2011年3月24日木曜日

東京電力株について思うこと


東京電力の株価が揺らいでいる。
それもそのはずだ。
現時点では既存の株価諸指標は使い物にならないからだ。
だれも今後2~3期の配当など期待しているわけではない。
もはや単なる鉄火場なのかもしれない。

「東京電力の株価はどうですかね?」
と聞かれたが私にはわからないし、多分聞いた方もそれほど確かなものを期待しているわけではないと思う。私としては「株価の居所は多分0~1000円程度の間で、被害状況に応じて上値が切りさがるのではないか」と答えている。あるいはもっと上値があるのかもしれないが「そうは思わない」というだけの根拠だ。

福島原発の停止だけでも代替に火力を使えば年間5000億~6000億円のコスト増になると言う。
東京電力はただでさえ柏崎刈羽の停止で財務状態はよくなかったのだから、損害賠償や復旧あるいは処理のコストを考慮に入れなくても今回の事故だけで株価は相当にダメージを受けていたはずだ。

昨日のニュースでは銀行団が東電からの緊急融資要請に応じて2兆円規模の融資を実施する方向で検討に入ったようだ。生保もこれに応ずるとのニュースも出ている。
三井住友銀広報部の戸川智佳氏は、「東京電力は日本で必要不可欠なインフラを担っており、主力行として最大限サポートする」とコメントした。(3月23日ブルンバーグ)当然政府系金融機関によるバックアップもあってしかるべきだろう。

地域独占であるから電力供給の停止はありえない。究極は電力料金の値上げで賄えるはずだからだ。

損害賠償がどの程度の規模になるのかは現状ではわからないが、東京電力による補償額はForce Majeure(天災など不可抗力)条項による政府補償契約の定める1200億円を超えれば「原子力事業者による無限責任の賠償負担+必要と認めるときの政府の援助」となっている。従って東京電力の負担はネゴシェーションというよりは政府がどう考えるかに依存するだろう。政府負担の主眼はあくまで被害者救済である。もはや賠償額が1200億円以内で済むとは誰も考えていないだろう。

またこの負担の分担は言い換えれば損害賠償を電力料金で支払うか、税金で支払うか。つまり東京電力の受益者負担かあるいは東電と関係のない地域も含めた国民負担かという違いとも言えるだろう。株価はこうした議論の中で株主の権利をどこまで主張できるかにかかっているのではないだろうか。だから解らないのである。

早々と「国有化」を唱える人もいるが、これは事件処理の方法論の話が多いようだ。
日本では沖縄電力以外の電力会社はすべて原子力発電所を持っている。
もしも東京電力の株主が出資金額全てを提供させられるのであれば、他の電力株へも大きく影響を及ぼすだろう。地震地帯に発電所を持たざるを得ない日本では、電力株保有のリスクプロファィルが全く別の物になってしまうからだ。そうなるとあるいは電力料金が安すぎるのかも知れないので値上げして配当を増やせということになるのかも知れない。

実践コーポレートガバナンス研究所の門多丈氏は今回の事件で露見した政府と東電によるガバナンスの2重構造を指摘しつつこう発言している。
「原発は東京電力のスパン・オブ・コントロールを超えた事業であったと言うべきであろう」
つまり一企業の負担できるリスクを越えているのだ。

日本の電力政策において発電(原子力)、送配電の分離等、今後考えなければならないことは多い。

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