2011年10月13日木曜日

ユーロ問題について 111013

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ユーロ問題は前回9月29日にアップデートした時点から、いくつかの進展を見た。


1.EFSF(欧州金融安定基金)の4400億ユーロへの拡張案に対する最後の承認国であったスロバキアも承認が見込まれている。しかしこれも前回書いたように4400億ユーロでは既に不足が懸念されている。


2.ベルギーとフランスを拠点とするデクシアが私的整理に入ることになった。この銀行は7月のストレス・テストでは合格していたのだからEUのテストの信頼性を損なうことになった。とは言ってもストレステストそのものの脆弱性は市場では既に消化済みだったのだが。


3.11日にはS&Pが「スペイン経済の短期的な見通しは悪化し、不動産市場の動きは引き続き抑制されており、資本市場の変動は激しくなっている」としてスペインの銀行10行を格下げ、フィッチ・レーティングスも7日にスペイン・イタリアのソブリンを、11日には銀行を格下げした。


4.ギリシャ入りしていたトロイカ(EU:欧州連合、IMF:国際通貨基金、ECB:欧州中央銀行)査察団は第1次ギリシャ救済パッケージの第6回分融資80億ユーロを来月初めに実行することを示唆したと伝えられている。また7月21日に合意された1090億ユーロの第2次ギリシャ救済パッケージ変更の議論の土台となるレポート提出は10月20日前後になるとしている。


第2次ギリシャ救済パッケージ執行の肝はPSI(Private Sector Involvment:民間部門関与)である。ユーロ圏の民間の金融機関がギリシャ債務のヘアカット(債務削減)をどこまで飲めるかという問題だ。これは7月21日合意の時点では21%と想定されていたが現状では50%がコンセンサスとなりつつある。
第6回融資分までは第1次救済パッケージでギリシャ国債償還期限に対応しているが、12月16日から始まる国債償還原資には第2次救済パッケージが必要となる。つまりPSIの合意が焦点となる。


ギリシャ国債の償還予定は以下である。
10月14日 短期国債20億ユーロ
10月21日 短期国債20億ユーロ
11月11日 短期国債20億ユーロ
11月18日 短期国債16億ユーロ
以上が今回実行されると伝えられた第6回分融資でカバーされるが、これ以降は第2次救済パッケージの承認が必要となる。
12月16日 短期国債20億ユーロ
12月19日 国債11億7千万ユーロ
12月22日 国債9億8千万ユーロ
12月23日 短期国債20億ユーロ
12月29日 国債52億3千万ユーロ
12月30日 国債7億1千万ユーロ


EBA(欧州銀行監督機構)が各国銀行救済必要資金算定の為、各国銀行の資料を精査中。 Tier1を前回ストレステストの5%水準からどの程度まで引き上げるべきか検討している。コンセンサスでは7%。同時に前回ギリシャ国債に対して算定されなかった通常評価する必要のない長期保有分の評価損をどう扱うかも焦点になるだろう。イタリア国債の価格は再び低下しはじめている。次回のストレス・テストは市場を納得させる必要があるだろう。


今後の日程だが、
この週末にG20財務相会合がパリで、
17日から予定されていたEU首脳会議(ブリュセル)が23日からに延期。ファンロンパイEU議長はここまでに包括戦略をまとめるとしているが、11月3、4日がG20首脳会議(カンヌ)の予定であるから月内が様々な決断のデッド・ラインとなるだろう。


ガイトナー財務長官があれこれとユーロに警告を発しているが、それは余計なお世話というものだろう。米国も11月18日には前回あれだけ大騒ぎして合意した予算分が枯渇する可能性がある。また11月28には米国超党派委員会が向こう10年で歳出1.2億ドル削減方法に関する報告書提出する予定となっている。
市場はかなり織り込んでいるとも考えられるが、大きく好転するとは考えづらい。


ギリシャでは公務員給与は既に20%カット、今後も15%~20%のさらなるカットが見込まれている。新たに固定資産税を払う必要があるが未だ誰も支払っていないとの記事もあった。また全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が厳しい歳出削減にあっさりと賛成するのは議員が解散→失業を恐れているためとの記事もあった。既視感のある話だ。

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