2012年5月16日水曜日

現実味を帯びるギリシャのデフォルト



ギリシャでは総選挙後の連立政権樹立に向けた協議が物別れに終わり、来月の早ければ6月10日には再選挙が実施されることになった。言い換えれば現行のユーロによる融資条件を拒否し、受け入れられるか否かにかかわらず新たに条件緩和の交渉に入る可能性を追求することになった。

これを受けてギリシャのデフォルト懸念から各国金融市場ではいわゆる「リスクオフ」の状態が加速し、株やコモディティなどから安全資産に資金シフトする動きが見られた。また米企業の社債保証コストが上昇するなど、問題はギリシャのみにとどまらず、欧州ソブリン危機として他の脆弱な国々の動向も含めて今後の財政破綻懸念が再燃することとなった。

ギリシャは債権者の「自主的」という名の下に既に債務の減免を受けている。また10年債は20%を超える利回りで取引されているとはいえ、このままではいくら表面的な利回りが高くとも新たなギリシャの募債に応じる投資家はどこにもいないだろう。デフォルト認定の基準に依存するとはいえ特別融資がなければ支払いに応じられない、実際には既にデフォルト状態なのである。

ギリシャでは今回の総選挙を通じてユーロ(主にドイツ)から突きつけられた財政再建計画に対して「NO」と答えたが、ユーロ通貨圏にとどまるか?との質問に対しては3分の2が「YES」と答えている。この両者が同時には成り立たないトレード・オフの関係にあることを無視し、良いとこ取りを狙う姿勢は何もギリシャに限ったことではない。しかしギリシャ人はぎりぎりの段階では何とかするだろうというような性善説的な楽観的姿勢をよりどころに金融市場の将来を占う局面はもはや既に過ぎたといえるだろう。

政府が現行ユーロにこだわれば、年金も公務員給与も充分な原資がない、そこでは新たに減価した独自通貨を発行しなければならない。

現実のデフォルトが発生すれば、ギリシャ国内では外国人が保有する既存のユーロと仮称新ドラクマが平行して使用される事態になるだろう。銀行預金は自動的に1ユーロ=1ドラクマと書き換えれば済むが、既発紙幣にはスタンプを押すなどして持ち込まれたユーロ紙幣と区別できるようにする作業が必要になるだろう。

資産家の多くは既に海外に逃避しているだろうと考えられる。ギリシャの銀行預金は既にピーク時から30%減少し、この動きは未だ大きくはないものの現在も続いている。通貨変更の直前には預金の外国銀行への移動が封鎖され、国境の検問を強化し現金の持ち出しも管理しなければならない。言うまでもなくこれは銀行取付けを引き起こす。実務的には大変な騒動となることは間違いない。

ギリシャの一般の預金者としては今のうちに資産防衛のために格付けの高い国の債権やコモディティを買うか、あるいはユーロを外国の口座に移管しなくてはならないのだ。我々はギリシャに関して総選挙を待たずに大きなイベントが発生する可能性を考えておいた方が良いだろう。


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