグルのメンバーは、


コロンブス


昨日たまたま見たのですが、NHK教育テレビ 地球ドラマチック

ドイツの番組なのですが、知らなかった事が多くて驚いてしまいました。

例えば「馬」
西部劇ではインディアンが勇壮の乗り回していますが、コロンブス達がアメリカ大陸に持ち込んだもの。
「馬」自体は北アメリカ大陸が原産で化石も発見されているのですが、氷河期に絶滅してしまいます。
ウィキによると絶滅以前、更新世の氷河期にベーリング海峡を渡ってユーラシア大陸に渡ったものとされています。

コロンブス達が持ち込んだ馬が野生化して驚くほどの速さで繁殖していたそうです。
これは牛や豚も鶏も同じで、アメリカ大陸固有のものはバイソンか七面鳥ぐらいだそうなんですね。
もちろん穀物は麦も無くとうもろこしだけだった。

りんごやオレンジ、グレープなど果樹も無かったそうで、これはアメリカの蜂は限られた種類の花の蜜しか吸わず、受粉機能が充分で無かった為で欧州からミツバチを持ち込む事によって果樹が育つようになったそうです。

反対にアメリカからヨーロッパに渡ったものとしては、
トマト、じゃがいも、タバコ、砂糖。
イタリア料理と言えばトマトですが、これはかなり後の事つまり最近の事、大量生産された乾燥麺であるパスタが出来てからだと言う話はイタリア人から聞きました。
特にじゃがいもはヨーロッパの人口増加に大きく寄与したと番組では言ってましたね。

グレゴリー・クラークの「10万年の世界経済史」では欧州の人口増加に関して産業革命にばかり着目して大陸からの資源の導入と言う要因にはあまり重きをおいていませんが、昨日のこの番組のほうがはるかに説得力がありました。 NHKオンデマンドで見れます。有料でもよほど役に立つ番組でしょう。
ん、役に立つ?

ところでコロンブスは新大陸の第一発見者なのに何故アメリカと呼ぶようになったのか?

wiki コロンブスの死後、ドイツの地理学者マルティーン・ヴァルトゼーミュラーが手がけた地図には、南米大陸の発見者としてコロンブスではなく、アメリゴ・ヴェスプッチの名前が記されてしまった。この結果、ヨーロッパでは新大陸全域を指す言葉として「コロンビア」ではなく「アメリカ」が使われるようになった。

コロンブスは死ぬまであれはアジアだと主張していたそうですから、発見にはならなかったようです。アメリゴは当時の一般常識に反してあれは「新大陸」だと主張したそうですから仕方が無いでしょう。


コロンブスは既に地球は球体である事を前提に西へ向かいましたが、参考にしたトスカネッリの世界地図は下のようなものでした。発見した陸地はアジアのどこかであるとしか考えられないですよね。



ウィキより、ジパングがかなり大きい


2010年7月8日木曜日

黒いネコが可哀相だ


ゆうパックの遅配事故のニュースを見ていて思うのは、
クロネコや佐川が気の毒だの一言につきる。

これは民間が”官”の抵抗を受けながら開発した事業だからだ。
民間の不足している部分を補うのが公共の本来の役目であるのは言うまでも無い。
しかも民間は全国サービスを既に展開している。
そこに各種の優遇処置をともなった国策企業が参入することに意義は認められない。

なんて事は書くのも恥ずかしいような常識だと思っていました。

今回の件で前国会で廃案になった郵政改革法案の成立は遠のいたなと直感的に受け取った人も多かったのでは無いでしょうか。
少なくとももう少し議論が必要なテーマであると。この法案は地方金融業への民業圧迫になるからです。

しかし成立は遠のいたと考えたのは一般の民間人だけではなかったようです。


全特幹部から7日、「郵政改革法案を成立させないなら民主党候補は応援しない」との声が上がったことを受けたものだ。



消費税議論で存在感が薄れつつありますが、民主党マニフェストでは10の項目のうち8番目で細かい説明は無く「『郵政改革法案』については次期国会で最優先課題として速やかな成立を図ります」とだけあります。

