2011年4月21日木曜日

東京電力支援スキーム


今日の各新聞は少しずつ詳細は異なるものの各紙とも新しい東京電力支援案を報じている。
そうした中で日経と朝日がストラクチャー図を掲載しているので、情報量の多い朝日新聞の図から考えてみたいと思う。
東電賠償、政府の管理下で 官民出資で新機構 政府原案

前回日経で掲載されたアドバルーン記事に関連する私のエントリーも参考にしてほしい。
「原発賠償へ保険機構案」を読む


朝日新聞上記リンクより


前回との大きな相違点は以下である。

1.原発被害者への賠償支払い元が新設の機構ではなく一律東京電力になっている。

2.電力各社が機構に支払う「保険金」が「D.負担金」となりその性格が明確になっている。負担金は東京電力管区のユーザーだけではなく広く沖縄を除く全国民から電力料金の形で支払われることになる。従ってこの場合、賠償金を税金で支払うかどうかの議論はあまり意味がない。「税金」が「電力料金上乗せ分」になっただけである。後は負担金の金額の問題だけである。

3.「A.補償契約分」1200億円が明記され、曖昧だったForce Majeure(天災など不可抗力)条項の適用が1200億円以上の残りは東京電力負担であることが示唆されている。これについて東京電力で発生する補償金不足分については、「被害者救済の観点から」政府内に新設される判定会議によって、特別援助が政府一般会計から支払われることになる。政府から東京電力への支払い方法は機構を間に挟んで「C.交付国債」の形態となると解釈される。機構はこれを受け「優先株」もしくは「特別援助(融資)」の形で東京電力に支払う。これは政府から機構への出資が明確になったことも示している。

4.東京電力から原発事故被害者への賠償金は上記A+C+Dに「B.東京電力自己資金」を加えた合計になる。


日経によると株式上場は維持とある。また債務超過を回避する為に機構から優先株で資本注入するとある。両者は本来であれば矛盾している。

機構が東京電力をコントロールする為に優先株は議決権を持たねばならない。また当然のことだが優先株は配当原資から既存株主に対して優先的に配当を受け取る権利が付与されるだろう。

優先株は将来の何処かの時点で普通株に転換されるか(ダイリューション:希薄化)、東京電力によって買い戻されなければならない。買い戻される場合の原資は電力料金の「上乗せ分」に依存することになるのでこれはユーザーからは受け入れられないだろう。この優先株は本来なら普通株でも良いのだが、あくまで配当を優先的に受け入れる為の「優先」であるべきなのだ。

つまり残された既存の株式の価値はダイリューション後の1株分の価値(現時点で残っているかどうか不明)と機構によって決められる配当金の「さじ加減」次第ということになるだろう。この既存の普通株への配当も単純化すれば電力料金に既存株主への配当分を上乗せするかどうかにかかっている。果たして電力ユーザーの理解を得られるのだろうか?

東京電力を民間企業形態で存続させることには賛成である。国が運営して上手くいくとは思えない。しかしそれと既存株主への過剰な権利保護とは別問題である。

「東電の株主は約100万人で、その多くが銀行預金と同様の安全運用先として東電株を保有していた個人株主であることを重視せざるをえない」(官邸幹部)、こうした感情論を議論に混ぜてはならない。こうした感情論への負担は「官邸:政府」がするのではなく電力ユーザーであるからだ。

0 件のコメント: