2011年1月21日金曜日

実質実効為替レート④


実質実効為替レート③では日経平均に対する相関係数はドル円が0.6、実質実効為替レート(以下EER)が0.9とEERの方が高い事がわかりました。

そしてその相関係数を計測し始めた時期はドル円とEERが乖離を始めた時期でもありました。

ではこの時期に何が起こっていたのでしょうか?

先ずは日本銀行HPにあるEERの解説を読んでEERの算出方法を見ておきましょう。

2.算出に使用するデータ等
(1)対象通貨・為替レート
「2000年1月以降の実効為替レートについては、『日本から当該国・地域に対する輸出額(2005年)の全輸出額(同)に占める比率が1%を超える国・地域』を対象通貨として選定しています。具体的には、以下の15通貨を対象としています。
米ドル、中国元、ユーロ、韓国ウォン、新台湾ドル、香港ドル、タイバーツ、シンガポールドル、英ポンド、マレーシアリンギット、オーストラリアドル、インドネシアルピア、フィリピンペソ、カナダドル、メキシコペソ」


(2)貿易ウエィト
「日本の輸出競争力」を捉える観点から、日本の輸出額に占める当該相手国・地域のウエイトを使用しています。 


つまり1%以下の通貨は切り捨して、2005年当時では15カ国の通貨を対象にしています。そしてこれらの国とのインフレ率の差を調整して日本のEERを計算することになります。因みにBISと日銀のデータはBroad base では同じ値です。

財務省貿易データによれば2009年の1%以上の国は16カ国ですが、あまり細かく見る必要はないでしょう。クリックすれば大きくなります。

このデータの対象国を絞り時系列にしたものが以下のグラフです。
アメリカとEUの比率が低下し、アジアの6カ国(中国、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポール)のシェアが上昇していることがわかります。

もう少しシンプルにしてみます。

2000年辺りから貿易相手(輸出先)が完全に入れ替わり2003年から米国とアジア6カ国のスプレッドが大きくなっています。
貿易相手国がアメリカ中心からアジアに移ればドル円ではなく人民元を中心にその他のアジア通貨を気にしなければならないのは当然ですよね。

これが日経平均に対するEERの影響力が大きくなったと考えられる理由です。

考えて見れば当然です。日本は輸出で稼いでいますから交易相手国の条件が変われば企業収益も影響を受ける。したがって日経平均の水準にも影響する。

では僕らはドル円以外に何を見ておけば良いのでしょうか?

幸いアジア諸国の他通貨もBISでEERを集計してくれていますから、それを見れば良いことになります。

これを見ると色々と納得のいくことがあります。

2003年から2005年にかけて俗にいう円高にもかかわらず日経平均は上昇したが、EERは横ばいだった。
リーマンショック後の東京株式の戻りが他の国比べて悪かったのはEERが高止まりしたから。
特に2010年に落ち込んだのははEERが他国に比べて上昇したから。
韓国製品に追い上げられてヒイヒイ言っているセクターもあるが、ウォンが110から70にまで落ちて今でも80近辺にいるから当然とも言えること。
アメリカが中国に人民元上昇圧力をかけているが、これは我々にとってもすごく大事であること。
株式市場の先行きを展望するには人民元以外にもウォンや台湾ドル、香港ドルの動向は以前よりはるかに重要になっていること。

等々でしょうか。

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