2010年9月28日火曜日

ブログ開設2周年


本日でこのブログを始めてからちょうど二年が経過しました。
私としては日々の筋トレのように、「書き続けていないと書けなくなるのでは」との不安から書き続けております。

映画のエントリーを書いた日のアクセス数は金融に比較してどうしても少なくなってしまいますが、「映画館で見た映画については書く」と言うのは自分に対するノルマにしております。従って結構無理して書いているようなものも多くなってしまいます。要は受けて無いと言う事に対する自分へのエクスキューズでしょうか。

この二年間で読んだ本は、金融関連で101冊、小説が73冊、その他で74冊、原書が15冊。ブログを始める少し前に読んだ本も左のPorco Amazon Storeに入れてありますので、これの80%程度、正味200冊くらいでしょうか。1週間に2冊ですからイメージは合います。
今年は3月頃から日本の貨幣制度関連から始まり、明治、高橋是清を中心に大正、昭和と読み進めましたのでこの半年はこの手のものばかり読んでいます。小村寿太郎や金子堅太郎、満州鉄道などは相当マニアックな戦前の史料まで読むようになりましたが、この辺りの興味は未だに尽きません。と言うかはっきりしない事が多いのです。

例えばこんな事があります。
日露戦争中の日本国公債の募集に大いに尽力してくれた、米国クーン・ローブ商会のヤコブ・シフ。そして彼とのビジネス・パートナーであり個人でも大量に日本公債を買ってくれたアメリカの鉄道王エド・ハリマンと言う人がいました。彼は日露戦争終結寸前に日本へ向かい、当時の桂太郎首相との間に、戦争によって日本が獲得した南満州鉄道を日本とハリマンとで共同経営しようと言う桂・ハリマン協定を結びます。ハリマンは自身で1億円出すつもりでした。(貨幣価値の換算は難しいですが現在のの5000億円から1兆円ぐらいの価値だと思います)。日本は戦争でもう資金が無かったので、伊藤博文や井上馨なんかは諸手を挙げて賛成します。ましていつの日かロシアが復讐でシベリアから南下しようとしても、日米共同経営の鉄道がありますから攻め込まれる心配がありません。軍事費は節約できるし、民需の為のインフラ投資に資金を回せるし良い事ずくめとも言えるのです。 ところがポーツマスでロシア代表ウィッテにさんざんやられてしまった小村寿太郎が日本に帰るなり「国民の血で勝ち取った満州鉄道をアメリカ人に渡すなどとんでもない」と元老達を説得しハリマンにはこの協定をうまいこと言って破棄してしまいます。

この元老達を説得する時に、当然「じゃ鉄道を修理したり設備投資する資金はどうするのだ?」と言う反論をうけますからその為にきちんと手立てを用意しておきました。
戦争中公債のIRと対ルーズベルト要員として米国に派遣されていた金子堅太郎が、クーン・ローブ商会のライバルであるモルガン商会に勤務するルーズベルトの従兄弟モンゴメリー・ルーズベルトからファィナンスの提案を受けるのです。金子は小村と非常に近い人物です。

