2011年10月19日水曜日

ユーロ問題について 111019 バズーカ砲


日本時間19日英ガーディアン紙は、現在4400億ユーロとなっている欧州金融安定ファシリティー(EFSF)を2兆ユーロに拡大することで、フランスとドイツが合意したと報じた。(ロイター)

週末にパリで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議は内容を伴わないもののその積極姿勢が評価され、これまでの過度な悲観論が後退し週明けの為替株式市場は大きく戻した。欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は、域内の債務危機封じ込め策は「数日以内」により明確になるだろうと述べ、20カ国・地域(G20)当局者らはIMFによる欧州への支援拡大の可能性も示唆している。だが威勢の良い発言とはうらはらに具体的な内容はすべて今後の期待に委ねられていた。ユーロ問題の中でギリシャは具体的に財政破綻が懸念されているが、次の段階として懸念されるスペインやイタリアに対しては未だ市場の疑念が大きく支配している。

市場からの観点で今後具体的に示されるべき(期待される)対策を今一度整理しておく。

ユーロ圏銀行資産の実態開示
7月に行われたストレス・テストで余裕を持って合格したはずのベルギー・フランス系銀行デクシアが早々と破綻した。正確に言えば破綻回避のために政府資金を受け入れた。市場から見れば元々信頼感の低いテストであったが、問題解決の為には当局であるEBA(欧州銀行監督機構)の信頼回復が肝要だ。ポイントはギリシャを始めとする国公債の時価評価につきるだろう。その上で初めて資本増強による自己資本比率(Tier1)の目標値を7%あるいは9%にするのかが議論され必要な資金が算定されるのである。このプロセスを曖昧なままEFSFの拡充策を模索しても市場は納得しないだろう。州立銀行を抱えるドイツは一律9%の自己資本比率目標には難色を示している。

誰が銀行の資本増強をするのか
「勤勉なドイツ人が怠け者の・・・」このロジックの真偽のほどはともかく、ドイツは基本的に各国個別の負担を求めている。一方でフランス以下の国はEFSFを拡充してユーロ圏全体での対応を期待している。従ってレバレッジを使って規模を大きくするなどEFSF拡充策に対する積極性は国によって異なっているのが現状だ。またIMFによるバック・アップに関してはG20においても総論賛成の中、日米による具体的なコミットメントは得られなかった。

ギリシャ国債の元本削減率(ヘアカット)
12月以降実施される予定の第2次ギリシャ支援策では民間金融機関の負担分としてヘアカットが議論されている。具体的には償還時に100あるべきものを50に削減しようというのが市場参加者からのコンセンサスになりつつある。民間がこれを受け入れた場合にEUがギリシャを支援しようというものだ。だがこれには影響の大きいフランスとECBが反発している上、50%のカット率は「金融機関による自主的な」受け入れが個別行でスムーズに運ばず格付会社によるデフォルト認定の問題も絡む。EUの意思決定にかかわらず民間からギリシャはデフォルトとされてしまうかもしれない。FTでは35%~40%程度ではないかと観測されている。

これらの問題は23日に予定されているEU首脳会議までに方向性を示し、来月3日から開催されるG20首脳会議までに結論を出す必要がある。しかし現実にはそこまで細部に渡って調整がなされるとは考えられない。それが18日(火曜日)に出されたのが市場の過度の期待を抑えるべくドイツ・メルケル首相から発信された「23日に予定されているEU首脳会議は危機解決の最終ステップでない」という発言だった。

しかしこれでは市場は納得できまい。そこで起死回生の1発と考えられたのが冒頭の「欧州金融安定ファシリティー(EFSF)を2兆ユーロに拡大」である。リーマン・ショックの時にポールソンが名付けた「バズーカ砲」に相当するだろう。これであればその巨額な金額の提示だけで詳細は後に回せる。問題は出資国(特にフランス)の格付けを含む財政事情であるが、何もしないよりは遥かに事態打開に向けて前進していると言えるだろう。後は真偽のほどである。

こうした中ギリシャ議会は19日から増税や賃金および年金削減、公務員の削減などを盛り込んだ緊縮策の成立を目指し、これに対して労組側では過去最大規模のゼネストを予定している。議案は可決見込みであるが、解散による失業を恐れた議員が賛成に回っているという笑えない話も漏れ伝わってくる。

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