2013年1月27日日曜日

昆布の山椒煮


織田作之助の小説「夫婦善哉」の中にボンの惟康柳吉が、黒門市場の少し奥まった路地の下宿の二階で山椒昆布を煮ているシーンがある。ヤトナ(安上がりの出張芸者、日雇い)仕事に疲れた蝶子が三味線の箱を片手に夜更けに帰ってくると、普段は生臭い通りに上質な醤油の良い香りがしてくる。

「思い切り上等の昆布を五分四角ぐらいの大きさに細切りして山椒の実と一緒に鍋に入れ、亀甲万の濃口醤油をふんだんに使って、松炭のとろ火でとろとろ二昼夜煮詰めると、戎橋の『おぐらや』で売っている山椒昆布と同じ位のうまさになる」

残念ながら松炭を使うほど粋な趣味はないが、昨日から昆布を炊いている。利尻の二等の昆布を水で戻し、やわらかくしてから、五分四角に切って山椒の実と一緒にキッコーマンの丸大豆で炊くのである。僕のはお酢を入れるところが柳吉と少し違う。これをやると家中が醤油臭くなるが、これはこれで良い香り。僕はいつも「夫婦善哉」を思い出す。

「おぐらや」に行けば売ってるんだけれどね。

「夫婦善哉」はKindleで青空文庫から無料で入手できる

「山椒の実」は富澤商店でしょうゆ漬けが買えますよ。




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