2012年3月19日月曜日

「日露戦争、資金調達の戦い」出版記念座談会


普段私がコラムを書かして頂いているサンケイ・ビジネスアイが、拙著「日露戦争、資金調達の戦い」の出版記念として、出口治明・ライフネット生命社長との座談会を企画してくれました。出口社長もスケジュール的にマザース上場直前の多忙な時期にもかかわらず、快く引き受けて頂いて感謝であります。実はこの企画のお願いに訪問させて頂いた時は、未だ拙著は本として完成しておらず、赤い修正の入った原稿を数日前にお渡ししてしたのですが、出口社長は既に読了されてしまいました。そして「読書に速読は無い。熟読あるのみ」というお話を聞いて、僭越ながら私も同じ意見でしたのでおおいに感銘を受けたものです。

ビジネス・アイより

この企画のお願いの時にもかなり時間をかけて話をお伺いしましたが、あらためて別の日に座談会を持たせて頂きました。従って相当の分量のお話をしたのですが、さすがに紙ベースでは収まりきれるものではなかったようです。気がつけば拙著の宣伝も、また、ライフネット生命の宣伝もそこそこに、違う話ばかりしてしまったのでした。

少し長い読み物ですが、面白いですよ。

フジサンケイ・ビジネスアイ FB 「日露戦争、資金調達の戦い」出版記念座談会


出口社長、サンケイ・ビジネスアイの松尾編集長、どうも有難うございました。

2012年3月14日水曜日

拙著への書評


拙著「日露戦争、資金調達の戦い: 高橋是清と欧米バンカーたち (新潮選書)」も出版から既に2週間が経過し、読者の中に読了された方が出てきて、書評を書いて下さっています。


「台頭する中国」や「岐路に立つ中国―超大国を待つ7つの壁」の著者でTwitterで親しくなった(実はまだお会いしたことはない)津上俊哉氏が力のこもった書評ブログを書いてくださっています。
「日露戦争、資金調達のたたかい」を読んで、{津上のブログ}