さすがαブロガーだと思ったのは「極東ブログさん」、実に上品に記事にしておられます。


民主党は過去の選挙結果分析が甘いのでは無いでしょうか。

クロネコ




2010年7月6日火曜日

ロゴフとラインハート


7月2日のニューヨーク・タイムズに"This Time Is Differnt"の著者であるケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートの記事が出ています。

彼等は特に予言した訳でもありません。過去のデータを示しただけですが、今回の危機を言い当てた、あるいは言い当てている事になるのでしょうか。
PIMCOのビル・グロスやポールマカリーは早くからこの本に注目して彼等の投資戦略に反映させていました。
それでも未だたったの10万部しか売れていないのは驚きですが、中身から言えば興味深くはありますが面白い訳でも無いので仕方が無いのかもしれません。

内容は2人のエコノミストとしての生い立ち的なもの。
ロゴフは幼い時からチェスの名人で、高校時代はロンドンや東欧を廻りながらチェスの世界一を目指していたそうで25歳になるまで諦めていません。
International Grandmasterと言う最高位を究めたそうですが世界一にはなれなかった。
経済学に本格的に入るのはそこからでかなり遅いスタートと言えるでしょう。

彼の好きなジョーク、(Economics Joke)
ある夜酔っ払いがバーから出て歩いて家に帰る途中で鍵をなくした事に気がついた。
彼は両手両膝をついて街灯の真下を探しているところに警官がやってきた。
「公園で鍵を失ったようだ」と酔っ払い
「じゃあどうして街灯の下なんか探しているんだ?」ど当惑した警官。
「何故なら」酔っぱらいは言う、「ここには灯りがあるからだ」

ラインハートは(因みに女性です)キューバ難民の子供で両親とカバン3つでアメリカに逃れてきたそうで窮乏と言うものを知っているそうです。
後にはコロンビアで研究生活に入りますがアイビー・リーグの大学で教育を受けた訳ではないそうです。ベアー・スターンズのチーフ・エコノミストもやっていたようですが、ロゴフとはIMFが縁で共同研究に入っています。

彼等は膨大なデータを駆使するデータ・マイニング、数学やモデルを重視する経済学とは少し毛色が違います。
経済学者のピークは40代だがヒストリアン(歴史家)は50代だとも言っていますね。
"This Time is Different"は今回の危機を狙って出版されたものでは無いと言っていますが、そりゃそうでしょう集めたデータの量が違いますからタイミングなど計れた訳はありませんよね。

最後にこの本を出版した後で日本の財務省の高官から、「日本は財政破綻した事は無いので訂正しろ」と怒りのレターが来たそうですが、1942年のタイムズの一面のコピーを送ってあげたら「サンキュー」とお詫びが入ったそうです「for 日本の事を教えてくれて」と。

2010年7月5日月曜日

日露戦争と株価


以前日露戦争中の日本公債のリスク・プレミアムのグラフを記事にしましたが、今回はもう少しストレートに日本の株価と戦時中のイベントとの関係を見てみましょう。

当時の東京株式取引所は出来高の6割が鉄道株、3割が船株と言うような構成で綿紡績などもありましたが商いは薄かったようです。人気は値動きの荒い船株と取引所の株である東株に集中していました。 
チャールズ・ダウ、エドワード・ジョーンズ、チャールズ・バーグストレッサーの3名が出資して「ウォールストリート・ジャーナル」の発行元であるダウ・ジョーンズ社を設立するのが1889年。彼等がダウ・ジョーンズ工業平均株価を発表するのが1896年の事で日本にはまだ株価指数がありませんでした。

そこで日本では指標銘柄として東京株式取引所の株式が替りに使われる事になります。これを略して「東株」と言います。 最近はそうでもありませんが、東京証券取引所の地主である「平和不動産」が相場自体の出来高に応じて思惑が張られていたのはその名残です。

