2011年5月29日日曜日

株式ゲーム

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ちょっとマニアの人ならよく知っている会社にアバロン・ヒルズというゲーム会社がありました。ボード・ゲームの会社でしたが、PCゲームについて行けずに、1998年に600万ドルで買収されて、今はハスブロ社(HAS)の一部門になっています。


僕はこのシュミレーション・ゲームの中の「空軍大戦略」(注)が好きでした。これは「頭上の敵機」や「メンフィス・ベル」などで映画化されていますが、連合国側爆撃隊がナチス・ドイツにたいして戦略的に爆撃を行うゲームです。このゲームは実際の軍隊で行われる棋上演習を簡略化した精巧なものでプレーヤーは参謀となってゲームに参加します。


プレーヤーは制約のある燃料や、時間の経過によって開発される戦闘機、爆撃機、パイロットの数等を考案してターンごとに作戦計画書を作成しそれに沿って実行します。連合国側から見ると爆撃目標はBMWのエンジン工場(FW190)であったり、ベアリング工場だったりします。またドイツ側は連合国軍よりもさらに厳しい燃料制約の下、航空機生産を維持し教育隊を訓練しなければ搭乗員不足でやがて迎撃機を飛ばせなくなってしまいます。工場は守らなければ戦闘機の補給は無いし、パイロットも育成しなければならないしとジレンマの塊みたいなゲームでした。


余談ですがフォケウルフ(FW190)のエンジンはBMW、メッサーシュミット(Bf109)はメルセデス・ベンツ、イギリスのスピットファイヤはロールス・ロイス、ゼロ戦はボディは三菱だけどエンジンはスバル。アメリカの究極のレシプロ戦闘機P51のエンジンはロールスロイス マーリンエンジンでした。陸軍四式戦「飛燕」(三式戦)は川崎重工がベンツのエンジンをライセンス生産しましたが当時の日本の工作機械の精度が足りず不調が多かったと言われています。


ドイツ側も粘っているとやがて無敵のジェット戦闘機Me262が登場してきます。これが何機生産できるか。戦闘機同士の対戦はチャートが用意されていてP51、20機対Me109G、20機が空戦するとどういう比率で撃墜されるかが機種別に決まっています。また護衛戦闘機の無い爆撃隊は悲惨な結果になります。最後の運の部分はサイコロで調整されますが基本的に運の要素はあまりありません。制約のある資源の中で客観的な優位性をどうやって作るかがゲームのポイントになります。時には爆撃隊をおとりにしてメッサーシュミットを集中させP51で教育隊を攻撃させたりもします。でも基本は戦力の集中運用でした。1日3時間ほどやって1週間ぐらいはかかる大変なゲームでした。


そんな凝り性のアバロンヒルズ社が実は株式シュミレーション・ゲームを出しているのです。僕がアメリカに初めて出張に行った時に自分の土産用に買ってきたものです。今回は言ってみれば僕のお宝開陳みたいなものですかね。



このゲームは仲買人1人と投資家達によってプレーされます。仲買人はいなくても結構。
アセットクラスはとってもアメリカらしい。写真のようにワラント、スペキュレーティブ、ブルーチップ、プリファードにボンドと別けられ、それぞれボラティリティが決められています。追加ルールで転換社債も設定できます。

さてゲーム盤のほうです。右上の数字は証券価格を表します。色違いの駒はワラントや株などを表しています。ワラントは12ドルで、ボンドは87ドル。

右下がターンで12ターンあります。多分1年と言う意味なんでしょう。

左下はトレーディング・ポスト。左がビッドで右がオファー。おいてあるチップは投資家が置いていきます。数が多いものは売り買いの希望が多い事を示しています。例えば黄色のスペキュレーティブでは買い3件売り1件。これは証券価格に影響をおよぼします。


投資家がトレーディング・ポストにチップを置き終わると、とりあえずこのボード上の価格で商いを付けてしまいます。そしてトランプを切るようにランダムな順序に積み上げられた相場カードを1枚引きます。相場カードは強気、持ち合い、弱気の3種類です。


それぞれのカードには表がついてそのターンのそれぞれのアセットの価格変化が書いてありますが、ここでは前回のトレーディング・ポストの売り買い差し引き件数を反映して価格変化を決定することになります。前回買い件数が多いと価格変化はポジティブに大きくなる。一見勝ち馬につけ戦略に見えますが、買いがたまると最終局面で売り物に押されたりしてしまいますから単純ではありません。カードはBULLが6枚、MIXEDが5枚、BEARが4枚。合計20枚から12枚を引くことになります。従って弱気相場が4ヶ月分出てしまえば後は怖い物無しになるんですがアセットの組み合わせが難しい。破産寸前でワラント1点張りなんて投資家も出てきがちです。

このゲーム、スペキュレーティブ株は1ドル以下になることがありますが、それは倒産として淡々と株主責任で処理します。そして再生されたとして直ぐに新規資金を集めて登場し直すことになります。

このゲームがアメリカっぽいのはゲーム中にキャッシュが足りなくなった時には投資家同士で相対取引が可能なことです。そしてそこには価格制限はありません。

今回久しぶりにゲームの箱を開けてみて感慨深かったのは、手書きのチャートが出てきたことです。ランダムなゲームなのにチャート分析してました。習いたてだったから無理もないですかね?


追記 (注)原題はLuftwaffe。空軍大戦略ではThe Battle of Britainになってしまいます。訂正しておきます。

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