ブログ:ファブレガスとワインに酔う、
金融市場の冷酷さ 日露戦争、資金調達の戦い~高橋是清と欧米バンカーたち~

小屋洋一さんのブログ

レビュー~日露戦争、資金調達の戦い~


AKAZUKINの投資日記
日露戦争、資金調達の戦い

流れに乗り 風をつかむ
書評:日露戦争と資金調達の戦い

投資十八番 書評
もうひとつの戦争−「日露戦争、資金調達の戦い」 


新潮社の「波」には、歴史ノンフィクションの大御所、保阪正康氏が書評を書いて下さっています。これもWEBで読むことができます。
日露戦争を見つめる多様さの必要性



その他アマゾンの書評欄に、星野さん、黒木さん、井上さん、津上さんがレビューを。これは「ヤラセ」や「ステマ」ではありませんよ。念の為。

書評を書いて下さった皆様、ありがとうございます。


またTwitterから、


取りあえず以上です。

追加(2012/3/21)
ブログ:ロンドンビジネススクール留学記が書籍の紹介で拙著を取り上げてくれました。

追加(2012/4/13)
信賞筆罰(在る在野研究者の記録)&読書日記&沖縄写真日記

追加(2012/04/25)
実践コーポレートガバナンス研究会 門多丈様
「日露戦争、資金調達の戦い」を読んで

追加(2012/05/01)
週刊金融財政事情(4月30日・5月7日合併号)に中央大学富田俊基教授(「国債の歴史」の著者)による書評

追加(2012/05/02)
磯崎哲也氏の「起業案内」読売オンライン
「日露戦争とベンチャーの資金調達」

追加(2012/05/07)
週刊ダイヤモンド5月12日号
一橋大学北村教授による書評。
週刊ダイヤモンド 書林探索

追加(2012/05/08)
ブログ投資の消費性について
日露戦争、資金調達の戦い

月刊「世界の艦船」6月号
Book Guide

追加(2012/05/27)
北海道新聞5月27日朝刊 11面
「日露戦争、資金調達の戦い」書評
「人間ドラマを鮮やかに」
慶応大学 横手慎二教授




2012年3月9日金曜日

【ビジネスアイ・コラム】デューデリジェンスの不在


以前のエントリーをプロが編集してくれました。文字数で約半分になっています。

【ビジネスアイ・コラム】デューデリジェンスの不在

AIJ投資顧問事件の問題の本質は、運用手法でもなければケイマンという租税回避地でもない。ましてや投資顧問会社の規模が小さくて信用がおけないから、届け出制から登録制に戻すというような問題でもない。AIJは2000億円近くの資産規模を持ち、厚労省OBと共同で設立したコンサルティング会社のお墨付きまでもらっていたのである。

今回の事件の責任は、厳しいようだがAIJを選んでしまった、投資リテラシー不足の基金の運用サイドにもある。制度的な制約から5.5%という一世代前の非現実的な目標利回りを背負い、運用しなければならないという基金の問題も、先送りせず解決しておかなければならないだろう。

一般には租税回避地のヘッジ・ファンドは危険であるとの認識もあるだろうが、そんなに危険なものがこれほど大きな世界的ビジネスになる理由がない。ヘッジ・ファンドの買い手はファンドの選別時に「デュー・デリジェンス」を行う。「デュー・デリジェンス」とは、そのファンドが投資に値するかどうかを調査することである。

ヘッジ・ファンドを組成しようと思えば、まずプライム・ブローカーを指定しなければならない。これは証券会社の信用取引口座と思えばよい。怪しげなスキームのファンドでは、ゴールドマンやUBSなど大手証券は口座を開設してはくれない。口座開設を許可するということは、与信行為である。彼らもファンドに対して「デュー・デリジェンス」を行うのである。

次にファンド組成にかかわった弁護士事務所の名前を開示し、ファンドの資産を管理する受託銀行名を開示しなければならない。一般に投資家は、ファンドの残高を運用者を経由せずに直接受託銀行に尋ねることができる。この口座を監査する会計事務所の名前も必要だ。

投資家はファンド組成にかかわるメンバーの顔ぶれ(一流なのか二流なのか、あるいは一流をそろえすぎてコストが高くないか)をみながら、とりあえずファンドの健全性を値踏みしていくのだ。運用成績を検討するのは、それからだ。

ではなぜAIJにはこうした仕組みが機能しなかったのか、あくまで筆者の推測であるが、基金はAIJと投資一任契約を結び、AIJは契約の範囲で彼らの運用する私募ファンドを資産に組み入れた。この場合このファンドのデュー・デリジェンスを行うのは、基金の投資顧問であるAIJ投資顧問自身。したがって、何でもアリということになってしまう。

投資顧問の行動を監視するのは基金運用者の責任である。こうした現実を直視せず、政府与党や責任官庁が保身のためにイメージだけで規制強化に走るのであれば、ただでさえ競争劣位にある日本の資産運用業界にマイナスに作用するだけではなく、投資リテラシーの不足による被害も後をたたない、ということになるだろう。

2012年3月8日木曜日

国交省職員、妻とホテルに入る男性殴る

たまにはチョット変わった話も。

「国交省職員を傷害容疑で逮捕 妻とホテルに入る男性殴る」3月8日14:51【共同通信】
朝日新聞と産経新聞でほぼ同じ内容の記事があるので神奈川県警伊勢佐木警察署で貰ってきた記事だろう。引用する。

「神奈川県警伊勢佐木署は8日、妻の知人男性を殴ってけがをさせたとして傷害の疑いで、同県鎌倉市岡本、国土交通省関東地方整備局企画部技術企画官XXX(別に名前は必要ではないので消しておいた)容疑者(47)を逮捕した。逮捕容疑は昨年12月5日夜、横浜市中区のホテルのロビーで東京都北区の男性会社員(44)の顔や胸を殴り、肋骨骨折など1カ月のけがを負わせた疑い。同署によると、XX容疑者は外出した妻を尾行し、男性が妻と一緒にホテルに入るところを目撃して殴った。数日後に男性から被害届を受け捜査していた。」