グラフは東株と日本郵船の2銘柄で月中平均株価を使ってます。クリックすると大きくなります。


東株は日露開戦に向けて「ロシアにはとても勝てそうもない」と言う見通しから売られてしまいますが、いざ開戦となると緒戦である仁川沖海戦、鴨緑江会戦と順調に推移しますので遼陽会戦までは株価は堅調です。

遼陽会戦は8月26日に生起し、9月4日に終了しますが、当時の欧米の新聞を読んでますと期待値は遼陽の占領と共に大量の捕虜+司令官クロパトキンの降伏だったのですね。従って日本は遼陽を占領しますが、ロシアは戦略的撤退であると発表し、奉天付近に大軍が移動しただけに終わってしまいました。つまりかなり期待外れに終わってしまったと言う事です。日本軍は砲弾が不足して追撃が出来なかった。 さらに旅順要塞がなかなか陥落しない。

当時の松尾日銀総裁が6月時点で戦費を見積もった史料があるのですが、その中の予想行程を見ると当時の政府首脳が日露戦争の展開をどのように読んでいたかがわかります。
7月 旅順陥落
8月 遼陽陥落
9月 ウラジオストック陥落
10月 休戦
12月 講和
これに1906年3月までの占領地守備費を考慮して戦費は10億円と見積もっています。
年内に戦争が終わると読んでいました。

日露戦争開戦を決定した時の予算の見積りは4億5千万円でしたから、開戦から4ヶ月しか経過していない時点で既に10億円になってしまっていると言う事はこの後の日本の窮乏ぶりが偲ばれると言うものです。しかもグラフを見ればわかるように、その見積は甘すぎました。戦争は年内には終わりません。

グラフからは日本海海戦が大きな買いの材料になって入ることがわかると同時に、ポーツマス会議がいかに当時の日本人の期待を裏切るものであったかもわかるでしょう。

兜町には「兜町雀」と言う動物がいました。普段は「チュンチュン」と鳴いています。地面に米粒を投げれば「チュンチュンチュン」と一斉に寄ってきます。人が追い払えば一斉に「チュンチュンチュン」と飛び去っていきます。 コンセンサスに従って同じ行動を取る動物です。相場と一緒に動いていると言って良いでしょう。
従ってコンセンサスを語る時に、「兜町雀は・・・」と言う表現を使います。

ポーツマス会議に対する兜町雀の見解は、最初は賠償金20億円+サハリン全島。しばらくしてロシア側が強硬と見るや賠償金は10億円に減ります。最後は「もう領土はいらないからせめて賠償金5億円ほど貰いたい」程度まで下がっていきます。ところがそこで出た講和談判の結果が賠償金無しだったのですからたまりません。
「こうなりゃロシアを叩き潰してハルビン、イルクーツク、なんならモスクワまで攻めこんでしまえ」となってしまいます。

ところが政府には金が無い。この頃の戦費見積りはポーツマスで戦争が終わったとしても17億円近くまで膨らんでいました。当時の国民所得が26億円、一般会計予算が2億7千万円、全国銀行預金残高が7億5千万円ほどですからもう無茶苦茶です。ほんの1年半前の予算見積りは4億5千万円で終わると思って、しかもそれですら開戦には清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟が必要だったのですから。

こうして不満な国民による日比谷焼き討ち事件へと展開していきます。

それでも株価は正直で講和成立以降、平和を評価して堅調になっていきます。

国民は借金の実態を知りません。


2010年7月4日日曜日

MSCI Index


少しまとまった仕事をしていたものでブログの更新が滞ってしまいました。
何か書こうかと思ったのですが久しぶりと言うものはなかなか難しいものです。

MSCIの配当込み指数をグラフで出しておきました。ドル建てです。
日本は為替のおかげで悪くはありません。


しかし2009年3月9日を起点とすると弱さが目につきます。


大きな流れは何も変わっていないようです。

日露戦争ファィナンス周辺の調べは相当に進みましたので、少しずつ書いていければと思っています。