2012年2月16日木曜日

いつまでもユーロで起こっていること


ドイツでは放漫財政によって勝手に苦境に陥っている国を何故ドイツ国民が尻拭いせねばならないのかと言う論調が高まっていますし、それに応じてユーロのプライドとして参加国がIMFの支援を受けて欲しくないとの考えから欧州通貨基金(EMF)の設立等の案が出されています。しかしこれにも独仏の対立が絡み一筋縄ではいかないようで、根本の問題は金融政策は共通であるのに再分配機能である財政政策が個別に採られている点にあるようです。


もしもユーロと言うユーロ圏単一の通貨では無く、ユーロがドイツの通貨であり、その他の国はこのユーロにペッグしているだけと仮定してみましょう。
ギリシャは旧通貨ドラクマ。 財政赤字が拡大しドラクマの信用が維持できなくなると通貨の切り下げをしなくてはなりません。 従って例えば公務員の給与が一定であれば、ユーロ建てである物価は上昇する事になり購買力は下がる事になります。 しかし通貨側が一定であれば、逆に給料を下げてつじつまをあわせる事になります。
今回のギリシャの財政赤字削減策の中に公務員給与の削減、ボーナス・カット等で、都合30%の削減となるようですが、民間にも波及して全体の購買力の調整と言う形になるでしょう。 要するに形を変えたインフレが起こりギリシャ国民は倹約生活を強いられる事になります。


もしこれが財政政策も共にする一国の中で起こっているのであれば、再分配機能が働き、ギリシャの赤字を埋めて上げられるのでしょうが、事はそうは簡単に行かない訳です。 特にドイツ国民から見れば節度のある財政、見の丈に合わせた消費活動を行って行っているのに、放漫な怠け者の連中の面倒を何故俺たちが見なければならないんだ、と言う雰囲気が充満し救済に関して国内のコンセンサスを得るのは簡単では無いようです。 倹約を強いられるギリシャはWW2時のドイツのやった事を持ち出し賠償を仄めかしたり庶民レベルではハーケンクロイツを持ち出したりもしているようです。

注意してもらいたい。この文章は2年前の3月11日付の当ブログの記事だ。一字一句変えてはいない。驚くべきことにIMFの関与姿勢を除くと、実はユーロ問題の根本は何も変わっていないだ。確かにこの間のユーロの下落によってドイツの交易条件は有利に働いた。自動車や機械産業は潤っただろう。しかしFT紙によるとドイツは様々な救済基金に既に国家予算の70%に相当する2110億ユーロもこの問題に拠出している。現状のままではこの問題は時間の経過とともに結局はドイツにさらなる負担を負わせるだけだろう。つまり終わりが見えない展開になりつつある。政府であるか国民であるかを問わず、ドイツにとって65年前の第2次世界大戦時の話まで持ち出されてまで、ユーロ圏GDPの2%しかないこの国をユーロに引き留めておくインセンティブはかなり薄れつつある。

2年前も書いたけれど、ニコラス・ケイジ主演の「コレリ大尉のマンドリン」は第2次大戦時のドイツ・イタリア枢軸国によるギリシャ占領の話だ。占領にきたイタリア軍に対してギリシャのとある街の自治体は「我々はドイツに負けたのであって、イタリアには負けていない。ドイツ人将校を連れてこい」と主張する。イタリア軍はギリシャの勢いに負けてドイツ軍の将校ジンマーマンを連れてくるという話から始まる。当時の僕の仕事上のフランクフルトのカウンターがジンマーマンという男だったのでよく憶えている。ヒロインはペネロペ・クルスだからエンターティメント性も高い。レンタルで借りて見たらどうだろうか。中古も随分安くなった。

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