2011年4月8日金曜日

役所が機能移転すべき

節電で「本社機能移転」も=銀行・証券などに対策要請―金融庁 時事

「金融庁は同日午後、全国銀行協会や全国地方銀行協会、日本証券業協会、生命保険協会など同庁が監督する業界団体の幹部を集め、政府の節電対策の検討状況や同庁の考えを説明。各業界の会長会社に対し、現在のピーク時の電力使用量や、本部・支店・電算センターといった事業拠点ごとの使用量の内訳などの情報を取りまとめるよう求めた。その上で、具体的な節電対策として(1)エアコン使用中止や消灯といった夏までに実行可能な施策(2)自家発電設備の活用などそれ以外の対策(3)本社機能の移転や勤務形態の抜本的見直しなど中長期的に考えられる施策―について、11日夕までに回答するよう要請した。」

北新地の御堂筋から永楽町通りに入って直ぐの左側に大きなギネスの看板を出している「キーポイント」と言う古いバーがあった。
ミナミの老舗バー「キーポイント」の暖簾分けのバーだということだがこの店自体も相当年季が入っていた。

僕が最初にこの店をたずねたのは日曜日の夜だった。丹波での法事が長引いてしまい東京まで帰りそびれてしまったのだ。日曜日の北新地は食べ物屋はやっている店もあるがバーやクラブは閉めているので平日の夜の賑やかさはまったく無い。僕はたまたま開いていたこの店の扉を躊躇なく押した。

中に客は誰もおらずマスターは小さめソファで膝から下を床にまげて上半身だけで仰向けに寝転んでいた。ドア近くの天井から吊るされたテレビでは阪神タイガースのナイターが流れていた。新庄がピッチャーをやらされたりしていた頃だ。

「ごめんな、誰も来やへんと思てたから」

年季の入ったカウンターに座ると灰皿や水差し、ようじ入れなどのアイテムは相当古いものが多くて昔どこかで見たことがあるような懐かしい物ばかりだった。風俗博物館か何かで「昭和のバー」を再現するとこんな感じになるのだろう。バック・バーには当時でもレア物のディンプルやデュワースの古いブレンデッド・ウィスキーが並んでいた。

僕は取り敢えずギネスを注文するとマスターに声をかけた。
「日曜日も店開けてはるんですか?」
ギネスは綺麗な専用グラスに慎重に正しく注がれなければならない。マスターは作法通りに注ぎながら答えてくれた。
「たまにクラス会の帰りやとか言うてお得意さんの奥さんが来はったりするんですわ、うちはたまに旦那さんが奥さん連れて来てくれたりするから。『北新地やったら私知ってる店あります』って言うて折角友達連れて来てくれはったのに閉まってたらがっかりするやろ」
見るからに職人気質の頑固そうなマスターだが、こうした言葉を聞けば人柄がわかるというものだ。本物のバーの手応えがあった。

「家にいててもやること無いしな」

2杯目はジン・フィズにした。
生意気なようだが僕は初めてのバーではジン・フィズを頼むことにしている。マティーニなんかじゃないのだ。たくさんジンの種類を持ち過ぎている店もあるが、何種類かは押さえておいて欲しい。ビーフィーター、ギルベイ、ゴードン、ボンベイ、プードルス、プリマスあとはシュタインへーガーぐらいがあればいい。

シロップは出来合いじゃなく工夫して特徴のあるものがいい。レモン果汁の扱いもだ。そしてそこにシェークという要素が入り、なおかつソーダで割らなければならない。バーマンの動きも含めて店による出来の差は注意していれば直ぐにわかる。僕はプードルスを選び、そしてこのバーは満点だった。

「大阪の景気はどうですのん?」
「お客さん関西弁やけど東京で働いてるんやろ。この店も昔はホステさん連れて派手に遊ぶ人もようけおったけど、今は会社帰りの普通の勤め人ばっかりですわ、バブルがどうやや無くて新幹線が出来て以降大阪の会社はみんな東京へ移ってしまいましたやろ 国の役所がみんなあっちやからしょうがないんでしょうな」

大阪はもともと糸へんが多い上に関西起源の製造業も京浜工業地帯に進出すると本社を関西に置いておく必要がなくなり東京へ移していった。それに連れて商社や金融も関西のウェイトが低下していったのだ。バブルの前から関西は徐々に地盤低下していた。新幹線開通による大規模なストロー化現象もあるだろうし、後背地の面積の問題もあるだろう。しかし僕は根本の原因は国家行政の「東京一極集中」にあると思う。政府が金をばらまいていた時期には分け前を貰うためにみんな東京に行かなければならなかったのだ。

例えば文科省は京都にあってもいい。農林水産省が金沢でもいいではないか。今は国内航空網が発達しているから地方から見れば羽田行きが金沢行きになるだけだし、北陸新幹線も開通する。経済産業省は名古屋へ、そして金融庁はせっかく大蔵省から分離したのであるから大阪においても良いのだ。金融機関が本社を東京から移転せずともかなりの機能は大阪へ移動するはずだ。省庁内の連絡もイントラネットで状況は随分変わっているはずだ。東京には財務、外務、防衛があればいい。地方分権とか難易度の高いことを言っているよりは、主管官庁を移動し機能を分散した方が早い。少し不便にするのだ。そうすれば製造拠点に近い地方に本社をおく企業も増えるはずだ。ボーイングはシアトルでP&Gはシンシナティ、コカ・コーラはアトランタなのだ。

今回の東日本大震災では地震・津波に加え原子力発電所による放射能汚染の問題も発生した。事態は収束の方向に向かっているようであるが、大規模停電も含めて今回は行政・主要企業の東京への一極集中によるリスクも露呈したのではないだろうか。企業に移れというよりも先ず役所が動けば企業も動く。今回は災い転じて福となる絶好の機会だとも思うのだ。それに金融機関の子弟にオモロイ子が増えるだろう。

北新地「キーポイント」のマスターは既に亡くなられた。店は永楽町通りを少し入ったビルの2階に移動したが、最近は行っていない。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

役所機能移転についてのコメントではありません。
キ‐ポイントについてのコメントです。
キ‐ポイントのマスターは私の叔父です。叔父が病気で亡くなってからかなりの月日がたち今店がどうなっているか知らなかったのですが、ブログを拝見し、懐かしく思っています。
地上げ、震災といろんな出来事があり、小さな店を一人で守り続けいました。
店はとても地味で華やかさはありませんでしたが
幅の広い客層を自慢していました。
又、店の場所も新地の入口の一等地だと。
叔父が亡くなってから店に行ってない理由はともかく、近々大阪へ行く機会がありますので今どうなっているか寄って見たいと思います。
最後に、ギネスや酒の仕入れ先等も自慢していました。私も酒類や食品にたずさわる仕事をしています。
発売前の商品サンプルを持参するととても喜んで
いつも感想を聞かせてくれました。

Porco さんのコメント...

匿名さん、叔父上様でしたか。
世界中何軒もバーを訪ねましたが、想い出深い大好きなバーのひとつでした。

匿名 さんのコメント...

Porco様
とても光栄です。
有難うございます。
昨晩、叔父についてのブログを探して朝まで読んで懐かしく思い出に浸っていました。
大阪で花博が開催されている頃に名古屋から泊まりで行った記憶があります。
場違いのコメントをお許し下さい。