2013年12月3日火曜日

【ビジネスアイコラム】「逆ざや」がようやく解消 過去の生保、高利回り運用の自信どこから?


【ビジネスアイコラム】生保、高利回り運用の自信どこから?  2013.12.3

 生命保険主要9社の20年来の「逆ざや」がようやく解消したそうだ。「逆ざや」とは生保が顧客から預かって運用している資金の利回りが契約時に提示した「予定利回り」に達せずに、約束よりも資金が不足している状態で、これまで生保が不足分を補填(ほてん)してきた。

 補填は主に死差益(統計上想定していたよりも実際に死亡する人が少なく支払いも少なかった)によって埋められてきたが、バブル時の6%近い高い「予定利回り」の契約などが満期によって減少したことが大きい。おかげで生保の資産運用全体の目標利回り自体が低下してきたのだ。

 では、バブル期とその後しばらくの間、生保は何故契約者に対して高い利回りを提示できたのだろうか? その運用に対する自信はどこからきたのだろうか?


 図は1949年5月からの日米株価のグラフである。縦軸には対数値を取ってあるので傾きは成長率である。生保の商品は期間が長いので株式市場の短期の上げ下げをあまり気にせずに長い期間を見通して投資していく。バブル当時にもっともありそうな株式の長期成長率は年率14.2%だったのだ。現在から見ればなんとも楽観的な見通しだが、短期はともかく長期では下がると予想する方が難しかったのである。

 さらに生保は長期投資となるためにインフレヘッジの観点から株式組み入れ比率を高く設定しており、日本の大企業各社の大株主上位には生命保険会社が並ぶことになった。これはある種の「お互い様」となり、筆者の若い頃には事務所内に「生保のセールス」がわらわらと営業活動していたものだ。新入社員は職場に同化するために知らぬ間に生保に加入していたものだった。特に財閥系の生保では株式組み入れポートフォリオに財閥グループへのバイアスがかかる。グループの盛衰が契約者数のみならず運用ポートフォリオの側面からも自社の命運を必要以上に左右する構造となっていたのだ。

 さて、現在の日経平均の最長の成長率の記録は年率7.1%。現実の日経平均の動きとは乖離(かいり)が大きいために、これで今後の予想をたてる人はまずいないだろう。しかし同時期のSP500は年率7.6%。現実の指数もこの成長率に沿って動いてきたのだ。米国の株式収益率の長期予測にはこの数字を使うのが合理的である。

(作家 板谷敏彦)

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