2012年5月11日金曜日

FREDについて


実を言うと、これまでずっとWindows XPを使ってきた。

現在のPCの導入時にも既にVISTAはあったのだが、金融機関に長く勤務したこともあって、その信頼性や、適応するアプリケーションの問題から常に最新バージョンのひとつ古いものを使う習性がついていたのだと思う。しかしその後も特段、不自由を感じなかったこともあり、そのままにしておいたのだが、今回はセントルイス連銀の提供している経済・金融データ・サービスFRED(Federal Reserve Bank Economic Data:ST.LOUIS FED)がエクセル用アドインをリリースしたことから、エクセルのバージョンを変える必要が出てきたのだ。つまりWINDOWS XP用のエクセル2003から、現行WINDOWS 7のエクセル2010にである(アドインはエクセル2007用に出来ている。2003用も確かに提供されているが使い勝手が良くない)。

ここまでで一体何の話だか理解できない読者もいると思うので、先ずFREDの紹介からしておこう。

Googleで検索してみるとFREDを説明した日本語サイトやブログはあまり無い。多分本邦での米国経済指標に対する分析ニーズがそれほど無いというのが現実なのだろうけれど、その割にはブログやTwitterではアメリカの失業給付申請がどうしたとか、CPIがどうだとか、最近ではマネーの量がどうしたとか賑やかしい。こういった分析はベンダーやマスコミからの垂れ流し情報だけではなく一度自分でデータを取得して分析してみるという経験を積めば、さらに理解が深まるというのは自明のことだろう。もちろんこれを経験したからディーリングで儲かるというお話ではないけれども。どんなことでも真実を理解したいという好奇心は大切だと思う。

拙著にも書いておいたが、米国の中央銀行設立は先進国としては随分と遅く1913年になってからである。詳しくは連邦準備制度のwikiを見てもらう事としてここで登場するセントルイス連銀はこの時に設立された12の準備銀行のうちのひとつである。こんな事を書いていると無性に連銀について書きたくなってしまうのだが、ここは本題とは違うので別の機会に委ねることにしよう。ともかくセントルイス連銀は経済データの整理、公開に一番熱心に取り組んできたのだ。

セントルイス連銀 エコノミック・リサーチ


これがFREDのページである。40のデータ・ソースから45000種の経済データが収集され、ダウンロードできるし、グラフ化もできる、また注目しているデータが更新されればメールを送ってくれるサービスもある。一昔前ならこれだけのサービスがあれば間違いなく年間数百万円は取られていただろう。しかし今はこれが何とタダなのである。是非登録してある程度は使いこなせるようになっておこう。金融にかかわる者であればFREDの存在と簡単な使い方ぐらいはマスターしておいて損は無いだろう。

とりあえず、あまり深く考えずに少し試してみよう。
上の画像で矢印で囲ったCPIのところをクリックしてみる。



すると上の画面が出てくる、これが米国消費者物価指数(何でも込み)である。データは1947年から直近まで月次で揃っている。

これを見て「70年代までインフレ率は低かったのにその後はインフレ率が高くなっていますね」と話していた人がいたが、これはもちろん大間違いである。グラフの下のLog Scale:Leftのところクリックしてみよう。


グラフの軸をログ・スケール(対数目盛り)にしたのだ。伸び幅でなく、伸び率の変化はこのグラフの傾斜で決まる。伸び幅は消費者物価指数の指数値増加分、伸び率はインフレ率である。つまりアメリカは50~70年まで穏やかなインフレ、70年代の厳しいインフレ、80年代以降の再び穏やかなインフレ期にとりあえず今のところ3分できるのだ。80年代半ばから2000年半ばまでを特にThe Great Moderationと呼んで、この期間にアメリカのインフレ調整後の資産価格は大きく上昇することになった。

さて、消費者物価指数にも種類があるだろう。コアとかコアコアとかである。上の図で丸でかこったAdd Data Seriesをクリックしてみよう。

さらに出てきた画面の丸で囲ったBrowseをクリック, これで消費者物価指数に限らずほかの経済指標をグラフの中に取り込むことができる。例えばケース・シラー指数とかS&P500なんかでもだ。


ここでは消費者物価指数のなかで短期の変動の大きい食料品とエネルギーを除いたコアコアCPIと呼ばれるものをグラフに加えて一般の消費者物価指数と比較してみよう。

さらに丸で囲ったConsumer Price Indexes(CPI)をクリック


さらにSpecial Indexes(64)をクリック


ここで一番上にあるアイテム、Consumer Price Index for All Urban Consumers : All Items Less Food & Energyが目標のコアコアCPIである。FREDではこうしたデータを使用頻度順に並べてあるので上のほうにあるアイテムを使えばへんなことにはなりにくい。但しここで注意しなくてならないのは一般のCPIは1947年からのデータであるが、コアコアは1957年からであることだ。
ともかく一番上のアイテムをクリックしてみる。



当初のCPIのグラフにCPIコアコアがライン2として追加された。しかしデータの開始時期がずれてしまっている、これは上図で①Observation Quick Rangeの5yrをクリックして、その後で②丸で囲ったCopy to All Linesをクリックし、③下にあるRedraw Graphをクリックすればここ5年間のCPIとCPIコアコアの動きをグラフ化できる。(順番を間違えないように)


上図が結果である。リーマンショック前後に原油価格が大荒れしたことが見事に反映されているだろう。インフレを考える時に使いわけが必要であることがわかると思う。但し長期だとこの違いも時間の大きな流れに埋もれてしまうのも事実なのだ。

慣れるとこうした作業も15秒ぐらいで出来るようになる。後は感覚で色々と試してみることだ。しかしFREDの真骨頂はこうした見事なアプリだけではない。データをエクセルに落とせることが醍醐味なのだ、僕がWindowsを新しくしたのはまさにそちらのニーズからなのだ。

今後しばらくこうしたデータを使ったエントリーを書いてみようと思う。

Porco




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