2011年8月10日水曜日

米国国債格下げ問題と株価の位置 2


Shujiさんから「もともと株価がちょっと高すぎたんじゃない?ということでしょうか」というサジェッションを頂戴したので、「高すぎた」といえば何はともあれアメリカの不動産価格だろうから、ここで不動産価格と株価指数の関係もみてみようと思う。

何故ならアメリカがもしジャパニフィケーション(日本化:Japanification)しているなら、不動産価格が当然キーになるだろうからだ。松浦氏のブログ参考方

日本人投資家の考えるバブル形成は何といっても不動産価格の高騰であり、バブル崩壊はその暴落が原因だった。日本では20年たっても今だに下がり続けていて、アメリカもまだ回復のきざしは見えない。

それに「国家は破綻する」のロゴフも書いているように歴史的にバブルには不動産価格の上昇が必ず伴い、その下落が銀行危機を引き起こし、政府債務が膨張する過程をたどる。そして国家は破綻してきたのである。今回のアメリカはまだ破綻しているわけではないが、この過程を忠実にたどっているのも確かなのだ。もちろん日本もそうだし、ユーロの財務の脆弱な国々も同様である。

下のグラフはロバート・シラー教授のHPにある住宅価格指数とSP500をプロットしてみたものだ。

70年代後半のインフレ期には株価はPERが圧迫され横ばいが続いたが、名目の住宅価格は上昇した。90年代後半にはITバブルがあり、株価が高騰した。そして現在のサブプライム・ショック後の住宅価格はどっぷり下がったままである。これは目先の収益好調よりも重大な問題ではないのだろうか?

せっかく住宅価格のデータが入手できたので、前回のエントリーと同じように今回はGDPと住宅価格の2つのファクターで重回帰分析をして簡単な推計式を作ってみた。これでいくと住宅価格の下落が効いて脚下のSP500の推計値は950ポイントあたりになる。

しかしこのチャート見る限り、そうしたピンポイントの推計値よりも、果たして株価はこのラインの上かあるいは下で推移する根拠があるのかどうかを考える方が重要なんだろうと思う。 いずれにせよこの2つのファクターを使用する仮説では推計値のトレンドは住宅価格に引っ張られることになる。(もともとそういうふうに出来ている)

さて、あまり実りはないが、考えさせられることは多い。今回のエントリーでいいたいことは、相場の大勢を見るに問題の根本である住宅価格を忘れてはだめですよということだ。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いつも興味深く拝見しております。50台半ばの元銀行員です。素朴な質問ですが、米国債格下げではなく、米国のソブリン格付けの格下げではないのですか?日本についても誤報だと思いますが、仮にボンドに対する格下げなら、年金など機関投資家などが保有比率引き下げに走り、値崩れ=金利上昇になると思うのですが。機軸通貨のボンド格下げなら、順次他のボンド格下げを招き、銀行なども引当積み増しなどで、大混乱でしょう。そんな現象に至っていない事を見ても、やはりボンドの格下げではなくソブリン格付けではないでしょうか?

Porco さんのコメント...

匿名さん、米国債は個別銘柄に格付けされません。SPは米国ソブリン(長期)の格下げをしました。これはソブリン=米国の発行する長期債の格下げと同一です。米国債が変われているのは格付けではなく大量の資金を出し入れ(売り買い)できる流動性によるものです。格付け機関のひとつが動いただけで機関投資家のポートにおけるコア・アセットが劇的に変わるものではありません。

匿名 さんのコメント...

ご返信有難うございます。仰る事は理解しました。ただ、一般マスコミがソブリン格付けと国債格付けを混同してるんじゃないか?という疑問があったので、質問させて頂きました。拝見した説明は判るのですが、だからと言って両者を一緒くたにするのは、ちょっと違和感が消えません。有難うございました。