この記事に対するTweet。トップ・ツィートだから大物のチキリンさんがトップにきていた。

これ以外に多くのTweetがあるが大体上記の種類に意見は収束されるだろう。

僕が言いたいのは、この国土交通省の男が、「浮気男を殴るべき」であるとか、殴られた男が「よく被害届を出せたものだな」とか加害者の勤め先が国交省ってわざわざ書く必要はないだろうってことじゃない。「よく被害届を出せたものだな?この間男が」とか色々な疑問があるのなら、もう一度ニュースの原文を良く見てみよう。ということだ。

先ずこの記事には「妻の知人男性」とだけ書いてある。特定の関係であるとは書いてない。

次に「12月5日夜、横浜市中区のホテルのロビー」と書いてある。 中区は横浜の中心街だ。みなとみらいは西区だが中区には中華街、山下公園、横浜ニューグランドホテルやバーやレストランのある古くからのホテルが多くある。ラブホも少しあるが普通派手に喧嘩できるようなロビーは無いと思料する。つまりだ。もしかしたら奥さんは知人男性とバーに行こうとしだけかもしれない。そうしたらロビー付近で旦那らしき男がいきなり殴ってきた。仮にもしそうだとすると、この被害男性が被害届を出したことは納得がいくではないか。

事実はどうなのかこの記事だけではサッパリわからない。だけど何となくしっくりこない。しかしヘッドラインは「妻とホテルに入る男性殴る」となっていて、人目を忍ぶ人妻があたかもラブホに入るような記述である。そして逆上した旦那がおいかけて殴る蹴る。そしてその記事を見た読者が興奮してコメントを垂れ流す。

どうなんだろうね。

たまには自分の頭で考えよう。じゃーね。

これを言ってみたかっただけ。

2012年3月7日水曜日

AIJ投資顧問とヘッジ・ファンド

資産運用、もう少し世俗的な言い方では「儲け話」には昔から詐欺がつきまとう。これに対抗するには確かに「うまい話には乗るな」が一番良い防御策だろう。世の中にはリスク・リターンというトレード・オフがあり、儲かる話にはそれ相応のリスクがつきまとう。従ってAIJ投資顧問のような高い(虚偽の)実績利回りに惑わされてホイホイと詐欺的ファンド買うような素人に資産運用を任せていたのが悪いかったという話になる。しかし僕はこれこそ素人考え、思考停止。投資啓発本ならばこれで良いだろうが、資産運用に興味のある人であれば、もう少し世間の実態を知っておく必要があるだろうと思う。

AIJ投資顧問の事件を通じて、政府与党・当局からは再び規制強化の動きも伝えられている。しかしこの事件の問題の本質は、高度な運用手法でもなければ、ケイマンという租税回避地でもない。ましてや投資顧問会社の規模が小さくて信用がおけないから、再び届出制から登録制に戻すというような問題でも無い。AIJ投資顧問は2000億円近くの資産規模を持つ充分に大きな投資顧問で、厚労省OBと共同で設立したコンサルティング会社のお墨付きまで貰っていたのである。厚生年金基金に天下ったOB達によって被害感染が拡大した一面は忘れてはならない。残念ながら天下った人たちは日本国内における複雑な基金設立の法制度的・事務的な専門家であって、資産運用の専門家では無かった。しかしこの問題は運用の巧拙では無い。もっと基本的な事務作業に問題があった。

今回の事件の被害者は年金加入者であり、加害者はAIJ投資顧問は勿論のこと、厳しいようだがファンドを選別した投資リテラシーの不足していた基金の運用サイドにもある。またここでは制度的な制約から5.5%というひと世代前の非現実的な目標利回りを背負い、運用をし続けなければならないこうした基金の問題も、先送りせず解決しておかなければならないだろう。具体的には簡単ではないが基金代行返上、あるいは精算への道筋をつけて、確定給付から確定拠出に形態を変えるべきだ。しかし今回はこの議論は措いておこう。

