2013年10月25日金曜日

『戦争の日本近現代史』加藤陽子 講談社現代新書


戦争の日本近現代史 (講談社現代新書) 東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで』加藤陽子 

内容はこのタイトルのままなのだが、一体ぜんたい著者の意図する読者のうち誰が「東大式レッスン」という言葉に釣られてこの本を読むというのだろうか。これでは大学受験用の近現代史の参考書というイメージが先行してしまうのではないだろうか。受験生が読むと混乱する恐れがあると思う。

本当は、東大の加藤先生は学生に近現代史をどう教えているのかという内容であって、ここに書かれていることは高校教科書とはかなり異なったものとなっている。最新の(2002年当時の)近現代史の知見が書かれているのだろうと思う。断言できないのは僕が最新の知見に詳しくないからだ。

僕も日露戦争のファィナンスは出版するぐらい調べたので、この本の内容に一言いいたい部分もあるが、いやいや、それだけではなくてその他の部分でも何箇所かあるのだが、そんなことは実はどうでも良いことだ。この本は戦間期の様々な定番の歴史書を読む前に是非一読しておくべき本だと思う。

僕も含めて数十年前の山川の検定教科書を基本として歴史認識されている頭を一度整理しておく必要をこの本は感じさせるからだ。さすれば陸軍の石原莞爾だけではなく、同時期の海軍の加藤寛治をどう読めばよいのかとかのヒントを得られることになるだろう。

実はミラーの『オレンジ・プラン』を再読していて、途中で『マッキンダーの地政学』と『マハン海上権力史論』と基礎に戻ることになってしまった。中途半端に納得しだすとロクなことがないので、バイオリン式レッスンでいえばボウイングからのやり直しみたいなものだ。そうした時にオレンジ・プランの反対側の入門書として浮かびあがったのがこの東大式レッスンだったのである。読後頭の中がかなりすっきりした。


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