ここでの史料は金子堅太郎「日本モンロー主義と満州」、p5~8、講演集です。またこれを出典とした「近代日本外交史」信夫清三郎著 1942年によると、
「同鉄道修理のため、喜んで3、40万円の金額を年5分5厘で出しましょう」とモルガン商会が言ったとあります。これって金額が変でしょう。ハリマンは1億円出すと言っているのだから。それで金子側からのこのモルガンの融資の約束が嘘ではなかったと言う根拠がその後にアメリカから購入した鉄道車両代金への融資350万円なんですね(満州鉄道十年史)。これでも未だ数字が変ですよね。結局満州鉄道は興銀(みずほCB銀行)を使って欧州で社債を起債するのですがそこにはモルガンのモの字も出てこないのです。シフの盟友であるロンドンのカッセル卿も手を引いていますから非常にショボイ、ファィナンスになってしまいます。
この史料が書かれた1942年は第2次世界大戦中ですから、小村によって独占できた満州を評価している時期でした。一方で戦後になるともし小村が桂・ハリマン協定を破棄さえしなかったらアメリカとは戦争にならなかったに違いないと評価は180度変わってしまいます。
僕はこの件に関しては金子堅太郎が小村寿太郎と一緒に嘘(方便)をついたと疑っていますが、一方で同じ時期に満州にいた参謀長児玉源太郎が既に植民地経営について調査させており、初代満鉄社長になる後藤新平を台湾から呼び寄せています。この辺りは財界や政党の利権が渦巻いています。つまり後の和製軍産複合体としてはアメリカなんぞに利権を渡すつもりなぞサラサラ無かったのではないかと思います。因みにうるさい「国際協調派」の伊藤博文は戦後すぐに初代韓国総督に持ち上げられて発言力を落とされています。よくこの天下りの元祖みたいな満鉄は儲かったとかありますが、これを守る巨額の軍事費は計算されていません。

ところがこんな史料もあります。「日露講和に関して米国に於ける余の活動に就いて」昭和十四年、金子堅太郎 外務省記録綴り、「日露戦争と金子堅太郎」松村正義著より、ここではモルガンがコミットした融資の金額が4、5000万円に飛びはねていますし、金利も5%になっています。でもこれも金額が増えれば良いと言うものでもありません。何故ならコミットした金額が大き過ぎるし実際にその後に融資は行われていない。日米関係が悪化したと言うわけではありません。当初の満州鉄道の機関車や車両はすべて米国からの輸入です。にもかかわらず満鉄は苦労して欧州で資金調達するのです。とまあ、キリが無さそうでしょう。大体このあたりの本は松村氏の本を除いて古い図書館にしか無くほとんどが禁帯出になっていますので関連部分だけを参照するような読み方になってしまいます。
そうした中で満州鉄道関連なら、原田勝正著「増補 満鉄」日本経済論評社がお奨めです。鉄ヲタの期待にも答えられると思います。著者は岩波新書向けにも書いているようです。

一方で以前読んだ「浅草フランス座の時間」から、「東宝七十年史」→小林一三の宝塚歌劇のエッセー「おもひつ記」→菊池寛の「昭和モダニズムを牽引した男」→芥川龍之介「河童」→「槍ヶ岳紀行」→新田次郎「槍ヶ岳開山」(これは以前読んだ)→深田久弥「日本百名山」の一部→ここから何故か海軍館山砲術学校に興味が移って「大学生活ものがたり」→「消えた灯台」→「旧制高校物語」→突如ブログの関係で「江戸の旗本事典」が入って→「日本映画100年史」→「ハリウッド100年史」と別の読書の流れもありましてこちらはいたって呑気に読んでおります。

2年もブログを書いていますと、Google検索で上位に出るエントリーも増えてきますので、1日のアクセスの半分ぐらいはこうした記事が占めています。ですから少々サボってもアクセスは減らなくなってしまいました。と言う訳で最近はよくサボります。

いつも読んでくださっているみなさんには感謝です。
今後ともよろしくお願いします。

6 件のコメント:

こくぴと さんのコメント...

2周年おめでとうございます。

これからも楽しみに読ませていただきます。

Porco さんのコメント...

こくびとさん
ありがとうございます。

匿名 さんのコメント...

こんにちは、毎日金融と読書ブログかかさず読んでいます。これからも陰ながら応援していきます。
ありがとうございました。

Porco さんのコメント...

匿名さん
コメント有難う御座います。
でもこのブログ本当は「金融+酒」だったんですけどどこかで変わってしまいました。

くま さんのコメント...

ぽるこさま

遅まきながら2周年おめでとうございます。20周年くらいの風格を感じる内容で、いつも勉強になります。

これらかも楽しみにしております。

くま拝

Porco さんのコメント...

くま様

激励有難う御座います。