今回の事件で小規模ヘッジ・ファンドや独立系投資顧問会社が忌避される傾向が出ることは止む終えないだろう。既に今朝の日経一面にはそうした記事が掲載されている。しかしちょっと待って欲しい。一般に租税回避地のヘッジ・ファンドは危険であるとの認識もあるだろうが、それほど危険なものがこれほど大きな世界的なビジネスに発展した理由がないではないか。資産運用の現場で場違いなのはケイマン籍のファンドでは無く、今回の総合型の年金基金の方なのである。今回の一連の報道を見ていて「デュー・デリジェンス」というファンド業界では最頻出の言葉が全く登場しないことに違和感を感じた関係者も多いのではないだろうか。

PEや不動産ファンドが投資するときも同じであるが、ヘッジ・ファンドの買い手はファンドの選別時に「デュー・デリジェンス」を行う。世界中同じである。「デュー・デリジェンス」とは、そのファンドが投資に値するかどうかを調査することである。その際に運用成績云々以前にファンドの一般的な共通項目は利便性のために予めリスト・アップされている。会社四季報の基本項目のように業績の前に素性を表す項目が列挙されるのだ。

ヘッジ・ファンドを組成しようと思えば、先ず組成地を決め、プライム・ブローカーを指定しなければならない。これは証券会社の信用取引口座と思えば良い。怪しげなスキームのファンドではゴールドマンやUBSなど大手証券は口座を開設してはくれない。レバレッジは与信行為でもある。彼らもファンドに対して自分たちが付き合うに相応しいか「デュー・デリジェンス」を行うのである。次にファンド組成に関わった弁護士事務所の名前を開示し、ファンドの資産を管理する受託銀行名を開示する。ここでも法律事務所や受託銀行が一流かどうかはファンドの品定めの材料となる。一般に投資家はファンドの残高を運用者を経由せずに直接受託銀行に尋ねられる仕組みである。それはAIJ投資顧問のように運用者は歴史的に時折嘘をつくからだ。そしてこの口座を監査する会計事務所の名前も必要だ。投資家はこうしたファンド組成に関わるメンバー達の顔ぶれ(一流なのか二流なのか、あるいは一流を揃えすぎてコストが高くないか)をみながら、とりあえずファンドの健全性を値踏みするのである。AIJ投資顧問はこの時点でお話にならないファンドである。運用者だけがファンドの純資産を報告する体制は詐欺の温床である。必ず信託銀行や会計事務所の監査など別の主体から資産残高の報告を受けられるようにしておかなければならない。運用成績の検討はそれからなのである。

もちろん投資手法が複雑過ぎて信託銀行に記帳された有価証券では時価算定が難しいと運用者が主張することもあるだろう。そうしたファンドはアセット・ボラティリティ以外のリスクが跳ね上がる。投資してはいけないだけだ。

では何故AIJ投資顧問にはこうした仕組みが機能しなかったのか。現時点ではあくまで筆者の推測であるが、基金はAIJ投資顧問と投資一任契約を結び、AIJは契約の範囲で彼らの運用する私募ファンドであるミレニアム・ファンドを資産に組み入れた。この場合このファンドの「デュー・デリジェンス」を行うのは基金の投資顧問であるAIJ投資顧問自身なのである。従って何でもアリになる。しかしそれでも投資顧問の行動を監視するのは基金運用者の責任である。

高度な運用手法が理解できなかった事がこの問題の原因ではない。一番基本的な事。つまり問題は資産残高のチェックを運用者だけから聞く体制は詐欺の温床であるという基本すら理解していなかったことにある。

基金の資産を管理する国内の信託銀行もファンドの価格が入手できるから油断していたのだろう。信託銀行の機能と責任の範囲は今回議論を呼ぶだろう。
こうした単純な現実を直視せず、政府与党や責任官庁が保身のためにイメージだけで規制強化に走るのであれば、ただでさえ競争劣位にある日本の資産運用業界にマイナスであるだけではなく、投資リテラシーの不足による被害は後をたたないことだろう。